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次の10年へ向け、技術で切り開く未来:進化し続けるビジョンと戦略

Photo by Ryan Kim on Unsplash

みらい翻訳は、2024年10月30日で設立10周年という節目の年を迎えました。
今回はCEO&CTOの鳥居(ニックネーム:danny)に、10周年を迎えた今の想いや、今後目指していきたい未来についてインタビューを行いました!

-10周年を迎えて、今率直にどんなお気持ちですか?

danny:10年続くということは、大変なことだと思っています。
チャレンジの連続で、それが上手くいったから今があると思っています。10年もよく続いたなと思うし、関係者の皆様に本当に感謝しています。これまで、常に前へ前へ、明日のこと、来月のことを繰り返し考えてきた10年でした。それは今も変わっていません。もちろん、今がゴールではないので、ここまでやってこれたという「できた証」を元に、次の10年に繋げたいという思いでいます。

「衝撃の精度」Mirai Translator®の誕生

-これまでの10年間で最も印象深い出来事は何でしょうか?

danny:事業がうまく立ち上がっていき、黒字化できたことです。
最初は何もなくて会社がどうなるかという状態が続いていたのですが、NMT(ニューラル機械翻訳)を自分たちのものにでき、且つすごいスピードで精度を上げることができ、Mirai Translator®が誕生しました。お客様から、「衝撃の精度」と言ってもらえたことも強く印象に残っています。
世の中の役に立つものを出せたと実感でき、それがしっかりビジネスとして立ち上がったことは、何よりも印象深い出来事です。

-MISSION・VISION「言語の壁を超え、新しい生活と仕事の様式をもたらす共通語の機能を機械翻訳として2028年までに作る。」について、進捗具合を教えてください。

danny:「言語の壁を越える」については、ある程度できている状態だと感じています。
その点では一部ビジョンは達成できていますが、サブタイトルである「世界のすべての人々に英語を母語とする人々と同じ体験を与える。」は、まだまだ程遠いなと感じています。進捗具合として今何合目か、と言うのは難しいですが、例えばチャットであれば、工夫すれば現状でも十分にサブタイトルのビジョンもある程度実現できていると感じています。
一方音声を含めてという点では、母語で話して通じる世界へアプローチしている渦中にあります。
また、デバイスも無く自由にコミュニケーションが取れるレベルとなると、他にも補わなければいけない部分はまだ多くあります。
MISSION・VISIONで目指しているところは、ツールを介してテキストや音声において母語で話して通じる世界を作るということ。つまり英語や外国語がわからない人が、ある程度意思疎通でき、安心できるということです。今まで外国語を使わなかった人が、機械翻訳を使って自分の世界を広げていくということを、今後も実現していきたいと思っています。

自然言語処理技術をコアに、翻訳に限らないサービスを手がけていく

-2028年の先はどのように見据えていますか?

danny:AIが及ぼす範囲は翻訳に留まらなくなっています。私たちが手がけるサービスも、翻訳に限らないところに出ていく必要があると思っています。
今は言語の変換(=翻訳)において何ができるかを考えていますが、言語の変換に限らず、私たちが持つ自然言語処理技術を世の中に積極的に提供していくべきだと感じています。
上記のことから、ビジョンについては、より広い領域をカバーするような宣言にアップデートしていきたいと思っています。今後はより広い領域をカバーするLanguage Service Platformerとして、サービスを提供していくべきだと考えています。

-具体的には今後どのようにサービスが展開されていくのでしょうか。

danny:単純な機械翻訳以上の付加価値を提供していきたいと思います。
例えば少し込み入った表現でメールを送らないといけない時に、自分でゼロから英文を考えるよりも、日本語で書いた上で機械翻訳をし、それを自分の好みにアレンジして完成させる、ということは多くの日本人にとって必要だと思っています。そしてそれを支援するということは、単純に翻訳精度が高いということではないと思うのです。なぜなら、「正しさ」はその人にしかわからないと思っています。
適切な表現になっているか、というのはその人が判断できなければいけないものであると思います。
そのため、単に翻訳をする機能ではなく、翻訳したものが自分が表現したい適切なものになっているかを確認したり、それを元に編集したりできる必要があると思います。
上記を既に具現化しているのが、当社の英作文支援というアプリケーションです。日本語英文混じりで原文を入れることができ、日本語は英語に変換され、訳文も該当の箇所を押すだけで違う候補が出てきたり、正しい単語の意味を調べられたり、もっと丁寧な表現に変えたり、文法的な間違いががないかチェックしたりできます。このようなことを経て初めてユーザーは安心できると思うのです。
ユーザーが逆翻訳(日本語英語の結果を英語日本語にして、元の日本語と比較することで翻訳結果が意図するものになっているかを確かめること)をするというのも同じことです。
このように、単純に翻訳をするだけでなく、確認やアレンジ作業を補助することで、ユーザーの生産性(読む生産性・書く生産性)を高めていく必要があると感じています。
MISSION・VISIONに「生活と仕事の様式を変える」と掲げておりますが、ユーザーが求めることの本質を捉えてアプローチをすることで、本当に生活と仕事の様式を変えていけると思うのです。
今、機械翻訳というこれまで私たちが長年やってきた技術と、生成AIを組み合わせることで、上記のことが実現しやすくなっています。様々な言語処理の技術を組み合わせて、ユーザーに最適な生産性向上のツール、アプリケーションを与えていくということは、とても重要なことだと思っています。

