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#2 『運命の一言』がきっかけ!?ニッチ業界進出の成功秘話

『#1 永田製作所とは?』の記事で、これまで100年の歩みの中で酒類などの飲料業界からフォトレジストを扱う化学業界に展開した歴史を紹介しました。今回は、その異業界の生産現場へのチャレンジにフォーカスを当てて執筆します。

永田製作所らしい「チャレンジ精神」を感じて頂けるエピソードですので、ぜひご一読ください!

目次

  • │お客様のひとこと

  • │試作機の共同開発へ

  • │「どうすれば出来るか」を考える

│お客様のひとこと

―――「化学薬品を入れる瓶を洗いたいのですが・・・」

 1980年代頃、とある機械展示会で当社のブースにいらっしゃった化学メーカー担当者様のひとことです。

 この一言のお声掛けが、その後当社が「フォトレジスト」という半導体製造に用いられる特殊な高純度薬液業界に参入するきっかけとなります。

 もちろん開発には時間がかかり苦戦したこともありましたが、そこから30年以上に渡って当社の主力事業となり海外進出も果たした分野なので、まさしく『運命の一言』ですね。

 酒類を扱うボトリングシステムメーカーとして展示会に参加していた当社ですが、オーダーメイド設計であることに着目して頂き、「化学薬品用の瓶を洗う機械も作れませんか?」とご相談頂きました。

│試作機の共同開発へ

―――「一緒にやってみましょう」

 『お客様のご要望に技術力でお応えする』ことを大切にしてきた当社ならではの、チャレンジ精神溢れる返答です。「今ある技術を応用して開発してみよう」と考え、お客様との共同開発が始動しました。

 とはいえ、いざ開発に取り掛かるとやはり一筋縄ではいきません。

 「同じボトリングシステムなのだから、扱う瓶の形状や液体の種類が変わるだけなのでは?」と考えられるかもしれませんが、その『液体の種類』こそが非常に大きな差なのです。

 化学薬品の中でも、フォトレジストは半導体製造に用いられる極めて高純度な薬液であるため、瓶を洗う水や、乾燥させる空気にも高い純度が求められたのです。日頃私たちが手を洗う水、飲み物として口にする水、自然と吸っている空気よりも、もっともっと純度の高い水や空気を利用することと、瓶そのものに付着している目に見えないレベルの汚れを落としきる技術が必要でした。

 お客様のご要望ひとつひとつに耳を傾けることによってフォトレジストの生産現場を学び、特殊な生産環境への理解を深め、必要条件をクリアする試作機が完成。お客様と一緒に作りあげた大型装置は無事に製品として納入され、納入後も改造やアフターメンテナンスをすべて自社で請け負うことで、半導体の精度向上とともに日々進化し更なる純度が求められるニッチなフォトレジスト業界に精通していきます。

 その後、開発を成功させた技術力と傾聴に徹する姿勢に加えて、特殊な生産現場をどこよりも理解している事を評価して頂き、『フォトレジストの生産設備』というニッチ業界でシェアが拡大。半導体産業の成長とともに需要拡大が続くフォトレジスト業界で、お問合せやご要望ベースの受注生産企業でありながら、高いシェアを獲得するに至りました。

│「どうすれば出来るか」を考える

 このエピソードからも感じて頂けるように、「今あるものや、今のやり方で出来るかどうか」ではなく、「どうすれば出来るか」を考えるスタンスを大切にしています。

 当社は50名の小さな会社であり、その強みとこれまでの成功の秘訣は、「簡単にNOとは言わず、現場ニーズに徹底的に寄り添い続けること」です。汎用性の高いものを量産して売りさばくのではなく、ひとつひとつの現場のご要望にとことん向き合いオーダーメイド製品を作り続けた結果、それぞれの業界のお客様と数十年来のお付き合いを頂いています。

 10名に満たない製造部門で手作業で組み立てた大型装置が大企業の生産工場で稼働し、数多くの製品を世に生み出していることに誇りを持って、これからも生産現場の課題と向き合っていきます。

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