日本でできる最も効果的なチームビルディング活動

※この記事は11/30/2018に書かれたブログになります。

日本でできる最も効果的なチームビルディング
 太鼓を思いっきり叩いてチームワークを学ぶ！

ある金曜の夜、コーディングブートキャンプ「Code Chrysalis」のスタッフが東京の四ツ谷に集まり、チームビルディングのワークショップに向かった。会場は駅から歩いてすぐ、閑静な住宅街にある建物の地下にあった。チームビルディングをするという以外に何も知らされていなかった私たちにとって、今回のレッスンは驚くことばかりだった。

ありがたいことに、今回のレッスンは太鼓を全く叩いたことのない初心者にも対応してくれた。講師の津村和宏氏は、三宅太鼓と、ワークショップで私たちがこれから使う楽器に込められている豊かな文化や職人技について分かりやすく紹介してくれた。

そしてさっそくみんなで実践に取り組んだ。

津村和宏氏の父・津村明男氏とその家族は、2000年の噴火により三宅島からの避難を余儀なくされた際、三宅島のお祭りで叩いてきた太鼓を東京本土に持ってきた。それより約２０年前の1980年台初頭には、津村氏は世界的に有名な太鼓芸能集団「鼓童」に三宅太鼓の打ち方を伝播した。鼓童により三宅太鼓は、コンサートに来る人や世界中の太鼓奏者の中で人気になった。津村家は三宅島から居を移してから、この伝統を守り続け、その伝統芸能を広げるために、学びたい人達と分かち合う為に三宅太鼓を教える活動を始めた。

19世紀の初期頃から三宅島の祭りに根付いている三宅太鼓は「シンプルさ」と「強さ」を兼ね備える独特な芸能である。

［三宅太鼓は］とてもノリのいいグルーヴ感があります。そのグルーヴ感を支えるのが、素早くて、かつ強い打ち込みです。通常10年くらいは張り替える必要がないと言われる太鼓の皮も、早ければ、毎年張り替えなくてはならないほどの打ち込みなのです。(三宅太鼓ウェブサイトより）

「シンプルさ」とは、三宅太鼓のリズムは基本的には３つのリズムしかない故、初心者にも気軽に挑戦できること。津村一家は東京、地方、最近では海外の幅広い国籍・年齢の人々にレッスンを開講している。そして「強さ」とは、この太鼓をマスターするためには自身の限界を繰り返し乗り越えていく強い意志がなければならないということである。

このことと、近頃日本でも注目を浴びているシリコンバレー発の「成長マインドセット」というコンセプトがどのように結びつくのだろう？

そして、どうしてチームビルディング体験として三宅太鼓は優れているだろうか？

最近、話題になった記事が成長マインドセットについて以下のように語っている：

「成長マインドセット」がある人は、経験・自己投資・苦労を通じて興味・関心を育てることができると考えている。正しい『方法』や『道』が１つだけあるわけではなく、実行可能な選択肢がたくさんあり、同時に取り組むことも可能である。多様な興味・関心を同時に育てることができます。成長マインドセット理論では、１つの取り組みが上手くいった場合でも、ほかの興味・関心への探究が不可能にならないし制限もされない。また、困難にあったとき、それは『ルート変更』が必要だというわけではない。」

私たちは全く同感だ。

「実践躬行」が私たちの目指すところだ。だから試練を課すという意味で、Code Chrysalisの共同創業者の1人は内緒でスタッフ全員を三宅太鼓のグループワークショップに行くよう申し込んだ。

私たちは生徒に、Code Chrysalisの「ソフトウェアエンジニアリングブートキャンプ」での進行の速いペースについてきてもらうため、「快適でないことに慣れろ」と教えている。生徒が直面する最大のチャレンジは、たくさんの新情報を目の当たりにした時に好奇心をもって前向きさを持ち続けるという精神的な課題である。

素晴らしい太鼓指導者及び通訳者のおかげで、３時間ワークショップの最初の２時間で三宅太鼓の基本を習った。ワークショップの残りの時間では、チームで演奏する方法を練習しながら、より速いリズムを叩くことにも挑戦させられた。

それは非常に厳しかったが、楽しいものでもあった。それに、いまだかつてない団結力をもたらしてくれた。

これは予想外のことだったが、最も難しい役割は振りが大きい主役的「表」パートを叩くことではなく、ベースリズムの「裏」パートを刻み続けることだった。ベースリズムは同時進行で主役の太鼓を引き立たせようと、また一貫してずっと叩き続けなければならず、パッと見た印象よりもとても難しいタスクだと分かった。これは太鼓以外でも同様に適用できるメタファーである。

ワークショップが終わる頃には、Code Chrysalisのスタッフ10人が、3つの太鼓を周りながら、1つの団結したチームとして演奏できるようになっていた。おかげで、個人が不確実なことに直面したときにどのように反応するか、プレッシャーの中で１つのチームとしてどう対応するかを見て学ぶとても貴重で他では得られない経験になった。