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「命を救うインフラを、僕たちの手で」Biz人材が医療ドメインで挑戦する理由

我々話せるメディカルは、オンライン診療サービスにおける相談業務を展開する企業です。医療現場の課題に向き合い、より良い医療サービスの実現を目指しています。

今回は、CSO(チーフストラテジーオフィサー)の畝川(せがわ)さんに、現在に至るまでのキャリア、価値観、そして医療業界の未来についてインタビューをしました。

プロフィール

畝川 隆宏(せがわ たかひろ) 取締役CSO

一橋大学 商学部卒

新卒入社したレバレジーズ株式会社マーケティング部にて、新規事業の経営企画・toC/toBマーケティング責任者・SFA/MA(Salesforce/Pardot)管理者として新規事業の3桁成長に貢献。その後話せるメディカル株式会社を共同創業、取締役Chief Strategy Officerとして戦略・経営企画・マーケティング業務を管掌。

Q.これまでのキャリアについて教えてください。高校生の頃からの夢や目標はありましたか?


実は、兵庫県の神戸市で育って、とにかく外に出たくて、海外で働くことを目標に勉強していたんですよ。商社に入れたらいいなと思って一橋大学を選んだんです。でも、入学してみたらインターナショナルなバックグラウンドを持つ日本人や留学生がたくさんいて。

私もスイスでの留学とタイでのインターンを半年ずつ経験して、むしろ日本人として日本の社会に貢献していきたいと考えが変わったんですね。

学生時代は、エクスチュアというデータ系のデジタルマーケティングのコンサルティング会社でインターンをしていました。完全に未経験でしたし、センスはあまりなかったと思いますが、ほぼフルタイムのような形でSQLを使ったビッグデータの整形やTableauでの可視化など、実践的な経験を積ませていただきました。

研究も結構真面目にしていて、面白かったのは、デジタルマーケティングとテレビCMを組み合わせた効果検証の研究で、同期と一緒に論文コンペで優勝できたことです。


Q.なぜマーケティングの道を選ばれたのでしょうか?


これは結構、偶然が大きかったんです(笑)。2016年、17年頃って、みんながマーケティングという言葉を使い始めていて、これから来るんだろうなって大きな流れを感じていました。それに、私自身がデータや数値といった定量的な情報と、定性的な情報を組み合わせて考えるのが昔から好きで。それが一番活かせる領域がマーケティングだと思ったんですよね。

新卒で入社したレバレジーズは、本当に「何もできない人間に全部のチャンスをくれた」会社でした。入社3ヶ月目には海外事業部のマーケティングと経営企画の責任者を任せてもらって。コロナ禍の大変な状況から、コロナ明けにかけて三桁成長まで持っていけたのは、会社が大きな裁量を与えてくれて、色々な人の助けがあったからこそですね。


Q.話せるメディカルの共同創業を決意された理由を教えてください。


(写真左:畝川)

実は、私には切実な原体験があるんです。中学の恩師も、母方の祖父も病院嫌いで、がんの発見が遅れて亡くなっています。父方の祖父も、昔の医療ミスでC型肝炎になり、最後は肝臓がんで亡くなってしまいました。

お医者さんをはじめとした医療従事者の一人ひとりが一生懸命頑張っているのは小さい頃から目の当たりにしてきました。しかし、一般の人々が医療情報にアクセスできていないために、大切な人たちを亡くすことになってしまう。この現実を変えたいという思いが強くありましたね。

医療という領域は、調べれば調べるほど難易度が高いと感じていて、なかなか一歩を踏み出せずにいました。でも、創業の話をいただいた時、これは絶対にやらせていただきたいと思いましたね。


Q.医療分野でのマーケティングについて、従来のマーケティングとの違いを感じることはありますか?


