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「あくなき創造」から生まれつづける新しいアイデア。創業80年のサトーホールディングスが生み出すIoTソリューションとは。【インタビュー】

「タギング」を活用した新しいソリューションの開拓

ーまず初めに、ソリューション事業統括部とはどのような部署でしょうか?

サトーが提供するアプリケーションのパッケージやクラウドのサービスなどを企画・開発し、営業推進している部署になります。

主な対象となっている市場は、大きく分けて小売業や物流業、製造業などです。それぞれの市場に合った業務効率化やオペレーション改善に繋がるようなソリューションをメインで提供しています。

また、近年センサーデータを利用したIoTソリューションによる生産性の向上に力をいれていて、私たちのお客様である企業の先にいるお客様(BtoBtoC)、つまり一般の消費者の方にフォーカスを当てたソリューションにも注目をしています。


ー消費者の方にフォーカスを当てたソリューションとは具体的にどのようなものでしょうか。

私たちの事業の根幹である、人や物にIDを付与する「タギング」をベースに色々なソリューションを見つけ出しています。

例えばRFID※注1 タグは、今や多くのアパレルメーカーを中心に利用されていますが、これらはあくまで企業のサプライチェーンの中で活用されているもので、消費者自身がそのRFIDタグを何かに活用できているかというと、そうではありません。そこで、新たな技術を海外とアライアンスを組んで開発するなどして、消費者(toC)への活用にフォーカスを当てられるような取り組みをしています。

※注1 RFID:radio frequency identifierIDの略
情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、および技術全般を指す。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

直近ですと、日本航空株式会社と株式会社野村総合研究所と弊社共同で、IoTを使った取り組みをはじめています。

ニュースリリース

IoT技術を活用した空港ラウンジでの新しいサービスの実証実験を12月4日から開始
~デジタルテクノロジーを活用してお客さま一人一人に寄り添ったおもてなしを~ 日本航空株式会社 株式会社野村総合研究所 株式会社サトー 日本航空株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:赤坂 祐二、以下「JAL」)、株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長:此本 臣吾、以下「NRI」)、株式会社サトー(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:小沼 ...
http://www.sato.co.jp/topics/2019/12-03-iot-123.html

JALのファーストクラスラウンジでは、お客様が食事を注文することができます。従来は注文した食事ができると、渡されたタグが鳴り、お客様自身で品物を取りに行っていました。ショッピングモール等にあるフードコートを思い浮かべていただけますと、分かりやすいかと思います。

しかしながら、お客様にラウンジで快適な時間を過ごしてもらいたいと考えたとき、果たしてお客様が注文した品物を、自らが取りに行くことが顧客満足に繋がっているかというと、決してそうでもないですよね。そこで、私たちの位置測位の技術を利用したスマートフォンアプリ「JAL Lounge+」を開発しました。

アプリで食事の注文やスタッフを呼ぶことができるだけでなく、どの席のお客様が何を注文したかをスマートフォンの位置を検出することで、配膳サービスが成立するようにしました。


ーかなり精密な位置情報が必要ですね。

そうですね、現在ですとおおよそ30cmほどの誤差でキープしています。

今までは、タギングと呼ばれるバーコードやRFIDは、読めば情報が入ってくるもののその先でやれることが限られていて、どうしても静的なデータになりがちでした。しかしながら近年ではIoTやセンサー等を利用して連続のデータが収集できるようになったため、動くデータをいかにお客様の価値に繋げていくかというところに取り組めるようになりました。



あくなき創造から生まれるアイデア

新しいサービスの開発はどのようにスタートするのでしょうか?

私たちは卸や小売を介する間接販売よりも直接販売の比率の方が圧倒的に多いです。日本国内でも3万5千~4万のアクティブなお客様とお付き合いをさせて頂いており、ダイレクトにお客様の生の声が聞けることは非常に大きな強みです。

そのような中からお客様の課題を伺い、それを今ある技術もしくは少し先の技術を使い、できることをお客様と一緒に想像しながら、開発しています。


ー多くのアイデアが生まれる秘訣はありますか?

