TFHD digitalが開発するプロダクト、「デジタルエリマネツール」。
街を訪れる様々なユーザーが楽しめる回遊施策ツールを提供し、利用ユーザーの属性・行動データ、どんな人が・街で何をしているのかを取得・可視化するツールです。今まで見えなかった「人」を理解するデータを得ることで街でのよりよい体験を生み出すエリアマネジメントを可能にします。
今回は、このプロダクト開発に携わっている2人にインタビュー。プロダクト開発のこだわりやTFHD digitalの組織の特徴、今後の展望について聞きました。
右:岸野 麻衣子
東急不動産ホールディングス グループDX推進部課長補佐、TFHD digital株式会社 兼務出向
不動産デベロッパーにてオフィスビル開発やブランディングに携わった後、2017年に東急不動産に入社。商業事業部門での経験を経て2022年度よりDX推進部にてグループのイノベーション促進や支援を推進。
左:井上 瑛一朗
東急不動産ホールディングス グループDX推進部 、TFHD digital 株式会社 兼務出向
人々に活力を与えるまちづくりをしたいと思い2022年に東急不動産に入社。DX推進部にてDXの対内外的発信をするとともに、兼務であるTFHD digitalにてデジタルエリマネツールのプロジェクトに参加。
「まちづくりに携わりたい」。そんな2人のTFHD digitalでのキャリア
ーーまずはお二人の自己紹介をお願いします。
岸野:
2017年10月に東急不動産に中途入社して現在は7年目になります。もともと学生時代に都市計画を学び、不動産業界でキャリアを重ねてきました。前職も不動産デベロッパーで、そこではスタートアップ支援施設の開発や生物多様性を促進する建物の企画などを担当。自分が関心のあるまちづくりの見識をさらに広げたいと思って、さまざまな開発案件を手掛ける東急不動産に転職しました。商業施設の事業に携わった後、現在は東急不動産ホールディングスのグループDX推進部に所属しTFHD digitalに兼務出向しています。
井上:
私は、街に永く残る建物を手掛けたいと思って、2022年に東急不動産に新卒入社しました。その後、グループDX推進部に配属され、TFHD digitalの兼務出向というかたちで働いています。
ーーTFHD digitalではどんな仕事をしていますか?
井上:
私は入社当初からデジタルエリマネツールの開発プロジェクトに関わっています。「そもそもどんなツール・事業にしていくか」という企画段階からプロダクトの開発、拡販体制の構築など、幅広い業務を担っています。
岸野:
ずっとハードの側面からまちづくりに関わっていましたが、TFHD digitalでは、デジタルを活用したソフト面からまちづくりへのアプローチを行っています。たとえば、旅行から帰ってきた後に「こんな場所もあったんだ。行けばよかった」と思ったことがある方は多いでしょう。その裏側には、適切な人に適切なタイミングで地域の情報を届けられていないという課題があるんです。そんな地域の様々な課題をクリアして、色々な立場の人が、もっと地域を楽しんで貰えるようにどんな仕掛けが必要かを考えるんです。
現在担当している「デジタルエリマネツール」の開発でも、街や社会、そしてまちづくりの一部を担う不動産業界にとってこのツールがどんな意味や価値を持ったプロダクトになったらいいのか。その姿を実現するために必要なものは何か。そんなことを考えながら、責任者として事業を推進しています。
エリアマネジメントのPDCAを容易に。TFHD digitalが開発するサービスとは
ーーお二人が担当しているデジタルエリマネツールについて教えてください。
岸野:
私たちは、エリアマネジメントにデジタルを活用して利便性を高めたり、街の魅力を最大化するためのツールをデジタルエリマネツールと定義しています。
都市や街の魅力を高めるために、「エリマネDX」や「まちづくりDX」などデジタル活用は世界的にも進められています。
そういった流れの中で、今提供しているのは、NFCタグ*を使って住民や来街者などの属性・行動データを取得・可視化し、それぞれに最適な体験を提供するためのツールです。今までは、地域活性化のために大きなイベントを行っても「賑わって良かった」で終わっていました。しかし、それだけではもったいない。どんな人が、どんなことを求めて訪れて、何が良くて、何を良くないと感じたのか。もう一度街を訪れてもらうためにどうしたらいいのか。エリアマネジメントのPDCAサイクルを回していくために必要な示唆を得られれば、地域の活性化や街のファンづくりができるはずです。それらを簡単に可能にするツールを目指して開発を進めています。
*NFCタグ・・・近距離無線通信。 非接触ICチップ。
<サービスとして導入されているNFCタグ>※
井上:
エリアマネジメントに取り組もうとする不動産デベロッパーや自治体は増えています。ですが、ユーザー接点をデジタル化し、データを取得、改善に取り組もうとすると、莫大な予算や時間がかかってしまう。それが、このデジタルエリマネツールだったら、安価にスピーディにエリアマネジメントを実践することができる。まちづくりを行う多くの団体にとって導入しやすい汎用性の高さは大きな特徴だと言えます。
ーーなぜ不動産デベロッパーの関連会社がデジタルツールを開発するのでしょうか?
