「わからない。でも強く惹かれる」電源開発を軸に32年間のキャリアを積み、ヘリカルフュージョンに入社した理由。
こんにちは!株式会社ヘリカルフュージョンの採用担当です。
本日は、核融合炉のサブシステムである電源開発を担当している楠瀬さんにインタビューをしてまいりました。
- ヘリカルフュージョンに入社するまでのキャリア
- ヘリカルフュージョンに入社した決め手
- 今後の抱負
についてお話しして参りますので、「セカンドキャリアを模索している方」や「次世代のエネルギー技術に携わりたい方」はぜひ最後までご覧ください。
楠瀬智也 / 事業開発部門
広島県出身。福岡大学工学部にて電気工学を学び、電気主任技術者資格取得。NECにてOA機器の電源設計開発を12年、その後京セラ株式会社で太陽電池、蓄電池、燃料電池を使用したエネルギーシステムのパワーコンディショナ(発電用電源)の設計開発を20年、合計32年間一貫して電源の設計開発を経験。2024年10月にHelical Fusionに入社し、現在は事業開発部門にて核融合炉のサブシステムである電源開発を担当。
ー大学卒業後、電源設計開発の道に進もうとしたきっかけを教えてください。
NECに入社した当初は若かったこともあり、やりたいことがたくさんありました。その中で、最初に配属されたのが電源設計の部署で、ショックを受けた、と言うのが正直なところです。というのも、自分が思い描いていた華やかな電気の分野に比べ、電源と聞くと地味なイメージがあったので。
ですが、仕事を進めていくうちに、電源というのは「縁の下の力持ち」であり、なくてはならない存在だということに気づき、徐々に惹かれていきました。
12年が経ち、京セラに転職するタイミングでは、再生可能エネルギーや電力自由化、電気の自給自足といった分野に強く惹かれ、自分にできることは何かと考えたとき、「電源を軸にして活躍できるのではないか」と思うようになっていました。
それが、最初は疑問すら感じた電源設計ですが、気がつけば32年間ずっとそれを軸に仕事をしてきた経緯です。
ーNEC→京セラに転職した経緯を教えてください。
NECでは、主に電気を”消費する”製品を作ってきました。その中で、太陽電池で電気を”作り”、それを”自給自足し”、”売る”という新たな方向に強く惹かれるようになりました。
ちょうどその頃に、担当していた事業が他社に譲渡されることになり、「今しかない」と、京セラに転職する決断をしました。
ー転職を経て、仕事の面白さに変化はありましたか?
NECでは、社内でアナログ電気回路の設計を一から学び、回路図を描いたり、CADで図面を作成するなど、主に社内で完結する仕事が多かったです。
一方で、京セラに入ってからは、さまざまなステークホルダーとやり取りをする機会が増えました。例えば、電力会社に出向いたり、設計開発を委託しているメーカーや、認証機関とのやり取りなど、市場に製品を出すために外部の方々と連携することが多くなりました。社内だけでなく外に出て行う仕事が増え、仕事の幅が広がったことが大きな変化でしたね。
NEC時代には、設計したものが製品として世に出るという達成感や充実感はあったものの、直接お客様の声を聞く機会がありませんでしたが、京セラでは、設計自体はアウトソーシングして、製品が市場に出た後のマーケティングや、さまざまな人との交渉などを経験することができました。電気技術だけでなく、交渉力やコミュニケーション能力も必要となり、失敗もありましたが、それでも努力の結果、直接反応が返ってくるという楽しさを感じることができたと感じます。
今でも、技術者として専門性を極めることはもちろん、関係構築を大切にしており、相手の話を「聞く」ことを起点に丁寧なコミュニケーションを心がけています。
ーヘリカルフュージョンに入社した経緯を教えてください。
現在56歳ですが、50歳を迎えた頃から、このままずっと京セラで仕事を続けるべきか、それともセカンドキャリアを考えるべきかという気持ちはずっとありました。
同時に、京セラでは多くの事業や製品の立ち上げに関わらせていただき、任せていただいた恩もありましたが、「いつまでも自分が先頭に立ってやり続けるのではなく、後の世代に繋げていかなければならない」と感じていました。
そこで、まずは、自分の市場価値を知るために転職エージェントに登録し、その際にヘリカルフュージョンから声をかけられたのが入社のきっかけです。
最初は会社のことも、何をやっているのかも知りませんでしたが、話を聞いてみると、「太陽で起こっていることを地球上で再現して発電する」というもので、全く未知の世界に興味を持ちましたね。同時に「自分には無理だろう」と思いましたが、話を進めていくうちに、ヘリカルフュージョンでも電源の技術が必要であり、まさにその部分の技術を求めていると聞き、「ひょっとして役に立てるのではないか」と思うようになり、最終的に転職を決断しました。
ーヘリカルフュージョンに入社する決め手となったエピソードはありますか?
最初は「どんな会社なんだろう」と興味を持ったところから始まりましたが、ヘリカルフュージョンが掲げているビジョンやその先に見据えている未来を知っていくうちに、大変共感し、技術者としても強く興味を惹かれたことが大きかったです。
また、私は電源技術を軸に何かお手伝いできるのではないかと思いながらも、自分がどのように貢献できるのかが、これまでの経験の延長線上でははっきりと見えてこない部分もありました。ただ、「0からスタートして、それを1に持っていく」という開発の仕事が大好きで、未知の領域に対するチャレンジを魅力に感じました。「わからない。でも強く惹かれる」という感覚が、入社を決意する決め手になりましたね。
ー入社して約10日間。どのようなことをしていますか?
私の最優先の課題は、これから取り組むべき現状や、今後の課題を把握することです。なので、これまでの10日間は、ヘリカルフュージョンが蓄えている技術文書や関連資料を片っ端から読み漁り、疑問点を洗い出し、ミーティングでまとめて質問するという形で、必死にキャッチアップを進めてきました。
サポートも非常に手厚く、上長にあたる久保、そして共同創業者で代表取締役の宮澤、取締役の後藤を交えて毎週会話する機会を確保してもらっています。
ー最後に、今後の抱負を教えてください!
まずは1年以内に「電源のことなら任せてください」と言えるような状態になりたいと考えています。
入社当初、宮澤をはじめ、R&Dメンバーから「うちには電源や電気の専門家がいないから、質問されても答えられない」と言われたことがあります。もちろん多少冗談も含まれていると思いますが、自分にしかできないことがあるんだ、と素直に受け止めています。まずは、1〜2年の間で現在進行中の事業に向けて電源開発を進め、これまでの経験を活かしながら、ステークホルダーとの調整をしっかり行い、「いつまでにどのようなものを、どの程度のコストで」という具体的な道筋を示せるようになることを目指したいですね。
その先では、電源だけでなく、サブシステム全般や核融合発電炉の中核部分にも精通した技術者として成長し、最終的にはコアな部分にも対応できるよう、さらに勉強を重ねていきたいと考えています。