手づくり醤油との出会いから醤油づくりを始めるまで
2011年4月末ごろ 東日本大震災が起きた翌月、私はWWOOF(ウーフ※)を通じて京都府綾部市にある農家さんに有機農業の体験実習のため4泊5日(ぐらい)で滞在させて頂きました。※WorldWide Oppotunity on Organic Farmingの略で、有機農業を学びたい人と有機農家を繋ぐネットワーク(労働力を提供する代わりに、報酬は発生しないが食事とベッドが提供される)
その農家さんは、「醤油搾り師」= 古来式の搾り舟で醤油を搾る職人であり、醤油を手作りするために大豆と小麦を自ら栽培していました。自宅には醤油工房が併設され、仕込んだばかりの諸味(醤油のもと)を目の前に、醤油づくりについて詳しく教えてくれました。恥ずかしながら、この時まで醤油の原料がまともに分かっていませんでした。
その直後の2011年5月 私はワーキングホリデーVISAでアイルランドへ1年間留学します
現地ではWWOOFを通じて、アイルランドの有機農家で農作業を体験しました
その当時は、日本に帰ったら西洋野菜の栽培で日本で儲けようなんて考えていました
2012年5月 帰国後、何気なく実家で食べた白米が、今まで食べたどの食事よりも美味しいと感じました。この時すぐに頭に浮かんだのが「身土不二」=自分の身体と土地は二つにあらず、という言葉。京都の有機農家さんが醤油づくりの講義で、食べ物を語る上で大切にしたい精神として説いてくれた考え方です。まさに日本人として、お米が身体にとっていかに大事かということを本能的に気付かされた瞬間でした
この衝撃的な体験をした後、私はもう一度京都の農家さんを訪ねます。帰国後の体験から、西洋野菜を作っている場合ではない、自分自身もお醤油づくりをしたい、身土不二の精神を多くの人に共有したいことを、農家さんに伝えました。農家さんはお醤油搾りの先生(岩崎さん)が長野にいて、私が長野に移住すると決まった時には、先生をご紹介いただけることになりました。
2012年8月 長野県に移住 その年の11月頃だったと思います。雪がちらつく山梨県北杜市で、岩崎さんのお弟子さん達も集ってお醤油搾りの体験会に参加させて頂きました。京都の搾り師さんも参加して、岩崎さんとの対面を果たします
でもその当時は醤油づくりを甘く考えていた私。珍しがって醤油搾りの様子を写真でパシャパシャ撮っていたところ、写真を撮るんじゃなく手を動かして作業を手伝い(覚え)なさい、とお叱りを受けたのを鮮明に覚えています
岩崎先生からは「醤油づくりをしたいなら、まずは醸造学をしっかり学びなさい」とのお言葉もいただきました。山梨から帰ってすぐ、Amazonで「醸造学」と検索。数日後、「醸造学」という1冊の本が届きました。
翌2013年3月 岩崎先生のご紹介により、麹づくりの先生として安曇野在住の宮崎さんを訪ね、泊まり込みで麹の出し方を教えて頂きました。ここから加速度的に発酵の面白さにハマって行き、手前醤油づくりをスタートしたのでした(続く)