日本発のハードウェアスタートアップで世界を獲る。そんな夢の元に集まったベクノスメンバーたち。彼らはなぜ大企業の安定よりも、成功が難しいハードウェアスタートアップを選んだのか。
今回紹介するのは、ベクノス初の中途メンバーの江口。現在、ベクノスの一人目の人事として、採用から組織作りまでを一手に担っています。ファーストキャリアでは大手小売業の販売職として働いていた彼女。人事とは無縁のキャリアを歩んできた彼女が、「人の力で組織を強くしたい」と思うようになったのは、ある挫折がきっかけでした。
子育てと組織作り、両方に全力でフルコミットする江口のこれまでとこれからに迫ります。
ベクノス株式会社 HRスタッフ 江口 夏絵
販売→広告営業→人材業界事務→人事とキャリアを重ね、2020年よりベクノスに参画。
ベクノス立ち上げメンバーの採用に従事。
営業での挫折がもたらした、人事のキャリア
ーーまず、江口さんのこれまでのキャリアをさかのぼりたいと思います。新卒では小売大手に入社してるんですよね。
私が就職活動をしたときは、リーマンショックの直前で売り手市場。内定も比較的とりやすい時代で、あまり真剣に進路を考えていませんでした。ただ、入るなら名前が有名なところが良いなと思っていて。いくつか内定をいただいた中で、接客に興味があったので小売業に入社しました。配属は婦人服の販売。周りのメンバーともそれなりに楽しく働いていました。
数年to Cの営業をしていると、一回の営業で大きな金額が動くto Bの営業職に徐々に興味をもつようになっていったんです。小売りの仕事もやりがいはありましたが、別のフィールドでも挑戦したい気持ちが強くなり、転職を決意しました。
ーー次の職場職種として選んだのは営業職ですね。
都会でかっこよく働く社会人の姿への憧れもあり、当時いた地方から上京して美容業界の広告営業に就きました。
青山・表参道・原宿エリアの担当として、毎日顧客先へ出向き打ち合わせや新規営業をしていました。入社前にイメージしていた都会でかっこよく働きたいという希望は叶えられたと思います。
働き始めて1年ほど経った頃、契約を取るのが難しいお客さんも担当するようになったんです。中には、広告を使うタイミングではないお客様や、私の扱っている広告とは相性が良くないのではないかと感じるお客様もいました。
私には売り上げノルマがあるため、そういったお客様にも広告枠を売らなければなりません。言葉を選ばずに言えばお客様を騙している気持ちでした。それが心苦しく、次第に自分には営業が向いていないと思うようになっていきました。
そこで、半ば逃げるように営業とは真逆の事務職として、たまたまご縁のあった人材業界へと転職しました。
ーー人材業界では何をしていたのでしょうか。
エージェントのアシスタントをしていました。
契約社員として入社したので、3年後には必ず転職しなければならない状況で働きながらも、次に自分が働くとしたら何をしたいのか、初めて自分の将来について真剣に考え始めました。人材業界での仕事は楽しかったのですが、ずっとアシスタントで良いのか不安はありました。かといって営業は向いていない。どうしようと悩み、考えてたどり着いたのが人事の仕事でした。
思い返してみると新卒で入社した会社にいた時から、人事の仕事には興味があったんです。
社内研修で得た知識を他のメンバーに共有すると、売り上げが改善したり、メンバーの考え方に変化が見られたんです。組織全体を成長させる仕組みを作っている人事の仕事が面白そうだと思い、上司に異動願いを出したこともありました。
また、人材業界では企業の方と二人三脚で採用のサポートをするメンバーの姿を見ているうちに、人の面から組織を支える仕事なら、自分に向いているかもしれないと考えました。私は、良くも悪くも目の前の人に強く感情移入するタイプ。候補者や組織のメンバー、一人ひとりと向き合うのは性に合っていると思ったんです。
そこから、転職活動を始めたのですが、人事未経験で採用してくれる会社を探すのは骨が折れました。半年ほど続けてようやく前職であるSlerへの入社が決まったんです。
人が組織を強くすると感じた
ーー前職のSIerでは人事未経験からスタートして5年間ずっと人事をされていますよね。具体的にはどんな仕事をされてきたのでしょうか。
私が入社したときは、人事部ができたばかりで、人事部長と私しかいなかったんですね。そのため、採用サイトの立ち上げから、会社説明会、インターンシップ、社員研修など、採用だけでなく人事としてやるべきことは何でもやってきました。
ーー5年間の中で、人事として思い出に残っているエピソードはありますか。
自分が新卒で採用した社員の悩み相談に乗った結果、現場で評価されるようになったことですね。
特に新入社員はうまくいかないことや失敗も多く、自分に自信をなくしてしまう社員がいました。そんな社員の話を聞き、寄り添い、時にはアドバイスをすることで沈んでいた気持ちを前向きに切り替えてもらうことができました。自分に自信を取り戻すと現場でのパフォーマンスも上がり、周囲から認められる成果を出すようになりました。
人の力で組織を強くできた経験なのかなと思います。
ーー人事として働く前と後で、江口さんの中で人事職に対する考え方に変化はありましたか。
