ベランダでレモンの木を育てている。
晩酌のレモンサワーに入っていたレモンの種を植木鉢に植えていって、もう10本ものレモンの木に。
この季節・・・だけでなく、春から秋にかけての6カ月間に4回、これらのレモンの木に与えられる試練があります。アゲハチョウの幼虫に葉をすべて食い尽くされるという試練。
春になって芽吹くレモンの新芽。夏の日差しで勢いよく芽吹く新芽。これらの新芽の成長に合わせて、アゲハチョウがやってきて、レモンの木の周りをひらひら飛び回る。
で、そのあと1週間で卵が孵化。鼻くそのカスみたいな1㎜ぐらいの黒い幼虫が葉の上に出現。みるみる大きくなり、3週間後には、さなぎに。10日ほどで羽化し、見事立派なアゲハチョウへ。
きれいなアゲハチョウの生育に我ベランダはすごく貢献しているのはうれしいんだけど、そのおかげで、せっかくのレモンの木が全然大きくならない・・・本当にイモムシの食欲はすごい(泣)
と、ここで一つ疑問。
お母さんチョウは、一体どうして、子どもイモムシの食べる葉っぱの味が分かるのだろうか
お母さんチョウは花の密を吸う。
葉っぱは食べない。
しかし、子どもであるイモムシは葉っぱを食べる。
しかもイモムシはグルメ。
決まった種類の葉っぱしか食べない。
生まれてすぐさま食べるのでお母さんチョウはイモムシの食べる葉っぱに卵を産まなくてはならない。
お母さんチョウは、一体どうして、子どもイモムシの食べる葉っぱの味が分かるのだろうか?
それで、ちょっと観察。
アゲハチョウの卵を産むところを観察してみた。
おっ! 卵を産んでいる。
ちゃんと幼虫の好きなレモンな葉っぱに産んでいる。ってことは、チョウはにおいで葉っぱを判別しているの?
で、さらによーく観察してみる
産卵の様子をよぉく観察してみると、アゲハチョウは葉にとまった後、前あしで葉の表面をトントンと、とても細かくたたいているよう。
なぜ葉をたたく?
ここからは、ネット検索。
『メスのチョウの前あしを顕微鏡で見ると、先がかぎになっていて、黄色い毛が生えている。そのあしで葉をたたくことで表面に少し傷をつけて、中から染み出す成分を前あしの毛で調べている』
のだそうだ。
ほう。前あしの毛で味を知る!?
『チョウの前あしには細胞が5つ並んでいて、そのうち4つが葉の成分を知る役割をしている。細胞はチョウの脳につながっており、レモンの味を感じる』
んですって。
ちなみに
『チョウもヒトも味を感じるときに同じ細胞を使っています。
ヒトの舌には「味蕾」があり、甘味や苦みなどの味を感じる。ヒトの舌の味蕾とチョウの前あしの感覚毛は、全く同じ構造。』
とのこと。
これはDNA研究で分かったんですって。
ひらひら飛んでいるチョウが幼虫のために卵を産む場所を選んでいるのだったら、においで嗅ぎ分けているのかなと思ったら、前あしの感覚毛で味を感じていたとは・・・。
なんて面白い。
でも、においのストリーとしては、ちょっと物足りない結果。
なので、幼虫とにおいがらみでもう一つ調べてみました。
アゲハチョウの幼虫を触ろうとすると、頭の後ろから黄色いツノがにゅっと出る。あれって、レモンの香りでとってもいいにおい。あのツノはなんだ?
『このツノは「臭覚」と言って臭いにおいを出すことで天敵から身を守る役割があるといわれています。臭角は、幼虫の防御メカニズムの一つとして非常に興味深い特徴です。普段は体内に収納されていて、必要なときにだけ出現するこの構造は、まさに「水の入ったゴム手袋」のようなもので、非常に柔軟性があります。
この臭角は、幼虫が危険を感じたときにのみ出すため、通常は外からは見えません。臭角が引っ込んでいる時は、幼虫の頭部付近の皮膚の下に袋状に収納されおり、危険が迫った際に体内の体液の圧力を利用して臭角を外に押し出し、相手を威嚇するのです。また、この臭角は黄色や赤色をしており、視覚的にも敵を驚かせる効果があります。
さらに、臭角の表面にはテルぺノイドという物質を主成分とした強い臭いを出す成分が分泌されています。この臭いもまた捕食者に対する強力な防御手段となっています。このように、アゲハチョウの幼虫は物理的および化学的な手段を使って自らを守っているのです。』
え~、私はいいにおいだと思うけど、この匂いを嫌う生物もいるらしい。
アリやカエルなどの小型の捕食者、一部の鳥類は、この匂いを嫌い、幼虫を攻撃することを避けるんですって。
ちなみにハスキー先生によると、この臭角から発生するにおいは、幼虫が食べている植物によって変わることがあるらしい。
「幼虫が食べている植物によって、臭覚から発生するにおいが幼虫の食べる植物から得る化学成分が臭角の分泌物に影響を与えるためだと考えられるんだ。
幼虫が特定の植物を摂取することで、その植物に含まれる化学成分を体内に取り込み体内で代謝されることで、臭角から分泌される化合物に影響を与える場合や、それぞれの植物には異なるテルペノイドやアルカロイドが直接臭いの組成に影響を与える場合があるようだよ。
また、生態的役割として幼虫が摂取した植物に特有の化学物質を利用することで、特定の捕食者に対してより効果的な防御を行うこともあるらしい。例えば、特定の捕食者に対して有毒または不快な臭いを発する植物を食べている場合、その臭いは捕食者に対してより強力な防御手段となるといったようなことです。
幼虫は周囲の環境に適応し、効率的な防御メカニズムを進化させているってことだね。」
なるほど。よぉくわかりました。
生物は「多様な生き方」に進化し、生き続けようとしている! ことをしっかり認識しました。
生命誌研究者の中村桂子さんは、生物の多様性についてこんなことを言っています。
「どの生物も全部細胞でできています。細胞一つ一つの中には、DNAが入っていて、重要な働きをしている。
生き物は最初はたった一つの細胞だったことが分かっています。それが38億年かけて、いろんなものに進化していった。サクラも咲いている、チョウもいる、アリも、ヒトもいる・・・でも始まりは同じ細胞!
私たちはみんな、体の中に38億年の時間を持っているのです。
始まりが一つの細胞だったら、みんな同じ形でよかったかもしれない。なのに、私たちは多様になりました。そこには「多様に生きよう」といったメッセージがあるのではないかと思うのです。」
多様に進化したわたしたちは、いろいろなにおいに反応します。
それは、意味のある反応かもしれない。ヒトのにおいへの反応について、もっと知ることで、
細胞が、私たちが潜在的に求めているものがわかるようになるかも・・・
それもレボーンのチャレンジです。
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日々の会話に、驚きと気づきがいっぱい💛
こんなレボーンの日常に興味がわいたあなた。提供している新しいにおいのサービスもぜひ参考に!
以下、公式サイトです
REVORN 公式サイト https://www.revorn.co.jp/
参考文献:「ゲノムの見る夢」 中村桂子対談集(青土社)
「生命誌とは何か」 中村桂子(講談社)
「あなたの中のDNA」 中村桂子(早川書房)
JT生命誌研究館ホームページ http://www.brh.co.jp/
「KAUNiS (カウニス) #02」 ISBN978-4-909024-01-5(印刷出版物)