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【CHROインタビュー】性善説のカルチャーを貫きながら、組織の急拡大は支えられるのか?現役の社労士が挑むWewill人事部のミッション

Wewillでは、分業管理プラットフォーム「SYNUPS(シナプス)」を展開し、士業の専門知識にもとづくバックオフィス業務支援を行っています。2024年12月には、総額2億4600万円にのぼる資金調達を実施し、事業のスケールアップを目指して本格的なIPO(新規株式公開)準備に入りました。

そんな中、メンバーの自己決定を信じて委ねる「独立自尊」のカルチャーを貫きながら組織を大きくすることは、重要な課題となっています。そこで今回は、取締役/CHRO(最高人事責任者)の竹内俊人さんに、人事部のミッションやWewillの組織づくりについて聞きました。

実は、現役の社会保険労務士でもある竹内さん。複数の企業を見てきたその目に、Wewillの組織のあり方はどのように映っているのでしょうか?

プロフィール|
静岡県浜松市出身。美容師としてキャリアをスタートし、20代中盤まで働く。身体を壊したことをきっかけに全く畑違いの社会保険労務士業界へ転身。約15年、中小企業の人事労務管理に携わる。その間、助っ人として娘が通う保育園の事務長を務めるなど、多様な経験を積む。2023年4月、Wewillに入社。2023年12月より取締役/CHROに就任。

「性善説の組織運営を維持しながら上場する企業が生まれたらすごい」という驚きから入社

――まず、Wewillにジョインしたきっかけを教えてください。

竹内:ジョインの決め手は、WewillのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、とくに「独立自尊」の理念でした。メンバー一人一人の力を信じ、性善説に基づいた組織運営を貫くスタイルは、他社ではなかなか見られないものでした。

組織マネジメントには、性善説(Y理論)と性悪説(X理論)という二つの対立する考え方があります。性悪説は、「人は本来怠ける性質があり、放っておくと自ら責任を果たそうとはしない」という前提に立ち、ルールや管理を徹底して社員の行動を統制する考え方です。一方、性善説は、「人は本来、自ら進んで働き、成長したいと願う存在であり、適切な環境が整えばその能力を発揮する」という考え方です。

多くの企業では、社員の善良性を信じたい気持ちはあっても、事業拡大や管理の複雑化に伴い、性悪説的な管理手法が採用されることがまだまだ一般的です。

Wewillは「独立自尊」を掲げ、ルールで縛るのではなく、カルチャーの力でメンバーの善い行動を引き出そうとしています。この理念に共感した背景には、過去にトップダウン型の組織運営により、働きがいや多様性が損なわれる現場を目の当たりにした経験があります。「性善説に基づく組織運営を維持したままIPOを目指す」という大胆な挑戦に加われることに、非常に意義を感じて入社を決意しました。

――労務管理のプロとして社労士業界で15年のキャリアを持つ竹内さん。企業のバックオフィスに対する課題感も以前からあったのでしょうか?

竹内:はい。とくに中小企業では、労務や人事の専門知識が不足しており、向き合うべき課題に十分対応できていない現場が多いと感じます。社労士としての本来の価値は、こうした中小企業に専門知を提供し経営を支援することにありますが、社労士側も日常的な労務事務や申請手続きに追われ、本質的な支援が後回しになりがちです。

こういった構造上の課題を感じていた中、自身も士業である社長の杉浦が面接の際に語った、「私たちが事務のプロ集団として振り切ることで、中小企業の事務現場は整理され、士業は本来の高レベルな価値提供に専念できるようになる」というビジョンや熱量にはすごく引き込まれるものがありましたね。

「今、この瞬間」の濃度を守りつつ、組織の急拡大に対応する

――現在のWewillの人事部が抱える課題について教えてください。

竹内:私たち人事部の課題は、「今、この瞬間」の濃密で尖ったカルチャーを維持しながら、急拡大する組織に対応することです。拡大の過程で、既存の尖ったカルチャーの角が丸くなっていくことは避けられませんが、Wewillにとってカルチャーは単なるスローガンではなく、組織を支える最重要な土台です。成長を止めずにカルチャーをいかに守っていくか、私たちは常に新しい方法を模索しながらそこに挑戦し続けています。

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――竹内さんが“メンバー個々の力や在り方を信じた性善説にもとづく組織運営のスタイル”に挑戦したい気持ちは、どのような経験から来ていますか?

竹内:先ほども触れましたが、性悪説に立った組織運営による副作用を目の当たりにしてきたことでしょうか。ある企業では、「ポケットごと剥ぎ取れ」という厳格な管理方針を採っていました。つまり、「人がお金を盗むのは、服にポケットが付いているからだ」と考え、仕組みの盲点を徹底的に排除する、ということなのですが、ガバナンスやコンプライアンスという視点でその大切さも理解できる一方、正しくその意図が伝わらない場合、疑われる側はひとたまりもありませんよね。

一方で、統制を効かせたトップダウン型の組織が目標を達成しやすいこともまた事実です。たとえるなら、自衛隊が災害支援で陥没した道路をたった一晩で復旧させるように、圧倒的に、計画的に、成果は出しやすくなる利点は明白でしょう。

しかし、多くの場合、そこに社員の多様性を許容する文脈は希薄で、社員が上司の指示命令に従い続けることによって、ときに主体性や挑戦意欲、自分の頭で考える機会までも奪われてしまうこともあるのではないでしょうか。どちらが良い、悪い、ではなく、よりよい組織運営の在り方として、これらをどう解釈すればよいのだろう……、と悩んだこともありましたね。

