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起業してから3年、使える意思決定の方法をまとめてみた

初めまして、株式会社レクリー代表の湯川です。
約3年前、大学4年の時に会社を立ち上げ、今は建設業界に特化した人材紹介事業を行なっています。

社内向けに作った意思決定に関するドキュメントが好評だったことと、絶賛採用活動中ということから、それなら社外に公開しようということで、このwantedlyを書いています。

起業してからさまざまな意思決定をする中で、役に立った考え方をまとめました。

このような方に読んでもらえると参考になるかと思います。
「優柔不断な方」「仕事で多くの意思決定を求められる方」
「大きな意思決定をしようとしている方」「レクリーが気になっている方」

目次

1.いい意思決定とは何か
    a. 精度
    b. コスト

2.意思決定のプロセス
    a. 目的設定
    b. 評価観点の設定
    c. 情報収集
    d. 情報処理

3.意思決定の種類
    a. スロー思考型とファスト思考型
    b. 合理型と感性型

4.意思決定した後
    a. 実行者の納得感を醸成する
    b. 意思決定スキルの改善

5.最後に

6.参考

1.いい意思決定とは何か

いい意思決定をするために、まず「いい意思決定とは何か?」を定義します。
ここではいい意思決定には2つの構成要素があると考えます。

a. 精度(正しさ)
b. コスト

つまり、「精度が高く、コストが低いほどいい意思決定」ということになります。
意思決定においては精度を高めるかコストを下げることでリターンが大きくなるので、このリターンの最大化を意識して意思決定するといい意思決定ができると思っています。

精度とコストについて補足します。

a.精度

ここでの精度とは、意思決定のプロセス(「目的設定」「情報収集」「情報処理」「評価観点」)をどこまで正しくできるかを指します。こちらについては大事なのであとで詳しく説明します。

b.コスト

ここでのコストは「お金」と「時間」を指します。

お金は意思決定プロセスに関与する人件費や情報収集代などを指します。

時間は意思決定が遅くなることで生じる機会損失を指します。同じ意思決定であっても早く意思決定できた方が優位になりやすく、遅くなるとその優位性が得られない機会損失が生まれやすいです。

2.意思決定のプロセス

意思決定のプロセスは以下の4つの工程から成り立ちます。

a. 目的設定
b. 評価観点の設定
c. 情報収集
d. 情報処理

これらは綺麗にa⇨dに順番に進んでいくというわけではなく、情報処理をしていたら評価観点が変わり、それに伴い情報収集をする必要が出てくるなど、バラバラに行き来しながら進んでいきます。

意思決定の精度はこれら4つの要素をいかに正しく行えるかにかかっています。逆にいうと、精度の低い意思決定はこれらのどれかが間違っているということになります。

もちろん、この地球で人間が意思決定を行う以上、全ての情報を知ることはできませんし、情報処理を完璧にすることもできません。

そのため、4つのプロセス全て完璧という状態はありませんので、あくまで一定のラインを超えているかどうかを意思決定の目安としてください。

ここからは、意思決定の具体例を挙げ、プロセスを分解して説明していこうと思います。
(ここで出てくるデータはデタラメです)

a.目的設定
ある高校生が将来の夢を考え、「テレビ局のアナウンサーになりたい」と目的を設定します。

c.情報収集
テレビ局のアナウンサーになるためのルートを調べます。すると、有名大学に入学するしか道はないことに気づきます。

b.評価観点の設定
大学選びのために何が大事なのかを考えると、
①テレビ局のアナウンサーになっているOBOGの数が多い大学
②自分でも入学できそうな大学
という2つの観点が出ました。

c.情報収集
①のリサーチすると、OBOGを調べると早稲田大学と慶應大学の人数が多いことがわかりました。

d. 情報処理
②のために自己分析すると、英語が一番の強みだと気づきます。
そこで、英語の評価比重が一番高い学部がいいと考えます。
計算した結果、早稲田の国際教養学部が一番いいと分かり、受験することを決めます。

以上が意思決定のプロセスの例でした。
これを踏まえて各プロセスの詳細の説明をしていきます。


a. 目的設定

この目的設定が間違っていれば後のプロセスは全て台無しになります。それほど目的設定は精度に大きな影響を与えるため、プロセスの中で一番重要です。

目的設定をする時に考えることは、
「なぜその目的を設定したのか?何を達成するための目的なのか?別の目的ではダメなのか?どの時間軸を重視した目的なのか?」です。

つまり「その目的の意味とその目的である理由」を角度を変えながら考え切ることが大事だと思っています。

では、以上を踏まえると、具体例にあった「テレビ局のアナウンサーになる」という目的設定は正しいと思うでしょうか?