大きくは変わらないですね。働く人が組織にとって一番大事という思いは強いままです。人事以外の仕事をやりたいとは今でも思っていないです。
ーー前職でもやりがいをもって人事の仕事されていたと思いますが、なぜ転職をしようと思ったのでしょうか。
昨年、子供が生まれたのがきっかけです。子育ては想像以上に大変で、育休中は24時間ずっと母親としての時間しかなくて、母ではない私個人の存在がなくなったような気持ちでした。育休から復帰後は自分自身の時間が出来て、仕事も家庭も全力でやるぞ、と意気込んでいました。しかし、現実は時短勤務の中でやりたいことをフルにやることは難しく、もどかしさを感じるようになりました。
もっとうまく仕事と家庭の両立ができないかと、一度立ち止まって今後のキャリアで何をしていきたいかを考えたときに、ゼロから組織作りに携わりたいと思うようになりました。
ゼロからの組織作りが出来るスタートアップの企業を探していたときにベクノスに出会ったんです。
ベクノスは心の底から貢献したいと思える企業だった
ーーベクノスとは何がきっかけで出会ったのでしょうか。
転職先の希望条件として、仕事と子育てを両立するためにフレックス・リモートワークが可能かつ、自分の力で組織作りが出来る人事一人目であること。そこに加えて、自宅が神奈川にあるため、県内にある会社とかなり難しい条件で探していました。そこに偶然マッチしたのがベクノスだったんです(笑)。
ーーすごい偶然ですね(笑)。他に転職先の条件として考えていたことはありましたか。
作っているプロダクトが自分にとって誇れるものかどうかは重視していました。自分の仲間を探すのなら、自信をもって自社を推したいじゃないですか。自分の中で納得感が無いのに採用活動はできませんから。
ーーベクノスに入社を決めたきっかけについて教えてください。
大きく二つあります。一つ目は、ベクノスのメンバーが作るプロダクトなら自信をもって候補者に魅力を伝えられそうだと思ったこと。私が面談を受けた時点では、プロダクトはまだ開発途中でしたが、RICOH THETAを世に生み出し、360度カメラの市場を造り出してきた人たちであれば、絶対に面白いものを作るだろうという確信がありました。
もう一つは、選考過程でお会いした方々の雰囲気が良かったこと。初回面談にもかかわらず、CEOの生方が直接会社説明をしてくれたんです。私が初めて面談に来た中途採用の候補者だったかもしれませんが、とても丁寧に対応してくれました。エグゼクティブ層の面談でも無いのに、なんて丁寧に対応をしてくれるんだと驚きました。
他の方とも面談で話す中で、こちらの話を真摯に聞いてくださって。スタートアップ企業というとガツガツした感じの人が多いイメージがあったのですが、穏やかで落ち着いた雰囲気で、まさに大人なスタートアップという印象を受けました。ここでなら、すんなりと馴染めそうだなと思い入社を決めました。
ーーフルタイムで働きたいとはいえ、子育てと両立する上での不安はありませんでしたか。
それが、びっくりするほどないんです。家族の協力があるのが前提ではありますが、ベクノスは柔軟な労働環境が整っていますし、働いた時間ではなく成果を見て評価をしてくれるので、自分のペースで働くことができます。勢いでとにかく頑張ろうといった雰囲気でもなく、やるときは集中してやりきる社風だからかもしれません。
関わる人みんなが「良い会社」と言ってもらえるようにしたい
(左:代表取締役CEO 生方 秀直 右:経営管理部長 伊藤孝子)
ーー働き始めてから3ヶ月経ってみて、入社前後のギャップは感じますか。
選考段階で説明を受けていたこともあり、立ち上がったばかりの会社で、これから自分たちで制度やしくみを作っていく段階だとわかっていたので、大変な事があったり、やることが多かったりする事に関しては特にギャップは無かったですね。
ギャップというか、驚いた点を挙げるとすれば、仕事のスピード感です。上司に企画を提案してから実行に移るまで、1、2週間またはそれ以上かかることも多いと思うのですが、ベクノスでは提案した瞬間にYES/NOが決まる。そのスピード感に振り落とされないように必死ですが、無駄なく、物事がどんどん前に進んでいくのは楽しいですね。
ーー今後、会社作りで挑戦したいことについて、教えてください。
社員が働きたくなる制度、組織作りですね。メインは採用業務ですが、今いるメンバーもこれから入るメンバーも働きやすい会社にできたらと思います。
今後面談で数多くの人と接点を持つと思います。出会う方、一人ひとりの声を吸い上げて施策に反映していきたいですね。仮にご縁がなかったとしても「ベクノスって良い会社だよね」と言ってもらえるのが理想です。
ーー最後に、江口さんが考える、ベクノスに合う人はどんな人でしょうか。
仕事を楽しみたいと思う気持ちと、前のめりで新しいことに挑戦する姿勢を持った人ですね。ベクノスは、まだこの世に無い新しい価値を作ろうとしている会社。ベクノスの商品は、きっと業界をリードするプロダクトになると思います。自ら道を切り開くことは簡単ではなく、不安もあるとは思いますが、その状況にワクワク感を感じたり、そこに向かって一緒に走りたいと思える人なら、満足度高く仕事ができると思います。