2024年9月25日(水)19:00~21:00に第3回マーケティングゼミ#デジタルマーケティングの未来編をPLAN-B牧野さん、ソウルドアウト光山さんと弊社代表・田岡との対談形式で実施しました。
登壇者プロフィール
株式会社PLAN-B 牧野 拓矢
アパレル業界に8年間従事し、マネジメント・販売管理やマーケティングなど、数々の業務に携わる。その後、AI翻訳を開発する企業のマーケティング部門に転職。イベントマーケティングのマネージャーを経験し、2021年にPLAN-Bへジョイン。現在はインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Cast Me!」のマーケティング責任者。
ソウルドアウト株式会社 光山 誠一
大手Webマーケティング会社にてWeb広告を中心としたアカウントプランナーに従事し、 ダイレクトマーケティング業種を中心としたコミュニケーション立案を経験。2014年よりシナジーマーケティング社に入社。CRMのコンサルタントとして従事し、お客様向けにメールマーケティングやDMPの設計支援を従事。2021年よりソウルドアウトに参画し多店舗向け集客支援サービス「ライクル」のマーケティング活動に従事。
suswork株式会社 田岡 凌
京都大学卒業後、ネスレにてネスカフェドルチェグスト、ミロのブランド担当。外資系企業のブランドマーケティング責任者、マーケティングSaaSスタートアップ CMOを歴任。
現在、suswork株式会社にて、スタートアップから大企業まで数十社のマーケティング戦略支援を行う。株式会社Sales Marker外部顧問。ギャラップ社認定クリフトストレングスコーチ。
マーケティングゼミ#顧客理解編の概要
今回は4つのテーマについて参加者も交えながらディスカッションを行いました。
- テーマ01:デジタルマーケティングの軸足はどう変わるか?
- テーマ02:デジタルマーケティングの重要トピックは?
- テーマ03:AIの進化が仕事に与える影響は?
- テーマ04:30年後も活躍するマーケターとは?
ディスカッションの中からポイントを抜粋してご紹介致します。
テーマ01:デジタルマーケティングの軸足はどう変わるか?
光山さん
組織として他社との差別化要因をいかに作るかが、これからますます重要になると考えています。私は現在ローカルマーケティングの分野で支援を行っていますが、例えば実店舗でのオペレーションにおいて、良い写真を撮ることや、良い口コミを集めることが、競争優位を築く大きな要素になると考えています。
店舗スタッフの視点に立つと、お客様に口コミを依頼することは非常にハードルが高い作業です。人手が不足して忙しい状況ですし、嫌な内容を書かれるリスクもあります。そのため、本部からも店舗のスタッフに頼みにくい状況が見られます。
しかし、成功している企業では、口コミを獲得したスタッフをきちんと評価し、称賛しています。例えば、頂いた口コミを朝礼で共有するなどですね。こういった仕組みがデジタルマーケティングの成果に貢献しています。
牧野さん
広告の観点から言えば、「戦略」「クリエイティブ」「運用」の3つの要素が挙げられると思います。この中で、クリエイティブや運用部分はAIによって徐々にコモディティ化していくため、戦略の重要性が一層高まっています。
特に戦略においては、顧客とのコミュニケーションの部分が大事です。顧客の心をどう捉え、どのように変えていくかが鍵です。デジタルマーケティングは、つい見える数値だけに目が行きがちですが、数値に現れない心の変化をどう捉えるかが、これからの重要な課題ではないでしょうか。
テーマ02:デジタルマーケティングの重要トピックは
田岡
広告業界、アドテクで当たり前のように使われている技術が、別業界で活用されることでイノベーションにつながることがあります。例えばセールスや採用という分野において「インテントデータ」をうまく活用した新しいビジネスが生まれつつあります。広告代理店が今後どのように成長していくべきか考える際にも、このような発想が大事なのではと考えています。
牧野さん
キーワードとして「アンプリフィケーション」に注目しています。これは増幅・拡張という意味を持つ言葉ですが、海外では「コンテンツアンプリフィケーション」という形で使われており、ForbesやSemrushなどの記事でも取り上げられています。
例えば、良いコンテンツをInstagramに投稿したとしても、アルゴリズムの影響でフィードの下の方に表示されてしまうことがあります。ただ、コンテンツ自体が劣化しているわけではありません。良いコンテンツは他のチャネルでも活用していくことが重要です。インフルエンサーを活用して拡散させたり、ペイドメディアを利用するなどの手法があります。こうすることで、全体としての費用対効果を高めることができます。
テーマ03:AIの進化が仕事に与える影響は?
牧野さん
AIの進化により、Marketing Opsチームの業務効率が大幅に向上しています。私は具体的には、Marketoとの接続に必要なプログラムのコーディングや、特定業界のリサーチ業務、施策アイデアの検討などでAIを活用しています。
田岡
AIへの指示(プロンプト)は、いわばAIへのブリーフィングと考えています。質の低いプロンプトでは、返ってくるアウトプットも良いものにはなりません。いかに質の良いブリーフを作成するかが、今後さらに重要になってくると思います。また、AIをマネージャーとして活用するのも有効だと考えています。例えば、自分で考えたマーケティング戦略に対して、差別化要因があるかどうかAIにフィードバックをもらうといった使い方が考えられます。
テーマ04:30年後も活躍するマーケターとは?
牧野さん
必ず持っておくべきスキルとして、コミュニケーション能力が重要だと考えています。私は過去にアパレルブランドの販売員をしていたのですが、服を売ることを目的にしていませんでした。お客様の課題をヒアリングし、その解決方法を考えることを意識していました。
例えば、お客様が「ダウンを買いたい」と言った時、よく話を聞いてみると「モテたい」という思いがあることが分かる場合があります。その思いをふまえた上で、「それならこちらのダウンの方が良いのではないですか?」と提案します。顧客の課題を理解し、コミュニケーションを通じて行動を促すことは、接客だけでなくマーケティングにも共通すると考えています。
光山さん
自分が30年後、つまり70歳になった時、どうしても落ちてくる能力があると思います。例えば、記憶力やひらめきなどです。ただ、逆に伸びていく能力もあります。それは「教える力」や「共感力」といったものです。これらの伸びていく力をマーケティングに活かすことが必要だと考えています。
例えば、経営とマーケティングを繋げるには共感力や人間理解のスキルが必要です。自分の専門知識をひけらかして説得するのではなく、相手の状況を理解した上で提案することが、年齢を重ねたマーケターに求められるのではないでしょうか。
田岡
スタートアップから大企業まで様々な企業を支援する中で感じるのは、成果に直結する最も重要な要素は「バイタリティ」だということです。バイタリティがあり、行動量が多い企業が成功しています。反対に、バイタリティが欠けており、意思決定が遅く、行動量も少ない企業は成功しません。
バイタリティの差が成果の差を生むのですが、そのバイタリティの源泉は「パーパス」にあると考えています。心からパーパスに共感し、「これは意味のある仕事だ」と感じることで、バイタリティが生まれるのです。「あと商談が1件足りない」といった時、そこから奮起できるかどうかはバイタリティにかかっていると思います。
今後も、マーケティングゼミは月に1〜2回のペースで開催する予定です。スケジュールについては田岡のXで随時発信いたしますので、興味のある方はぜひフォローをお願いいたします。
suswork株式会社について
suswork株式会社は、外資系メガブランドで活躍したマーケティングの専門家が多数在籍する戦略グロースファームです。マーケティング戦略の立案・実装を通じて、スタートアップや大企業の事業のさらなる可能性を拓き、飛躍的な事業成長に貢献します。