自己紹介
本記事の閲覧ありがとうございます。株式会社Proxima Technology 代表取締役の深津と申します。現在はエンジニアとして働きながら経営者の仕事もしています。
私は1991年6月に三重県の四日市市に生まれ、京都大学の理学部物理学科を卒業、同大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻で理論物理学(非平衡物理学)を修了し、電機メーカー、AIスタートアップを経験して、2018年10月に当社Proxima Technologyを創業いたしました。
子供のころからいわゆる理系少年だったのですが、直接的に役に立つテクノロジーというよりかは、身の回りの現象を説明しようとするサイエンスという分野(営み)に強く心が惹かれました。何よりも関心を持ったのは科学研究によって得られた成果そのものよりも、それを一体だれがどのようにして発見して、そしてその新しい考え方を社会の皆を説得して広めることが出来たのだろうか、ということでした。
- 地球は球体で直径は12800kmである
- 地球は太陽の周りを公転している
- 世の中の物質はすべて目に見えないほど小さな原子と呼ばれる粒の集まりで出来ている
- 光の速さに近づくほど時間の流れがゆっくりになる
- etc.
小学4年生の時に物理学という学問が上記のような疑問に答えてくれるということを知り、そこから物理学者を目指すことを決意しました。
特に心惹かれたのが理論物理学と呼ばれる分野で、これは既存の実験事実と深い洞察に基づいて、数学という道具を使いこなし今までにない全く新しい結論を導くことが出来るという、まさに人間の知性の勝利ともいえるとても輝かしい存在に感じました。
職業研究者として生きていくことへの不安
私のキャリアの転機は大学院時代に訪れました。私は細胞のように一見するとエントロピー増大則に反しているように見える存在(散逸構造)に関心があったため、大学院では非平衡物理学を研究したいと考えその分野に進むことにしました。
ところが、非平衡物理の勉強は面白くもありましたが、アカデミアにおいては一定期間で研究成果を出さなければならないという強い圧力が存在することを身をもって体験し、自分の実力不足も相まってアカデミアに残ったとしても「純粋な知的好奇心に基づいた新しい真理の探求」という本来やりたかったことを生業にして生きていくことは不可能であると自覚し、M1の時に一般企業への就職を早々に決めてしまいました。
機械学習・制御工学との出会い
2015年、私がM2の時に世界に衝撃的なニュースが駆け巡りました。Alpha Goと呼ばれるAIが囲碁の世界チャンピオンであったイ・セドル氏を倒したということで、AI(機械学習)やそれに用いられているディープラーニングや強化学習と呼ばれる技術が一気に脚光を浴びる存在となったのです。
当時は何も知らなかったので、とりあえずPRMLを始め機械学習に関する本を読み漁ってみることから始めてみたのですが、理論物理学以外にもこんなにも面白い分野があるのかと衝撃を受け、一気に機械学習のファンになりました。
さらに月日が流れ、2社目となるAIベンチャーで製造業向けのソリューションを開発していた時に、世の中には制御工学なる分野があることを知り2度目の衝撃を受けました。こちらも理論物理学や機械学習に劣らない大変面白い分野であることが分かったからです。
そもそも世の中にはどうやら自分がただ知らないだけで物理学以外にも面白い分野が山ほどあるということが段々わかってきて、今度はそれを世間の皆にも広めたいという強い欲求が自分の中に目覚め始めました。
アカデミアの現状
私が大学院時代に研究者の道をあきらめた理由の一つが自分よりもはるかに優秀な研究者が数多くいる一方で、彼らの待遇が消して良くないという事実です。もちろん勉強と研究は別物ですし、ハーツホーンやポルチンスキーをスラスラ読めたからと言って価値のある論文を執筆できるかということはまた別問題ではあります。
そうはいっても選ぶ分野や担当教員との相性などによって優秀であっても形の残る結果を出せていない場合もありますし、運の要素は必ずしも小さくないというのが私の見解です。「極々一部の誰しもが認めるような超天才だけが研究者として残れればいいし、そうでない人は自己責任で自分で新しい職を探しなさい」、というのが現在のアカデミア(日本社会)のスタンスであるように感じますが、このようなあり方は多くの優秀な人材の活用の場を奪ってしまうような不健全な状態であり、日本社会にとっても大きな損失であるように危機感を持っています。
基礎科学研究者のポテンシャル
例えば30歳まで弦理論を研究していたような人が一般社会に就職しようとすれば、多くの企業では「30歳まで社会人経験のない実務スキルの無い人」として扱われてしまうのが現状であると思われます。通常の企業では新卒採用以外では直接的な実務経験が問われ、例えばエンジニアとして就職しようとした場合にも何年間どの言語で開発経験を積んだか、ということが最重要な項目となってきます。
しかし、私は大学・大学院時代に見てきた超優秀な方々の吸収能力(ポテンシャル)の高さを身をもって知っているつもりですので、弊社においては採用の際に直接仕事に結びつくような実務経験は問うことはせず、いかにその方が自身の専門分野を深く探求してきたか、ということを重視するようにしています。
実際に今までそういった方針で未経験の元研究者の方々にフォーカスして採用を行ってきましたが、その高いポテンシャルを発揮しエンジニアとして大変に活躍されています。
優秀な研究者の受け皿を目指して
株式会社Proxima Technologyは優秀な能力を持っているにもかかわらず、ちょっとした不幸なボタンの掛け違えで進路に困っている方々に新しい選択肢を提供できるような存在でありたいと考えています。
少しでも弊社の考え方に共感していただければ、弊社求人にエントリー頂ければ幸いです!
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