初めまして。Bomo代表の村田です!
突然ですが、このカバー写真のワンちゃん可愛くないですか??
そうです。私の大切な愛犬です。
この愛犬の健康面で課題を抱いたことが、Bomo創業のきっかけとなりました。
弊社は動物病院向けSaaS事業『Wonder』を開発/販売しているスタートアップです。
なぜ私が起業したのか、なぜこの領域なのかなど創業時のことについて少し触れたいと思います。
自己紹介
簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
2011年新卒でOA機器メーカーに入り、中小企業に毎日100件近くの飛び込み営業をやっていました。足で量を稼ぐスタイルの営業です。この会社では、肉体的にも精神的にも鍛えられました。その後、2014年1月にSpeeeに入社。当時はまだアーリーフェーズで従業員も少ないタイミングでジョインしました。8年間に渡り、マーケティングDX事業本部で複数の事業に関わり、プレイングマネージャーや営業部門の立ち上げ、セールススペシャリストなど経験し、上場も経験させてもらいました。そして2021年7月にBomoを創業しました。
起業のきっかけ
前職に勤めたこと、前職出身で起業する人たち、周囲の知り合いの存在、自らの想いが起業のきっかけでした。もともと自分で事業を作ってみたいという想いがあり、Speeeに入社し、事業の楽しさと難しさを経験させてもらっていたものの、圧倒的当事者として何かを創り上げた経験はありませんでした。そのため、自分自身で社会の問題解決ができる事業を創りたいという想いが年々増してきたことで起業をしました。
事業への想い
私がこの事業を始めたきっかけは「愛犬」の存在です。愛犬の健康面の悩みや課題が多く、その解決をできているプレイヤーも少ない、というのがもともとのきっかけでした。市場を見てもペットヘルスケア市場は世界的に見て伸びているマーケットであるものの、国内においては新しいスタートアップやサービスの誕生が少ないという点もあります。今の家で愛犬を迎え入れて育てていて、困った時にその解決策が少ないことや多くの課題があることがわかったのです。
特に、愛犬の健康面に何かあったときに困ったことが多くありました。愛犬がご飯を食べない、嘔吐した、誤飲した、下痢。。など言葉を話せない愛犬だからこそ飼い主は不安となり、どうすればいいかを考えます。赤ちゃんと同じなんです。ただし、ネットで検索してもまとまっている情報がない、メディアも複数存在しているものの、どれも書いていることがバラバラで信ぴょう性がない、動物病院に電話してもなかなか通じない、通じても忙しいので時間がかかる、簡単に相談できる相手がいない、動物病院に行っても待ち時間が長い。など。
愛犬の健康面において課題が多く存在していることと、何よりもこの業界はレガシーで解決できていない問題が多く存在していること、それを実際に体感したことがきっかけとなりました。
この業界において「問題が解決できていない領域である」「愛犬の存在により熱狂できること」この2点が事業のきっかけになりました。
事業の変遷
最初は、一人で事業を進めていたということもあり、ドッグフード事業から開始しました。海外だけでなく、国内にもフレッシュフードのプレイヤーは多く存在してます。それらのプレイヤーとは異なり、小型犬に特化した安心安全なフレッシュドッグフードを開発することにしました。
フード事業を始めたきっかけは、愛犬がご飯を食べないことで毎日悩み、苦労していたためです。右も左も分からない中、調査を始め、レシピ設計や計算もした経験がなかったものの独自で調べてレシピを作り、そのレシピを監修する獣医師さんを自ら探し見つけて、1年ほどかけて開発を行いました。
そして、愛犬と周囲の知り合い数十名に案内をして、同じ悩みを持っている人たちに検証をしました。
開発は、最初は自宅のキッチンでレシピをもとに自ら調理し、検証を繰り返し、同時に工場を探して開発依頼をお願いして、PoCを行い、スモールスタートで事業を進めていました。
ただ、このフード事業を進めているときに、監修していただいた獣医師さんからよく聞いてた課題がありました。それが動物病院の業務面の課題です。動物病院は、人向けの病院とは異なり、違いとして大きく3つほど存在しています。
1. 人向け病院は診療科目や薬局機能が分業されているが、動物病院は分業されていないため、業務の複雑性が高くなります。
動物病院は、人向け病院のように耳鼻科、皮膚科など専門性を持ったクリニックでなく、ほとんどが総合診療となっており、幅広い診療科目を担っています。診療科目が分業されていないことから複雑性を増します。また、業務面においては、薬局機能もあることで、発注業務/仕入れ業務/在庫管理など薬局機能の業務が存在しています。この業務領域において、アナログで非効率な業務となっていることから、在庫不足や発注ミスによる不良在庫などの課題が起こっております。
本来は患者様の診療に時間を使うべきなのですが、非効率な業務に時間を奪われています。
