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障害者雇用の現実にメスを。アクティベートキャリアの想いとは?

障害者雇用の現場において、「障害者に触れてはいけない」「特別扱いしなければならない」といった誤解が根強く残っています。その結果、障害者と健常者の間に大きな壁が生まれ、障害者が職場で孤立してしまうことが多いのが現実です。

また、多くのエージェントが「障害者雇用」を謳いながらも、障害者の特性やニーズを十分に理解していないため、表面的なマッチングに終始し、企業と障害者双方にとって長期的な雇用が成立しないことが少なくありません。

アクティベートキャリアでは、身体障害、精神障害、発達障害、知的障害に対する深い理解を持ち、**障害者が本当に活躍できる職場作りと安心して働く事ができるお仕事紹介を目指し**、**仕事を通して障害をお持ちの方がより良いお仕事と生活ができるようサポートをしています**。障害者の特性を企業に伝え、彼らの強みを最大限に活かせる環境を提供することを重視しています。

今回の対談では、障害者雇用における現実的な課題と、アクティベートキャリアが果たす「翻訳者」としての役割について深掘りしました。障害者の方々が「自分を理解してくれる場所がある」と感じ、企業側も「どうサポートすれば良いかがわかる」ようになることが、障害者雇用の成功に繋がるのです。

対談者紹介

大神田 邦夫

株式会社アクティベートキャリア 代表取締役/国家資格 キャリアコンサルタント/GCDF-Japan キャリアカウンセラー、コミュニケーショントレーナー

増本 裕司

株式会社アクティベートキャリア 主席研究員/株式会社アクティベートラボ 代表取締役/e-Rad 登録研究者

障害者支援エージェントですら障害のことを理解できていない現状

増本「僕が障害者になったのは、2009年に脳出血で倒れて右半身麻痺になってからなんです。それまで普通に働いていたのが、一気に障害者になってみて、初めて障害者としての現実が見えるようになった。障害者になったことで、健常者との間にどれだけ大きな壁があるかを痛感しましたし、そこで初めて障害者のニーズとか特性に本当に向き合うことになりました。」

大神田「その経験があったからこそ、私たちも顧問としての増本さんの意見をとても大事にしています。実際、私たちもいろいろな障害者支援を進めてきましたが、やはり現場で困難に直面することが多いです。増本さんも、実際に障害を抱えてから、多くの困難に直面したと思いますが、特に印象に残っているのはどんなことですか?」

増本「一番印象に残っているのは、障害者転職エージェントと話をしたときのことですね。障害者支援を掲げているエージェントですら、障害者のことを十分に理解していないことが多いんです。僕の場合、脳出血で高次機能障害を抱えていて、言葉がうまく出てこないことはありますが、頭の中ではちゃんと話を理解しています。でも、そのエージェントの担当者は『脳に障害がある人は話が理解できない』と思い込んでいて、まるで子供に話しかけるように、ゆっくり簡単な言葉で話してきたんです。僕が何もわかっていないかのように扱われて、正直ショックでした。」

大神田「それはご苦労されましたね。私たちも実際に支援を進めていく中で、障害者を理解しているはずのエージェントや企業でも、まだまだ誤解や偏見が根強いと感じることがまだまだあります。特に、障害者の特性に対する理解不足が原因で、スムーズに進まないことが多いんです。」

増本「障害者支援を謳っている会社ですら、実際には障害者の特性やニーズを理解していないことが多いです。だからこそ、僕たち、アクティベートキャリアのような会社が必要なんだと思います。僕たちは障害者の特性を一人ひとりしっかり理解して、それを企業やエージェントに伝える『翻訳者』としての役割を果たしているんです。」

大神田「確かにそうした状況を何度も見てきました。企業やエージェントが、障害者の特性を理解しないまま雇用を進めてしまうと、障害者も無理を強いられてしまいます。だからこそ、私たちがそのギャップを埋めることで、双方にとって理想的な雇用関係が築けるわけです。」

増本「例えば、発達障害のある人には、タスクを細分化して進めたり、コミュニケーションの工夫が必要ですし、精神障害のある人にはストレス管理が重要になってきます。これを企業が理解していないと、結果的に障害者が無理をしてしまい、働き続けることが難しくなってしまう。そこで僕たちが、『こういうサポートが必要です』と企業に伝え、障害者が無理なく働ける環境を整えるんです。」

