代表インタビュー:「患者と医療従事者の距離をなくす」薬剤師・MR出身起業家の挑戦 | 話せるメディカル株式会社
今回は、話せるメディカル株式会社の代表取締役、木下将吾さんにインタビューを行いました。同社は、医療従事者と一般の人々が抱える距離感を解消することをミッションに掲げています。木下さんは、製薬会社や...
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我々話せるメディカルは、オンライン診療サービスにおける相談業務を展開する企業です。医療現場の課題に向き合い、より良い医療サービスの実現を目指しています。
今回は、COOの久保内さんに、幼少期から現在に至るまでのキャリア、価値観、そして医療業界の未来についてインタビューをしました。
久保内 駿介 取締役COO
神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学薬学部を卒業。薬剤師の資格を取得後、ネオキャリア株式会社に入社し、医療系新規事業の開発に携わる。その後、Neautech、Linc’wellを経て話せるメディカルのCOOに就任。
横浜出身で、慶應義塾に長年お世話になっていました。父の出身校でもあり、普通部(中学校)からは行った方がいいという考えで早い時期から受験させてもらえました。
そのため、幼少期から横浜と都内を行ったり来たりする生活でしたね。
当時、慶應義塾を選んだ理由は父の出身校だったからというだけでした。今振り返ると我ながらいい選択をしたなと思います。
(薬剤師資格を保有する久保内。実際に弊社が運営するはなせる薬局に立つことも)
父が医者で母が看護師という、完全な医療系の家庭で育ちました。医療業界に興味を持ったのは自然な流れでしたね。
薬学部を選んだのは二つ理由があって。一つは、外部進学ではなく慶應の中に留まりたかったんです。すごく優秀で面白い、エキセントリックな友達がたくさんいて、この環境での刺激を大切にしたかった。
もう一つは、医療全体を見渡したいという思いがあったんです。治療全体の約7割は医薬品による治療なんです。薬をマスターすることで、医療全体をより広く見渡せるんじゃないかと考えていました。
家が日吉キャンパスの近くだったので、友達と遊びがてら経済学部や文学部の授業に潜り込んでいましたね。社会勉強系のサークルから、「SDGs関連のイベントで人足りないから聞くだけでもいいから来てよ」と声をかけられて参加したり。
そういう横のつながりが自然と視野を広げてくれました。医療業界以外にも、社会ってこんなことが起きているんだなとか。これは単科大学ではなかなか得られない経験だったと思いますね。
5年生の時の実務実習が大きな転機でしたね。元々は大学病院で薬剤師として専門性を磨きたいと思っていたんです。でも実習中に医療制度の課題に直面して。
若手の薬剤師から「薬剤師ってそんなものだから」って言われた時に、すごく違和感を覚えたんです。一人の薬剤師として年間で関われる患者さんって、延べ人数で一万人程度なんですよ。長い薬剤師生活を送っても、数十万人にしか関われない。
それじゃあこの社会は何も変わらないんじゃないか。この制度的な問題、もっと違うアプローチがあるんじゃないかって考えるようになりました。
実は最初は食品メーカーの研究職の内定をいただいていたんです。とてもいい会社だったんですが、6月1日に内定承諾を求められた時に、本当に自分がしたいのは食品の研究だったのかって考えたんです。
自分が分からないのはビジネスやITの世界なのに、研究所で8年間過ごすのはどうなんだろうって。もっと違う道があるんじゃないかと思いました。
そこから就活をやり直して、ネオキャリアの子会社であるネオラボの社長に出会ったんです。その方がすごく面白くて。一緒に医療系の新規事業をやろうって声をかけていただいたんです。
その方と一緒にできるなら、ベンチャーでの挑戦が自分のキャリアにとって面白いかもしれないと思ったんですよね。
医療サービス利用者むけの相談サービスの全体監修と、「はなせる薬局」の監督が主な役割です。オンライン診療を利用される患者さんからの相談対応や、健康に関する質問への回答サービスを統括しています。
単純なコールセンター業務とは全然違うんです。患者さんの日々感じる健康に関する相談や、薬に関する相談を拾い上げて、クリニックの先生やCSメンバーの代わりに回答していく。そこには高い専門性が求められます。
数字やファクトに基づいた判断力は確実に向上しましたね。また、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、自分の行動が会社の成長に直結するという実感も強く持てるようになりました。
そしてその逆に、定性的なものを扱う感度も上がっていると思います。
健康という繊細な領域を扱うので、どこまで寄り添い、どこまで踏み込むべきか。この塩梅が非常に難しいんです。例えば、相談って定性的なものじゃないですか。これを定量的に判断して、オペレーションに落とし込むのが大きな課題です。
個々人の感覚で判断するのではなく、ちゃんとした形にしていく。でも、その一方で相談者一人一人に適切に寄り添っていく。このバランスを取りながら、標準化されたサービスを作り上げることに日々苦心していますね。
(左:代表木下・右:久保内)
代表の木下との出会いですね。実は共通の知人からの紹介でした。同じ薬剤師免許を持っていて変な人をもう一人見つけたのでつなげますって、そんな何気ない紹介だったんですよ。
最初は共同創業なんて全然考えてなくて、同じようなビジネスをやっている薬剤師として話をしていただけでした。でも話をしていくうちに、医療をもっとアップデートしていかなければいけない、社会にとってこうあるべきだという思いが、すごく一致していったんです。
木下さんから一緒に起業しませんかと声をかけていただいた時は純粋に嬉しかったですね。医療を変えたいという思いを一緒にやろうって受け取ってくれた。これは大きかったです。
一緒にやるなら、この人となら方向性がぶれないだろうなって。医療って間違えると簡単に金儲けに走れてしまう。でも、そうじゃなくて、ちゃんとあるべき姿に向かって走ろうという思いがある人だから、一緒にやりたいと思ったんです。
代表木下のインタビューはこちら
今年、子供が生まれたこともあって、より具体的な未来像を思い描くようになりましたね。子供たちが大きくなった時に、どんな医療であってほしいか。
医療相談って、日本の制度上、なかなかインセンティブが働きにくい領域なんです。相談をしなければならないという動機づけが生まれにくい。
でも、原理原則として考えると、相談できる環境は絶対に必要なんです。すべての人が自分の体のことを見つめ直す時間を持てる社会。そんな未来に向けて、この会社を通じて問いかけを続けていきたいですね。