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AI技術でゲーム業界をアップデート。AIエンジニアが感じているやりがいとは

今やあらゆる業界で革新を起こしているAI技術。ゲーム業界もその例外ではありません。最新のAI技術を取り入れることで、ここ数年でゲームのクオリティは格段にアップしました。特にゲーム開発エンジンを独自開発している私たちカプコンは、AIのR&Dにも余念がありません。AIエンジニアたちが日々技術を磨き、ゲーム開発エンジンをアップデートしています。

今回はAIエンジニアの塚原にインタビューを実施。入社4年目でありながら、ゲーム開発エンジンに欠かせない存在であり、既に多くのタイトルで利用される重要な機能を開発してきました。AIエンジニアとしてのやりがいについての話をお届けします。


「自分が持つスキルでゲームを面白くしたい」AIエンジニアがゲーム業界を選んだ理由

―まずは現在の業務内容から教えてください。

現在はゲーム開発エンジンのAI開発を担当しています。新卒研修が終わってすぐに今のチームに配属され、3年ほどで様々な技術に触れてきました。今はその中でも特に「ナビゲーション」の機能を担当しています。

ナビゲーションの機能は、キャラクターがゲームの中を動き回るのをサポートする技術で、スタート地点から任意の道を通って目的地にたどり着くよう案内します。私たちが普段利用するような地図アプリで目的地までの道順を検索するのと同じような技術ですね。

キャラクターが自動で動くゲームならほとんど使われていて、モンスターハンターやバイオハザードな有名タイトルでも利用されています。

―学生時代からAIを学んでいたのでしょうか。

そうですね。大学院時代は機械学習、その中でも画像認識を使って天気予報をする研究をしていました。たとえば熟練の漁師たちは空の様子を見ながら、雨が降るか予測できそうですよね。AIに空の画像を学習させて、同じ様に天気を予測するような技術です。

私が大学2年制の時に、囲碁の世界でAIがプロを倒したニュースが話題になって、そこから機械学習に興味を持つようになりました。AIを開発した人は囲碁のプロでもないのに、そんな人がプロに勝てるAIという技術がすごいと思ったんです。

―ゲーム業界に進んだ理由も聞かせてください。

AIに興味を持った囲碁もゲームの一種ですし、自分自身もゲームが好きだったので、自分の技術を活かしてもっとゲームを面白くしたいと思ったからです。それからゲーム業界でAIを活かせる会社を探してみたのですが、ゲーム開発の根本となるゲーム開発エンジンから作っている会社はそう多くありません。

そのため、自社でゲーム開発エンジンを作っているカプコンにすぐに行き着きました。特にモンスターハンターは10年以上遊んできたタイトルなので、その開発に携われるのは非常に嬉しかったですね。


苦労して作ったゲームを楽しんでもらえるのが何よりのやりがい

―カプコンで働く面白さについて聞かせてください。

ゲーム開発エンジンの開発に携わるため、気軽に最新技術を試せることです。日本ではゲーム開発エンジンを作っている会社は少なくて、大抵はUnreal Engineなど他社のゲーム開発エンジンを使うしかありません。そのため表の部分しか触ることができず、気軽に最新技術を取り入れることもできないのです。

その点、カプコンなら自分が気になった技術をすぐに取り入れることができるため、技術者にとっては大きなやりがいですね。実際にカプコン社員が個人で開発した技術をゲーム開発エンジンに組み入れたケースもあるので、エンジニアにとっては面白い環境だと思います。

―エンジニアにとっては、自分の力を最大限試せる環境なんですね。他にもやりがいを感じる瞬間はありますか?

苦労して作ったゲームを自分でプレイしたり、人がプレイしているのを見ている時は嬉しいですね。たとえばバイオハザードの開発に携わった時は、大量のゾンビがスムーズに移動するように調整するのが大変で。AIで移動の最適ルートを計算するのですが、移動するキャラクター多ければ多いほど、負荷が高まりどうしても処理に時間が掛かってしまうので。それでも、ゲームを盛り上げるために様々な工夫をこらして、最終的に納得のいく出来となりました。

自分でそのシーンをプレイした時は、頑張った甲斐があったと思えましたし、人がプレイしているのを見た時も自分の努力が報われた気がしました。特に今は、YouTubeでゲーム実況する人も多いので、その様子を見られる機会も多くて嬉しいですね。

また、ゲームのスタッフロールに自分の名前が載っているのを見た時は「このゲームに携わったんだ」という実感が持てて、今でもテンションが上ります。

―ゲーム開発エンジンは社内のエンジニアに利用されていると思いますが、感謝されることもあるのでしょうか。

自分たちが作ったエンジンを使って「おかげで業務が改善されました」と言われることもあるので、それはやりがいですね。また、ゲーム開発エンジンについて質問を受けることも多く、年次を重ねるにつれて答えられる質問も増えてきたのも嬉しいです。