大神田「企業も障害者雇用を進めたいという気持ちはあっても、具体的にどう対応すれば良いかがわからないケースが多いです。私たちがその橋渡し役として、障害者の特性を企業に伝えることで、企業も適切なサポートを提供できるようになる。そして、障害者も安心して働ける環境が整う。これは企業にとっても、障害者にとっても大きなプラスになります。」

増本「僕自身が障害者として生きているからこそ、障害者がどんなことに困っているかがよくわかりますし、その経験を活かして企業にアドバイスできます。企業が『どうやって障害者を活かせばいいのか』をしっかり理解すれば、長期的な雇用関係を築くことができるんです。僕たちの仕事は、単に障害者を雇用するだけじゃなくて、障害者が企業で活躍できる環境を作るためのサポートをすることなんです。」

大神田「アクティベートキャリアは、障害者と企業の間に立って、そのギャップを埋める『翻訳者』としての役割を果たしています。障害者が自分の特性に合った形で働ける環境を整え、企業もその特性を活かして人材としての強みを引き出す。今後もその役割をしっかり果たしていきましょう。」

聞きづらい障害のことこそ深掘りが必要不可欠

増本「僕が脳出血で右半身麻痺になったのは2009年のことなんですけど、その後、障害者として働くことを考えたときにいろいろと壁にぶつかりました。今は普通に話せるけど、当時は運動性失語症や吃音があって、言葉がうまく出てこないことが多かったんですよね。たとえば、リンゴって言葉が出てこなくて、でも英語の 'apple' ならすぐに思い浮かぶ。そんな症状があって、僕はこういう障害の特性を当然わかってもらえると思ってたんですけど、現実は全然違いました。」

増本「実際、エージェントや企業の人事担当者に会ったときも、僕の症状についてまったく聞かれなかった。僕は自分から説明しようと思っていたんですけど、相手は『障害者だから聞いてはいけない』と思っているようで、逆に全然何も聞かれなかったんです。僕から話さないといけないのはすごくつらかったですね。」

大神田「日本では、障害者に対して何か聞いたり触れたりすることが失礼だと思われている風潮があります。特に『障害に触れないことが美徳』みたいな考えがまだ根強い。でもそれがかえって障害者との間に壁を作ってしまい、互いに理解を深める機会を逃してしまっていますね。」

増本「僕はむしろ、『もっと聞いてほしい』と思っているんです。自分がどんなサポートを必要としているかを知ってもらいたいし、その上で必要な部分にだけ配慮してくれればいいんですよね。でも、聞かれないと何も伝わらないから、こっちから全部説明しなきゃならなくなります。それが一番つらいんです。」

大神田「実際企業側も、障害者にどんな特性やニーズがあるのか聞くのが怖い、という意識が強いです。それが原因でコミュニケーションが取れず、障害者が働きにくくなってしまうことが少なくありません。私たちが支援している中でも、企業が何も聞かないまま進んでしまい、結果的に障害者が職場で孤立してしまうケースが多いです。最終的には障害者が退職してしまったり、企業側から『もう無理だ』と言われたりして、残念な結果になることが多いです。」

増本「だから僕たちは企業に対して、『障害者に対して聞いちゃいけないことなんてないんだ』と強調して伝えてるんです。わからないことがあれば、遠慮せずに僕たちアクティベートキャリアに聞いてほしいですね。僕たちは障害者の特性やニーズをよく理解しているので、どうやってサポートすればいいのか具体的にアドバイスできますし、それが企業にとっても障害者にとっても最良の方法なんです。」

大神田「企業が障害者に直接聞くのをためらうのは理解できます。そこで私たちが代わりに橋渡し役としてサポートできるんです。私たちは障害者が何に困っていて、どういうサポートが必要なのかを、私たちが企業にしっかり伝えられます。また、障害者に対して過剰なサポートをしすぎるのも逆効果です。障害者も自分でできることは自分でやりたいと思っているし、そういう気持ちを尊重しながら、企業が適切なサポートを提供することで、障害者も健常者と同じように働ける環境を整えられるんです。」

増本「例えば、僕たちが企業に対して『本人に聞いてください』って言っても、どうしても聞けない、という状況があるなら、そのときは僕たちが代わりに説明します。僕たちは障害者の特性や、どこに困っているのか、どんなサポートが必要なのかをよく理解しているから、企業がそのサポートを提供できるようにアドバイスすることができるんです。だから、企業が『障害者にはどう接すればいいかわからない』って思ったときは、遠慮せずにまず僕たちに相談してほしい。」

