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売り上げ1,000億へ。経営のプロと組織を創り替えるメビウス製薬の新章とは

メビウス製薬の売り上げは、現在約100億。お客様に喜ばれる商品・サービスを届けたい思いから、できるところまでやろうと拡大していましたが、踊り場に入った感覚がありました。今こそもう一度、ブランドや組織を根底から創り替えたい。そこで、経営のプロの手腕が必要だと小野社長(※)が判断。2021年4月に経営コンサルタントの西村 豪庸さんが副社長に就任しました。西村副社長(※)に、就任までのお話や、メビウス製薬が目指す組織の姿、それに向かうための施策について、ざっくばらんにお話を聞いていきます。本記事では、西村副社長の就任までのお話と、メビウス製薬に西村副社長が感じている課題について語って頂きました。

※:当時の役職名。社長の小野、常務の沖洲は退任し、2022年4月1日よりメビウスは西村が代表を務めるインスタイルグループの傘下に入りました。この記事では、執筆当時(2021年9月29日)の役職で表記します。

西村 豪庸(にしむらひでのぶ)
INSTYLE GROUP代表、INSTYLE Inc.代表取締役CEO。中央大学法学部卒。大学在学中に飲食店を開業。その後、他業態での直営店舗、プロデュース、ファンドなどの投資店舗も含めて110店舗まで拡大し、それらをすべて売却。その頃から経営コンサルタントとしての活動を本格化させる。現在自身の企業だけで40社以上経営し、外部コンサルタントとしても多くのクライアントを持つ。2021年4月1日よりメビウス製薬副社長に就任。

「副社長就任」は会社の本気度を表すメッセージ

ーー小野社長とはどのように知り合ったんですか?

小野社長とは、2019年から面識があって、1年に1回程度、情報交換の場を持つような関係でしたね。

2021年1月に、小野社長から僕にコンサルティングの依頼をもらいました。

ーー小野社長は、西村副社長にどんなことを期待されているのでしょうか?

僕の経営しているINSTYLE GROUPは、従業員500人、40~50の会社の集合体です。それぞれの会社の社長が自己実現をしながら500億の売り上げを創っている。小野社長は、そういうことをやって欲しいと思ってくださったようです。

「それはできますけど、僕は僕のやり方しかできないですよ」と、まずはお話させてもらいましたね。メビウス製薬の製品や顧客に対する姿勢はリスペクトしています。しかし、ネットの口コミに書いてある通りの、離職率が高くていわゆるブラックな会社なら、僕が入る以前に社内での改革が必要だと率直に伝えました。

ーーたしかに、今までは社長、常務の個のパワーと、化粧品への思いが強いメンバーで、売上100億まで拡大できました。でも、その間パワーについていけない、合わないとギャップを感じてしまう社員がいて、退職が多かったのは事実ですね……

また、その口コミの中に「今まで何人もコンサルタントが出入りしているけど、うまく言っているとは思えない」というのもありましたね。そういう声があるなかでも、僕に改革して欲しいと小野社長が希望される意図を2~3ヶ月かけて伺っていきました。

「4月1日に副社長の形で入ってもらうのが、社員に対して、一番僕の気持ちが伝わると思う。常務よりも西村さんを上に置くことが、メッセージになるはず」という打診が小野社長からありました。それを引き受けて、今に至ります。

ーーそういえば西村副社長は、入社式の挨拶で「夏は軽井沢、冬はハワイにいる」と言ったとか……?

言いましたね。(笑)

「朝早く来て、夜遅くまでいて、それが正義だ」「時間が全て、出勤していることが偉い」という考え方が僕は嫌いだと、分かりやすく伝えたかったのです。必要なのは、目標を設定し、それを達成するためにアクションすること。時間や場所は重要ではないと考えています。

僕は毎年、自社の社員と一緒に「夏は軽井沢、冬はハワイ」でノマドワークをしています。

ノマドワーク実現のため、会社の経費で全社員分の宿泊場所を用意します。僕が快適に、楽しく仕事をしたくて企画しているので、自社社員の参加は自由です。目標設定に対して成果を出せるなら、時間や場所にとらわれる必要はないですよね?

