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デザイナーの知床移住レポート | 斜里町・地域おこし協力隊で半年働いてみて

1年前は想像もしていなかった今

みなさんはじめまして。
この春に「地域おこし協力隊」として京都から知床・斜里町に移住したデザイナーの松井といいます。

「地域おこし協力隊」の制度がスタートしてから15年すこし。なんとなくその名前は聞いたことがある方も多いと思いますが、わたし自身1年前までは知ってはいたものの実は興味がありませんでした(!)

そんな私の斜里町・地域おこし協力隊の半年間の振り返りです。地域おこしの参考として、また、「こんな働き方(生き方)もあるのか」という参考になれば幸いです。

1ヶ月のお試し移住

もともと旅行がすきで、道東は5,6回訪れたことがあるほどすきなエリアでした。道東旅でお世話になっていた常宿のオーナーさんにデザインのお仕事をいただいたことをきっかけに、「住みながら仕事してみたい」と実際に思うようになりました。そして、かなり悩んだすえ斜里町のお隣にある清里町で1ヶ月間体験移住をすることにしました。

セコマのポテトフライはじゃがいもの甘みがあっておいしい!(後ろはじゃがいも畑と斜里岳)

セイコーマートが大好きなので、ほぼ毎日セコマに通い、SNSで「セコマ便り」なんてストーリーズを発信していました。ちょうど初夏に行ったこともあり、斜里岳の開山日に登ったり、清里グランフォンドのスタッフをしたり、サクラマスの遡上を見にいったり。さらには野付半島や釧路、帯広、美瑛まで足を運んだり(今思うとあんまり仕事してなかったな)。

2度目の斜里岳登山
サクラマスの遡上(さくらの滝)

旅行で行くとついつい予定を詰め込んでしまったり、お天気に大きく左右されたり(特に登山なんかは)するのに比べて、「ここに住めばいつでも行けるのか…」ということがすごく魅力的に感じてきました。

ただ、これだけだと遊びに行っただけになってしまうので、前々から気になっていた「知床ブランディング」をもっと知りたいと思い、宿のオーナーさんに「一般社団法人知床しゃり」の方を紹介していただき、どきどきしながら会社訪問。知床のブランドブックをいただき、そのクオリティに感動しながら帰って夢中で読みました。

知床の自然と人の魅力が詰まった、知床ブランディングブック

地域おこし協力隊に応募

その数日後、一般社団法人知床しゃりの方が「斜里を案内してあげるよ」と海や山の穴場に連れていっていただいたのはとても大きかったです。とても嬉しかったですし、こんな方が町にいてくださるなんて何と心強いことか…。そして、この景色を見た瞬間「あーー住みたいかも」とぼんやり感じたのを今でもよく覚えています。

果てまで広がるオホーツク海と知床連山

そこから知床ブランディングを担うプロジェクトマネージャーの初海さんを紹介していただき、「11月、地域おこし協力隊のインターンに2週間来てみませんか?」とお誘いいただきました。

とても驚いたと同時に、冒頭でも触れたように、わたしはもともと地域おこしに興味がありませんでした。なぜなら、何となく#独立 #事業継承 #農林水産業 #福祉 #若者 というイメージがあり、自分はどこにも当てはまらないと思っていたからです。

わたしはメーカー勤務後デザイナーとして転職し、グラフィックデザイナー・イラストレーターとして直近はフリーランスで働いていました。生き物や自然、最果て旅がすきなこともあり、知床にも何度も足を運ぶ中で、「いつか世界自然遺産にデザイナーとして仕事で携われたら…」「すきな町でデザイナーとして地域に関わる仕事ができたら…」という夢をうっすら抱くようになりました。

フリーランスで携わった長野県・松本市の町づくりビジョン冊子

なので、「デザイナーのスキルを活かして知床ブランディング推進に携わる」という協力隊の募集要項を聞いて、これはきっとデザイナーとして貴重な経験が積めるんじゃないか…と思い、2週間のインターンをお願いし、年明けに協力隊に応募、4月に移住をしたのです。