大神田「ただ、支援する側としても気をつけなければならないことがあって、それは障害者が『何でもやってもらって当たり前』という意識を持たないようにすることです。これは増本さんからもよく言われることですが、障害者の中には、特に生まれつき障害がある人の中で、『自分は障害者だから、ここまでやってもらって当たり前だ』という感覚を持ってしまっている人もいます。それが悪いわけではありませんが、その結果として、本当に必要なサポートを受けられない障害者が後ろに隠れてしまうこともあるんです。」

増本「僕たちは企業に対しても『障害者に対してしっかり聞いてほしい』と言うけど、同時に障害者にも『自分のことは自分で伝える努力をしよう』と伝えています。どんなサポートが必要かは、自分自身が一番よくわかっているはずですから、そこをちゃんと開示していかないと、お互いにうまくいかない。」

大神田「実際に、障害者が自分の特性やニーズをしっかり伝えずに、企業に期待だけをしていると、企業側がその障害者をどうサポートすればいいかがわからず、結果的に関係が悪化してしまうこともあります。私たちはそういった『サポートを受ける側』と『サポートを提供する側』のギャップを埋めるために、企業にも障害者にもお互いに歩み寄る姿勢を持ってもらうことが大事だと思っています。」

増本「おっしゃる通りです。企業側も、障害者に対して無理な期待をしすぎないように、でも遠慮もしないようにバランスを取っていくことが大切ですよね。僕たちアクティベートキャリアは、その橋渡し役をしっかり果たしていくことで、障害者が安心して働ける環境を作り、企業もその人材を有効に活かすことができるようにしていきたいですね。」

「人生を支える」と言う気持ちがなければ達成できない障害者支援

増本「障害者支援は補助金などの金銭的なインセンティブだけでは長続きしないんです。障害者の法定雇用率未達成のペナルティをなんとか避けるためや、助成金や補助金をもらうために障害者を雇用することもありますが、そういった企業は本質的なサポートが不足していることが多いんですよ。」

大神田「障害者支援を本気でやっている方々もたくさんいます。それに反して、中には障害者支援を口実にしてお金儲けをしたいとか、社会的なステータスを得たいというだけで、この業界に入ってくる人もいるんですよ。残念ながら、そういった人たちは障害者のためというよりも、自分の利益や自慢が目的になってしまうことが多いんです。」

増本「そういう人たちって、障害者の特性やニーズに対して本当に理解していないことが多いんですよね。たとえば、脳卒中の後遺症で何が困難になるのかという質問を投げかけても、『そうなんですか』で終わってしまう。もう少し踏み込んだ質問が出てこないと、『この人は興味がないんだな』と感じてしまいますね。表面的な知識だけで、実際の障害者の生活や職場での困難を深く理解していないことがわかるんです。」

大神田「もっと言えば、ネットで調べた程度の知識で対応している人も多いです。経験や実績がないからこそ、具体的な事例も出てこないんですよ。『こういう人にこう対応しました』という話が出てこない人は、本当に障害者支援に向き合っているわけではないことが多いです。」

増本「加えて、企業の法定雇用率を満たすために、ただ障害者を連れてきて雇用するだけで終わってしまうケースもあります。これでは障害者が職場で長く働くための環境が整わないんです。そういう企業に向けて、僕たちは『障害者支援は単に数を合わせることではなく、実際にその人が働きやすい環境を作ることが重要』だと伝えていますよね。」

大神田「そして、障害者支援で気をつけるべき点は、単に障害者の特性を企業に伝えるだけでは不十分です。例えば、障害者自身が『こういうサポートが必要です』と伝えても、それをそのまま企業に渡すだけでは不十分です。エージェントとして、企業がその情報をどう活かすか、どのようにサポートを提供すべきかを具体的に翻訳する役割が求められます。」

増本「その通りですね。例えば、障害者が『この部分ができない』と言った場合でも、実際にはそれが改善できるかもしれないし、逆にその障害に対しての配慮が必要ない部分もあります。企業はそのままの情報を受け取るだけではなく、エージェントが間に立って、どうサポートをすべきかを明確にする必要があります。」