メビウス製薬でも全社員分の宿泊場所を用意してほしいということではないです(笑)。ただ、僕の働く姿勢を端的に表わしているのが「夏は軽井沢、冬はハワイ」でのノマドワークだったので、その話をさせてもらいました。

朝令暮改は「氷山を避けている」だけ。目的地は変わらない

ーー西村副社長は、今のメビウス製薬にどんな印象を持っていますか?

この会社を一つの船に例えると、今までは、小野社長と沖洲常務が全部の舵を握って、右、左と全部指示している状態だったと考えています。

一部の社員は「なんで社長、朝は右って言ってたのに昼は左って言って、夜にまた右って言ってるの?」「朝令暮改も大概にしてよ」と感じ、それが離職率にもつながってしまった。

でもそれって、氷山を避けてるだけだったりします。北を目指しているのは変わってなくても、氷山があったら右に左に避ける。一方、指示されている人間には「朝右行け、昼左行け、夜右行け。それなら右でよかったはず」と感じてしまう。

メビウス製薬に限らず、多くの会社で、今お話したようなミスコミュニケーションやエラーが起こっている。だからまず、社長の目的地を決める。その目的に対して、マイルストーンとして寄るべき港を決めていく。そして、目的地到達のために、右行ったり左行ったり、氷山を避けているのが企業経営の本質です。

今、経営陣と話をしている段階ですが、メビウス製薬のメンバーは、今お話した本質が見えてないんじゃないかと推測しています。違っていたら、それは僕の嬉しい誤算になりますが。

いざ事業を渡されると「右に切れって言われなかったから、氷山にぶつかりました」というメンバーばかりでは会社が立ち行かなくなってしまう。

自分で「氷山が右にあるから左に舵を切るべきだな」と思えたり「このままだと水が足りないから手前の港で補給しましょう」と言えるメンバーが増えたら、この会社は、良い船、船団になる。上に言われて舵を切っているだけが仕事だというのは、辛いと思います。

ーー自律して仕事をしていく、ということですね。

そうですね。小野社長は僕に「自律型組織の創出」を求めています。

別の例えをしましょう。たまに、銀行やベンチャーキャピタルから、売り上げや利益が下がった企業の支援をこれ以上出来ないから、僕に請け負って欲しいと依頼が来ます。

そうした企業の社員に話を聞くと、共通することが一つあります。必ず「僕は・私は正しいです」という話から入ること。被害者意識を持っているのか「西村さんがコンサル入ったらボーナス復活しますか?」と聞いてくる人もいますよ。

そんなとき僕は「君が本当に正しかったら、今僕はここにいない。今も銀行かベンチャーキャピタルの人がいるはず」と伝えています。

社員それぞれが自律していたら、自分の会社の業績が悪くなっているのを他人のせいにはできないはずです。そういうことが積み重なって今になっている。これからメビウス製薬が目指すのは、そういう他人任せにしない「自律型組織」だということです。

メビウス製薬が目指す自律型組織ー社長と社員、企業の在り方

ーーメビウス製薬が企業成長を加速していくにあたって必要なことは何だと思われますか?

企業経営において「3億の壁」や「5億の壁」など、組織運営や経営フェーズの変化に対する課題があると言われています。なぜ「壁」が生まれるのか。その原因の一つは、社長自身が変われないからなんです。

多くの日本企業は、資本家=経営者、つまり株主=代表取締役というケースが多いですよね。資本と経営が分離されていない。彼らはゼロから起業して年商3億、5億、10億……100億、1,000億と自社を拡大していきます。しかし、企業フェーズに合わせて社長自身が変わらないから壁が出てくる。もし、資本と経営が分離していたら、社長を交代させるのが普通です。

ーー企業フェーズに合う経営者に変えるということですか?

