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加熱する「BNPL市場」の未来と、クラウドローンの戦略


ローンを借りたいユーザーと、ローンを貸したい金融機関を繋げるプラットフォーム「クラウドローン」を提供している村田です。
2021年9月7日に、Paypalが約3,000億円で後払い決済サービスを運営するPaidyの買収を発表したことを受け、考えていることを書きたいと思います。


米決済ペイパル、後払い新興のペイディを買収 3000億円
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN081920Y1A900C2000000/


米決済ペイパル、後払い新興のペイディを買収 3000億円【ニューヨーク=宮本岳則】米決済大手ペイパル・ホールディングスは7日、日本で後払いサービスを手がけるペイディ(東京・港)をwww.nikkei.com

投資家、フィンテック業界の方、スタートアップ業界の方など、買収額のインパクトの大きさやBNPLという比較的耳馴染みの無いキーワードを含めて、今回のディールに注目されている方々も多いかと思います。

本noteでは、ローンを借りたい個人と、ローンを貸したい金融機関をつなぐ「クラウドローン」というサービスを展開しながら、住信SBIネット銀行にて深く金融融資の領域に浸ってきた約7年間の経験から、昨今のBNPL市場の高まりから感じていること、及び中長期で考えている戦略についてお伝えしていきたいと考えています。

「クラウドローン」は、ユーザーがクラウドローンに、借りたいローンの内容(15の質問に答えていただきます)を登録するだけで、提携金融機関から借りられる可能性が高いオファーが届くという日本初のサービスを提供しています。

ユーザー視点で見ると、自分にあった金融機関のローンが、最も少ない工数で選べるようになるという利便性があります。

2020年1月のリリースから約20カ月で、個人から3万件・総額約350億円の融資の申込みを受けています。現在、北は北海道銀行や南は西日本シティ銀行など全国の19の金融機関と提携し、ユーザーからの申込を連携させていただいておりますが、年内には30行程度まで提携を拡げていく予定です。


まずはBNPLの概況についてお伝えした後、「クラウドローン」が考えているレンディングの未来とBNPL市場の重なりについて説明したいと思います。

目次

  1. 1.急激に成長を遂げているBNPLのプレイヤーと後発ChargeAfterの独自性について
  2. 2.オリコとの提携で、ChargeAfterを追いかけるクラウドローンの動き
  3. 3.BNPLの未来を、クラウドローンで実現

1.急激に成長を遂げているBNPLのプレイヤーと後発ChargeAfterの独自性について

欧米先進国を中心にBNPL(Buy Now Pay Later)という後払い式の決済手段が拡大しています。
ユーザーは、20~30歳代のミレ二アル世代が中心となっており、オンラインで購入できる10~20万円程度の「比較的高価な商品」を、「クレジットカードの代替」として利用されるケ ースが拡大しています。

クレジットカードとは違い、金利や年会手数料が不要であることが利用の底上げの一因となっています。
2021年に入ってからも、アメリカのAffirmが時価2.5兆円で上場したり、Squareがオー ストラリアのAfter Payを3.2兆円で買収するなど、業界の動きは激しい状況で、今回のPaypalによるPaidyの買収も、Squareの動きに追従するような一連の流れの中で必然性の高いディールだったと言えるでしょう。

と、この辺までは、すでにさまざまなメディアでも取り上げている、表面的な内容ですが、すでにBNPL市場の未来を切り開くような企業が出現してきています。それは、同じくBNPL市場で独自のスキームでサービスを提供しているイスラエル発の企業、ChargeAfterです。


従来のBNPLは単一の支払いプランで実現させていますが、ChargeAfterは”あと払い”を選択すると決済を行う数秒のタイミングで、貸し手となる金融機関を繋げている点にその独自性があります。


■数秒で完了する承認プロセス
ユーザーが商品を購入する際、ChargeAfter上で後払いを選択すると、リアルタイムに複数の金融機関に対して融資の申込みを行えます。数秒という短い時間で融資先を見つけることができます。

■85%の成約率の秘密
融資申請後は即時に貸し手と照合され、否決の場合には、第二候補に回されされます。それでも拒否となった場合に、最後はサブプライムの貸し手と共有され、承認を受けることができます。結果的に85%という高い成約率を保有しています。

すでにShopifyなどにも導入されていますが、小売業者とっても単一の金融機関が与信審査を行う従来のスキームより、与信審査の成功率が高くなるため、売上及び売上単価向上へ貢献しています。
日本でも仮に即座に融資可否の判定が銀行側で行われれば、商品の購入と同時並行して銀行ローンの申込ができることとなり、同じ世界が実現できると考えています。

