今回、ワークサイド第四回目のストーリーに登場してもらうのは、ワークサイドの第三号社員として入社し、従業員の入社体験を向上させるオンボーディングプラットフォーム「Onn(オン)」のエンジニアの市澤です。コンサルタントという華やかなイメージがある業界を目指していた市澤が、なぜ目の前の顧客に泥臭く向かい合うワークサイドに惹かれたのか、そしてそのプロダクトを開発するエンジニアとしての面白みについて聞きました。今はまだ世の中にない「文化をつくるプロダクト」を創り上げようとする市澤の熱い想いをお届けします。
コンサル就活に挫折した学生時代
ーーこれまでのキャリアについて教えてください。
新卒で株式会社WESEEKに入社し、その後ワークサイドに転職しました。新卒採用の年次で言うと2020卒で、社会人歴は1年半くらいです。
ーー学生時代はどのように過ごしていましたか?
高校が付属校だったので大学受験をすることなく早稲田大学に入学しました。進学のときに何をしたいかが決まっていなかったので幅広く学べる社会科学部を選びました。
学生生活の前半は学生団体に入ってビジネスコンテストの運営をやっていました。世間を知らなかった自分にとっては視野を広げるとてもいい機会で2年くらい続けていましたが、ビジコンのブームが年々下火になり、運営が続けられなくなったことで終了します。
その後は決して立派な学生生活ではなく、塾講師のアルバイトをしながら漫然と過ごしていた感じです。
ーー就活はどのようにしていましたか?
当時ビジコンで経験を積んでいたので「自分はけっこう考えられる」「優秀なほうだ」と思っていました。優秀な自分に相応しい、カッコいいキャリアとしてコンサルがいいのではないかと考え、サマーインターンに応募しました。
しかし現実は厳しく、8社くらい受けたものの全て不合格。これは自分にとって非常に大きな挫折経験でした。
今でも記憶に残っているのですが、面接では「携帯電話のキャリアが新規事業で売上を伸ばす方法を考えてください」という課題が出ました。しかしいざ自分の頭で考えて答えを出せと言われた瞬間、どう考えていいのか、何を考えていいのかわからなくなり、頭が真っ白になってしまったんです。
結局「もっと宣伝する」とか「CMを打つ」とかありきたりな答えしか出せず…。プレゼンには15分与えられましたが、開始1分で「もう何も考えられません」と言うしかありませんでした。
面接が終わった後のことはもう覚えていません。フィードバックももらいましたが、頭に残っていないんです。自信が打ち砕かれ、何も考えられない状況でした。
エンジニアリングとの出会い
ーーけっこうダメージを受けたと思いますが、そこからどうしましたか?
求人に「ITコンサルタント」と書いてあったことからプログラミング体験系のインターンに参加しました。「コンサル」と名の付くものにはとりあえず参加しようと思っていたので…。
BIツールを使って分析したり、アウトプットを出してみたりする内容でしたが、これがとても新鮮でした。「考える仕事」への固執が自分の可能性を狭めていたかもしれないと思うようになり、いろいろやってみようと考えて手を出したのがプログラミングです。実際にやってみると自分が形になるものをつくれたことがおもしろくて、少しずつのめり込んでいきました。コンサル以外の道もあるかもしれないと思えるようになったんです。
ーーそこからのキャリアは?
参加したインターンは3日間でSlackのbotをつくるような内容だったのですが、たった3日では限られたことしか学べず、また採用目的のインターンではお客様感もあって業務のコアな部分に携わる経験ができませんでした。
企業の現場ではどんなことが行われているのかに関心を持つようになり、それならお金をもらって責任を負う立場でやってみようと思いました。その時に長期インターンで入社したのが前職のWESEEKです。
がんばるよりも、夢中に
ーー長期インターンではどんなことがありましたか?
短期のインターンと明らかに違うのは、実務に携われるということ。モノづくりをかじって少し自信が持てるようになっていましたが、それが業務で使えるかどうかを確かめる機会になりました。
しかし結果は厳しいもので、入社して半年くらいは全然できませんでした。やがて海外の学生が同じインターンに参加してきたのですが、彼はめちゃくちゃできる人。同じ大学生なのに考え方も違うし、実際にコードを書いても自分より遥かに優秀。プログラミングは子どものときからやっていて、最近始めた自分とはスタートラインからして違っていました。
ーーそれもまたひとつの挫折だと思いますが、そこからどうしましたか?
私の好きな言葉に「がんばっている人は夢中な人に勝てない」というものがあります。
当初は焦りも感じましたが、元々の違いは埋まりません。単純に技術が好きで夢中になっている人と自分を比べ、無理に追いつこうとするよりも今やっていることに夢中になることの方が大事だと思うようになり、そこから感覚が変わっていきました。
当時は夜遅くまでプログラミングをする生活でしたが、彼に負けたくないとがんばっているときはそれを負担に感じていました。「優秀な人は自分より早く終わるのに」と上手くできない自分を恥じていたのですが、比べることをやめてからはそんな気持ちもなくなり、作業が夜中までかかっても苦にならなくなりました。
人より劣っているから何もできないと考えるのではなく、自分らしい方向性で価値を出そうと決意したそのタイミングからエンジニアとして生きていこうと思い始めました。エンジニアとして内定をもらった会社も別にありましたが、元々働いていて慣れている環境がいいかなと思いインターン先のWESEEKに入ることにしました。
自らの手で前進させたいプロダクト
ーーそこまでのめり込めるものが見つかったにも関わらず転職を考えたのはなぜですか?