資本と経営を分離しているアメリカでは、シードからアーリーの経営者はシードからアーリー企業をいくつも渡り歩いています。日本でも最近「この規模の企業を渡り歩きます」というようなプロ経営者が少しずつ増えてきて、社外取締役のポジションが一般的にはなってきましたが。

基本的に(売上高)30億までの社長に求められる素養と100億企業に求められる社長の素養、100億~500億の企業に求められる社長の素養はかなり違います。

また、起業家はビジネスを作る「技術者・開発者タイプ」か、営業力に非常に長けている「セールスタイプ」かの二つに分けられると考えています。僕の肌感では、日本の起業家の9割はセールスに強みを持っているのではないでしょうか。

セールスタイプの起業家の場合、売り上げが伸び続けることである程度組織の課題も隠せてしまうし、企業としてそれなりに形になる部分があります。

例えばプロダクト・マーケティング・セールスのどれか一つでも良いものがあれば、10~20億規模の企業にはなれます。3つとも良かったら30億ぐらいまでは行ける。でもそこから先、30億から50億を超えたあたりからは、ある程度組織が出来てきているのでマネージメント・仕組み化が必要でしょう。

そうしたマネジメントや仕組み化が必要なフェーズで、「俺がMVPだ」「俺が得点王だ」と、自社の売り上げに頑なにコミットし続けようとする社長の存在が企業成長を止めてしまう可能性がある。

そこで社長が変われないと、いわゆる「壁」に跳ね返されてしまう。マネジメントが行き届かなければ、いくらマーケティングが成功してもその先には行けないんです。

ーー社長が変わる、とは具体的にどんなことなのでしょうか?

社長が主力プレイヤーから変化していくということでしょうね。

起業する社長はパワフルで意思を通そうとするし、実行力もあって1人で300~500%の力を出すことができる。でもその代わり、社員は社長に合わせるために我慢しているんです。

社長に合わせるために、10~20%ずつ、社員の能力が削られていると考えた方がいいですね。社長のワクワクは社員の迷惑なんです(笑)。

例えば社長+社員10人の会社なら、80%のパワーを出す社員が10人いて800%の力になります。一方、社長はトップのパワーで400%とか、500%の力を出すんです。そうすると会社のパワーとしては1,200~1,300%になる。全員が100%の力を出すより大きくなるから、社員のパフォーマンスが落ちたとしてもこれで良いんです。

でもこれが社員100人の会社になると、いくら優秀で気力も充実している社長でも10人の時と同じようにはならない。「百人力」という言葉は現実には存在しないからです。

社長が400%の力を出しても、今度は100人が80%になっていると、8,000%に400%足して8,400%にしかなりません。一方で、社長が我慢して80%の力にして、100人が100%の力を出したら、10,080%になる。

起業してからしばらくは、社長が頑張った方が効率は良いんです。それをいつまで続けるのか、が難しい。

人間は成功体験に縛られやすいです。例えば社長がウルトラマンだとして、スペシウム光線で敵を倒せていたとするじゃないですか。でも今は鬼滅の刃なのにスペシウム光線にこだわっているなら、その成功体験には縛られず、鬼滅の刃が分かるメンバーに任せていかないと企業の成長はない。

自分が活躍したい気持ちを抑えて、マネジメントに徹する。または、自分が大切にしているラインを決めた上で、会社経営にとって重要な考えを変え続けて先頭に立ち続ける社長もいます。良い例はスティーブ・ジョブズですね。

いずれにしても、企業フェーズに合わせて社長の在り方は変化していくべきです。また、社員一人ひとりもフェーズに合わせて変化が必要だということでもあります。

売り上げ1,000億の豪華客船を一艘創るのではなく、1,000億の船団を創る

ーー企業のフェーズに合わせて社長の在り方を変えるというお話でしたが、西村副社長には小野社長のブレーキ的な役割を期待されていると言うことでしょうか?

ブレーキにもなりますし、アクセルになるべきところはなります。

メビウス製薬は、小野社長と沖洲常務のパワーで売り上げ100億まで駆け上がってしまったところがあります。前回同様、船で例えをするなら、これまでは小野社長という豪華客船一艘のみでここまで来てしまった。船団になれていないんです。

ーー前回は現在のメビウス製薬の組織課題について伺いました。その課題から、小野社長が西村副社長に求めていらっしゃることは何でしょうか?