そもそもなぜテレビ局のアナウンサーになりたいのでしょうか。もしテレビに関わる仕事がしたいのであれば、ディレクターや制作会社など他の選択肢ではダメなのでしょうか。テレビに関わること以外に好きなことはないのでしょうか。

このような問いに答えられるのであれば、これは良い目的設定だと言えそうです。

b. 評価観点の設定

「評価観点の設定」がうまくできると、「情報収集」と「情報処理」を大幅に効率化してくれ、意思決定コストを下げつつ精度を上げることができます。

評価観点の設定の時に大事なことは4つです。

・目的に沿っていること
・観点は細かくてもできるだけ多く出し切ること
・その上でどの観点がより重要なのかを考えること
・数字など実際に評価できる観点にすること

これを踏まえると、例にあった 「①テレビ局のアナウンサーになっているOBOGの数が多い大学、②自分でも入学できそうな大学(⇨英語の評価比重が高いところ)」 という評価観点はどうでしょうか。

目的に沿っているかどうかについて考えると、早稲田と慶應は生徒数が違うはずなので、数よりも率を重視した方がいいかもしれませんね。

また、そもそもなぜ多くのアナウンサーを輩出しているかという理由にも大きく依存すると思います。
仮にアナウンサー研究会というサークルがあり、そのサークルのパイプによって就活がうまくいっているとした場合、入学するだけではそのメリットを享受することはできません。

英語の評価比重が高いかどうかは数字で表せるので、分かりやすくいい観点と言えそうです。

c. 情報収集

情報収集の精度は、「情報が足りているかどうか」「情報が間違っていないか」の2つに分かれます。

情報収集で考えるべきことは、

<情報が足りているか>
・評価観点に沿う情報はあるか
・構造的に自分が把握できない情報は何か
・自分は何をわかっていないか
・定性と定量の両方があるか
<情報が間違っていないか>
・情報源に偏りはないか
・情報源の信頼性はあるか
・その情報は事実なのか解釈なのか
・その情報は変化しやすいか

では、具体例をもとに考えていきます。
“OBOGを調べると早稲田大学と慶應大学の人数が多い”とありますが、これはいつのデータでしょうか?
直近3年のデータなのか、今から20年前のデータなのかで大きく情報の精度が変わります。

また、どこがデータを出しているのでしょうか?仮にそのデータを出しているのが大学だった場合、大学はどのようにしてそのデータを集めているのかを知らなければ、データの妥当性を判断できませんね。
つまり、情報が間違っているかを判断する情報が足りていないということになります。

d. 情報処理

情報処理は「a.目的」「b.評価観点」「c.収集した情報」をもとに考えることで、他のプロセスの精度の修正を行います。

情報処理で意識すべきことは、

・目的、評価観点、情報収集で追加や修正すべきことがないか考えること
・今持っている情報から何が言えるのか推論すること
・意思決定の選択肢を出し切ること
・バイアスに自覚的であること
・論理的であること

これを踏まえて具体例をみていきます。
初めの評価観点は、「自分でも入学できそうな大学」とありましたが、自己分析をした結果、「英語の評価比重が高いところ」と評価観点を変更していますね。自己分析のやり方が気になりますが、それが正しければいい情報処理と言えそうです。

また、「テレビ局のアナウンサーになっているOBOGの数が多い大学を調べた」とあります。
仮に世の中にどんな大学があるかをあまり知らず、たまたま知っている大学の中から選んでいたとすると、もう一度情報収集した方が良さそうですね。そうすると早慶以外により良い選択肢が見つかるかもしれません。

ちなみに、意思決定の際に選択肢が2つ以上ある場合は1つの時と比べて成功率が7倍になるとも言われています(参考)。

3.意思決定の種類

ここまでで、「いい意思決定とは何か」と、「意思決定のプロセス」を知ることができたと思います。

ただ、意思決定は1日の中でも数えきれないほどしており、その中でこれまであげたことを常に意識することは難しいです。

そこで、意思決定の種類を学ぶことで、意思決定をより単純化して使いこなしやすくします。

a.スロー思考型とファスト思考型

意思決定は「じっくり考えるスロー思考型」と「クイックに行うファスト思考型」の2つに分類することができます。

特徴は以下の通り。

<スロー思考型>
・マクロ、戦略寄り
・やり直しがきかない
・方向転換にコストがかかる
・成否に時間がかかる
・実行にコストがかかる
・タイミングが重要ではない
<ファスト思考型>
・ミクロ、実務寄り
・やり直せる
・方向転換にコストがかからない
・成否短時間でわかる
・実行にコストがかからない
・不確実性が高い
・早くすることに価値がある

意思決定する際は、まずはスロー思考型かファスト思考型かどちらの意思決定をすべきなのかを考えるといいでしょう。

スロー思考型に対してはコストを多くかけてでも精度をあげた方がよく、ファスト思考型に対してはコストを下げることを優先した方がいいです。

ただ、特徴がたくさんあって意識しづらいかもしれませんね。

特徴をさらに抽象化すると、「インパクトの大きさ」「やり直しやすさ」「不確実性」「急ぐ必要性」の
4つに分けられるので、4つを意識しておくだけでもOKです。

・インパクトが大きいほど重要なのでスロー思考型。
・やり直しやすいほど意思決定の後に調整すればいいのでファスト思考型
・不確実性が高いと意思決定の精度を上げづらい(コスパが悪くなる)のでファスト思考型
・急ぐ必要性が高い(時間と共に機会損失が指数関数的に高くなるなど)ほどファスト思考型
となります。

