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「好き」から繋がる可能性のファクトリー「就労支援B型事業所たびのね」_#この場所と繋がる瞬間 vol.1

※本記事はオウンドメディア「suu」より転載しています

暮らしの豊かなひとときに寄り添うSuuのコーヒー。疲れた心身を癒し、心に安息をもたらしてくれる一杯は、ていねいな手作業から生まれます。


Suuが運営する就労支援B型事業所「たびのね」。ここではおいしいコーヒーに欠かせないコーヒー豆の選別や梱包、加工を、「たびのね」に通所する利用者のみなさんが手作業で行っています。一人ひとり異なる個性を持った方々が、それぞれの「好き」を大切にしながら自分たちのペースでのびのびと働く。そうした環境から生まれるコーヒーは、手に取る人々に心地の良いひとときを提供してくれます。


Suuのおいしいコーヒーと「好き」が生まれて広がるファクトリー、「たびのね」の様子を見ていきましょう。


「好き」をつくり、「好き」の可能性を広げる

就労支援B型事業所「たびのね」では、持病や障がいによって企業で働くことが難しい方たちが、軽作業を通して就労訓練を行っています。

それぞれの『好き』という気持ちを何よりも大事にし、自分の意志と合わせた仕事を通して社会での生きがいややりがいを感じられるよう、一人ひとりのペースに合わせた様々なプログラムを行っています。



「ここをただの職場としてではなくて、居心地の良い“居場所”としてそれぞれの『好き』を見つけたり、広げたり、深めたりしてお仕事につなげていける場所にしたい。そのためにも、ホスピタリティや声掛けなど、心が温かくなり安心できるような関わりを心がけています」


柔和な笑顔と落ち着いた声でそう話すのは、福祉事業部で支援員として働く要(かなめ)さん。以前は放課後デイサービスで発達に障害のある児童生徒を支援する仕事をしていました。



「居場所を居場所たらしめるのに、人とのつながりは欠かせません。朝の始業前やお昼ご飯、休憩時間の際にはできるだけ多くのコミュニケーションを取るようにしています」


初めて来所する利用者に対しては場に馴染めるようきめ細やかにサポート。新しい環境へ飛び込むのは誰だって不安でとても勇気がいることです。だからこそ、どういったテンションやリズムで関われば良いのか、共通の趣味や話題は無いかなど、細部にまで配慮して寄り添っています。


利用者一人ひとりとていねいに関わり、それぞれの得意や「好き」を見つけ、いきいきと過ごせるようサポートをする。要はそうした心配りを日毎から心がけてきました。


「利用者さんによって得意なことや好きなことは異なります。たとえば、スピードを求められる作業が得意な方もいれば、正確無比な作業が得意な方もいる。たびのねでは、そうした利用者さんの得意や好きに合ったお仕事ができるようサポートをしています」



「ありがとう」「おいしい」のすぐそばで働く

就労支援B型事業所「たびのね」ができた背景には、「珈琲焙煎所 旅の音」の強い思いがあります。

焙煎所を立ち上げるにあたり、コーヒーを通してさまざまな人が活躍できる環境をつくれないかと模索するなかで、就労支援の事業を立ち上げることに。

「一杯のコーヒーができあがるまでに、ハンドピックをはじめとするさまざまな作業があります。そこを誰かの輝ける場や、いきいきと働ける場にできないかと考え、就労支援事業とつなげることになりました」。



たびのねの特徴は何といっても焙煎所に併設していること。お客様が手に取ったり口にしたりするような、自分たちが関わった商品とごく近い距離で働ける環境があります。

「自分たちのお仕事がすぐ近くで誰かの豊かさをつくっている。そう実感して目の前のお仕事にやりがいを感じてもらえれば嬉しいですね」



誰かの安らげる時間のために


たびのねの利用者のみなさんは、ご自身の仕事や環境についてどのように感じているのでしょうか。実際にたびのねでハンドピッキングを担当している利用者のお一人にお話をうかがいました。


「主にコーヒー豆のハンドピッキング、つまり検品のお仕事をしています。焙煎前と焙煎後、2回に分けてチェックしています。コーヒー豆が欠けていたり、虫食いがあったりすると、どうしても味が曇ってしまう。良い豆をセレクトして挽くことで、クリアな味を出すことができると聞いています」


続けて、検品の難しさを次のように話します。

「焙煎前の生豆は形状や色で見分けがしやすいのですが、焙煎すると色が変わってしまうため見分けるのが難しくなるんです。また、ある程度基準はあるものの人によって厳しく検品する場合とそうでない場合があるので、そこは経験や技量の差が出るなと思います」


熟練した利用者さんになると、まるで職人のように、正確かつ迅速にピッキングを進めていきます。実際に支援員の要さんが同じ作業をしたところ、要さんよりも早いスピードで作業をされる利用者さんばかりで驚いたそう。慣れるまでには時間がかかるとのことですが、ご自身は「3分でこの量」と毎回時間を計りながら、よりスピーディーに作業を進められるように挑戦されています。


たびのねには、こうした意欲を持った利用者さんの「やりたい!」という想いを全面的に応援するため、様々な取り組みを行っています。最近では旅の音の焙煎士によるコーヒーの淹れ方講座を開講。「コーヒーのドリップや焙煎のことをもっと学んで、おいしいコーヒーを淹れられるよう勉強中です」と話してくれました。


こうした取り組みは事業所内にとどまりません。地域で開かれた福祉関係の行事に出店し、旅の音のスタッフが関わった製品を多くの方に手に取っていただくなど、スタッフの方々が地域や社会との関わりを持つ機会を積極的に設けています。



出来上がった製品をいただける機会は休憩時間に。この時間を楽しみにしている利用者の方も多いよう。


「これまではコーヒーに対してそこまで強いこだわりは無かったのですが、今では自分でコーヒーミルを買って家で楽しんでいます。たびのねでいただいたコーヒー豆をドリップし、食後やお昼の甘いおやつと一緒にいただく時間が至福のひとときになっています。自分が関わったからこそ愛着もあるし、美味しく感じますね」

仕事を通して自身の『好き』が見つかり、生活がより豊かになってゆく。Suuのコーヒーはお客さんだけでなく、関わる全ての人に豊かさを生んでいるようです。


最後に、日々おいしいコーヒーづくりに携わるなかでの、コーヒーへの想いを伺いました。

「コーヒーは嗜好品の一種ですが、それ以上に音楽や芸術と同じ“マジック”だと思っています。そこに流れる雰囲気に癒されたり、感動したり……。感じ方は人それぞれですが、私たちが関わったコーヒーとともに過ごす時間や空間が、その人にとっての心地良いひとときになれば嬉しいです」

Suuのコーヒーを支える、就労支援B型事業所たびのねの利用者のみなさん。自らの「好き」を見つけ、広げ、深めていく過程で育まれた豊かさは、至高の一杯となって多くの人に安らぎの時間と空間を届けています。

たくさんの工程を経て、たくさんの方の想いが込められたコーヒーは、オンラインでも販売しております。旅の音のお店でも、ご自宅や、自分だけの落ち着ける場所で、私たちのコーヒーを手に取り、美味しさとともに幸せな時間まで感じていただけますように。


ライティング:Suu編集部

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