弊社の社是は、「あくなき創造」です。常にお客様の声を聞きながら、社員一人ひとりがどうすればお客様の新たな価値の創造に繋がるかということを考える思考は、ずっと根付いていると思います。

例えばディスカッションの時間を多く取り、一人ひとりがベンチャー精神を持って「事業を作ってやろう」ぐらいの気持ちで、様々なアイデアを出しています。また、そのような環境を作るように心がけています。そのため、自ら発信していくようなアグレッシブな社員が多いですね。アグレッシブだからこそ出てくるアイデアもたくさんあります。

「こういう物をいつまでに作りましょう、分かりました。」というだけではなく、全員が主体性を持ってお客様にとってどういったものが価値に繋がるのか、社会に対してどう貢献できるのかということを常に考えています。


ー事業部同士の連携やアイデアを交換する機会も多いでしょうか。

多いですね。例えば、とある物流企業で導入いただいている倉庫内経路案内ソリューションVisual Warehouseも、営業チームと事業部とのコミュニケーションの中から生まれたものです。

日本国内の人手不足もあり、製造現場や物流現場では外国籍の方も含め、様々なバックグラウンドの方の活躍が多くなってきています。そのような中で従業員の固定化が難しく、スキルの異なった人が現場を支えるようになったとき、熟練作業者じゃないとできないような現場だと、生産性が日によって変化してしまいます。

そこで、カーナビのように倉庫内の商品をピッキングするためのナビゲーションの仕組みを作ったのが「Visual Warehouse」です。今では様々なところでお使い頂いていますが、このシステムの導入によって人の経験やスキルに依存することなく、みなさんが同じ生産性を維持できるような仕組みになりました。


「モノ売り」から「コト売り」へ。新たな挑戦に挑むメンバー

ーソリューション事業統括部の構成やメンバーについて教えていただけますか。

現在全体では40名弱ぐらい所属しており、それぞれが3つのグループに分かれています。

まず1つは、お客様のニーズから目先の課題を解決するというよりも、1つ2つ先ぐらいの課題を解決する製品やサービスを企画するグループ。2つ目はその企画したものを具現化する技術グループ。そして最後に具現化できたものを実際に市場ニーズに合わせていくプリセールスグループの3つです。これらのグループが常に連携してプロジェクトを動かしています。

メンバーは中途で入社したものが多く、ITのバックグラウンドを持ってるメンバーがほとんどです。

近年多くの企業が「モノを売る」というところから、ソリューションやサービスなどの「コトを売る」ことに変化しています。私たちも同じで、バーコードプリンターやそれらに使用するシールやラベルなどのサプライ、あるいはタグなどを提供して日本ではそれなりのシェアを頂いているんですが、お客様に対してそれを使ったコトを提供していかないといけないと考えています。私たちソリューション事業統括部がやっていることも「コト」を提供するための方法論の一つです。

ここを強化しようと考えたとき、やはり新卒を育成する時間があまり無く、この2~3年は即戦力の方に来てもらい、短いサイクルで「コトを売る」ことを動かしています。


ーこれから更に事業部を加速させる為に採用を強化されると伺っています。どのような方がご活躍できそうでしょうか?

まずはプログラムの開発など、ITに関わっている方がいいですね。また、私たちが提供しようとしているサービスや製品の市場が、さきほどお話したような小売や物流・製造などの分野になるので、そのような分野に興味がある方ですと嬉しいです。

あとは40名ほどの組織の中で、複数のプロジェクトをチームで動かす必要があるため、コミュニケーションを円滑に取れる方で、「自身がサトーの中で作った製品で、世の中変えてやる」ぐらいのチャレンジ精神がある方がいいと思います。


今後事業部で取り組んでいきたいことはありますか。

ベースになるのはやはりIoTやAI、ビッグデータがキーワードになると思います。私たちが強みにしている現場の人や物のデータをどう集めていくかと考えたとき、その手法は技術の進化によって様々変わってくると思います。

そのため、私たちはそのような技術の変化に敏感にならないといけません。ここ最近は、海外ベンチャー企業の技術開発などにもアンテナを張っています。技術の進化をしっかりキャッチをして、それが今の自分たちの事業にどうプラスに作用させていけるのかを、常に考えることが大切だと思います。


ー植田さん、ありがとうざいました!

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