会社を継いで経営者になるとは、どういうことなのか?
コロナショックによる経済的大打撃のこれからの荒波の時代、
次世代リーダーが身につけておかなければならない「覚悟」と「心得」とは?
実家の家業は、110年を超える総合建設会社 西田工業株式会社。
京都の福知山に本社を構え、20年前から業界規模が半減しているにも関わらず、堅実な経営を貫き、右肩上がりの成長を続けています。2009年には創業100年の模範企業として京都府知事から『京の老舗』として表彰を受賞。「挑戦と変革」をテーマに掲げる、6代目社長の西田吉宏社長にお話をお伺いしてきました。
【経歴】
西田 吉宏 (にしだ よしひろ)
西田工業株式会社 代表取締役社長 1975年生まれ。
大学卒業後、家業である西田工業株式会社へ入社。
同社の基幹事業である建築·土木事業にて、顧客視点での現場管理や顧客対応、協力業者対応などの業務を学ぶ。後に様々な部署を横断しながら、一級建築士、一級建築·土木施工管理技士、宅地建物取引士などの資格を取得。
2018年1月末に、同社社長へ就任。
Q.子どもの頃から家業を意識されていましたか?
A.「継いでほしい」と言われたことは一切なかったんですね。
ただ、「私が生まれ、育ったときに先代、先先代が側にいたためか、家業の存在は自然と意識していましたし、事業継承者としての自覚が育まれたように思います」。
地元では、家業が有名だったので、
中学生になった頃には、「ぼっちゃん」と呼ばれることもありましたね。(笑)
また、地元の商工会議所では、祖父が会頭というトップのポジションを務めていることもありました。
そのため、会社の看板を背負っている感覚と、
下手なことはできない、何かして迷惑をかけられないということで
真面目な学生時代を過ごしていました。(笑)
高校を卒業した後は、親元から離れたいという一心で、
石川の大学へ進学しました。
交友関係は、ゼロからのスタートになりましたが、
全く新しい環境は、刺激的な毎日で、自由に羽を伸ばせた大学時代だったんです。
Q. 家業に入られたきっかけは何だったのですか?
A.実は、大学卒業後、家業に就職するか、他社に就職するか悩んでいたんです。
そんな中、家業に入社を決めたのは、祖父の影響が大きかったですね。
祖父から、ウチの会社に入るよう強い要請があったからです。
今振り返っても、この選択は良かったと思っています。
私にとって誰よりも尊敬している祖父と一緒に仕事をし、
その姿を見ることが出来たのが、
私が家業を発展させなければならない源泉に繋がっているとも言えます。
Q.そのあと、どのようなタイミングで社長に就任されたのでしょうか?
A.入社してから、様々な事業部、部署でキャリアを積み重ねて役員へ就任。
最終的には2018年1月に6代目社長になりました。
そのキャリアアップの中で、当時の西田工業を客観的に見たときに、
出る杭は打たれるような挑戦しづらい風土がありました。会議一つとってみても、
役員ばかりが発言をしていて、社員はなかなか意見を言えない状況があったと思ってて。
社長に就任時には、
トップダウンではなく、ボトムアップな組織を作っていきたいと強く思いました。若手の芽を摘むのではなく、自由に発言ができる環境、チャレンジできる空気感を作ると意気込んでいました。
Q.6代目社長となってからは、どのような取り組みを進められてきましたか?
A.以前からあった社是·社訓に加え、理念とビジョンを新たに定め、
役職員全員が同じ方向を向いて仕事できるよう
社内標準をコーポレートスタンダードとしてまとめました。
他にも、会議では、結果論での発言を制限し、批判しないことを徹底しました。
また、社内電子掲示板を活用した雰囲気づくりに力を入れています。
例えば現場など皆の目に触れない所で当社が理想とする行動を取ってくれた社員についての良質情報の共有です。発信をより多くしてくれた社員とより多くその対象になった社員を称賛する制度です。
若手社員を含む全社員と面談も行い、さまざまな意見を吸い上げ、人を大切にする経営を意識して働きやすい環境改善に努めています。
これはほんの一部の取り組みで、
全社的に色々な取り組みを推進しています。
Q.今後の目標を教えてください
A.時代の変化に強い会社へ変革していきたいと思います。
昨今、コロナウイルスの影響等により、ビジネスモデルのあり方や、
事業そのものを変更しないといけない業界・業種の会社も沢山出てきています。建設業界も例外ではありません。
だからこそ、これまで110年の歴史を通じて積み重ねてきた
盤石な財務体制と、人的リソース、確かな技術力・ノウハウを活かし、
リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、
新規事業、新市場開拓など、新たな領域に挑戦することで社会に新たな価値を生み出していきたいと思っております。
当社では、これを“新たな100年プロジェクト”として始動しています。
今までと違う、新しいカタチの西田工業にシンカさせていきたいと思っています。
Q.採用メッセージをお願いします。
入社数年で現場の所長を目指してください。
これまで西田工業が長く歩んでくることができたのは、何といっても社員の確かな技術力によるものです。今後、力を入れていくのは、その技術力を継承し、更に磨いていくこと。そのため、社員を家族のように温かく見守り、じっくりと育てていこうという姿勢があります。
さらに、若い力を十分に引き出すには、チャンスを与えることが一番良いということから、入社数年で所長(施工現場で品質・工程・安全・原価を責任者として管理する役職)を任せることもあります。もちろん先輩社員がしっかりフォローをしますのでご安心ください。
若いうちから責任ある仕事に携わることで、技術・人間力ともに磨かれ、また視野も広がります。 所長になるまでは、多くのスキルや経験を身につけることが重要。入社2~3年での現場経験が技術者としての基礎を作ります。
「入社数年で現場の所長を目指して頑張りたい!」という向上心と意欲あふれる仲間を待っています!