今回は、MUSUBI KILNのオフィスで行われている写真撮影の裏側を特別にご紹介します。
ブログなどのコンテンツに欠かせない、スタジオ撮影。白背景で撮影される商品画像とは別に、月に2回、1日に3つ違うテーブルセッティングを組んで行われます。
実際にどのように企画され、どんな準備が必要で、どのように進められるのか、制作部のアートディレクター・山下さんに聞きました。
①アイディア出し
まず、撮影を始める前の企画についてお伺いします。
テーブルセッティングの企画では、どんなことを決めますか?
山下「最初にテーマを決めるのですが、大事なポイントは『商品』と『季節』の二つになります。どの新商品をメインにコーディネートするかということと、季節を意識することですね。通常は2〜3ヶ月先、今だったら梅雨ごろ、初夏の公開を想定しています。
その2つが決まったら、具体的にどういうシーンなのかを考えます。例えば今回の「母の日に感謝を伝えるファミリーランチ」のように、特定のイベント、人数、シチュエーションを決める。それらのアイディアは、提案書という形にまとめていきます。」
②事前準備
提案書がまとまったら、実際にどんな準備が必要なのでしょうか?
山下「提案書の内容を、テーブルコーディネーターの水谷さんにオリエンテーションで説明します。この時にメイン以外に使う食器を決めたり、あわせる食べ物やお花の打ち合わせもします。
撮影の数日前に、水谷さんからコーディネートのイメージ写真をいただいて、それをもとにタイムスケジュールや担当のカメラマンを決めたり、使う壁の色など、細かい調整を行っています。
撮影で使う料理やお花はどのように準備していますか?
山下「料理は水谷さんが自宅で用意したり、購入したものを盛り付けています。焼き色をつけたり、最終的な仕上げもスタジオのキッチンで行っていますね。あとは持ち運びが難しい、造形が大きいものをスタジオのキッチンで作ります。また、今日のさくらんぼのゼリーのように、こちらでアイディアを出して作ったものもあります。
お花はオリエンの時点で具体的な花やイメージを決めるのですが、二ヶ月先の季節に合わせるので、ぴったりのものがないこともあります。でも色合いや雰囲気などはなるべく希望に近いものを、近所の花屋で水谷さんが購入しています。シーズン前に手に入らない桜などは、造花を使いますね。」
③当日の流れ
3月下旬のある撮影の1日に密着してきました。その様子をお届けします!
0900- 撮影内容共有
山下「始業してすぐに、撮影内容をカメラマンと共有します。事前にカメラマンにイメージ写真を送っていますが、認識に相違がないか、ここですり合わせをします。
また、ライティング(照明)の話や動線についても確認します。今日のテーブルセッティングは6月の設定。3人での食事風景なので、広角で撮ってほしいと伝えました。あとは、重いテーブルを動かしたりするので、効率よく動けるように気をつけています。」
09:30-10:45 ①テーブルセッティング撮影
最初のテーブルセッティングのテーマは「さくらんぼのティータイム」。
このアイディアはどこから出たんですか?
山下「本音を言えば、私がやりたかっただけなんです。(笑)でも企画の段階でいろんな人にアイディアを聞くんですが、季節のフルーツはどうだろうということで、6月の旬に合わせてさくらんぼを選んでみました。まだ生のさくらんぼは入手しづらいので缶詰ですが、安っぽくならないようにゼリーにしてみました。廣田ガラスと質感が合うので、写真映えするものになったと思います。」
11:00-12:00 ②テーブルセッティング撮影
次のセッティングは「母の日に感謝を伝えるファミリーランチ」がテーマ。
山下「かわいい商品を組み込んでコーディネートしたいと思い、企画しました。ファミリーでランチしている設定なので、寂しくならないように、他部署のスタッフにもモデルとして撮影に入ってもらいました。お酒を注いでいる手の様子を入れたりすると、賑やかな雰囲気になります。ブログには文章も入れますが、写真だけでシチュエーションを理解してもらえるように工夫しています。
12:00-13:00 休憩
13:00-13:45 ②テーブルセッティング撮影続き
午後もまだまだ続く撮影。
「母の日に感謝を伝えるファミリーランチ」を終わらせます。
14:00-14:45 ③テーブルセッティング撮影
紫陽花色のテーブルがテーマ。
青いテーブルクロスをひいたテーブルに涼やかなセッティングが並びます。
山下「銀河堂の花入から発想を得たセッティングです。色をブルー系で揃えて、シルバーの錫の質感と相まって清涼感を出しています。特徴的な花入なので、棚に飾るというより、もてなしのテーブルの一部になるように考えました。」
いかがでしたか?撮影現場の一部始終を知っていただくことで、制作部の意欲と情熱が伝わったのではないでしょうか。撮影日は、スタジオに色々な人が出入りし、うつわを運ぶ音や、撮影内容を確認するスタッフの声で和気藹々と進みます。朝からキッチンから美味しい香りが漂い、時には撮影後にお菓子をつまんだりも。他部署のスタッフも、仕事のインスピレーション(?)を得るために、よく覗きに来るんですよ。
最後に、山下さんに、制作部にどんな人が来て欲しいか聞いてみました。
山下「私は入社時、アートディレクターとしての経験がなかったんですけど、特別何かができるとか、詳しくなくても良いと思っています。強いて言えば、好奇心が旺盛で、なんでも頑張ろう、成長したいという意欲がある人を探しています。編集部などのスタッフ、コーディネーター、カメラマン、様々な人と話すことが多い仕事なので、コミュニケーションが得意な人が向いていると思います。
キッチンに立って料理を手伝ったり、季節外れの花を探しに行ったり、実際に手と足を動かすことが大事ですし、何かが滞るとその後のスケジュールにも影響が出るので、常に時間との戦いですね。
忙しいですが、一つの作品を作っているというやりがいを感じる仕事でもあります。カメラマンから写真のデータをもらった時、想像を超えた素晴らしいものに出来上がっていることが多く、嬉しさもひとしおです。実際にテーブルセッティングの記事から商品が売れたかどうかもわかるので、販売に繋がった時には、海外のお客様の心に届くものが作れたんだ、頑張ってやって良かった、と実感します。」
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