意思決定をこの二つに分けるだけでも、いい意思決定の構成要素である「精度」と「コスト」をうまくバランスすることができます。ちなみに、多くの意思決定はファスト思考型に当てはまります。

もちろん、意思決定はスロー思考型とファスト思考型とで綺麗に分かれるわけではないため、「どちら寄りなのか?」という比重や度合いで考えてください。

b.合理型と感性型

意思決定は「論理・正しさを問われる合理型」と「感性・価値観を問われる感性型」の二つに分類可能です。

特徴は以下の通り。

<合理型>
・数字に還元できる
・目に見えやすい
・シンプル
・意見が分かれない
<感性型>
・数字に還元できない
・目に見えづらい
・複雑
・意見が分かれやすい

合理型の例としては、
「どちらの方が儲かるのか」「どちらの方が早いか、楽か」などの問題です。

感性型の例としては、
「どう生きるのがいいか」「1+1と0+2のどちらを美しいとするか」などの問題です。

合理型は「自分の外に答えがあるもの」で、感性型は「自分の中に答えがあるもの」と覚えておくと見極めやすいかと思います。

これが見極められると、無駄に悩むことが減ったり、感性型なのに無思考に情報収集するなどがなくなります。

ちなみに、感性型に対して説明責任を求めすぎると悪い方に進む傾向があります。その上で、感性型に対しても合理的納得が欲しい場合は、意思決定そのものよりも、意思決定の主体に対してフォーカスするのがいいでしょう。

4.意思決定した後

a.実行者の納得感を醸成する

あらゆる活動は「意思決定」と「実行」の二つで成り立っています。ビジネスも例外ではなく、意思決定した後には実行する必要があります。

意思決定に対する納得感が実行力に影響するため、意思決定者は実行者の納得感をケアする必要があります。

以下の条件が当てはまるとき、特に実行者の納得感を重視した方がいいでしょう。

・意思決定者と実行者が違うとき
・実行者が意思決定者を信頼していないとき
・意思決定と実行者の意見が違うとき
・実行に強いストレスがかかるとき、実行の不確実性が高いとき

そして、 実行者の納得感を上げるためにできることは、

・意思決定の背景を伝える
・実行者と意思決定プロセスを共にする
・実行者から信頼を得る
・意思決定の土台となった一次情報に触れてもらう

ただし、意思決定の速さと納得感の醸成は相反しやすいので注意が必要です。
反対に、意思決定にコストをかけるほど納得感が醸成されやすいですが、精度の追求の姿勢が欠けることにもつながるため、こちらも注意が必要です。

b.意思決定スキルの改善

意思決定は磨くことのできるスキルです。磨くためには意思決定の振り返りが特に重要になります。

意思決定が仮に間違っており修正が必要になった時、意思決定プロセスのどこに誤りがあったのかを確認しましょう。

ただし、意思決定の良し悪しの判断は難しいです。

あらゆる活動は意思決定と実行がセットでできているということは、仮に意思決定がうまくいっていなくともその分を実行がカバーすることも可能ということです。これが意思決定の振り返りを妨げる原因にもなっています。

そのため、意思決定者は表面的な結果の良し悪しではなく、意思決定と実行の成果の比重の判断をすることで、意思決定の良し悪しを判断しましょう。

5.最後に

以上、社内向け資料でした。

結局僕がここで何を言いたいのかというと、
少しでもレクリーに興味ある人、気軽に話しましょう!!

簡単にレクリーの説明をすると、

今から約1年ほど前に今の事業である建設業界に特化した人材紹介業を始めました。
一年前は僕含め2名だったのですが、今は約20名ほどの組織となり、急成長することができています!

また、最近は広告運用代理事業も始め、業界に捉われずに事業を拡大していこうとしています。
ミッションが「Just for Enjoy」で、楽しく働くことを念頭に置いており、今後もメンバーの熱量を起点に事業を作っていきます。

働く環境としては、フルリモート・フルフレックスと働きやすくなっています。社内文化の特徴としては、学びに貪欲なメンバーばかりで、学びをシェアし合う文化があります。

興味がある人は僕、採用ページから応募いただくか、wantedlyから応募してくれると嬉しいです!!

また、もし今回のnoteが役に立ったらいいね&拡散してもらえれば今後も発信していこうかなと思います!

6.参考

参考にさせていただいた記事はどれも神記事でした🙏

意思決定のROIという考え方|樫田光 | Hikaru Kashida|note
本当に意思決定が必要なことって、実は少ないかもしれない|深津 貴之 (fladdict)|note
やりなおせる失敗は、失敗ではない|深津 貴之 (fladdict)|note
やはり俺のスタートアップの意思決定はまちがっている。

採用担当より

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