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金融業界で新規事業を進める意義とは キャリア入社者インタビュー


野村ホールディングス|デジタル・カンパニー(キャリア採用)
野村ホールディングス デジタル・カンパニー(キャリア採用)
https://www.nomura-recruit.jp/career/fic/

野村ホールディングスの「デジタル・カンパニー」では、キャリア採用で加わった社員が多く活躍しています。金融業界以外から転職した人も多く、入社前にどんなことを考え、今、どんな仕事をしているのか。今回はデジタル・アセット推進室の出本勇貴(下の写真左)とデジタル戦略部の藤井康平(下の写真右)に聞きました。

金融機関だからこそできることを

――これまでの経歴を教えてください。

出本:大手証券会社でエクイティデリバティブのトレーディングを10年以上やっていましたが、次第にフィンテックに興味を持つようになりました。iPhoneやアプリが身近なものになり、テクノロジーの進化を肌で感じ、このテクノロジーを金融に生かせるんじゃないかと。そこからフィンテックベンチャーのオンライン証券会社に転職し、テーマ投資の開発・運用やロボアド事業の立ち上げなど、新しいサービス開発に携わっていました。やりがいを感じていましたが、ベンチャーでスケールするには時間がかかります。より多くのお客様にアプローチしたいと考え、同じようにデジタル・アセットに力を入れているデジタル・カンパニーに来ました。

藤井:私は前職ではマンガアプリを開発し、事業責任者としてサービスのグロースを担当していました。その業務を行う中で、日本の作家・クリエイターには経済的に報われにくい構造上の問題が存在しており、すでに出来上がったシステムの中から新しい選択肢を提示することは難しいのではないかと感じ、それまでとは違った業界からアプローチしてみたいと思い始めました。また、コンテンツ産業は今後、日本がグローバルにインパクトを出せる経済領域の一つとして考えられています。野村グループがグローバルNo.1を目指す中で、日本のコンテンツ産業の世界進出に貢献し、ともに世界に対して存在感を発揮できれば面白いのではないかと思い、現在の会社を選択しました。

――金融とソフトコンテンツがうまく結びつかないですが、デジタル・カンパニーでそれを実現する意義はなんだと考えていますか。

藤井:「金融」が、お金がなくてやりたいことができない人に、お金に余裕のある人がお金を融通するという経済活動だと考えれば、むしろメインストリームだと言えるのではないでしょうか。読者や視聴者の心を震わせたいクリエイターには挑戦のための創作活動資金を提供し、出資した人はクリエイターが面白いと感じた世界を誰よりも近くで享受できる。「クラウドファンディング」や「投げ銭」といった新しい金融的な循環を、大手金融機関という強みを活かしながらアップデートすることで、金融とコンテンツ産業の距離が目に見える形でより近づいてくると思っています。

危機感を持ってデジタル・アセットの新ビジネスを

――実際にデジタル・カンパニーでどんなプロジェクトをしているのでしょうか。

藤井:新規事業の立ち上げをしていますが、とりわけ私は野村にとって「新領域」と言える分野での開発案件が多いように思います。前述したコンテンツ領域のほか、ブロックチェーン関連のサービスでもプロジェクトマネージャーをしています。自分の前職の経験だけではなく、知見のなかった領域についても任せてもらっています。

出本:私が所属するデジタル・アセット推進室には、主に二つのミッションがあります。一つはセキュリティートークンや不動産、社債などをデジタル化してお客様に届けることです。もう一つはクリプト(暗号資産/仮想通貨)です。クリプトに関係したビジネスを立ち上げ、将来的に投資家の方々がクリプトをアセットとしてポートフォリオに組み入れていただけることを目指して業務を推進しています。

――ネット証券ではクリプトを取り扱っているところもありますが、大手の証券会社ではまだありません。そんな中、野村が注力する狙いを教えてください。

出本:デジタル・アセットに関して国内ではまだ法規制が整っておらず、資産としての裏付けが十分ではない、言ってしまえばカオスな状態です。でも実際に、DeFi(中央管理者を通さずにユーザー同士が直接取引や管理を行う金融サービス)のプロトコルに触れた時、それまで人の手を介してやってきたことが自動的に提供されていて、すごく衝撃を覚えました。もしかしたら既存の金融ビジネスをディスラプションしてしまうかもしれないという危機感を持って、次のイノベーションを起こすために新しい挑戦をできるのが、野村ならではだと思います。

日々の探求が自分の成長に

――デジタル・カンパニーに加わった当初、ギャップを感じたことはありますか。

出本:私自身は前職とほぼ同領域ですし、デジタル・カンパニー自体が新しい取り組みを率先してやろうとしている組織なので、ギャップを感じることはあまりなかったと思います。入社して約3年ですが、当時はデジタルの知見がまだなかったプロパーの方々がプロジェクトに放り込まれ、悪戦苦闘しているような印象がありました。でもその後、キャリア入社のDX人材が増えたこともあり、経験を重ねたプロパー社員の方々が率先してプロジェクトを動かしていく姿も見られ、頼もしいなと感じています。

藤井:私の場合、前職では若手社員が多かったのでマネジメント業務も多かったのですが、デジタル・カンパニーは仕事のやり方などが確立されているようなシニアが多いので、その点では自分の企画業務に集中できる環境だと感じています。意外だったのは、野村證券の常務でもあるデジタル・カンパニー長との距離が近く、トップが自ら旗を振ってプロジェクトに意見し、自分たちの仕事に関わっていることです。野村という大きな組織に対して、自分たちが影響力を発揮できるんだということを、日々の仕事で実感しています。

――特に藤井さんは異業種からの転職ですが、金融業界ならではの気づきはありましたか。

藤井:金融の人は他業界とは違った危機意識を持っているように感じます。金融は規制業種なので、金融から他業界に進出するのが難しいです。一方、他業界から金融への参入は積極的に行われており、特に顧客接点をもつIT企業の参入は大きな脅威となっています。このような状況にあるためか、個人的な体験としては、自分が部署を越えて何か提案をした場合に好意的に受け止めてもらえるケースが多いように感じます。たとえいいアイデアではなかったとしても、「金融では無理」などと突っぱねるのではなく、「ここがお客様のニーズに合っていない」などと改善すべき点を指摘していただけています。

――最後に、デジタル・カンパニーに来て、自分自身が変わったなと思うことを教えてください。

出本:デジタル・アセット領域は情報の流れや進展が早く、新しいビジネスが起きて終わるまでが数年単位ということもあります。毎日キャッチアップして、わからないことがあれば調べ、裏側はどうなっているんだろうと考え、知的好奇心があおられています。新しいことが好きで、好きなことに没頭する自分の性格はある意味、仕事に通じることがあるでしょうし、日々の探求が自分の成長につながっているように感じています。

藤井:前職がアプリの企画開発だったので、ユーザーの半径1m以内の世界について理解する時間が多かったです。一方、野村はネットワークがグローバル規模に広がっており、持っているアセットもものすごく多く、見なければいけない世界が強制的に広がっているのはありがたいなと思っています。もともとは決算書一つ読めなかった人間なんですけど、金融業界に入り、より多角的な見方や考え方ができるようになったと感じています。



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