大神田「あと、もう一つ重要なことは、障害者自身も自分の成長に気づいていないことがあるんです。障害者の方の中には、できることもできないと思っている方、経験上できることをできないと思い込んでいる方がいらっしゃいます。昨日もある面談で、本人は『これができない』と思っていたけれど、実際にサポートを受け続ける中で改善している部分がありました。こうした変化に本人が気づいていないことも多いんです。」

増本「確かに。だからこそ、支援する側が継続的にモニタリングを行い、進歩をフィードバックすることが大事なんですよね。僕たちのようなエージェントが、その進歩を見つけて伝える役割を果たすことで、障害者も自分の成長に気づき、企業側も適切なサポートを続けることができるんです。」

大神田「そうです。障害者の支援は、単に『これができないから配慮してください』というだけではなく、障害者がどう成長していけるか、どう自立できるかを考える必要があります。そうしないと、企業側も支援が形骸化してしまい、結果的には雇用が長続きしません。」

増本「結局、障害者支援は補助金などの単なる金銭的なインセンティブだけでは持続しないんです。企業が障害者の特性やニーズを本当に理解し、その人がどうすれば長く働けるかをしっかり考えなければなりません。そのために、僕たちはエージェントとして、障害者と企業の間に立って、どちらにも必要なサポートを提供していくことが重要なんです。」

大神田「企業が障害者支援に取り組むとき、障害者の特性に応じた適切なサポートがなければ、結局は企業も障害者も不満を抱えることになります。ですから、私たちは企業に対して『障害者支援は金だけでは続かない』ということを強調しています。経済的なインセンティブだけではなく、障害者と共感し、どう支援すれば良いのかをしっかりと考えることが必要なんです。」

増本「僕たちは企業に対して、ただ障害者を雇用するだけじゃなく、その人がどうやって長く働けるかをしっかり考えてほしいと思っています。僕たちが間に立ってサポートすることで、企業と障害者が共に成長できる持続可能な雇用環境を作ることができるんです。」

アクティベートキャリアについて

アクティベートキャリアは障害者に特化した転職エージェントです。

当社は障害者者を雇用する企業の”障害者を採用したがどんな業務を任せればよいかわからない”や”せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう”等のお悩みを解決する「障害者雇用企業向け障害者雇用定着支援サービス」の提供からスタートしました。

このサービスを通じ、求職者にとって重要なことを「障害特性や経歴、得意なことを踏まえ活躍できる環境」、企業として重要なことを「戦力としての期待」と捉え、これらを実現するため、障害者を雇用している企業様へ障害特性の理解、一人一人にマッチした配慮事項の理解、スキルを発揮するための環境整備について働きかけを行っています。

障害の有無にかかわらず活き活きと働ける社会の実現”を目指した転職エージェントサービスを提供しています。

会社HP

https://activate-cr.co.jp/

対談者詳細

大神田 邦夫

IT業界から小売業へ転身し、20数年の店舗経営と接客を通して様々な世代とのコミュニケーションを深めた。より深くコミュニケーションを探求するためにNLPマスタープラクティショナーの認定資格を取得し、コミュニケーションマスタートレーナーの資格も取得した。さらに、コミュニケーションの能力を活かしGCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントの認定資格も取得した。

自身の知見を社会に役立てるため、社会的弱者と呼ばれる高齢者の就業支援事業会社の再建と事業拡大を行った。その後、知人を介して増本と知り合い、障害者の就業について興味を持つもその現状に衝撃を受けた。

それまでの経験と資格を活かし、障害者の就業推進の一助となるべく株式会社アクティベートキャリアを設立。増本とともに、障害者雇用の発展に尽力する。

増本 裕司

30代の頃、就業中に脳出血により生死を漂う。一命は取り留めたものの高次脳機能障害を伴う右半身マヒとなる。その後、障害者雇用枠で求人にエントリーするが、通勤が困難であることから正社員雇用はかなわず、大手コンサルティング企業へアルバイトとして就業。

しかし、やる気に反して通常業務は与えられず雑務をこなす日々を送る。この経験で予てより感じていた障害者雇用の理不尽をより強く痛感することになる。

この理不尽を打破し、社会を変革するため、障害者の社会参画を推進する株式会社アクティベートラボを設立。様々な障害者との接触や面談を繰り返し、障害者の実体験と障害者の多様な課題を知っていく中で、障害があっても活躍できる社会を実現するためのオリジナルメソッドを確立。まずは、障害者雇用の本来あるべき姿を実現するため目下奮闘中。

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