ユーザーが目指すゴールへアプローチする、付加価値の高いプロダクトを届ける

-今、最も脅威に感じていることは何でしょうか?

danny:LLM(大規模言語モデル)が出てきて、翻訳は多くの実現可能な言語処理機能の一部となっていることです。5年前は機械翻訳だけで十分付加価値の高いものでしたが、現在では、単純な翻訳のアプリケーション以上のものを提供していく必要があると感じています。

もちろん当社のサービスが「日本語の表現の翻訳精度が高い」と謳うことはできますが、精度は他のサービスにおいても高くなっており、一部の専門分野モデルを除けば、単純な精度だけでわかりやすい差別化をすることは難しい状況になってきています。
先の話にも繋がりますが、単純な機能の提供だけでは難しく、付加価値の高いプロダクトをしっかりと届けていく必要があると感じています。
ただ、APIのような単純な翻訳機能を提供するサービスであったとしても、大量に素早く安価に翻訳結果が欲しいということであれば、ChatGPTのようなLLMを利用したサービスに比べて優れているので、もう不要になったかというと、もちろんそうではないと思います。使うシーンを考えれば、様々な付加価値を定義でき、それが競争力となります。そのようなことも含めてプロダクトを考えていく必要があると思っています。ユーザーが目指す本当のゴールへのアプローチとしてアプリケーションを考える、ユーザーの体験を作っていく。
LLMの脅威はありつつも、お客様の価値にしっかり変えていくことが重要だと思うのです。

-組織としては、今後どのような組織を目指していきたいと考えていますか?

danny:我々はエンジニアリングの会社であると思っており、今後も技術で切り開いていきたいという思いは強く持っています。そのため、まずはエンジニアが元気でないといけないと思います。
今後もエンジニアが色々なことを発想したり提案したりできるような組織でありたいと思っています。

また、会社が持続的に発展するためには、新たなビジネス(今で言えば文書翻訳SaaS以外のもの)が、自分たちの強みを活かしながら生まれていくことが大切だと思います。これまでは、文書翻訳SaaSができたという点で0から1を作ることができましたが、それがまぐれではなく、同じような1が次々と生まれてくる必要があると思っています。これは私たちが乗り越えなければならない試練でもあります。そのためには様々なファンクションが高いレベルで必要になってきます。例えば、当たり前のことですが、セールスとしては、単に売るだけではなくお客様のニーズをしっかりと会社に戻していく、それをもとにプロダクトマネジメントは、新しい付加価値を定義しプロダクト/サービスとして仕立てていく、などです。

プロダクト/サービス開発で言えば、一発を当てに行くのではなく、何度もバッターボックスに立つこと、バッターボックスに立って失敗をしたらいかに次に行くか、次に当てるか、そこを早くできるかが非常に大切だと感じています。経営方針としても謳っている「リーンスタートアップ」がまさにそれに当たります。

いかに早回しで新しいサービスを探り当てることができるか、に関しては、顧客の声を聞くこともそうですし、開発力も含めてトータルで必要になってくるものです。これがしっかり根付いてくれば、みらい翻訳はもっと大きくなっていくと思います。まだまだ不足している部分はありますが、今後もリーンスタートアップを意識して、さらにスピードアップしていかねばと思っています。

[写真:2024年10月末に開催したみらい翻訳創立10周年記念パーティーにて、dannyスピーチの様子]

10年前にはAI技術がここまで発展するとは全く想像できませんでした。今後10年間も想像を超える状況が起きることは間違いないと思います。生活や仕事の様式が変わった未来は、皆さんが想像する言語の壁の飛び越え方とはきっと違うはずです。私たちはビジョン実現のために集まった仲間とともに新しい世の中を創造していきます。みらい翻訳の今後10年に是非ご期待ください。みらい翻訳はどんな20才になっているでしょうね。私も今から楽しみです。

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