株式会社ニューポート代表取締役 ケビン・マコーリフ 単独インタビュー
ニューポート誕生秘話
はじめに、創業のきっかけを教えてもらえますか?
創業は1994年です。当時私はロイター通信に勤めていました。40歳くらいだったのですが、自分の会社をつくってみたかったので、思い切って立ち上げました。
そこで働いているときから、いろいろアイデアを思いつき提案するタイプでした。イノベーションが好きなんだと思います。マーケティング、営業の仕事もそれはそれで楽しかったのですが、経営もやってみたいと思っていたんです。
成功する確率は低いかもしれないけれど、自信はあったので起業しました。
それに、Opportunityもあると思いました。当時の日本は流通にかかる費用が高く、販売単価も高い商品が多いと感じていました。わたしは、商品を直接輸入し、それを直接販売することで販売単価を抑えることができると考えたのです。海外には魅力的な商品がたくさんあり、ビジネスチャンスは広がっているように思いました。
当時のニューポートの強み・新規性は何だったんですか?
最初の製品は電卓でした。今の電卓からは想像がつかないかもしれませんが、当時は電卓は6,000円くらいする、結構な高級品でした。それを私たちは1,500円で販売しました。
電卓の機能はほぼ同じ。ただ、品質が日本製よりも多少劣るという商品でしたので、一般的な利用には全く問題がなく、お客様は喜んでご購入くださいました。
その後、ディスカウントショップが日本にもたくさんできました。そのため、私たちはその市場から少し離れて、特徴のある商品に重点を移します。「価格」ではなく、商品の「ブランド力(特徴)」を魅力とし、現在に至りますが、全ては電卓からはじまりました。
少し話が逸れますが、そもそも日本でビジネスをはじめたきっかけは何だったのでしょうか?
実は初めて日本を訪れたのは10代の頃です、ベトナム戦争の真っ只中でした。当時、兄が横須賀の米軍基地で働いていたので、私は大学の夏休みを利用して会いに来ました。
そして、これは本当にたまたまなんですが、とある学校の修学旅行の引率者が足りないから手伝ってくれないかと声を掛けられたんです。もともと来るはずだった引率の先生が急遽来られなくなってしまったからと。
旅行先は、日本を含むアジアでした。それがきっかけでアジア数カ国を引率者として回りました。
その後も日本にはたびたび滞在しています。というのも、スキーが大好きだったので。
冬は長野でスキー、(日本の)夏はニュージーランドでスキーをするというライフスタイルを送っていたこともあります。旅館で住み込みのアルバイトをしながら、朝と夜は番頭さんとして小遣いを稼ぎ、昼にスキーをする感じでした。
「環境への配慮は、企業の義務です」
ニューポートは現在、どういった商品を取り扱っているのでしょうか?
創業当時と変わらずあくまでもConsumer Marketing Sales 企業なので個人向けの商品を扱っているのですが、商材自体は色々です。意識的に特徴のある商品を扱い、その魅力をお客様に伝える戦略を取っています。
その他のこだわりとしては、環境に良い商品のみを扱うことを心がけています。もちろんどんな商品にも環境負荷は多少なりともあるわけですが、それでもなるべく減らす方向でいきたいと。
当社が商品・サービスを導入するかどうかの判断軸として、この3つの要素を必ず確認しています。
1.Mass Market Appeal. 幅広い層のお客様に届けられるか?
2. Patents/IP setting it Apart. 他と差別化できる特徴があるか?
3. Good for the World. 世界(人々・環境)に良い影響のあるものか?
3. に含まれる「環境」は、当社の特徴と言って過言ではありません。
特に環境に配慮しているのはなぜですか?
よく聞かれるんですが、それが企業が果たすべき義務だからというのが私の答えです。
2003年にISO14001を取得しました。創業9年目で、従業員がわずか10名しかいないときに導入し、その後もずっとサステナブルなビジネスを心がけています。
私たちはまだまだ小さい会社なので、確かに環境への影響はあまり大きくないのかもしれません。それでも、今日できることからやっていくというのがモットーです。
Making Today Better
ニューポートには現在80名ほどのスタッフが在籍していますが、その中でも活躍するスタッフの特徴は何ですか?
一番には、何か自分で作りたい、世の中をもっとよくしたいという積極性があげられると思います。辛抱強く指示を待つことや、言われたことを言われた通りにこなすことではありません。
それから、ここ20年間で世界は大きく変わりましたよね。創業以来、社会の変化を見ていて思うことなのですが、勉強できる人、学び続けられる人はやはり強いと感じています。多くの人々が変化を嫌ってその場に留まろうとするのに対し、変化をチャンスと捉えて、うまく変化を利用できる人は活躍しつづけているように思います。
ニューポートの社員には、実際にそういう積極的な人が多いのでしょうか?
どうでしょうか?(笑) 半々くらいだと思います、いろいろなタイプの人が働いているので。
むしろ私としても、いろいろなタイプの人を求めているところもあります。たとえばバランス感覚に優れている人。仕事だけではなく、家族や遊びや、あるいは自分の健康のことなど、広く物事を考えられることも大切です。
応募に際して望ましい条件などはありますか?
その人の経験というか、バックグラウンドという意味ですか? それなら、あまりこだわりはありません。
私が一緒に働きたいと思うのは自分の意思をしっかりと持った人です。
「今日のタスクは何ですか?」ではなくて、今日は何ができるかを考え、行動する人と一緒に働きたいですね。なので、その人の背景はそこまで重視しません。
『Making Today Better』という標語を、今期のスローガンとして社内に掲げています。毎日、その日をより良くするために取り組み続けることを掲げています。小さな改善を重ねていくことが大切だと思っているからです。目の前のことを頑張って、社会をよくしていきたい、良いビジネスをしたいという気持ちが何よりも大切だと思います。
今の日本と、これからの日本
ケビンさんからみて、日本の働き方はどう思いますか?
優秀なのに、人の目を気にしすぎる人が多いような気がします。
たとえば周りに迷惑がかかるから有給を取らない人もいますが、それは望ましいことなんでしょうか?
仕事の場面でも、アサインされる前に自分から手をあげられる人は少ないです。素晴らしい意見を持っているのに、配慮してしまってそれを口に出さない人も大勢います。
いま求められているのは、自分なりの意見を持ち、それを伝えて実行できる人なのではないでしょうか。言うべきことはちゃんと言い、周りを巻き込んでイノベーションを起こせる人が、会社でも、社会でも活躍できる人材なのではないかと思います。
なるほど。最後に、このページをご覧のかたにメッセージをお願いします。
街にはネガティブなニュースがたくさんありますが、私としてはもっと良い社会にできると思います。
私たちはまだまだ小さな会社ですが、しっかりやっていくことが大切だと思って毎日チャレンジをつづけています。
弊社に応募してくださるかたも、そうでないかたも、みんなで良い社会を作っていければいいですね。Making Today Better からMaking Japan Better につながるように、一緒に頑張っていきましょう。