【社員インタビューVol.2】前回インタビューから1年。建設現場で活躍する建設重機自動化開発の最前線と、最新Techに携わるエンジニアとしての面白さを聞いてみた
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田中良道
筑波大学院在学中(博士後期課程)
前回インタビューから1年。現在は募集ポジションである先行開発のチームリーダーとして、自動化に関する機能実装プロジェクトの統括を担当されています。またご自身は、この4月から正式にARAVの正社員として入社されます。今回のインタビューでは、1年間での想いの変化と今後の可能性について改めてお話を聞かせていただきました。
ーーお久しぶりです。前回のインタビュー「大学院に在籍しながらジョイン。道具として役に立つロボットをつくりたい」から、早いですがもう1年経ちました。現在着手しているプロダクトと、ARAVでの役割の変化があれば教えてください。
田中 はい。大きくは変化していませんが、現在は弊社が提供している遠隔操作建設重機の自動化に関する機能実装を、先行開発のチームリーダーとして統括しています。現在取り組んでいるプロジェクトは春から着手しているもので、大きく分けると、自動掘削のシステム開発と、顧客から依頼があった草刈り機の自動化の開発に携わっています。全く違う開発内容に聞こえますが、実はこれらのソフトウエアには共通項があり、研究開発を進めながらそれらを見出し、ソフトウエアを統合していくことも業務の一つです。
建設現場で動かすような大型の重機は、動かすことが困難かつ危険を伴いますので、本物の重機を動かす前に、シミュレータを用いて動作を確かめる必要があります。シミュレータ本体も世の中で販売されているものはまだ少ないため、同時に開発しながらプロダクトの開発を進めています。
ーーこの4月に正社員として入社をするとお伺いしました。最終的な決め手は何でしたか?
田中 当社がターゲットにしている一つである“建設”というマーケットが面白いと感じたことが最終的な決め手です。土木工事現場はオートメーションが進んでいないマーケットであり、遠隔操作や自動化によって危険の排除や、単純作業の代替が可能と考えています。また、開発したシステムを動作させるための法的整備も比較的整っているため、社会的にもビジネス的にも面白そうだと感じました。
その他の理由として、ロボットとして見た場合の開発対象の面白さがあります。工事現場で使用されるバックホウ(ショベルカー)はご覧になられたことがあるかと思います。このバックホウは、ロボットとして考えると、「移動」と「マニピュレーション(物体操作)」の2つの要素が合体したものとみなすことができます。この2つの領域を遠隔、自動で動かすという課題は、未解決な部分も多く、非常に魅力的だと感じています。
いきなりベンチャー企業に入社することに不安はないのか?といったことを聞かれることがありますが、私にとっては、仕事が楽しいかどうか、またやりたいことかどうかが重要だと考えています。そのため、ベンチャー企業であるARAVに入社をすることに抵抗はありませんでした。むしろ大企業に入ってやりたいことができない可能性のある方が私にとってリスクであると考えています。
ーーこの1年で印象に残っている出来事はありますか?
田中 今年4月にプレスリリース(「誰でも!建機の遠隔操作が体験できちゃうサービス、開始」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000058931.html)を発表しましたが、自分が開発に携わったシステムを世の中に発信できたことは直近で一番印象に残っています。PoC開発が多いので通常業務は研究開発が中心ですが、製品としてお客様に使っていただける実感があるとやりがいに繋がりますね。
また、少しずつではありますが、企業から求められる「長く使えるもの」を作ることができるようになっている実感があります。例えば建設機械であれば、購入後は大きな問題がない限り、何年も使用することになります。さらに、使用する環境は工事現場など過酷な環境であることがほとんどであるため、ほこりや振動で壊れないよう対策するなど、極限環境下でも動く製品の製作をしなければなりません。こういうことを考えながら研究開発をしている瞬間はやりがいを感じます。
ーー今携わっているプロダクトの可能性「どんな世界を作ることができるのか」を教えてください。またそのプロダクトに第一線で携わっている技術者としてのやりがいを教えてください。
田中 「どんな世界を作ることができるのか」については、大きく二つの改革があると考えます。
一つ目は『遠隔操作による改革』です。
これまでに、4G回線を利用した長距離での遠隔操作が可能になりました。これにより、インターネットを介して、地球の裏側にいる人が機械の操作が可能になり、24時間体制で工事ができるようになると考えています。また、遠隔地からの施工による物価の差を利用することで、賃金が安い国の作業者に高い賃金を払いつつ、利益を確保するような改革に繋がると思います。
二つ目は『自律施工による改革』です。
当社の自動化プロダクトが拡大していくと、バックホウなどの熟練の操作技能が必要とされる建設機械を誰でも利用できるようになると考えています。また、無人施工や、作業内容の均一化を図ることもでき、最終的には、危険でキツい仕事は人ではなく全て機械が自動で行うようになると考えています。
すでに単純な作業から自動化を進めており、危険、キツい、汚い、単純で面倒な作業から人間を開放する大きな可能性があると思います。
技術者としてのやりがいは、自身の持つ技術で、業界全体を大きく変える可能性のある製品の開発に携われることだと思います。「やればできそうだけどまだ誰もやっていない」ことにチャレンジすることは、技術者としてこの上ない楽しみだと思っています。
ーー改めて、田中さんから見る白久社長はどのような人ですか?
田中 一見、物静かそうに見えるのですが、事業に対してとても大きな熱意があり、確実に、かつ迅速に行動し、結果を出すところが魅力です。経営者である以前に、非常に優秀な技術者なので、開発アイデアはどれも現実的でかつ面白く、一緒に働く仲間として信頼しています。
さらに社長自身が数々の会社を立ち上げた経験があるため、事業家としても尊敬することが多いです。
例えば私の考えるアイデアを、事業として実現するためにはどうしたらいいのか、普段からアドバイスをしてくれます。技術者としても事業家としても尊敬できる人です。
ーーARAVを今後、どのように成長させていきたいですか。
田中 私自身はより多くの施策を重ねて、企業成長を加速させていきたいと考えています。
現在、3倍成長戦略を立ててチームで動いていますが、この戦略を達成し続けることで、ベンチャーに必要な成長のカーブを作っていきたいと考えています。日々そのために粛々と、研究開発を行っていきます。