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CTOインタビュー「全てを設計してから作る」ボーダーレスな開発を支える哲学(1/3)

MODE, Inc.は2014年にアメリカ・シリコンバレーで創業したスタートアップです。「地球上のあらゆる企業のビジネスにデータ活用を広める」というビジョンのもと、IoT(Internet of Things)およびデータ活用によるお客様のDX実現を目指しています。

本日よりCTO/ Co-Founder Ethan Kan(イーサン・カン)に、MODEの創業秘話や開発チーム、さらに将来の展望などについてインタビューした内容を、3回に分けて掲載します。

今までで一番の食べ物は何でしたか?どこのものでしたか?

—ウォーミングアップに、気楽な質問から始めましょうか。イーサンはかなりのグルメですよね。今までで一番の食べ物は何でしたか?どこのものでしたか?

Ethan:おお、一つとなると難しいですね。記憶とともにあるものなので、その時々で変わってきませんか?食べ物そのもの以外にも、多くのものに左右されますし。その日が良い日だったり、リラックスして嬉しい気分だったりすることで、同じものでもよりおいしく感じられるかもしれませんしね。

なぜそう言うかというと、以前、車で砂漠を横断した後にハンバーガーを食べたら、とてもおいしかったんですよ。それまで数日間、まともな食事をしていませんでした。アリゾナから砂漠を抜けてロスまでドライブし、ロスについたときに、ウマミバーガーという店でハンバーガーを食べたんです。ウマミバーガーは小規模なチェーンで、ロスとサンフランシスコのベイエリアに数店舗ずつあったと思います。当時はまだ割と新しいチェーンでした。

ウマミバーガーという名前は、ソースに旨味を出すため、シイタケを実際に使っているところからきています。そして、バーガーにはさまれたチーズはとろけておらず、サクサクしています。その年、僕はアメリカ中をドライブして、国中のハンバーガーをたくさん食べていたんです。どの店も似たようなもので、たいていは「うちはいい牛肉を使っているからおいしい」と言うだけです。でも、この店は実際に違うことをしていました。だから食べてみてすぐに、「今までで最高のハンバーガーだ」と感じたんです。

数年後、もう一度食べてみたんですよ。その時もおいしく感じました。おいしかったけれども、もはや同じではなかった。本当に印象的だったのは、はじめて食べた時、あのたった一度だけでした。だからこそ、今までで最高の食事だったと言えますね。それ以降も、とてもおいしい食事はしているんですが、食に関する思い出としてはこれが特に印象深いです。

これまでのエンジニア人生で一番大変だったこと、ピンチだったことはありますか?

Ethan: Yahoo!を辞めてからGakuとMODEを起業するまで、自分がどの方向に進めば良いか、わからない期間が数年間ありました。

そのため、様々なプロジェクトで以前の同僚たちと働きました。コーディングを続けたかったのと、技術も維持したかったからです。同時に、エンジニアチームのマネジメントを手伝ったりもしました。自分の時間を何に使うのが一番良いのか、よく分からなかったんです、ピンチとまでは言いませんが。だから、MODEの話に乗る決断をするのは簡単でした。創業時には、個人として成長できる機会がたくさん持てると考えたからです。創業者として学ぶことは本当にたくさんありました。自分が次に何をすべきかもがいた数年間を経て、やりたいことが見つかったんです。

創業の時、GakuさんからIoTで起業すると聞き、どのように感じましたか?聞いた状況やその時の思いを聞かせてください。

Ethan:なぜ着想を得たか、Gaku自身の話もあるかと思いますが、当時Gakuが僕に説明してくれたのは、庭の芝生の水やり装置をあれこれいじってみているということだけでした。

電子自動スプリンクラーのような商品を買ってくることもできたと思います。でも、Gakuは色々いじってみるのがとても上手いんですよ。Raspberry Piを入手して、色々なものを繋いで試作品を作動させてから、操作用のプログラムをいくつか書いていました。

