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【PR flix】第4回:メディアって何?という話。

Photo by Matthew Guay on Unsplash

こんにちは、あるいはこんばんは。みなさんいかがお過ごしでしょうか。この記事を読んでくださっているということは、PRそのものやPR会社に関心がお有りか、然もなくばただの関係者であろうと思います。そんな皆さんの代表的な質問に「PR会社は何をやる仕事なのか」というものがあります。これに対する答え、いろいろと答え方は有ると思いますが、ひとつ分かりやすい側面から単純化していうならば、「クライアントとメディアの間で情報を変換して伝達するお仕事」と言うことは有るかなと思います。(もちろん実際にやっていることは、コミュニケーションに関わる上流から下流まで、極めてさまざまな分野が含まれていますし、年々その領域は広がっているとも思います。)

ではここで問題です。「メディア」とは何でしょうか。

PRなお仕事を指向している方は、結構な割合で、学生時代、就職活動の志望企業にメディア関連企業も入っていたのではないかと思います。にしても、改めてメディアとは何か?という問いに対して、スパッと答えられる人はそれほど多くないのではないでしょうか。
ひとまず、仮説、自分なりの答えを持って、以下へどうぞ。

まず、我らがWikipedia先生にはこう記載がありました。(2022年9月時点)
メディア(media)とは、情報の記録、伝達、保管などに用いられる物や装置のことである。媒体(ばいたい)などと訳されることもある。記録・保管のための媒体とコミュニケーションのための媒体とに大別することができる

物や装置・・・なるほど。
続いて、goo辞書。

メディア【media】 の解説
《medium の複数形》
1 媒体。手段。特に、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体。「マス―」「マルチ―」
2 ⇒記憶媒体

Wikiは主にここでいう2の方の解説をしているようですね。・・・ん?「medium」?

ミディアム【medium】 の解説
1 媒介するもの。媒体。また、仲介者。
2 中間。中位。「―サイズ」
3 ビーフステーキの焼き方が、中位であること。ウエルダンとレアとの中間程度。
4 生物の生息場所。生活環境。
5 標本の保存液。細胞培養の栄養液。
6 霊媒。

ミディアムは中間だから、間に入ってるニュアンスが出てくるわけですね。勉強になりますね。
そして巫女や霊媒師も、あちら側とこちら側を仲介しているということでメディアなのですね。確かに確かに。
もう一つ、「実用日本語表現辞典」が分かりやすかったので、こちらもどうぞ。

メディア(media)とは、主に「情報伝達を媒介する手段」あるいは「情報伝達の媒介者」という意味合いで用いられる語である。単に「メディア」とだけ呼ぶ場合は「マスメディア」の意味で用いられている場合が比較的多い。
「メディア」の語源
メディアは英語の media をカタカナ表記した外来語である。英語の media は、medium の複数形である。medium は、日本語においては「ミディアム」とカナ表記される場合もあれば、「メディウム」と表記される場合もある。前者(ミディアム)は「中間」の意味が強く、後者(メディウム)は「媒介」の意味合いが強い。
英語では the media といえば「マスメディア」を指す。​​

・・・なんだかまとめてくれた感じです。さすが「実用」。そう、我々はまさに「情報伝達の媒介者」としてメディアを捉えています。

そしてその意味で言うならば、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、(ソーシャルなども含んだ広義の)Webのいわゆる(マス)メディアだけがメディアではなく、場所や人もまたメディアと言えます。
プリミティブなクチコミは、まさにそれそのものですし、組織に属する個人の言動が、その組織のブランドイメージに直結するのもそういうことです。

メディアとは?という話、もう少し続けてみたいと思います。

メディアの分類

さてそんなメディアですが、コミュニケーションのお仕事上、整理・分類したくなります。そうした時に、これまたいろいろな分類の仕方が存在します。いわゆる「4マス」という呼び方にあるようなマスメディアとWebメディア。この場合のマスは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌。Webもマス扱いして「5マス」なんて呼ぶこともありますね。またWebはWebで多岐に渡るので、その中を、一次メディア・二次メディア、つまり元記事を書くメディアと転載メディア(キュレーションメディアなどとも呼びます。Yahooニュースが代表的)に分けたり、ニュースメディアとソーシャルメディアなんて分けてみたりもします。

ここでは、数年前から「広報会議」が紹介、推奨してきたことでPR業界である程度スタンダードになった(と思われる)PESOモデルを改めて紹介しつつ、そこから先に少し話を進めたいと思います。

