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「背中を見て学べ」じゃダメ! ―職人肌から、MVV言語化へ

ビーモーションの「ミッション・ビジョン・バリュー」策定までの道程を伊藤社長にインタビュー

1.ビーモーションのミッションをつくりあげるまでのプロセスについて教えてください。

伊藤社長:ミッションの策定が本格的に始まったのは、2018年の創業者インタビューがきっかけでした。私は当時、まだ現場のマネージャーの立場にあり、初期の段階には関わっていませんでしたが、役員たちによる議論が複数回行われ、そこから徐々に組織全体での取り組みが進んでいきました。

その中でも特に印象深いのが、全国の現場のマネージャーが集まった会議です。ここでは、創業者の理念と役員たちが描く未来像を共有し、それに基づいて現場のマネージャーがどのように企業としての方向性に貢献できるかを深く話し合いました。このプロセスを経て、多様な視点が取り入れられ、役員による最終的な検討会でミッションが正式に決定されました。

重要だったのは、組織全体が共通認識を持って、それに向かって一丸となることです。創業者や役員が持つ未来像を現場のメンバーがしっかり理解し、そこに自身の経験や視点を加えていくことで、全員が納得できる形でのミッションが形成されました。このような幅広い意見の集約があったからこそ、強固な土台ができたと感じています。

2.ビーモーションのビジョンはどのような背景や考え方で生まれたのでしょうか?

伊藤社長:ビジョンは、企業としての存在意義を明確にし、未来に向けた道筋を示すものとして作られました。何より意識したのは、「常にプロフェッショナルである」という意識です。この理念の根底には、私たちは単に商品やサービスを売るだけの存在ではなく、お客様にとって信頼できるパートナーでありたいと考えています。そのためには、成果を出すことはもちろん、常に変化し続ける姿勢が求められます。時代や市場のニーズに合わせて、自らを進化させることを恐れずに挑戦し続けることが、ビジョンの根本にある考え方です。

このビジョンは、何度も議論を重ねて少しずつ形になったものです。「売る・変化する」という考え方を基に、常に新しい価値を提供し続けることを目指しています。私たちにとって、ただ売るだけでなく、変化を恐れずに挑戦し続けることが大事です。このビジョンは単なるキャッチフレーズではなく、実際に行動に移すべき指針として機能しています。

3.バリューの策定で、特に意識したことや重要視したポイントを教えてください。

伊藤社長:バリューを決めるにあたって、最も意識したのは、創業者の想いを現代の組織文化にどう反映させるかという点でした。創業者が掲げた価値観は、シンプルでありながら非常に奥深いものでした。それをただの理念として掲げるのではなく、具体的な行動や日々の判断基準として、どう社員ひとりひとりに浸透させるかが大きな課題でした。創業当時の価値観を尊重しつつも、今のビジネス環境に適応させるためには、単なるスローガンではなく、社員ひとりひとりが自分の業務に取り入れ、実践できるものにする必要がありました。

そのため、バリューは各メンバーが自分の役割や仕事に応じてどう解釈し、行動に移せるかが重要でした。一つの共通した基準を持ちながらも、それを個々人が自分なりに定義し、実際の行動に落とし込むことが、組織全体の強みを生み出すと考えています。


4.ミッション・ビジョン・バリューを決める過程で、特に難しかったことや印象に残っていることを教えてください。

伊藤社長:一番苦労したのは、やはり「言語化」することでした。私たち全員が同じ方向を向いていることは分かっていたのですが、職人気質の社員が多くて、抽象的な理念を言葉で説明することに対して、少し抵抗感がありました。「背中を見て学べ」という文化が強かったので、理念を具体的な言葉に落とし込む作業には時間がかかりました。社員の意見をまとめつつ、創業者の考えや役員たちのビジョンを基にした指針を全員で共有する必要がありました。

特に印象に残っているのは、ビジョンの議論の中で「お客様のためのビジョンを優先しよう」という意見が多かったときのことです。しかし、現場のマネージャーの集まりで「社員やアルバイトスタッフに対しても同じようにビジョンを示すべきではないか」という意見が出ました。この議論を通じて、私たちのビジョンやバリューが社外向けだけでなく、組織全体にも一貫して伝わる必要があることを再認識しました。これが非常に印象深い瞬間でした。

5.ミッション・ビジョン・バリューが、実際の業務や社員の働き方にどう反映されているか、具体的な例を教えていただけますか?

伊藤社長:私たちのミッション・ビジョン・バリューは、社内で「共通言語」としてしっかり根付いています。これがあることで、全員が同じ方向に向かって進んでいると日々実感できます。言うなれば、大きな船に乗っている私たちにとって、ミッション・ビジョンは船の羅針盤のような存在です。羅針盤があるおかげで、みんなが同じ方向に向かって舵を切り、一体感が自然と生まれています。

たとえば、何か迷う場面に直面した時も、ミッション・ビジョンを基準にして判断することができるようになっています。これは大きな強みですね。各部門やチームがその指針をもとに物事を考えるようになり、業務の中での意思決定がスムーズになったり、精度が高まったりしていると感じています。

具体的な例を挙げると、新しいプロジェクトを始める時、チームのメンバーがそれぞれの役割をはっきりと理解し、ビジョンを指針にしながら進めていくことで、プロジェクト全体がブレることなく前に進むことができています。ミッション・ビジョン・バリューが社員ひとりひとりの働き方にしっかりと根付き、日々の行動にも反映されています。


※2024年11月時点の記事です

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