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今後、データサイエンティストに求められること(後編)

「前編」では、広く技術的な話をしましたが、「後編」は細かな仕事の変化と共に、今後、データサイエンティストに求められる要件について、引き続き中島氏が語ります。

●データサイエンティストの仕事の変化

昔は、古典的な統計学を用いるような領域の仕事が多かったです(現在もデータ分析のアプローチのひとつとして実存)。プログラムを書くに際して、まさに職人が手探りでデータ処理をしていた時代です。それがITの進歩と共に、ライブラリー機能の他、開発周りの環境がいろいろと整備され、入門的な部分で言えば、かなり敷居は低くなりました。

事実、当社のお客様でも自分でコードを書ける人が増えています。その結果、我々の専門性が昔と比べ、若干低下している部分が否めません。専門性を盾とした職人的なアプローチだけでは難しくなっているということが、データサイエンスの仕事の変化として起きています。

昔で言えば、簡単な仕事から難しい仕事まで、ちょっとしたことも我々が対応していました。現在は簡単な仕事の部分は、お客様サイドで出来るようになりました。これは当社だけでなく一般的に言えることです。もちろん、システム開発など複雑なコードを書く部分は残りますが、データに関して言うと、かなり整備されてきたので、そういう危機感は最近、強く意識します。

また、プログラムが簡単になったことと同時に、プログラム以外にもいろいろなツールが出てきました。お客様から見ると、分析がしやすい環境となってきたのです。今までツールがなく、我々がいろいろとやってきたことがツールに取って代わると、価格面では勝てません。ただし、それは「汎用的」な分析です。何より仕事の内容は、どんどんと最先端化してきているわけで、先ほど言った「トランスフォーマー」みたいな部分の技術は、まだまだ簡単に使えるような環境ではありません。ここに付加価値を見出す必要があります。

●リモート勤務への対応

その他、仕事の変化と言えば、当社の場合、コロナ禍が終わってもオンラインで仕事が進める環境になっており、引き続きこの形を維持していきます。一方、お客様側ではコロナ禍が終了し、皆が出社するような状況になっているケースが見られます。この辺の対応は、ケースバイケースと言えます。

また、データサイエンティストの応募を見ると、リモート勤務を希望する人が増えています。総じてエンジニアの場合、リモート勤務を心地よいと感じる(希望する)人が多くなっています。自分自身がそうですが、出社するための1時間がもったいないと感じる人が多い。その1時間でどれだけ仕事ができるのかを考えてしまうのです。そのため、リモート勤務を実現している企業の方が、採用の幅が広くなっています。

そして近年、大学でデータサイエンス学科が誕生してきています。2~3年くらい前には第一期生が卒業し、採用市場に出回りました。そうした人たちは大学で学んでいるだけあって、我々がどのような仕事をするのかを、よく分かっています。新卒で言うと、間違いなく応募者のレベルが上がっています。

昔だと、会社に入って一から教えていくのが当然でした。その点で、レベルが高くなった今はやりやすくなっています。とはいえ当社は、新人研修はしっかりと行っています。これは自信をもって言えます。実際、新卒入社者を見て感じるのは、入社時は理系の方がレベルは高いのですが、3年後を見ると、理系のアドバンテージはなくなっています。



●データサイエンティストに求められること

技術を良くしたい、データのことを詳しく知りたい、事業を発展させていきたい、お客様との関係を良くしたいなど、ポジティブで前向きな意識を持ち、行動を起こせないと、これからのデータサイエンティストは成長しないし、会社も伸びていきません。だからこそ、企業は、働く人のモチベーションを挙げることをしなくてはなりません。

企業側も基本的なところ、ちょっとした「機械学習」については手を付けています。また中身も、ある程度理解されている人が増えています。そうした企業のレベル感に対して、我々が提供できる価値を、もう一段階上げなくてはなりません。

そのためのレベルアップのさせ方というのは、一つは「トランスフォーマー」みたいな複雑なアルゴリズムに対して、最新のアルゴリズムを使うこと。もう一つは、最近で言うと「デブオプス」(開発・運用の組み合わせ)みたいな話です。「機械学習」のアルゴリズムは簡単に組めます。しかし、それは使っていくと劣化していくので、そこも自動化する。そういう仕組みが最近話題となっています。

つまり、アルゴリズムの面でのサイエンスとしてのレベルアップ。そして、ITとしてもレベルアップしていけば、何かしらの価値が得られると思っています。そうしたところの取り組み、そうした技術に関心を持って勉強していくことが大切です。また、最近はアプリも簡単にノーコード、ローコードみたいな話があり、企業側も簡単に作れるようになっているので、そういった方面でのもう一段階のレベルアップが求められてくると思います。

現在、多くの企業でデータサイエンス部やDX部を設置したりして、データサイエンスの活用を進める動きが活発化しています。私が就職を考えていた時は正直、当社のようなところしか就職するほかありませんでした。ところが今は、事業会社のDS部に就職するというのが、一つの手段となっています。自分はそこで何をしたいのかを、明確に早い段階から自問自答して、入社を決める際、また入社した後も、そのことをしっかりと考えていく。そうした視点が、これからのデータサイエンティストに必要となってきます。

ただし、全てがデータサイエンスによって解決するわけではありません。最後は、人間による判断が大切になることが多いです。そうしたトータルの部分も含めて、日々、技術的な面でのマネジメントや人材活用を進めていく姿勢が、データサイエンスを活用していく企業には求められています。

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