井上:
親会社の事業ドメインが不動産なので違和感を感じる方がいるかもしれませんが、ビジネスの持続可能性の観点で捉えると、デジタルツールに取り組む意義が見えてきます。不動産事業者はせっかく建物をつくるのであれば、末永く残り続けるものをつくりたいと考えています。そして、建物が未来まで残るためには、使われ続ける必要があります。つまり、街の回遊率が上がったり、街に愛着を持つ人が増えることが必要。だから、ソフト面から街の魅力を高められるアプローチを考え、デジタルツールの開発に行き着くんです。
岸野:
不動産事業やまちづくりは建物を建設するのがゴールではなく、建物が出来てからがスタート。街に長く住んだり、関わったりするほど、体験はアップデートされていくべきなんですよね。だから、街での楽しい思い出、有意義な体験、何気ない瞬間を沢山経験して貰えることを考えて、瞬間瞬間を良くすることでその街の価値や豊かさを上げていこうとしています。
あらゆる境界を取り除く。デジタルエリマネツールで目指す姿
ーーこのデジタルエリマネツールのプロジェクトで、どのようなやりがいを感じていますか?
井上:
新卒1年目から、業界にとっても先進的な新規事業開発に携われていることに大きなやりがいを感じていますね。しかも、補佐ではなく、企画段階から中心メンバーとしてプロジェクトを担わせてもらえる。若手からそれほど裁量や予算を与えられる環境って、なかなかないんじゃないかと思うんです。
どんなことを考えて、どんなフローを踏んで、どんなことに気をつければいいのか……泥臭いことも含めて、ひとつの事業を興すために必要なことを知ることができたのは、キャリアを形成していく上で大きな財産になると感じています。
岸野:
TFHD digitalの組織には、出向や事業協業メンバーとして東急不動産の各事業部から優秀なメンバーが集まっています。スマートシティに携わってきた人や、リゾート開発、商業施設事業に携わってきた人など、さまざまな知見を持った人材がいます。もちろん、AI活用やデジタルマーケティングなどの技術的な分野に明るい人材も豊富です。それぞれの専門性を活かしながら、どのようにひとつのプロダクトに昇華していくか考えながら推進していくのは、とても学びになりますね。
ーー今後、デジタルエリマネツールを活用してどのような世界を実現したいと考えていますか?
