仕事のやりがい:ミニマムな観点から考える
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”仕事のやりがい”について説明できますか?
”仕事のやりがい”って、現職を続ける理由であったり、転職するときの理由であったり、そして採用担当者として伝えなければいけない事でもありますね。でも、一言で説明しようとすると、思っていた事を全て伝えられていなかったり、ちょっと自分のスケールから外れてしまったりしてなかなか難しいですよね。
これって、”仕事のやりがい”について、全てのスタッフの経験を整理して、共通することをまとめて、さらに抽象化してしまうからなんだと思います。例えば、「お客様とのふれあい」とか、「おもてなしの心」とか、サービス業・宿泊業においては、よく使われる文言ですが、実際にはどういう事なの?というところが伝えきれていないように思うんです。
そういった訳で今回の主題は、ホテルスタッフとしての日常を少しだけ切り取ってみて、ケーススタディから”仕事のやりがい”を説明してみようというものになります。
ケース:当日での宿泊予約とケーキご手配
今回は1例として、当日予約が入り、お客様から指定されたケーキのご手配があったケースとして扱います。ホテルのフロント担当者の、お客様からは通常見えていない所の業務ですね。
13:00 : 当日予約のご依頼、ケーキのお手配(市内のケーキ店を指定されている)
▶︎ 今回の例は、前もった予約ではなくて、当日に予約があった場合のケースです。社内的に、通常のご予約分の手配は既に済んでしまっているので、関係部署とそれぞれ調整が必要になります。
13:20 : 関係部門との調整
▶︎ まずは、部屋の準備を客室係に伝えます。清掃状況の確認とアメニティやタオルの数などです。
▶︎ 次に、調理場へ連絡。当日のご予約のため、料理の仕込みを追加してもらい、アレルギー情報を伝えて、ディナーの準備を進めます。
▶︎ そして、レストラン部門へ連絡。レストランの席のセッティングや、提供する料理と、食後のケーキ提供について情報共有します。
▶︎ 最後に、フロント部門に、宿泊情報を伝え、チェックインの準備を整えます。
13:30 : 手配品の準備
▶︎ お客様から指定された、市内のケーキ店にケーキの種類と有無を確認
▶︎ お客様のケーキに関するご要望を再確認(種類やメッセージなど)
▶︎ ケーキの注文
16:00 : ケーキの受取り
▶︎ 送迎部門と調整を行い、ケーキ店で先ほど注文したケーキの受取りを済ませます。
16:30 : お客様の到着 / チェックイン
18:00 : ディナー提供
▶︎ 食後にご注文頂いていたケーキを、対象のお客様にサプライズで提供。
ケーススタディの振返り
- 本日手配してきた事の締めくくりとして、実際にケーキの提供を行いました。同席のお客様へのサプライズ提供も成功し、ディナーもより一層楽しい時間を過ごして頂けたかと思います。最後には記念写真を撮り、お客様の大切な思い出作りに寄与出来た事が嬉しく思いました。
- また、時系列を振り返ってみると、まずは1組のご予約、1つのご注文においても、関係部署との調整が思っていたよりも多いのではないでしょうか?1組のお客様を迎え入れる、そしてできる限りご要望を実現していくためにに、関係部署や協力企業と調整を図る。それもお客様が当日到着なので、スピーディーな対応も必要となる状況。そういった状況、テキパキと1つ1つの調整をクリアしていくことが、達成感に繋がっているように考えています。
まとめ
- お客様のご要望を実現でき、喜んで頂けるとホテルマンとしてはこれ以上なく嬉しい(根本的な感情で)。
- 他方、サービス業の見えないところでは、関係部署との調整を中心にスキルを必要とする事が多く、計画実現の中で1つ1つのステップをクリアしていく達成感がある。
最後に
今回取り上げたのはあくまでも1事例なので、これだけでサービス業・ホテル業の”仕事のやりがい”を説明出来たとは思っていません。ただ、ホテル業でよく言われる、”おもてなし”や、”お客様とのふれあい”というような抽象的な文言の、理解のきっかけになればいいなと思います。
また、サービス業と言われると、配膳・下げ膳、後片付けなど単純な業務が中心に考えられることもありますが、お客様のご要望を1つ1つ実現するためには、それぞれの部門の協力なしには実現しないので、チームをまとめていく事が必要です。そして、それがとても面白く、今回の”仕事のやりがい”の構成要素の1つかなと考えています。
今回の内容では、お客様とのコミュニケーション(実際に当日提供する中での会話)の観点が不足していたように感じます。今後のステップアップによって、追加で説明できる内容も増えてくるのかなと思います。