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県庁職員からITベンチャーへ 異色のキャリア、必然の選択/ 社員インタビューVol.1


地元広島への想いを胸に広島県庁へ入庁し、広島のまちづくり・行政からの社会支援に熱中し、公務員キャリアとして脂がのっていた最中にスタートアップベンチャーへの転職を決断した元中。
異色の経歴となった元中氏に、これまでの経緯や意思決定の裏側を聞いてみました。


登場人物:株式会社エクレクト 元中 慎一
広島生まれ、広島育ち。広島大学大学院を卒業後、経済産業省へ入省。その後、地元広島への想いを胸に広島県庁へ入庁し、企業誘致プロジェクトや組織人事を担当。
2022年に株式会社エクレクト入社以降は経営企画として、行政での経験を活かしながら広島県や各大学との産学官連携の担当として従事。
子供との時間を大切にするようにしていて、一緒に各地の電車へ乗りに行ったり、モータースポーツを見にサーキットへ赴いたりしています。

転職へ突き動かした、広島への想い

エクレクトとの出会いは2020年頃、僕が広島県の企業誘致プロジェクト担当だった時のことです。ありがたいことに沢山のお問い合わせがあり、その申込内容を一次チェックしていた時のことでした。入力したExcelを確認する事務的な作業の中、エクレクトの社名を見て「会ってみたい」と直感的に思いました。

おおよその企業は数名規模の中、当時のエクレクトは40名ほど。お問い合わせ企業がまとめられているExcelからは従業員数や規模感くらいしか読み取れないのですが、それでも「ベンチャーで勢いがある」というのを感じ、本来なら書類精査で手一杯だったのですが、それでも営業担当に同行して初回オリエンで役員の井口と話したことが始まりでした。もちろん、その時は全く転職なんて考えていませんでしたが。(笑)

次に再会した時は、広島県内での企業進出プロジェクトでのお打ち合わせでした。そこでの井口の「社会をもっと良くしていきたい」という強い意志と、それを体現するべく実行に移し、発信しているところに説得力も感じ、そこで「もしかしたら公務員よりもエクレクトの社員として、体現していく方が僕の目指している社会に近づけるのかな。ひとつの企業として、社員としてロールモデルになる、というのが面白いんじゃないか」と転職を考えるようになりました。

役員の井口をはじめとするエクレクトの皆さんが「せっかく広島に進出したんだから、もっと広島を盛り上げていきたい」という気概を感じたのと同時に、地元に貢献できる想いがリンクしていること・ここでなら、行政の経験を元に新しいことができるという直感がありました。

エクレクトの目指す【新しい生き方・社会の在り方】がリンクした

僕の地元は筆が有名な町で祖母や母が筆づくりをしていたり、庭一面には乾燥させた筆が並んでいるような家でした。そこに僕ら子供たちが野球ボール飛ばして怒られたり。(笑)大学生くらいになっても、自然と「暇やろ?夏休み、化粧筆のバイトしてくれ」と声をかけられて、筆づくりに勤しんでいたり。こうして振り返ってみると、地域として根ざしている文化やゆとりのある住環境など「昔あたりまえにあったもの」は時流の変化とともに失われつつあると感じています。将来への不安、焦燥感から追われるように働く毎日。「社会そのものを良くしたい」という気持ちで公務員になったものの、変化を促すことはやっぱり難しいよな、と感じていた時期に「余白」というワードを井口から聞いたことがとても印象的でした。

おおよその企業や仕事って、管理をする・時間いっぱい働く、隙間なく詰め込んで数字に向き合うことが正しくて、それで成果を出してきたと思うんですよね。短期的な成果を追い求めていると中長期の視点がなくなってくる。人生についても、事業についても考える余裕がなく煮詰まってくるんです。
これまでだと仕事に全部縛られて、家のことやったら1日終わり、という毎日。

エクレクトに入社してからは時間のコントロールもしやすくなりました。ただ、この「余白」という自由な時間を自身を甘やかすものにするのではなく、「本当に成したいこと・成りたい自分」について考え、実行することに使うことが大事だと考えます。
僕だと、それこそ身近な社会、地域をどうしたら良くなるか?ということですね。行政にいたころから「一人ひとりが毎日に忙殺されるのではなく少しの時間で良いから身近な社会について考えられるようにしたい。」と考えていたので、エクレクトの「余白」を大切にする考えにリンクする部分がありました。

転職を決めた時は、職場でも家族でもやっぱり驚かれました。特に県庁では組織人事を任せていただいていたので、関係職員およそ200名と一緒に仕事をしたり雑談したり。僕自身、困っていると寄り添ってほしいし、行き詰まっているかな?という職員にはこそっと「ねぇねぇ」と声をかける方だったので「なんで辞めちゃうんですか」と。

妻も驚いていましたが、僕が一方的に決めるというより、家族の在り方として自分は妻と対等で、という気持ちがあったので、互いを尊重して支え合うという形で対話を重ねました。結果、こうしたベンチャーで、しかも全く別の業界に踏み出せたことは家族の応援あってこそ。理解を得られたことに感謝しつつ、井口と深く話した「より良い社会」を目指して今は広島県内の大学と産学連携プロジェクトを進めるなどしています。

過去の体験がエクレクティックにつながる

より良い社会を目指そう!と明確に考え始めたのは大学生の頃からだったと思います。それまではバレー部に熱中していたので。(笑)