井上:
私がつくりたいのは、建物だけでなくライフスタイルそのものです。住む、働く、憩う、遊ぶなど、それぞれのシーンって交わることが少なかったと思うんです。ですが、本来はそれらに境界を設ける必要はないはず。たとえば、出社するためだけに街に来るのではなく、帰り道に少し遊んだり休んだりしてもいい。さまざまな街の過ごし方ができれば、愛着も高まっていくと思うんです。
岸野:
「Digital Fusion デジタルの力で、あらゆる境界を取り除く」が、TFHD digitalのビジョン。街の過ごし方に関する境界はもちろん、不動産ビジネスにおける境界も取り除いていけたらと考えています。デジタルを活用することで人やモノの動きが、空間的にも時間的にも広がりを持って捉えられるようになります。また、特定の事業者だけでなく住民や行政などさまざまな立場の人が情報にアクセスし、意見や交流を作ることが出来るようにもなります。そういった座組や価値、プロジェクトの立ち上がり方から新しく考え直して、どんな姿で人が生きる場を作っていけるかを考えることで、提供価値を更に高め、新しいビジネスを生み出していけたらと考えています。
街を動かし、時代をつくる。そんなツールを作るために必要な「人」とは?
ーーお二人は、どんな人と働きたいと思いますか?
岸野:
デジタル技術のスキルもですが、好奇心と探究心がある方と働けたら嬉しいですね。デジタルによる変革は、社会、時代が大きく転換しているうねりの一つの現れだと思うので、DXは幅広い領域に渡ると思います。
TFHD digitalはまだまだ少人数ながら、専門性の高い多様な人材が集まっています。デジタルエリマネツールに代表されるように、これまでの事業の枠組みを超えた新しい価値創造を、実行組織の感覚で推進したい仲間が増えるととても心強いですね。
IT業界や他業界の方々からすると、不動産ビジネスは未知の習慣も多い環境だと思います。新たな知識を積極的に吸収しながらも、環境に完全に迎合せず未来を作る視点で「なんでユーザーはこんな行動を取るんだろう」「お客様は何を求めているんだろう」とプロダクトの先にいる人のことを知りたいと思う人だと活躍しやすい環境なのではないでしょうか。
井上:
私は、3つの観点があります。1つめは、積極性。岸野も言いましたが、不動産業界には他業界でキャリアを重ねている方には馴染みのない知識や考えもあります。そういった部分も興味を持って吸収していける方だとありがたいですね。かといって、言われたとおりにするだけではなく、気になったことや違和感はしっかり提示してくれる方だと活躍しやすいのではないかと思います。
2つめは専門性。不動産畑で育ってきた人材が多い組織だからこそ、デジタル領域における知見やスキルを発揮してほしいと思っています。私たちが知っている不動産領域と、求職者の方が知っているデジタル領域。お互い知らない領域の知見を交換し合うコミュニケーションにおもしろみを感じてくれる方だとなお嬉しいですね。
そして3つめが、協調性。私たちの事業は、たくさんのステークホルダーで成り立っています。そういった環境の中で、誰も不幸にならないかたちで事業を組み立てていきたいと思っている方と一緒に働きたいです。
ーー最後に応募を検討している方にメッセージをお願いします!
岸野:
不動産業界は大きな変革を迎え、一部はディスラプトされていくのではないかと思っています。これまで通用していたルールややり方は、いずれ通用しないものになっていくかもしれません。しかし、人間が生きている限り価値が現れる「住む」「働く」「憩う」「遊ぶ」……といった活動がどんなものに変わっていくのか。変わっていく時にどのような価値を作っていけるのか。その最前線に立って、自分たちの手で時代の変化を推進していけるのは、とてもおもしろい仕事だと思います。
井上:
不動産業界の一番の特徴って、建物という大きなハードを持っていることだと思うんです。目の前で開発するのはソフトウェアかもしれないけれど、その先にはリアルでの人の動きや街の賑わいがある。人が集う"場”に対してどんな付加価値を生み出すか。周辺の環境を活かしてもいいし、さまざまな企業とコラボレーションしてもいい。そういったスケールの大きなプロジェクトを企画段階から動かせるのは、大きな魅力だと思います。
自分たちが手掛けたプロジェクトが、実際に街の中でどんな現象を生み出しているのかを実感できる、手触りのあるプロダクト開発がTFHD digitalならできるはずです。
※デジタルエリマネツールは株式会社アクアビットスパイラルズの提供する「スマートプレートTM」を活用しています。