元々転職も副業も考えていませんでしたが、ワークサイドとの出会いは運命的でした。
私をスカウトしてくれたエンジニアの立花は、私が前職で扱っていたプロダクトのユーザーだったんです。私のバグ対応が早かったことを覚えていてくれて「市澤さんですよね?一緒にやりませんか?」と声を掛けてくれたのが副業を始めたきっかけです。
本業がある中で割ける時間が少なく、自分がプロダクトに貢献できる度合いは限られていました。それでもワークサイドではプロダクトのコアに関われるというか、副業・業務委託の私にも顧客の声を聞いて課題を深く理解する機会がもらえたりして、日に日にOnnというプロダクトに対する共感が高まっていきました。
当時は今以上にエンジニアが足りなかったのですが、自分がもっと時間を遣えばプロダクトが発展するのにそれができないことが悔しいと思うようになり、ワークサイドにフルコミットすることを決めました。
前職では元々ある程度出来上がったプロダクトに機能を追加していく感じでしたが、ワークサイドにはサービスをゼロからつくっていく手触り感があったのも魅力を感じた点です。コードも蓄積がない分、自分で考えないといけませんが、逆に新しい提案もしやすい環境です。
ーーワークサイドに惹かれたポイントはどこですか?
私はインターン先で正社員になったのですが、何も変わることなく業務に入っていく感じでその会社の社員になるということに対して特別感がありませんでした。
これまでそれを何とも思っていませんでしたが、Onnを通じてオンボーディング体験についての価値提供を目指す中で「入社体験は重要だ」と思うようになったんです。新しい環境に飛び込むことに不安を感じる人も多い中、受け入れ側からのケアが不足したり入社後の体験が悪いことで会社を辞めてしまう事例があると知り、自分がそれを解消したい思うようになっていきました。
ーーそう思うに至るまでにどのような原体験があったのですか?
ワークサイドには副業メンバーであっても定期的な1on1を実施し、ギャップをすぐにすり合わせる環境があります。
しかし前職には1on1がありませんでした。上司と深い会話をする機会は半年に一度の査定のときだけ。半年のうちに自分が思っている方向と会社が目指す方向がすれ、中間査定を受ける時に初めて自分が別の方向に走っていたことがわかったんです。定期的に会話していれば解消できていたはずでした。
人と人なので考えに差異が生まれること自体は仕方ないのですが、お互いにそれをすり合わせていい方向に向かわせることが必要だと思います。当時は自分の手でそれを実現することができず、ギャップを解消できないことに悩んでいました。
ワークサイドの人と組織
ーーワークサイドにはどんな特徴があると感じていますか?
いい意味でメンバーが対等ですね。代表の秋山の影響もあると思いますが誰に対しても敬意を持って話し、丁寧に接する人が多い。社会人経験の短い自分が発言するハードルが下がるというか、意見を出しても握り潰されることなく検討してもらえますし、一緒に良くしていきましょうという空気があります。
頻繁にディスカッションができることも魅力です。オフィスに出社すると秋山がよくミーティングをしているのですが、それが終わると「○○社さんはこんな課題を感じています。」とか「こんな機能があったらいいですね!」と話しかけてくれます。
ゼロイチのフェーズだからこそ顧客の課題に向き合い、みんなで話しながら解決策を出していこうという文化があります。会社のルールもこれからつくっていくことになりますが、みんなで相談して決めていくのだと思います。
ワークサイドに入るまでは「プロダクトを良くするためには個人ががんばればいい」という考え方でしたが、今では私も「ワークサイドの創業メンバーとして会社とプロダクトを良くしていこう」という気持ちになっています。従業員ではなく会社の目線になっていく感覚があります。
文化をつくるプロダクト
ーー今後変化が予測される中で、会社とプロダクトをどうしたいですか?
今は人数が少ないためコミュニケーションを密に取り、みんなが向いている方向を揃えようとする意識がありますが、今後人数が増えてもそれを文化として大切にしていきたいです。
Onnは導入してくださった企業の方がオンボーディングの大切さを共有し、会社の文化をつくっていくことに貢献するプロダクトですが、こうしたサービスはまだ黎明期にあり、私たちは未だ市場にない価値をつくっています。近い未来の標準となり、「オンボーディングと言えばOnn」と思ってもらえるようプロダクトを育てていきたいと思っています。
エンジニアの視点では「Onnに携わっているエンジニア」が価値ある存在として広がっていくといいですね。ただ開発しかしないのではなく、「組織の文化をつくってくれる」とか「人と人との関係を良くしてくれる」と思われるエンジニアになりたいです。
ーーこれからどんな仲間に入社してほしいですか?
領域を限定することなく、会社やプロダクト全体を良くしたいという気持ちのある人が入ってきてくれたらいいなと思います。
自分のキャリアだけのことを考えて「こうしたい」と言うのではなく、プロダクトの目指す未来への共感度が高い人。これまでにオンボーディングや入社後の体験が良くなかったなどの原体験や課題意識を持っていて、自らの手で変えたいと思っている人が向いていると思います。