全然違いますね。医療、特に保険診療の場合は、病院に行くという意思決定がほぼ症状によって強制されるわけです。費用も患者負担が3割、国が7割という構造があって。普通のマーケティングの発想が通用しないんですよ。

医療従事者の方々は、売上の最大化よりも、患者のためになっているか、医療として許されるのかという部分に強いプロフェッショナルとしての思い入れを持っています。「問題解決できます、儲かりますよ」というような通常のマーケティングは全く通用しません。

ただ、面白いのは、全員が「人々の健康な暮らしやQOLの向上」という共通の目標を持っているということ。この理解に至るまでに3ヶ月から半年くらいかかりましたけどね(笑)。

Q.チームの成長についても印象的な変化があったそうですね。

そうなんです。創業当初から、メンバーはすごく豪華でした。医療従事者もいれば、ビジネスサイドで優秀な人もいて、両方できる人もいる。エンジニアも強くて、プロダクトをしっかり作れる人材が揃っていました。ただ、医療で私たちが何の問題解決をするのかという点での解像度は、最初はメンバーによってばらばらでしたね。

でも創業から1年余りを経て、いろいろな事業の試行錯誤やピボットを経験する中で、医療に関する見方が徐々に揃ってきました。この2、3ヶ月は、プロダクトのブラッシュアップの速度や戦略の浸透具合がものすごく速くなってきていて、これからの成長が楽しみです。

Q.CSOとしての役割について、どのようにお考えですか?

「チーフストラテジーオフィサー」って仰々しい名前だなと思っていて(笑)。自分にプレッシャーをかける意味で、あえてこの役職を選んだんです。役割は大きく二つあって、一つは他のメンバーが緊急の課題に必死に対応している時に、一歩引いて「この会社が3年後、5年後で世の中を変えていくために何が必要なんだっけ?」って考えること。

もう一つは、各プロセスの網羅性や費用対効果の高い施策を選んでいるかの担保ですね。医療業界って登場人物がすごく多いので、一つのマーケティング施策でも、誰にどう伝えていくのかが複雑になるんです。今できるやりやすいこと・緊急度の高いことだけではなく、本当にやるべきことは何なのかを考えるのがCSOの仕事だと思っていますね。

Q.具体的にどんな取り組みをされているんですか?

(畝川が戦略を担当する、医療サービス利用者向けのLINE窓口サービス「話せるメディカル」

今、相談サービスを世の中に広げていく仕事をしているんですが、面白いのは、ボトムアップの積み上げ方式じゃないことです。例えば「3年後に市場の10%を取る」という目標を立てると、これまでの考え方がころっと変わるわけですよ。毎月10件とかの目標達成の話じゃなくて、何万というクリニックや患者さんに使ってもらうサービスにするためには、私たちがインフラにならないといけない。

そうなると、医師会や業界団体、製薬会社、医療卸など、様々なステークホルダーとどう組むか、という大きな視点での戦略が必要になってきます。医師会での事例作りや実証実験の計画と、月次のリスティング広告の数値達成を並行して考えていく。これが今の私のメインミッションですね。

Q.ママさん薬剤師の活躍について、特徴的な取り組みがあると伺いました。

ここは本当に大事なポイントなんです。私たちは、薬剤師としてのプロフェッショナリズムを活かしながら、隙間時間で働ける新しい価値観を提供しています。

でも、「好きに働ける」ということだけが先行すると、薬剤師という仕事のレベルが低く見られかねない。だから、プロフェッショナルな仕事という意味で、この水準は絶対に下げてはいけないという基準をしっかり設けているんです。

「話せるメディカルで働くママさん薬剤師は、レベルが高い」と思っていただけることと、充実して働けることの両方を実現する。この二つをバランスよく実現することが、事業としても、薬剤師という職業の価値を高める意味でも重要だと考えていますね。

Q.最後に、これからキャリアを築いていく方々へのメッセージをお願いします。

三つのポイントをお伝えしたいと思います。まず、人に話せるような仕事をすること。もう少し具体でいうと、誰かの何かを解決している仕事を選ぶこと。これが明確な仕事の方が、モチベーションも保てるし、周りからの支援も得やすいんです。

次に、量と質の両方を追求できる環境で働くこと。プロフェッショナルな仕事をゆっくりやるだけでは個の成長は遅くなるし、質を考えずに量をこなすだけでも成長は難しい。私の場合は事業会社がちょうどよかったですね。

最後に、人のために働くという視点を持つこと。自分のために働こうと考えたこともありましたが、誰かのために働くことが、仕事を続けていく原動力になるんです。

私自身、まだまだ勉強中の身なので、これらの価値観を共有できる方々と一緒に成長していけたらいいなと思っています。医療という難しい領域に挑戦する中で、共に世の中を変えていける仲間との出会いを楽しみにしています。

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