地域おこし協力隊のインターンについては、今年参加された方がとってもわかりやすい記事を書かれているので、気になる方はぜひご参考ください😊

地域で働く・暮らすリアルが"2週間"で知れる「斜里町 地域おこし協力隊インターン」体験記 | 斜里町
地域おこし協力隊に「インターン」という制度があるのをご存知でしょうか?2週間〜3ヶ月の短期で、地域での就業を体験できる総務省の制度です(2泊3日のおためし地域おこし協力隊という制度も。自治体によ...
https://www.wantedly.com/companies/company_5585261/post_articles/933336


人生はじめての移住

わたしは京都生まれ・育ちで、これまで京都から出たことがありませんでした。友人たちには「知床!?」とびっくりされましたが、もちろん、ものすごく悩みました。不安は2つ。1つは知床への引っ越し方法。YouTubeで「本州 北海道 引っ越し」で調べましたが、みなさん「本州→札幌」ばかり。(ちゃうんや…!東の端なんや…!)と頭を抱えながら、結局段ボールを8つ送って大きいものは現地で買おうと決意。もう1つの不安は仕事。これまでクライアントワークしかやってこなかったので、役場で様々な立場の方と関わりながら企画・提案を中心とした仕事が自分にできるのか?これに関しては未だに不安なまま(たぶんずっと不安なまま模索する予定)。

移住したての4月頭、役場から見えた圧倒的かっこよさの斜里岳

この半年どんなことをしてきたか

さて、前置きが長くなりましたが、ようやく仕事の話です。
わたしの仕事は「知床ブランディング推進」。ざっくり言うと、いろんな方と協力して知床ファンを増やしていくお仕事です。観光だけじゃなく、移住で、テレワークで、企業研修で、学校教育で、こどもの国内留学で…そしてこの町に住む方々に「知床、いいな」と思ってもらえるための活動をしています。

知床ブランディングに関わるメインコンテンツのデザインは東京のデザイン会社にお願いをしているので、その仕事を横で見させていただきながら(貴重!)、この半年は町内イベントのフライヤーや、役場の名刺デザインのフォーマット化、施設のサイン、アクティビティパンフレットのイラストやWeb広告作成などをさせてもらいました。

町内イベントのフライヤー(一部)
町の建物のサイン
野外アクティビティのイラスト
図書館のコーナービジュアル
コミュニティスペースのリーフレット
移住促進パンフレット

特に今年、斜里町役場であたらしくできた課で始動した「スムトコシレトコ」という移住促進プロジェクトでは、ロゴからビジュアル制作まで担当しています。第一弾の移住パンフレットも完成し、こちらからご覧いただけますのでぜひご一読いただけたら幸いです◎

仕事は制作だけでなく、プロジェクトマネージャーについてクリエイティブディレクションについても学ばせてもらっています。デザインの仕事の8、9割はディレクション、残り1、2割が実際に手を動かす作業だと思っているので、町の課題に対してスピードをもって1つずつ解決していく手順や発想はとても勉強になります。

仕事の醍醐味と課題

この半年、それが好きではるばる旅行に来ていた知床の自然に仕事で関わることができるのは、自分にとってまさに役得。そして、知床はプロフェッショナルな方が本当に多いです。環境管理、漁業、農業、大工、博物館、芸術などなど…その道を究めた方にお話しを伺える時間はいつも「ああ、来てよかった…」と心から感じます。

仕事で特別に見学させていただいた秋鮭漁
カムイワッカ湯の滝

また、町が小さいからこそ、そしておそらく北国だからこそ、人と人との繋がりが強いと感じます。中斜里にある中斜里シャトランという場には、老若男女いろんな人たちが集い、おしゃべりし、新しいことが生まれています。京都にいた頃はそういう場を見たことがなかったので、訪れるたびに心がぐっとなります。