前回も少しお話しましたが、自律型組織の創出ですね。

僕は「One for All,All for One」という言葉が、自分一人で立てる人間のためにある言葉だと思っているんです。一人一人が自分の船に乗って、航海に責任を持っている。そこで敢えて船団を作り、必要な時には助け合って目的地を目指す。それが自律型組織です。

メビウス製薬では売り上げ1,000億の豪華客船を一艘創りたいんじゃなくて、1,000億の船団を創りたい。僕の経営の目指す姿で、実際に、僕の経営しているINSTYLE GROUPでは実現し始めています。

まだ僕のエンジンが一番大きくて、乗組員も多い。でも、この間まで手こぎボートだったのに、3t、5t位になる船が増えています。良い感じの船団になってきて「順調だな」と僕は見守っているんです。

彼らの船が大きくなればなるほど、邪魔しないよう、少しずつ僕の船をサイズダウンしています。でも船団全体は大きくなっている。それでも僕と同じ目的地に行きたいと、彼らが付いて来てくれています。

ーー「一人ひとりは自律している船だけど、敢えて船団に参加するような組織」を今後メビウス製薬は目指していくということですね。

小野社長はそうおっしゃっています。でも、社内に浸透しているとはまだまだ言えないですね。だから、僕がその通訳になっていくつもりです。

小野社長にも「僕はその経営しかしたことがないし、したくない。この方法で良いならお引き受けします」という話をしたので。

メビウス製薬がそんな組織になれるよう、力を尽くします。

ーーメビウス製薬は小野社長と沖洲常務が0→1で会社を作ってきました。それも大変であり面白いことだったのですが、今、西村副社長がおっしゃったような課題があるのだと感じました。

メビウス製薬の良さを残しながら、社員一人ひとりが自律した組織になることで更に成長を目指します。難易度が高く感じるかもしれませんが、この考えにワクワクする、共感できるという人はぜひ一緒に仕事をしていきたいですね。

自律型組織に必要なマインドセットとは?メビウス製薬で取り組む具体的な改革内容を紹介

ーーこれまで、西村副社長が考える組織像について伺ってきました。こうした組織で働く人材について求めていることを教えてください。

前回の船団の話を聞いて「俺・私だって客船になれる、船団の船として役割を果たせる」と考えている人が、会社の外にも、中にも必ずいると思っています。だから「社内のメンバーは、自ら手をあげて欲しい」とこの記事を通して伝えたいですね。

求人を出すということは「今のメンバーだけでは船団を作れない」とジャッジされた状態です。求人票を見て、これなら俺・私でもできると思ったら手をあげ、その要件に見合う人材だと伝えに来てほしい。

僕も入ったばかりで、社員の皆さんとはきちんとお話できてないですし。小野社長はじめ経営陣との会議や、採用や入社時のマインドセットに入り始めている段階なので。最終面接でお会いしたのもまだ1人や2人です。

社員の皆さん一人ひとりの話は聞いていきたい。手をあげてくれた方が本当に船団の船として適性があるのか、求人票に見合うマインドセットを持っているのか確認します。

それがきっかけで適性を持っている人を見つけられたら、求人票を出した意味があると思っているんです。

ーー社員一人ひとりと話すことで、メビウス製薬に必要なマインドセットを広げていきたい、と。

広げていきたいですね。本当にメビウス製薬が自律型組織で、船団を組織するのに向いたリーダーが多くいる状態だったら、僕はここにいないはずですから。

万人が良いと思う組織ではないかもしれないのですが、自律して自由に働ける環境を自ら作っていきたい人が集まり、実現できる組織を創っていきたいんです。

社員と経営陣の関係は徹底的にフェアであるべき

ーー船団のような企業を目指すにあたり、社員と社長をはじめとする経営陣はどのような関係性を構築すべきでしょうか?

僕は社員と経営陣が徹底的にフェアであることを求めます。一生懸命働いたのに給料が出なかったら嫌ですよね? だから、経営陣は社員に給料を出します。給料をもらった以上、社員が一生懸命働くのは当たり前なんです。

経営陣がメッセージを出す時に必要なのは、お互いに努力して社員の納得力50と経営陣の説得力50を持ち合わせることだと思っています。経営陣が説得力120で社員が納得力0で良いはずがない。

社員と経営陣がフェアであることは、良いか悪いか、正しいのか否かではなく、僕の中で決めています。僕がブレたら、組織の目的がブレてしまうからです。

「レンガを積む職人の話」はご存知ですか? ある旅人が三人のレンガ職人に出会う。一人目はつまらなさそうにレンガを積んでいた。彼は「レンガを積んでいる」と旅人に言う。次に、淡々とでレンガを積んでいる人に出会う。「壁を作っている」と彼は言う。最後に出会った、楽しそうにレンガを積んでる人は「世界一の教会を作っている」と答えたという話です。