自分がしっかりチームに貢献できていると感じられますし、周りの人に頼られている実感を得られますね。


壁を乗り越えることで成長を感じられる仕事

―ゲーム開発エンジンに関わる中で、これまでで大変だったのはどんなときですか。

一度、システムの不具合の原因がわからなくて、2ヶ月くらい同じ不具合に対応した時は大変でしたね。今なら1週間もあれば原因を特定できるのですが、その時は開発エンジンの深い部分までわかっていなかったので原因を突き詰めるだけで1ヶ月半もかかりました。

しかし、そのおかげでゲーム開発エンジンの深い部分まで詳しくなることができ、その後のスキルアップに繋がったと思います。

―そのような不具合を修正する仕事も多いのですか?

そうですね。システムに不具合が出ると、キャラクターが本来歩けないはずの場所を歩いてしまったり、逆に歩いてほしい場所を歩いてくれなくなってしまいます。先日も不具合が生じたのですが、調べてみたらアルゴリズムの中身がブラックボックス化していました。

先輩たちも解明できなかったそのブラックボックスを、私が解明できたときは「よし!」と心のなかでガッツポーズをしました。スキルや知識が増えることで、解決できる問題も増えていくことにはやりがいを感じますね。


ゲームの可能性を広げるため、様々な技術を持つ人に興味を持って欲しい

―どのような人ならカプコンのAIエンジニアとして活躍できそうか教えてください。

実際にゲームを作ったり、ゲーム開発エンジンに触ったことがある人なら即戦力になれると思います。ゲーム開発エンジンの仕組みについて理解するだけでも時間がかかるので、最初から理解していれば、その分早く活躍できるので。

ただし、私も入社するまでゲーム開発エンジンに触ったこともなく、大学ではHTMLでミニゲームを作ったくらいの経験しかありませんでした。それでも「自分の持つ技術を使ってゲームを面白くしたい」と思える方なら、活躍できると思います。

特に今のゲームは、ゲーム以外の様々な業界で使われている技術が使用されるので、幅広い技術を持った方が活躍できるはずです。

―ゲーム以外で使われる技術とは、具体的にどういうものでしょうか。

たとえば冒頭でもお伝えした「ナビゲーション」の技術も、地図アプリやカーナビで使われている技術を応用したものです。出発点から目的地までの最適なルートを選ぶ技術を、ゲーム内のマップに応用しただけなので。

他にも、今のロボットは目の前の障害物にぶつからないように、センサーを使って止まるような技術がありますよね。その技術もゲームのキャラクター同士がぶつからないようにする際に応用されています。これらは一例ですが、ゲームの中には現実世界で使われている技術がたくさん活用されているのです。

―他業界の技術もどんどん取り入れているのですね。

そうですね。私自身も新しい技術を取り入れるために、ゲームのイベントとは別にAIのカンファレンスや学会に参加することもあります。先日も人工知能学会に参加して、AIの最新動向について聞かせてもらいました。

たとえば今は各業界でChatGPTなどの生成AIをどう活用するかが議論されていますが、ゲーム業界でも同様に注目されています。ただし、ゲーム開発エンジンを作っていない会社であれば、そう簡単に新しい技術を取り入れることはできません。そのような最新技術に注目できるのも、カプコンが自社でゲーム開発エンジンを作っているからこそだと思います。

―チームの雰囲気についても聞かせてください。

タイトルではなくゲーム開発エンジンを作るチームではありますが、やはりゲームが好きな人が多いですね。どうやったらゲームが楽しくなるのか、とても熱心に議論しているのを聞いていると「本当にみんなゲームが好きなんだなぁ」と感じます。

また、ゲーム開発エンジンチームに限って言えば、働きやすい環境も特徴です。タイトルを開発しているチームは、発売直前になるとどうしてもタイトな開発が必要になることもあるのですが、ゲーム開発エンジンのチームはそのようなことがあまりありません。

ゲーム開発エンジンは、タイトルが発売されるずっと前に完成しているものなので、発売日直前の追い込みに巻き込まれないのは嬉しいですね。

―最後にゲーム開発に興味を持っている方にメッセージをお願いします。

先程も言いましたが、今のゲーム開発は様々な技術が取り入れられています。そのため、他業界で最新技術を開発しているけど「実はゲームが好き」という方は、ぜひその技術をゲームに活かす選択肢も考えてほしいです。

これまでゲームで使われてこなかった技術ほど、よりゲームを面白くする可能性を秘めていると思うので、様々な業界の方からのご応募をお待ちしています。

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