当時は「とても面白いし、ワクワクするし、すごいな」という感想を持ちました。少なくともエンジニアである僕の視点からは、かなり楽しいプロジェクトでした。そして重要な点は、Gakuが「この構想の目的は操作用のソフトウェアプラットフォームを構築して他の開発者やエンジニアに使ってもらうことだ」と言ったことです。

そこに僕は強く興味を惹かれました。自分たちは消費者に売るためのものを生み出すのではなく、他のエンジニアやプログラマーが使うものを生み出そうとしている。良い気分転換になると思いました。僕は当時、Yahoo!で働いており、同社はエンドユーザーが使用する商品を作っていました。でも僕は常々、他のエンジニアが使えるものを構築するのはすごいことだと思っていたんです。技術的にも少し高度ですしね。要は、ツールやAPIなどの適切な組み合わせを作るということです。だからかなり面白い。僕は当時、そう感じました。

—つまり、はじめはBtoCというよりBtoBの商品だったということですか?

Ethan:BtoBですらありませんでした。マニア向けの製品に近いものです。他のエンジニアたちが使うためのツールです。また、収益性についてもしっかりとは考えていませんでした。典型的なスタートアップ企業が考えるように、ワクワクする何かから始めて、その先のことは後から考える。かなり後になってからです。そうなればもちろん、VC向けにビジネスモデルに関するストーリーを作る必要があります。でも最初は、文字通りアイデアをインターネットに載せてエンジニアたちに試すように呼びかけられたらすごい、とだけ思ったんです。

当初は完全にBtoBだったわけではありませんが、間違いなく技術系ユーザーを対象としていました。しかし数年前、大きな方向転換をし、顧客の非技術部門を対象とすることにしました。顧客が、MODEと直接技術的なやり取りをできる技術チームを持つとは限りません。これがコンサルティングやカスタマイズがMODEの大きな部分を占める理由です。MODEは創業当時とはもはや同じ会社ではないですね。創業当時の構想からは離れましたが、当初の構想が僕をワクワクさせてくれたことは確かです。

EthanとGaku

GakuさんがIoTビジネスの話を出した時、何か他にも構想を持っていましたか?それは良い構想でしたか?

Ethan:旅行や休暇のオンライン計画ツールの構想があったのは覚えています。実際に試作品も作っていました。

Gakuは旅行の計画をしっかり立てる人です。行きたいレストランやするべきことを事前に調べますし、チケットの事前予約や購入が必要か等についても先に考えます。

こうした計画は、自分でまとめ方を考える必要があり、方法は人によっても違います。スプレッドシートなどではなく、誰もが使いやすいツールはないだろうか、とGakuは考えたのだと思います。

ビジネスやアプリのアイデアを着想するとき、人はたいてい、自分の視点で思いついたものを「こういうふうに機能してほしい」と言うものです。これは自然なことだと思います。でも、消費者向けに何かを作るときは、全ての消費者のことを考える必要があります。何百万、何千万もの人々です。そうした人々が実際に欲しいものが何かを見つけるのは、ずっと難しいことです。

質問に戻ると、実のところ、他のエンジニア向けに何かを作るのは、マス市場向けに何らかのアプリを作るよりも、僕たちにとってははるかに易しいことでした。そして、僕が一般消費者向けよりもエンジニア向けのアプリを作るほうに少しだけ強い自信を持てたのは、それが理由だと思います。

消費者向けのアプリを作る会社について考えてみると、彼らはまったく違った荒々しいものに対峙しています。彼らの多くは大量の市場調査をしなければなりません。一方で、ただ幸運な会社もあれば、実力のある会社がすばらしい着想を得てアプリを作り、それが完璧に機能する、ということもあるでしょう。Pinterestが一つの例です。単純なアイデアですが、特別なエッセンスを捉えてアプリを作り、大きな成功を収めました。はじめに彼らがとても多くの調査をしたということはないと思います。誰かが思いつき、それを気に入り、ただ実行したんです。ただし、こうしたことが実現する確率は100万分の1かもしれません。

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