2. 人向けの医療機関の対象は「人」ですが、動物病院の対象は犬猫をはじめハムスターや鳥など動物種が多岐に渡り年齢や性別の変数もあるので、診療がパターン化しづらく、イレギュラーが起きやすい状況につながります。
それぞれの動物によって事前に把握したい症状も異なるため、診療のパターン化ができずらい状態となります。また、症状によって、その場で緊急手術が行われたり、入院することになり急遽入院管理が必要となったりと、街中の動物病院では日々多忙でイレギュラーなことが起こっています。
3. 人向け病院の患者は自分で症状を説明できるが、動物は自分の言葉で説明できないため診療において症状を一から確認しないといけないことがあります。
人向け病院の小児科が近いかもしれませんが、自分の言葉で説明できないという点と、飼い主が言ってることが正しいわけではないので、それを見極める必要があります。そのため、診察では症状を一から確認しないと診療ミスにつながる可能性があります。
人向けの病院と動物病院では上記のように違いがあり、動物病院は業務の複雑性が高くなります。
業務の複雑性が高くなることで、動物医療関係者は日々目の前の患者様の対応に追われることが多くなります。また、雑務の対応も看護師/スタッフが行い、業務が忙殺されています。そのため、非効率な業務をすることで、残業時間が多かったり、オペレーションがうまくいってないために待ち時間が長くなったり、電話対応に追われたりと本来は患者様に時間を使うべきであるのに、診療とは関係ない雑務に時間が使われています雑念がある状態で診療を行うことで患者様に集中できない状態をどうにかしたいという獣医師の声がありました。
COO松尾との出会い
この声をもらったタイミングで、COO松尾と出会いました。資金的にもまだ余裕があるわけでないし、一人でやれるところまでやろうと思っていたのと、もう少し事業が進んだタイミングでぼく自身には足りない能力を持っている経営を一緒にやれる人を探そうと思っていました。ただ想像よりも早く、松尾との出会いがありました。
松尾は、フリークアウト社でインド子会社の経営や東南アジア統括、Bizdevをやり、その後大手SaaSスタートアップで事業戦略などを担っていました。彼も愛犬がいるということもあり、僕の考えてる事業に対して興味を持ってもらったことから、手伝えることがないかという点で3ヶ月週末だけ一緒に業務を始めることにしたのです。
経験値、人間性など含め魅力的な人材であり、このタイミングでなかなか出会うことができない人材であるなと感じておりました。そして、ありがたい事に22年1月よりCOOとして正式にジョインしてもらうことになりました。
『Wonder』の誕生
松尾がジョインをしてから、国内/海外の事業調査、動物病院の業務フロー理解、動物病院へのインタビューなどを開始しました。一番大切にしていたことは、動物病院の業務を実際に体験することです。
私も松尾もIT業界出身ということもあり、動物病院の業務を体験したこともないので、まず動物病院の業務を数日に渡り体験することで、顧客理解を進めました。実際に現場で掃除などの雑務を行い、受付業務、在庫確認や発注業務など忙しい中で行っている時に非効率な管理や業務が多く、もっと効率的に業務ができると感じたのです。各業務において、課題が多く存在しております。
予約受付周りは、「診療の待ち時間が長いことでクレームにつながる」「電話が止まらないことで診療が止まる」などの課題があります。発注業務では発注業務の属人化、商品の在庫管理ができていない、複数の医薬品卸会社への発注業務を電話/FAX/ネットなど分断しており、かつ管理ができていないなどの課題があります。また動物病院によっては休日出勤して発注業務を行うなど。非効率であり属人化していることで、ミスが起こり、在庫が足りない、それにより診療に影響がでるなど。在庫管理や発注業務において課題も深刻です。
動物病院の業務周りは、他の業界よりも遥かに遅れていることがわかってきました。
ただ、それを解決しているスタートアップも国内にはいないという点もあり、弊社が解決をすることで、動物医療に従事する方々があらゆるアナログで非効率的な業務から解放され、それによって生み出された時間で動物たちとより長く、より深く向き合える環境づくりに貢献できると考えています。
最後に
ここ数年、私たち人間が通う病院や薬局に対して、たくさんの便利なサービスとそれを提供するスタートアップが誕生し、医療体験がアップデートされてきていると思います。
一方、ペットが通う動物病院における医療体験は、まだまだ課題が多く存在していて、アップデートの余地が多く残されていて、そこにチャレンジするスタートアップも少ない状況です。
世界(特にアジア)のペットヘルスケア市場は継続的に成長しており、米国を中心に動物病院に対して便利なサービスとそれらを提供するスタートアップが多く存在しています。ただし、国内の多くの動物病院ではDXが思うように進んでおらず、紙・ホワイトボード・電話・FAXが多用され、動物医療関係者は日々アナログで非効率な業務を何とかこなすのが当たり前となっています。
そんな業界をアイデア/テクノロジー/デザインの力で変えていきたいと考えています。