大規模なコンサルティングファームの落とし穴
コンサルタントとしてのファーストキャリアで、大規模なコンサルティングファームを選んだ場合のデメリットは以下の3つが存在します。
まず1つ目として、一緒に働く上司がプロジェクトごとに変わるリスクがある、ということです。
コンサルティングファームでは、事前に研修で仕事の進め方をインプットし、日常業務の上でもステップを踏みながら初歩的な業務ができるようになったら次の業務にチャレンジ、といった育て方はしません。基本的には、プロジェクトにメンバーとして入り、上司の指示のもと資料作成を行い、フィードバックを貰って修正を繰り返す、といった形で、ある意味職人のような育成方法が採られるのが普通です。ゆえに育成を行う上司サイドとしても、会社として標準化された教育プロセスなどは存在せず、親方としての裁量に任せられている、という環境です。
上司によって仕事を進める上で重視するポイントも当然異なることから、短ければ3ヶ月単位で上司が変わるとなると、場合によっては前回のプロジェクトと今回のプロジェクトでは、同じ資料でも真逆のフィードバックがなされる、ということさえ有り得るのです。
コンサルタント未経験からの駆け出しの状況では、ある程度の期間を固定の上司の下について、自らの型を固めてしまったほうが、コンサルタントとしての独り立ちが早くなる可能性は高いでしょう。
2つ目のデメリットとして、必ずしも自身が専門性を磨きたい分野のプロジェクトにアサインされるとは限らないリスクの問題があります。
大規模なコンサルティングファームであれば、顧客の業界やプロジェクトの内容によりチームが分かれていることが普通です。
この場合に、自身が専門性を磨きたいと考える業界やプロジェクト内容に沿ったチームに所属していたとしても、少し求めるものとは方向性の異なるプロジェクトにアサインされる可能性は大いにあります。
(例えば、SaaSシステムの導入におけるFit&Gapの検討を期待していたところ、実際にプロジェクトに入ってみると連携開発のスクリプトの実装やテストが大半であった、など)
小規模なコンサルティングファームがどちらかと言えば得意分野の一点突破の戦略を採っているのに対し、大規模なコンサルティングファームは面で抑えてエンタープライズ級の顧客のあらゆるプロジェクトを自社で受託することを目指す傾向にありますから、組織としてどうしても受託したいプロジェクトと、従業員個人がやりたいプロジェクトの方向性にズレが出てくることは避けられません。
最後に、そもそもコンサルタントとしての業務を行えない可能性がある、ということです。
コンサルタント、と聞いて想像するのは、いわゆる戦略系ファームのような、M&Aのアドバイザリーであったり中期経営計画の策定支援であったり、といった業務内容の方が多いのではないでしょうか。
あるいは、昨今のIT需要から、システム構築における上流フェーズのコンセプト策定やロードマップ定義、要件定義といった業務内容を想像する方も多いかもしれません。
しかしながら、大規模なコンサルティングファームになると、そのような超上流・上流工程のプロジェクトのみ受注し続け、抱えている社員の人件費を賄う、というのは難しくなってきます。
その問題を解消するために、単価としては上流のプロジェクトよりも安価になるものの、安定して長期的に売上を確保できる手段としてよく活用されているのが、いわゆるBPOプロジェクトや、常駐系案件と呼ばれるものです。
常駐系案件では、顧客の社内に、派遣社員のような形で入り込み、顧客側社員の指示の下に顧客側の社内業務を代行する、といった仕事の進め方が多くなります。
この場合、上流のプロジェクトで行われるような、よくイメージされるコンサルタントとしての働き方である、顧客から業務状況のヒアリングを行い、ドキュメントにまとめ、定例会議でディスカッションをし、報告書にまとめる、といった業務は全く行われません。 場合によっては、そもそも仕事を教えてくれる上司がいない状況での業務を強いられる可能性もあります。
>>>このストーリーの詳細は以下のURLからご覧いただけます!なお、FDMagazine#05③では【落とし穴に嵌らないためには】を掲載しています。
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