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モンゴル市場への中古車輸出でトップシェアを獲得するに至った話

こんにちは、CEOの一木です。今回は、当社がどのようにモンゴル市場においてトップシェアを獲得できたのかをお話ししたいと思います。

SYNC LOGISTICSは2013年に設立して、その後3年間で全国展開をさせて頂きました。現在は、国際物流の起点となる横浜・名古屋・大阪・博多のすべてにコンテナバンニングヤードを置き全国にサービスを提供しています。

通常、中古車の国際物流業者はバンニング(コンテナに荷物を積むこと)までを仕事としていることが多いのですが、当社はエンドユーザーに届けるところまでのバリューチェーンを構築。この経営戦略の取っ掛かりとしたのがモンゴル市場への参入です。

モンゴル市場への参入を決めるまで

日本の輸出港をすべて押さえて全国にサービス展開した後、次に考えたのが船に乗せた後の物流サービスも作ろうということでした。国際物流では物を流すために必要なセクションがたくさんありますが、なかでも参入障壁が高いとされているのが国境超えです。

国が違えば法律や慣習も変わるので、マーケティング力やリソースがないと国境を越えられません。なので、日本国内だけのサービスに留まる物流会社が多い。逆にいうと、海外市場に入り込んでいる物流会社は競争力を持てるわけです。

私がラッキーだったのは、前職の商社で海外との繋がりを作れていたこと。特にモンゴルには信頼できる知人が多くいたので、海外進出の取っ掛かりとなる好条件が揃っていました。

ちなみに、日本人とモンゴル人の大きな違いは決断の仕方にあると思っています。日本は農耕民族ですが、モンゴル人は遊牧民族。この違いは商習慣にも表れます。

例えば、日本では豊作になるロジックを考え、スケジュールを立てて進めていくようなビジネス傾向がありますが、モンゴルは適した土地を探して常に移動を続けていきます。

そういった意味で、モンゴルの方は日本人に比べ状況の変化に強くチャンスを掴む瞬発力と握力が強い感覚があります。決断・実行のスピードが非常に重要な環境がベースのため、もともと持っているアイデンティティが違うわけです。

新規参入で私がもっとも重視するのは、このマーケット感覚を掴むことです。どれだけ技術力があっても、前提となる定義が不明瞭な状態ではビジネスは上手くいかない。マーケットを肌感覚で理解していれば、ビジネスのスキームはいかようにでも組み立てられます。モンゴルにはコネクションも多かったのですが、市場を掴めているという点でも十分に勝算があると判断しました。

2015年、モンゴルに現地代理店を置いて「ドアtoドア」の国際物流をスタートします。

国際物流で重要なのは人とスキーム

モンゴルへの物流では、船と中国鉄道、モンゴル鉄道を使って中国とモンゴルの2つの国境を超える必要があります。そのうえ英語が通じず文化も異なるという、いわばウルトラブラックボックス状態です。周囲からは「よく参入を決めたね」と言われることが多いのですが、市場の性質と確かな情報を押さえていれば、参入障壁はグッと下がります。

情報はネットや書籍で調べられることもありますが、現地のリアルな情報をニュアンスレベルで捉えることができているかどうかで事業リスクの判定が大きく変わってきます。なので、情報源となる現地の方々と信頼関係を築くことは、モンゴルに限らず私がとても大切にしていることの一つです。

さらに情報の信頼性が高く粒度が細かいほど、経営判断の精度も高まります。つまり、現地にもっとも適したスキームを作れるということ。モンゴル市場への参入にあたっては、いきなり現地法人を作るのではなく、代理店を置くスキームにしました。理由は先述の通り、ブラックボックス部分が多く、日本人が運営するにはリスクが高いためです。

良いチーム、良いスキームを作ることができれば、もうピースは揃っている状態。あとは現場に任せていても上手く回っていきます。

では実際に私がモンゴルに行き、どのように代理店やスタッフを採用してきたのか、詳しくお話ししたいと思います。

日本とモンゴルの橋渡し役として採用したのは「白タク」の運転手

モンゴルに滞在したのは5日間。現地代理店の選定にあたって重視したのは、お互いにメリットを享受でき信頼関係を構築できるチームを作れるかという点です。チームというと社内に限定されているイメージがありますが、私は協力会社さんも含めてチームと考えています

モンゴルには物流会社が100社以上あるので、その中から事前に10社くらいリストアップして訪問しました。

現地で重点的に見たのはオフィスと倉庫の状態です。理由は、資金力や運営実態の把握です。物流は費用の立替えが多く、また、運営方法によっても収益率が変化します。オフィスと倉庫がきっちりしているかはその判断材料となります。