理系に進んだのですが、専攻していた物性物理(材料など物質の性質を研究する学問)はとてもじゃないですが難しくて。2010年ごろは技術領域的に、アジア圏の中でも韓国や中国に追いつかれる、という状況で、ことさら「日本がしっかり稼ぐためにも僕らがしっかり学ばないと」ということをよく言われていました。同級生の就職先も自動車や電気系などメーカーに就く人が多かったのですが研究職に難しさを感じており、うまく自分の力を発揮できないと思っていました。

そこで、メーカーに就職していった同志を裏方でサポートするならと考えて行政への道を目指しました。社会を良くする、そのために日本を豊かにする。それなら経済産業省しかないと考えて、入省するに至ります。
経産省での経験も、広島県庁での経験もどちらも大いにやりがいがあり、また困難な局面もありました。例えば、災害や社会機能に直結する感染症の蔓延など有事の際ですね。企業や県民の皆さんのためにも、スピーディかつ隙のない制度設計が求められます。数人の職員で、1週間~10日ほどで取りまとめ、首長に決裁を仰ぐまで法務的に問題はないか?他県の事例は?など多方面に意見を聴きながら作り上げていきました。
かなり痺れるような経験も多く苦しんだこともあったものの「正解がないものなのでなんとしても創り上げる」「前例がないことに嘆かず、柔軟な発想力・想像力」「最後まで逃げずにやり遂げるGrit」というビジネスシーンでも重要な部分を得ることができたかなと思います。エクレクトに入社しての毎日も、従来の在り方に疑問符を投げては自分で正解を模索し続けるものなので、行政時代に培ったものが繋がり活きているなと実感しています。

もちろん、経済産業省に在籍時や県庁で広島に貢献する仕事も熱中していたし、前述したように転職するつもりは全くありませんでした。ただ、国民の皆さん・県民の皆さんからの税金を頂戴している以上、業務計画は事前に1年分きっちり決まっているものでその枠をはみ出る以上のことも、それ以下のこともできません。行政特有の「領分」というフレームに収まらなければいけない働き方に少し歯がゆさを感じてもいました。

自分のもどかしさとともに、社会情勢を見渡すと今や日本は豊かな国だと言いきることが難しいと感じることが多くなってきました。高齢化社会、技術革新の遅滞、そして貧困格差と耳にすることも多くなっています。残念ながら、僕が目指す豊かな社会、理想の社会とかけ離れていっている。特に、自分に子供ができてからは「このまま無責任に次世代にバトンパスしたくない」「好きな職業で安心して稼げる豊かさ、老後の心配がない社会にしなければ」と強く思うようになりました。このまま、規定のレールに乗っているだけでは何も変えられないんじゃないか。そんなくすぶる思いが、エクレクトに出会ってからは「未来の在り方を変える、新しくつくることが体現できるかもしれない」という可能性を感じ、転職へ踏み切りました。行政で培ったことを、今度はフレームを取っ払ってベンチャーならではの速度、柔軟性を掛け合わせて「異色のキャリアの僕にしかできないこと」を成し遂げたいです。

良い働きが良い暮らしをつくり、良い暮らしが良い働きをつくる循環を目指す

暮らすことと働くことが密接にリンクして、暮らしが良くなると働くパフォーマンスも良くなる。そういう新しい働き方が、ワークプレイスに縛られないエクレクトだからこそ実現できています。もちろん、フルリモートはメリットもあればデメリットな側面もあります。前職では何か困りごとがあればすぐ隣にいる人にコソッと声がかけられたけど、今は事前にスケジュールを抑えたり、相手の返信待ちでオンラインに繋がないといけないハードルを感じています。リモートで働くことが慣れていない、憧れになっている人はそういった側面もあることを伝えたいです。その上で、拠点をまたいで交流を深めたり、カルチャーを醸成することについて一緒に考えたり、創っていく必要もあると感じています。

短期的には、広島への新たな投資として今取り組んでいる産学連携や、もっとユニコーン企業を増やしていくということを実現させ、広島の価値を高める仕事をしていくつもりです。
その延長線上に、より良い働き方でみんながハッピーになる環境をつくり、「こんないい会社があるんだ」とモデルケースになり、真似していこう!という企業が増えてくるという波及効果が出ると嬉しいですね。

もうひとつ、僕が上手くエクレクトで体現できればいいなと思っていることが「地元貢献・社会貢献をするなら公務員を目指そう!」というのがスタンダードな風潮であったのを「民間企業であってもそれは叶えられるんだ」というキャリアの選択肢を増やすことです。市民の声を拾いやすい行政ももちろん重要ですが、人員に限りがある。もし、エクレクトや僕の目指す社会の在り方・働き方に共感してくださる企業様がいらっしゃれば一緒に仕事をしたいですし、キャリアに悩んでいる方に「民間企業、しかもベンチャーであっても実現できるよ」というのをぜひ見ていただきたいなと思っています。そのために、背中を見せられるようにがんばらないといけないですね。(笑)

より良い社会づくりや、地域振興に携わってみたい方は行政を目指すことだけではなく、新たな選択肢として企業で体現していく。そんなエクレクティックな働き方、未来のあり方を一緒につくっていく仲間をもっともっと増やしていきたいです。今は広島からスタートし、今後は同じ思いを持ってくださる仲間が、いろんな地域で豊かな社会づくりをしていけたら。そうして、ゆくゆくは日本そのものを変えていきたい。壮大な理想ですが、賛同してくださる方とぜひお話してみたいです。

株式会社エクレクトでは一緒に働く仲間を募集しています
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