そうした経験から、メンバーを信じ委ねるWewillの「独立自尊」のカルチャーには深く共感しましたし、これを大切にして、より多くの人が働きがいを感じられる組織にしていきたいと強く思っているのです。

メンバーの自己決定を支え、委ねる組織運営を実現することがCHROの役割

――では、WewillにおけるCHROの役割やミッションを教えてください。

竹内:私の役割は、メンバーの自己決定を信じ、委ねることだと考えています。ボトムアップ型やフラット型の組織で、トップダウン型と同等以上の成果を出すためには、メンバーはより主体的に行動しなければなりません。そのために、メンバーが自由に考え、動ける仕組みを整え、メンバーの肚落ち感も醸成する、ということが大切で、目立たない裏方役に徹しながらそれらを実現することこそが、私の使命だと思っています。

――Wewillが目指す組織運営・組織づくりのために人事部内ではどのように取り組んでいますか?

竹内:事業が拡大してメンバーが急増しているタイミングなので、人事部のメンバーも採用をすすめ、ありがたいことに優秀なメンバーが集ってくれています。基本的には「得意を伸ばす」方向で活躍してもらえるように考えていますが、まずはHRのルーティン業務を担当してもらいながら、タスクや体制を固めていってもらっています。

それに加え、今のWewillの規模感を生かして、人事領域のキャリアをマルチに経験できる仕組みを試行錯誤で運用しています。現在試験的に取り組んでいるのは、労務・採用・総務・育成定着の4領域に分けて業務棚卸をし、各メンバーのキャリアパスを意識して、レストランのバイキング方式のように、キャリアを積みたい領域の業務を所定の配分でメンバー各自に選んでもらう、という取り組みです。

例えば、得意だったり注力したい業務には、6割の労力をかけつつ、注力領域以外の業務についても、2割、1割、1割の労力を使って担当する。その中で、ただタスクをこなすだけではなく、効率化や自動化、当社らしい施策もみずから考え実施してもらいます。

こうした仕組みによって、メンバー自身のキャリアアップも支えるとともに、仕事へのオーナーシップを醸成し、Wewillのバックオフィス全体をさらに強固なものにしようと考えているのです。

ーー日々の仕事が各自のキャリアアップやWewillのバックオフィス強化につながるのは、よい仕組みですね。

竹内:私は、バックオフィスのプロ集団である当社のバックオフィス部門を担う人事部や管理部のことを「バックオフィス・オブ・バックオフィス」と表現しているのですが、まさに人事部の業務スキルや知識はWewillの提供価値に直結しています。コンサルティング会社らしく、人事部のメンバーであっても、時に人事労務コンサルタントとしてクライアントのバックオフィス業務も担当するため、社内の誰よりも人事労務に詳しくなければいけませんし、生半可なことではクライアント先で通用しません。その分、爆速で人事パーソンとして成長できる環境は待っているのですが。

「くだらないルール」は作らない。採用市場で評価される人材が育つプラットフォームを目指す

――メンバーが急激に増えていく段階の組織運営において、竹内さんが大切にしていることは何でしょうか?

竹内:「くだらないルール」は作らず、いかに効率的な運用を実装するかを常に考えています。Wewillらしさは「独立自尊」に集約されます。この概念が成り立っている限り、社員の行動を縛る細かなルールは究極必要ないと考えています。

一方で、コンプライアンスや労働法は徹底遵守しています。世の中には“飛び道具的な人事施策”も見受けられますが、その人事施策が労働法上どのように解釈され、無理なく運用できるかを十分に検討し、精緻な意図と設計をもって導線を整理することは強く意識しています。現役社労士でもある私の本領でもありますが、ダンスフロアの土台をがっちり固めるからこそ、メンバーは“自由に踊れる”と考えているのです。

――最後に、竹内さんが考える理想的なWewillの組織のあり方について教えてください。

竹内:Wewillという企業が、メンバーの成長を支える良質なプラットフォームであり続けたいですね。私たちは「一人の幸せ、組織の意味」を人事理念に掲げています。本来一人一人の掲げる幸せなど、企業は関知しないことですが、一方で、一人一人が幸せで整ってくれていないと、企業運営はたちまち立ち行かなくなるのもまた事実ではないでしょうか。メンバーには仕事、仕事以外を問わず、多様な個性を育みながら、大切なことを大切にできる人生を送ってもらいたい、と切に願っています。

未経験でジョインしたメンバーがいつの間にか成長した姿を見るのは、会社としても大きな喜びです。Wewillで育った未経験メンバーが、いつの間にか転職市場で非常に価値の高い人材となっていて、究極的には、他社で新たな挑戦をする日がきたとしても、その成長の結果を肯定できるような懐の深い企業でありたいですね。

労働力人口が減少している中で、優秀な人材を一社に縛り付けるのは得策とはいえません。退職を過剰に慰留するのではなく、Wewillを巣立った後に再登板(再入社)できるような、常に柔軟な組織を目指し、進化を続けています。

一方で、経営陣としては、当然メンバーが「残りたい」と思える組織を目指しつづけます。他社も見た上で、わが社に残ることを選んでもらえるような、魅力的な組織を目指す、ということですね。そのような健全な関係性が生み出す相乗効果。その中で個々が輝き、組織全体が成長していく。それが私たちの目指すフラットな組織の真髄なのです。


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