2.オリコとの提携で、ChargeAfterを追いかけるクラウドローンの動き

クラウドローンでは、日本の銀行融資審査プロセスを活用する形で、この日本版ChargeAfterの仕組みの展開を進めています。

国内大手の金融機関保証会社であるオリエントコーポレーション(以下オリコ)と提携して、事前審査モデルをまもなく展開する予定です。

通常 、銀行ローンの審査はオリコのような保証会社が対応しています。保証会社が融資審査において応諾をすると、銀行による個別の謝絶事由がない限り、100%に近い確率で融資実行が行われます。
クラウドローンでは、上記の当社独自のストラクチャーを活かして、従来は、①銀行が申込を受付けた上で②保証会社へ審査の依頼を行うといった流れを入れ替え、①先に保証会社によって、提携先銀行に代わって審査を一括で行い ②銀行が正式な申込を受付けた後、本審査(但し、この段階では既に保証会社の審査済なので、銀行側での個別の謝絶事由がない限り審査に落ちることはありません。)をします。


ユーザーは、事前の保証審査後は、ほぼ確実に「借りられる銀行ローン」の中から、自身にとって最適なローンを比較し利用できるようになります。
保証会社による希望額で融資可否の審査スピードは、銀行が審査にかかる期間(一般的には3~5営業日)より圧倒的に早く、最短3時間(今後は数分レベルで展開)で回答が得られるため、ChargeAfterのような仕組みがクラウドローンで展開できます。


クラウドローン、オリコと提携 個人を保証審査
日経の記事利用サービスについて 企業での記事共有や会議資料への転載・複製、注文印刷などをご希望の方は、リンク先をご覧ください。 詳しくはこちら 個人と金融機関の間で自動車ローンなどを仲介する クラウドローン ...
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC309H20Q1A630C2000000/


クラウドローン、オリコと提携 個人を保証審査個人と金融機関の間で自動車ローンなどを仲介するクラウドローン(東京・新宿)は銀行の保証審査を手掛けるオリエントコーポレーシwww.nikkei.com

3.BNPLの未来を、クラウドローンで実現

車の購入では「どの車種にするか」、リフォームでも「どのような改築を行うか」など、対価を支払った後に、どのようなベネフィットを得られるかという検討に消費者は時間を割きます。

ところが、どこからお金を借りるか、分割支払いのプランをどうするか、などの支払い方法については、消費者の関心が高まるタイミングは一瞬でしかないことが多いことが実情です。

例えば、車販売の接客プロセスの中では、販売員は比較的金利の高い信販系ディーラーローンを提案し、(低金利で借りられる銀行ローンを選ばせることなく)クロージングするケースが殆どです。
結果として、知らず知らずのうちに高い金利で借りてしまっているなど、損をしている消費者が多くなっている状況があります。

現在、クラウドローンもChargeAfterのように、数分で融資審査の可否回答ができるスキームを準備しています。それが実現すればオフラインの場でも、販売者がクラウドローンを使って商談することができるようになり、消費者側も、販売者側の提案に左右されることもなく、複数の金融機関から自分にあったローンを、消費者自身で選択できるようになります。

例えばですが、リフォーム業者からリフォームの提案を受けている間に、手元の現金では必要な資金が足りない際 、クラウドローンに必要情報を登録することで速やかに事前審査の結果が得られ、ローンで借りられる上限金額や金利をその場で確認できるようになるため、リフォーム業者は商談がスムーズに進められるようになると同時に、消費者も複数の金融機関の中から最適な選択肢を選ぶことが可能になります。


結果として、販売者側にも購入率及び購入単価を上げられるというメリットがあるため、直接販売者がクラウドローンを案内する仕組みを展開することができるようになります。

BNPL市場におけるクラウドローンのポジショニングは、Paidyなどの既存BNPLやクレジットカードとは異なり、100万円以上~1,000万円程度の高額の商品帯で利用されるサービスという位置づけです。


車やリフォームは代表的な使い方ですが、歯科矯正やインプラントの自由診療、資格学校・ビジネススクールに通うための100万~200万円が必要な費用にも、クラウドローンで対応することができます。

当社では、この高額帯の商品購入におけるBNPL市場、別の見方をすると与信のプリアプル―バル(事前承認)とも言える領域で、シェアNo1を獲得していきたいと考えております。そのためにも、これからも提携先金融機関の協力をいただきながら、多くのステークホルダーの皆さまとともに全力でチャレンジしてきたいと思います。

与信のプリアプルーバル(事前承認)については、当社の株主ジェネシア・ベンチャーズの田島さんが記事を纏めてくれているので、良かったら是非読んでみてください。


あらゆる与信はpre-approval(事前承認)となってインターネットに溶け込んでいく|田島 聡一|note
ジェネシア・ベンチャーズは、まだプロダクトがない、トラクションがないシードステージのスタートアップに対する投資にフォーカスしているベンチャーキャピタルですが、有望な事業機会を見つける上で、また事業の有望性を推し量る上で、"世の中が向かう大きな変化の方向性を見極めること" ...
https://note.com/soichi_tajima/n/n5350e53b96b3
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