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【アートディレクター/デザイナー・佐藤萌香インタビュー】ブランドの想いを伝えるデザインと機能性、情報量のバランスを考え、クリエイティブでJ-CATを支える

美術系大学を卒業後、複数の制作会社でブランディング・デザイン制作に携わってきた佐藤萌香さん。2020年5月頃から短期のつもりでJ-CATのコーポレートサイトのデザインに関わりましたが、「まだ知られていない日本の文化・魅力を多くの人々に届けたい」という想いから、現在までデザイン業務全般を手がけています。創業期から現在にいたるまでどのようにJ-CATを支えてきたか、そしてデザインチームの今後の目標について聞きました。

感動体験の提供に価値を見出し、創業期からJ-CATに参画

Webデザインを始めたきっかけは、学生時代にゼミの教授の伝手でWeb制作会社のアルバイトをやってみないかと声をかけられたことでした。大学卒業後、飲食店を手がける会社や紙主体のブランディングデザインをしている会社、デジタル系のブランディング・デザインを行う会社を経験。特に3社目では、大企業からスタートアップまで様々な規模のクライアントワークを担当しました。その経験によって、技術の精度が上がったことはもちろん、顧客折衝の機会も多くクライアントとどう接するかというスキルも磨くことができました。

最後に勤めた会社を退社したのがちょうどコロナ禍が始まった頃でした。デザインの勉強のため海外へ行こうと思っていたのですが、コロナ禍で中止せざるを得ない状況になり、SNSを使った募集サービスでJ-CATの求人を見つけました。コーポレートサイトをリニューアルするため「まずは1か月くらいで」という話で、最初はカジュアルな感じのスタートでした。

当初は、J-CATに長く勤めるとは思っていませんでしたが、腰を据えて働くことになったのには理由があります。メンバーとフラットに話せて、表面上のデザインというよりもサービスの魅せ方まで考えさせてもらえたこと。そしてもうひとつは、事業者様が持つ素晴らしい魅力をもっと発信していきたいと考えたことです。

私自身、個人でクリエイターとして展示や作品制作も行っていて、25~26歳の頃、西麻布のレストラン兼ギャラリーで絵を展示させてもらったことがありました。美術系大学では“クリエイターがお金儲けすることは良くない”と思う風潮があるように感じており、その影響か私もどこか抵抗感を持っていましたが、はじめて絵に価格をつけました。ギャラリーに来られるお客様とお話しするなかで、価値のあるものにきちんと対価を払って手に入れる人がいることを知りました。そして、技術力を常に磨き、時間も労力もかけて作っている方々の時間、モノに対して安すぎる価格をつけてしまうことはもったいないと感じるようになったのです。

また、あるアーティストのコンサート映像を作る仕事をした際、会場となったお寺のご住職から、お寺を取り巻く環境の厳しい現状やお寺を存続させていくことの大切さ、もっと気軽に利用してほしいという想いについてお話を伺う機会がありました。J-CATと出会いそれらの経験を思い出し、サービスを具現化するお手伝いができればと思ったのです。

「しっかりユーザーに楽しんでもらう」がUI・UXの考え方のベース

J-CATにジョインしたのは、まだ「Wabunka(現:Otonami)」のサービスが生まれる前でした。その後サービスを始めようとアイディアが生まれ、サービスの方向性やメッセージもメンバーと共に考え、はじめて「0」からプロダクトを作り上げることを経験しました。

サービスのビジュアルや雰囲気を決めることはもちろん、ターゲットやペルソナ選定から手がけた経験はとても貴重でした。この時期に体験を提供していただく事業者様と取材を通してたくさんお話しできたこと、自身で実際に体験をしたことも、UI・UXを作成していくうえで大切な経験となっています。

現在は、国内向け体験予約サイト「Otonami」、外国人向け体験予約サイト「Wabunka」、主に企業向けに日本文化体験を提供する「Wabunka Experiences」の3つあるプロダクトにおいて、UI・UXの改善、宣伝・営業活動に必要なクリエイティブの制作、パートナー企業様との案件の制作などを担当しています。体験プランを紹介する記事をチェックし、ビジュアルやトーンがブランドのコンセプトと相違がないかの確認なども行っています。

今は「0」から作り出した「1」をふくらませていく作業が中心です。「ここにこんな機能があれば」と思いながら、実現できていないものがまだまだあります。発展途上であることは、改善できる余白が多いということ。使いやすさ予約しやすさを含め、プロダクトやサービスがユーザーにとってより良くなっていくのが嬉しいですね。