もう一つの観点は、やはり経営者のスタンスです。先方から見れば、日本から来た若い社長がパートナーとして新しい事業をやりたいと言っていることになるので、全員が前のめりな反応を示してくれたわけではありません。

私の提案に意欲的な反応を見せたのは、事業をもっと伸ばしていきたい成長期フェーズにあり、新規事業に取り組むメリットを高く評価してくれた物流会社さんでした。結果、代理店の選定自体は3日間で3社ほど決めることができました。

しかし、モンゴルへの参入でもう一つ問題だったのが、モンゴルでは英語を話せる人が少ないということ。現地のことは代理店に任せるとはいえ、日本からモンゴルにニュアンスレベルの情報を伝えられるスタッフが必要不可欠と考えていました。

日本語とモンゴル語を話せ、かつ当社のカルチャーを理解できるスタッフを採用したいと考え、現地で5人ほど面接しました。

結論から言うと、面接した5人からは採用せず、滞在期間中に利用していた白タクの運転手をスカウトしました(白タクは、モンゴルでは違法ではありません)。一緒に移動していたので、昼ご飯を食べたりしながら普通の会話をしていましたが、全員の面接を終えた後、一番いいなと思ったのが彼でした。

彼は当時30歳くらいで、19歳から23歳まで日本で働いていた経験がありました。語学力が格別高かったわけではありませんが、日本人の感覚を的確に捉えていました。異なる市場間における文化のギャップを埋める能力が、国際物流ではとても重要なのです。

彼なら、日本に来てビジネススキルや語学力を磨くことができるはず。そう考え、日本に帰る前日に打診して、最終日の空港に向かうタクシーの中で承諾を得ました。彼は現在も、モンゴル向けの物流でとても活躍してくれています。

モンゴルに現地法人をつくった理由

(写真|左:ZAVIMUNKH.MUNKHBAYAR 右:一木)

2015年に現地代理店を置き、モンゴルへの中古車輸出の領域ではトップシェアを獲得するに至りました。そして2018年、モンゴルにSYNC LOGISTICSの現地法人を設立しました。

一般に現地法人設立というと、もともと代理店がやっていた仕事を自社で巻き取るためと考える方が多いかもしれません。私が現地法人を作った目的は、物流にさらなる付加価値をつけて新しい収益を上げるためです。

そもそも上手くいっている代理店スキームを現時点で変える必要性はなく、さらなるシナジーを狙うなら、現地のネットワークやノウハウを活用して他分野に事業を広げるべきと考えたからです。

現地法人が仕事を奪う形になれば代理店側からの反発は避けられませんが、領域を侵さない事業展開ができれば、良い関係を維持したままモンゴルで別の収益を上げることが可能です。現地法人では、現地の物流事業者さんにとって「あったら嬉しいサービス」を中心にビジネスを展開しています。

当社のビジョンは、「全貿易事業者のパートナーへ」。これを考えたのは、私の周りの人たちがニコッと笑ってくれるようなサービスを作りたいと思ったからです。

物流事業は、スムーズに効率的に物が流れる仕組みを作れば、ステークスホルダー全員の収益性が良くなります。当社は、物の回転率を高める取り組みであれば、既存事業領域に固執せずに積極的に取り組んでいきます。

バーティカルな事業・人材を育てると誰も追いつけない

事業を展開するときに、一気に参入国を増やして水平方向に収益を上げていく方法と、垂直的に掘り下げて収益性を高めるやり方があります。私自身は、特にどちらで行こうと決めていません。なぜなら、経営判断は絶対的なものでなく、状況に応じて相対的に行うべきと考えているからです。

現時点では、当社の強みを発揮するにはバーティカルに深く掘っていく方法が良いと思っています。ニッチな国でバーティカルに事業展開している会社は、中長期的にも競争力を維持しやすい。

同時に、スタッフのキャリアへの意向も、垂直方向へと専門性を高めていきたい気持ちが働いているタイミングにあります。結婚や出産などのライフイベントも増え、今後のキャリアを考えると、バーティカルな方向に磨いていったほうがポジションを獲得しやすくなるためです。

スタッフの人生のフェーズと事業の方向性が重なっていることは、人事戦略における大事な要素です。20代から30代、40代とキャリアを重ねる中で、強く打ち出して行くポイントは変わります。それぞれのベストタイミングで上手くエネルギーを抽出してあげること。これができればスタッフと共に大きな成長を遂げることが可能になります。

事業も人も、特化した分野を持っていると強い。スタッフ自身がどんどん意思決定をして事業を成長させていく。そんな会社でありたいと思っています。

物流事業や当社に興味を持っていただけたら、ぜひ話を聞きに来てみてください。

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