中斜里シャトランで行われた夕方食堂(インスタグラムより)

一方で、「デザイナーは装飾する人」という認識や、ディレクションの重要性を伝えるのが難しいと感じることが多々あるので、私自身も勉強しながらそこのイメージを少しずつ変えていけたら…と思っています。とはいえ、知床ブランディングの歴史が積みあがってきているおかげで、「デザインってものすごく大事だよね」と言ってもらえることが多いのがとてもありがたく、励みになっています。

協力隊としてのこれから

1年前の自分に今の状況はまったく想像もできていかなかったように、正直、1年後の自分はまったく想像できていません。でも、それで良いような気がしています。この1年間は町をもっと歩いて、町の人たちともっと出会って、1年を通した知床の四季を暮らし、自分が何に心が動くか注意深く観察したいです。そして、町内・町外の人たちが今よりもさらに「知床(斜里)っていいな」と思えるような活動や、町に住む人たちが新しいチャレンジをしたくなるサポートがしたいという思いは変わらないので、デザイナーとして自分ができることをひとつずつ試していけたらと思います。

あと、今年9月に地元京都のレジェンド的存在の書店、恵文社さんにて知床のトークイベントをさせていただきました。

トークイベントの様子(京都 恵文社)

憧れの恵文社さんでお話をさせていただけるなんて思ってもいなかったので、今後、地元関西でも知床の魅力を伝える仕事ができたら…(そして関西→女満別の飛行機が増便してくれたら…)と思っているので、そういう機会があればいつでもお声がけください!

斜里町の魅力

地域おこし協力隊は、(町によって規定はそれぞれですが)住宅の家賃や灯油、車のサポートが手厚く、移住に興味がある方はぜひ一度検討してみてほしい制度です。

北海道では多くの町が協力隊を募集していますが、斜里町は海・森・人の暮らしの豊かさがぎゅっと詰まっていて、町のイベントも多く、流氷をはじめ四季の訪れが全身で楽しめます。札幌や帯広など都会までが遠かったり、チェーン店がぜんぜんなかったり、そういうのが恋しくなるときは正直多々ありますが、休みの日は網走、北見、小清水、弟子屈、中標津、釧路まで車ですぐ行けるので、せっかく移住するなら思い切って端っこを選ぶのも良いんじゃないかな、とわたしは思っています。

インターンや協力隊の募集も定期的に発信されますので、興味がある方はぜひ斜里町のWantedlyに「気になる」や「エントリー」をしてみてください!

地域ブランディング
北海道・世界遺産の町で! 知床ブランディング・地域おこし協力隊インターン
| 私たちが暮らす、北海道・知床の斜里町 | 北海道の東、道東と呼ばれる地域にある斜里町は、 人口約11,000人。観光・漁業・農業が盛んです。 2005年に世界自然遺産となった「知床」のある町 としても知られています。 斜里町の基本理念 「みどりと人間の調和を求めて」 知床の厳しくも美しい、それゆえ豊かな自然とともに 人は生きてきたのです。 --------- | サスティナブルという言葉が流行る、はるか昔から | 知床はサスティナブルなところ。 クラウドファンディングの先駆けともいえる 「しれとこ100平方メートル運動」は 1977年からのスタート。 最近でも、 「SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。」を コンセプトとした知床ブランディングを軸に 大自然にインスパイアされるテレワーク、 企業版ふるさと納税などを積極的に推進。 持続可能で、多様性に富んだ地域を目指しています。
斜里町


知床に初めて来られた方は、みなさん「写真で見るのと体感するのではまったく違う。来てみて本当によかった」とおっしゃいます(同感!)。移住体験なども定期的に行っていますので、まずは旅行でも!一度知床・斜里町に来てみてください◎


このストーリーが気になったら、遊びに来てみませんか?
北海道・世界遺産の町で! 知床ブランディング・地域おこし協力隊インターン
斜里町では一緒に働く仲間を募集しています
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