こんにちは。
セラク・みどりクラウド事業部のエキスパートエンジニア・スクラムマスターの原田です。
みどりクラウド事業部では、毎週1回・朝30分を使ってミニ勉強会を開催しています。
勉強会を開催する理由や、勉強会テーマであるアジャイル・スクラム勉強会の選定理由については第1回のストーリーで紹介していますので、よろしければこちらも併せて御覧ください。
第7回の勉強会では、アジャイルな進捗管理・カンバンボードとWIPについて講義形式で実施しました。
講師は引き続き、Scrum Alliance認定のスクラムマスター(Certified ScrumMaster)である私・原田が担当させていただいています。
勉強会で使用したスライド
まずは、勉強会で使用したアジャイルな進捗管理・カンバンボードとWIPのスライドについてご紹介します。
カンバンボードの目的
アジャイルなプロジェクトでは、進捗管理にWBSではなくカンバンボードを採用することが多いと思いますが、その目的としてはタスクのステータスをレーン分けして見える化するためということが多いように思います。
もちろん、WBSのようにタスクがリストで並んでいてステータスが書かれているだけよりも、カンバンボードでレーン分けされていたほうがステータスは見えやすくなるのでそれだけでも意味はあるのですが、カンバンボードが真価を発揮するのはそこではありません。
タスクがToDoに発生してからDone(完了)するまでを製造業の製造フローに見立てると、その製造フローをいかに効率良く・待ち時間なく・在庫を積み上げずに消化していくかが重要と言えます。これはトヨタ生産方式のジャスト・イン・タイム(JIT)の考え方に通じるものです。
そのために、完了までのフローで効率が悪い箇所を可視化できるツールがカンバンボードなのです。
タスクの1個流し
1人のエンジニアが複数のタスクを同時並行で着手したほうが効率的かつタスクが早く終わると期待したことはありませんか?
タスクの前後関係や前提タスクの有無にもよるので一概には言えないのですが、基本的にタスクは同時並行着手よりも1個ずつ終わらせていったほうがタスクが完了し始めるタイミングは早くなりますし、全体として早く終わります。
これは、同時並行でタスクを進めていると作業が薄く・長くになってしまうためなかなか終わらないことと、タスクを切り替える際に頭を切り替えるスイッチングコストが無駄に取られてしまうためです。
そのため、タスクボード上で同時並行着手を監視し(例えば3人のチームでDoingに4枚とか5枚のタスクが積み上がっていたら間違いなく同時並行着手ですね)、同時並行着手の状況を発見したらタスクを1個ずつ確実に完了させていくように促していくアクションを取ります。
また、同時並行着手を事前に防ぐためのツールとしてWIP(Work In Progress)というものもあります。WIPはタスクボードの各レーンに置くことのできるタスクの数を制限します。
これまで同時並行着手に慣れていた人は戸惑うかもしれませんが、WIPで強制的に同時並行着手を制限されたらどうすると思いますか?次のタスクに着手するには今着手しているタスクを終わらせるしかないですよね。また、他の人のタスクが既に次のレーン内にあってWIP制限に引っかかってしまう場合は、他の人のタスクを協力してでも終わらせないと自分のタスクを次のレーンに進めることはできません。
このようにWIP制限はタスクを1個ずつ終わらせるためのツールであるのと同時に、チーム内の協業を促すためのツールでもあると私は考えています。
タスクの1個流しを体感してもらうための方法
タスクの1個流しのメリットを実プロジェクトの中で体感してもらえると確実なのですが、実際のプロジェクトではタスクの前後関係や前提タスクの有無などで1個流しの影響のみを観測するのは難しいかもしれません。また、素振りもなくいきなり実プロジェクトで導入するというのも考えものです。
そのため、まずは以下のようなワークショップでタスク1個流しのメリットを体感してもらい、理解してもらった上でタスク1個流しやWIP制限を導入することをお勧めしています。
雑談Timeで参加者から出たコメント
最後に、雑談Timeと称して勉強会参加者でディスカッションを行っています。
そのディスカッションで出たコメントを一部ご紹介します。
- トヨタのかんばん方式は知っていたが、それをソフトウェア開発のタスク管理に適用できるというのは知らなかった。タスクもジャスト・イン・タイムがベストであるというのは新たな発見だったので、実際の仕事でも活かしてみたいと思う。
- WIP制限という手法で敢えて同時に着手できるタスクの数を制限してしまうというのは、これまで考えたことのない発想だった。しかし、同時並行着手の数を減らしたほうが早く終わるというのはまだすっきりしていない。実際にやってみたい。
このように、セラク・みどりクラウド事業部では定期的な勉強会の時間を確保し、開発メンバーの知識や技術の底上げを行っています。
面白そうだなと興味を持っていただけたら、勉強会では他にどのようなテーマを扱っているのかもご紹介できますので是非お話をしましょう。お待ちしています。
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