まずPESOモデルですが、アメリカのPR会社Spin Sucks社のファウンダー・CEOであるGini Dietrich氏​​が提唱したモデルで、Paid Media(広告)、Earned Media(パブリシティ)、Shared Media(SNS)、Owned Media​​(企業サイトや企業SNS、リアル店舗なども含む)の4つに分類したものです。PESOモデルでは、これらのメディアをどう活用していくかを組み立てていくメディア戦略が重要であると説きます。Gini Dietrich氏​​はそれらの使い方を端的に述べています。
“You have the content and you’ll use shared media to distribute it, paid media to amplify it, and earned media to rubber-stamp it.”
「コンテンツは何かしら持ってるわよね。だったらそのコンテンツを、sharedで発信して、paidで広げて、earnedでお墨付きを与えるのよ。わかる?わかったらやんなさいよ。」(言葉遣いは筆者妄想)

そうやって、それぞれのメディア特性を活かしていくべきであり、ある瞬間を捉えて、もうテレビはオワコンだ、紙メディアは不要だ、などと言うのはナンセンスですよね。ただそれぞれのメディアにも流行り廃りがあり、隆盛を極めては落ちていくという側面が有るのも確かです。諸行無常。盛者必衰。

面白いのは、P→E→S→Oの順で、ここ30年ほどのコミュニケーション産業において時代の主流となるメディアが移り変わっていることです。

メディアの変遷

80年代、スカッと爽やか!と言いながらシュワっとした映像が全国のお茶の間で流れ、モノが売れた時代。90年代、お昼の番組で「奥さん、納豆が血液をサラサラにするんですよ。ほんとですよ。」と司会者が話せばその日のスーパーの棚から納豆が消えた時代。00年代、個人が情報発信の主体者になっていき、自分の身近なあの人が、憧れのあの人が使っているから、好きだから、そのままAmazonでポチっとしてきた時代。そして10年代、個人のメディアはさらに発展しつつ、企業や団体自らが情報の主体者となって発信が可能となり、そこにコミュニティが生まれ、購買行動あるいはシェアリングなどの挙動が起きている。

私はこの”主役となるメディア”の変遷は、Webの世界の潮流やもっと大きな社会制度の潮流とも類似性が有ると考えています。
Webの世界は、Web1.0から2.0を経て、昨今話題のWeb3へ、中央集権的な仕組みから自立分散型へ流れています。そして社会システム全体にもその傾向は出ている(と少なくとも私は感じます)。国民国家というシステムが立ち行かなくなってきている。そのシステムが機能不全を起こし始めている。そしてポスト資本主義、ポスト民主主義といった話がそこここで語られ始めている。そこで語られていることの本質には”自立分散”な側面が確かにあると思っています。
大マスコミ、大メディアが必要とされ重要であった時代は終わり、ソーシャルメディアという”個々人の受発信”が有りはするが実際は大プラットフォーマーの手のひらの上に乗っかっている時代を経て、「メディア」は今後さらに自立分散的になっていく。私にはそう思えます。

長くなってきました。そろそろ今回のまとめに入りたいと思います。
”メディア”の概念はおそらくここからの5年、いや2〜3年でもまた随分変わると思います。情報を売り物にする我々は、より効果的に効率的に、よりスピーディに正確に、情報をターゲットに伝達したい。そこには情報を媒介する何か=メディアが必要であり、これからの数年はその媒介者が何であるか、といったことから考えていかねばならない。しかしそれは、”ねばならない”のではなく、”考えていける”であり、そこにやりがいや楽しさもまた存在すると思っています。
アンティルでは、諸行無常なこの世界をともに軽やかに踊り続けるメンバーを募集しています。

参考:
「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す」山口 周
「プロセスエコノミー」尾原和啓
「テクノロジーが予測する未来」伊藤穰一
「22世紀の民主主義」成田悠輔
「日本の課題を破壊せよ」HORIE ONE
「a scope〜リベラルアーツで世界を視る目が変わる」NewsPicks
「a scope〜資本主義の未来編〜」Chronicle
「NEWS CONNECT」Chronicle
「超相対性理論」超相対性理論
「広報会議」 2017年10月号ほか
「Is 2022 the Year You (Finally) Embrace the PESO Model™?」
https://spinsucks.com/communication/pr-pros-must-embrace-the-peso-model/)

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