この話には、二つの注目すべき点があります。経営者は「世界一の教会を作る」と、ビジョンを見せなきゃいけないのが一つ。もう一つは「三人は全員レンガ積みという単純作業を繰り返していた」ということです。

どんな仕事や会社であろうと、単純作業を繰り返しています。例えば様々なお客様が来店する飲食業でも、朝出勤しオープン作業をします。開店後はお客様を迎え、料理を出す。最後に閉店作業をして帰る。

どんなレンガ積みなら目を輝かせて取り組めるのか。ビジョンを見せる経営者の問題だけでなく、仕事に主体的に取り組める社員の問題でもある。

主体的に取り組まない選択をした社員を非難したりはしませんが、もしその仕事が別の主体的に取り組む人や機械に奪われてしまっても自己責任ですよ、というお話なんです。

自律型組織を目指すメビウス製薬の具体的な改革とは?

ーー最後に、メビウス製薬を船団のような組織にしていくために、今後西村副社長が取り組むことを教えてください。

自分で考えて、手こぎ船から大きな船になれる人を増やしていければと思っています。もちろん、太平洋のど真ん中で船団から降ろしたりはしません。

港に寄るたびに「この船団はこれからこういう方法で、ここを目指す。嫌だったらこの港で降りて欲しい。ただし、乗ったからには全力で漕ぐように。その代わり見たことない景色に連れて行くのが僕の仕事だ」と、はっきり伝えます。

ーー経営陣がビジョンを見せるということですね。

共感してくれる人が自ら船を作って船団に参加するスタイルの経営です。この方法しか僕はしたことがないし、したくないと思っています。

ただ、今すぐ僕の理想とする経営スタイルへの移行は難しい。個人が自ら船団に参加したくなる魅力がまだ足りないので。その魅力を僕も一緒になって創っていきます。

個人側も、船団へ依存があった状態で参加してははいけないんです。あくまでも自律した個人が希望して船団へ参加している状態を創っていきたいですね。

自律した人が入社しても違和感がないように、今メビウス製薬で行われている朝礼やスローガンの唱和も、ゆくゆくは廃止したいと思っています。

ーー朝礼やスローガン唱和を廃止されるんですか?

朝礼、特にスローガン唱和は「上からのルールだから唱和しているだけ」になりがちです。それだと先生と生徒のような、指揮命令系統がはっきりした組織になってしまう。それは、僕の目指す組織ではありません。

ーー目的を共有し、それ対して皆がそれぞれ考えて行動していくということでしょうか?

そうですね。また、間違える権利が皆さんにあることも教えていくつもりです。

英語が話せる人は、何度間違えてもちゃんとアウトプットしています。一回も間違えずに英語を話せるようになる人は誰もいません。

それと同じで、擦り傷くらいの間違いや失敗は、経験した方が良いと思っていて。重大な間違いや失敗になりそうな時は僕が手助けしていきます。

ーーそのほかに、現在検討している施策があれば教えてください。

小野社長から、目標を達成した場合に一定割合を社内インセンティブにする約束を取り付けています。

数字として分かりやすい目標や、モチベーションが上がるインセンティブを提示する。その目標から自分で成果設定をし、到達し、インセンティブを獲得する。僕の目指す自律型組織の在り方です。

その途中で、会社や組織が成長する方法や社員間のコミュニケーションが円滑になる方法を僕が伝授します。ただ、これは僕がやってきた方法で、万人に通用するとは思っていません。受け手が自分で調整していく力も必要です。

魚の捕り方は教えるけど、魚は与えないということですね。

僕が教えたことを踏まえて、自ら成果を設定・達成し、インセンティブを獲得しに来るのが自律した大人です。メビウス製薬を、自律した人が自ら参加したいと感じる組織に改革していきます。

西村副社長、ありがとうございました!

実際にこの後、スローガン唱和の朝礼は廃止となり、新卒を中心に情報共有する場となり、社長は経営に専念、西村が副社長としてコンサルを務めることとなった。

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