UI・UXの面では、満足度を下げないためにも情報過多にならないこと、予約サイトではあるもののユーザーにとって楽しい世界観を保つことを心がけています。予約サイトである以上、“いかに望む体験を発見し、スムーズに予約してもらうか”は重要なポイントですが、UI・UXのベースには「日本の魅力をを新たに発見するきっかけとなりたい」「記事を読む時間そのものを楽しんでもらいたい」という想いがあります。ビジュアルも大切ですが、使いやすさにも注力しています。不必要な情報・機能はなるべく削ぎ落として、開発の工数を抑えることを意識すると共に、シンプルで洗練されたUIを心がけています。誇張しすぎた表現をせず、かつ魅力を伝えられるほどよい情報が含まれていること。これらのバランスを大事にしています。

より良いプロダクトをつくるために重視しているのは、俯瞰して見ること

J-CATの良いところのひとつは、ドキュメント文化だと思います。各ミーティングの議事録などもドキュメントとしてまとめており、他部署がどんなことをやっているのか、知りたいと思えばすぐに共有してもらえます。例えば、お客様の声やアンケートなどを確認して、タイムリーにデザインに反映させることができます。また、マーケティング部が継続して統計を出している数字もあるので、ダイレクトにフィードバックをもらえて、その要素をデザインに活かせることもいいところです。

また、J-CATでは定期的にユーザーインタビューを開催しています。実際にサービスを使ってくださっている方とお会いするのですが、いろいろなお話を直接聞くことができて興味深いです。生の声を聞き、サービスを使ううえでのお困りごとなど深いところまで踏み込めるのは、サービスの向上につながると考えています。

良いプロダクトを作るためには、相手(ユーザー)のことをよく知らなければなりません。その際に大事なのは、俯瞰して見ること。相手を見て「Aと言っているけれど、実はBという意見で逆の気持ちなのでは」と冷静に見極めるべきだと思っています。また同時に、一人に絞らずいろいろな人のことを俯瞰して見ることも必要です。「Aさんにとって良いと感じないものも、Bさんにとっては必要」ということもあります。何かを選択する時には俯瞰することが欠かせないと思います。

J-CATでは常に論理的思考が求められていて、行動指針にも「すべての行動をイシューから」と示されています。「こういう背景・課題があるからこうしたい」という行動が重視されるので、デザイナーでも論理的思考を磨くことができます。なぜ行うのか、ゴールは何かをしっかり掘り下げることで、納得感のあるクリアなデザインが制作できるようになったと思います。ただ、デザインは時には説明がつかないこともあり、優れた効果があるのかどうかも測れない部分があります。「ブランディングやデザインは投資」といわれることもあり、チャレンジしてみてはじめて得られるものがあります。そこがこの仕事の難しくもおもしろいところです。

デザインのチカラで「Otonami」をもっと知ってもらいたい

会社は利益を追及するものですが、デザインやクリエイティブは利益との直接的な関わりは見えにくいものです。また、クリエイティブの価格設定が、一般の方にとって適正かも分からないものです。だからこそボディブローのようにじわじわ効いてくるものだと思います。J-CATでは、飯倉さんをはじめとするメンバーが、サービス面でもビジュアル面でも「もっといいものにしたい」という想いが強く、皆がこだわりと向上心と誇りを持って仕事をしているので刺激を受けます。また、ブランディングやデザインも大切という雰囲気があるので、細部までこだわって力を入れるところは入れる、スピード感を持って制作するところはするというメリハリがあります。完成度の期待値をそろえていけるよう、よりコミュニケーションを図っていきたいです。

「Otonami」をもっと多くの人に知ってもらいたいという想いはずっと持っています。他の企業や地域とのタイアップも積極的にできたらいいですね。多くの人にJ-CATのサービスを知ってもらうために、デザインチームが挑戦できることを考えていきたいです。

J-CATは「この人に任せられる」と判断したら、フワッとしたボールを投げてもらえるスタートアップならではの社風です。働き方もスーパーフレックス制で、任された仕事をきちんとやれば自分の裁量で自由に働けます。任されるタスクは幅が広く、並行して進めていくことになります。”自走できる人”にとってとても働きやすい環境だと思います。困っていることがあった時は、部署を超えて助けてくれるオープンな文化もあります。そのために、普段から社内のメンバーとしっかりコミュニケーションを取ることが大事です。そして「こんなことをやりたい!」という熱意と、それをしっかり理論づけられる力を持っている方と一緒に働けたらいいですね。

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