(前編はこちら)KOZOCOMの社長インタビューの後編では、これまで社員にも話したことがない、過去の経験について語られています。アメリカの大学を卒業し、マーケティングの仕事に取り組み着々とキャリアを築いている中で、父親から「引き継いでほしい」と言われたところから始まる転機。会社を引き継いでから経験したハードシングスと、その経験があるからこその「いい会社にしたい」という思い。
ぜひご覧ください。
― 会社員として働く中で、どのように、KOZOCOMにシフトしていったのでしょうか?
KOZOCOMは、もともとは父親が経営していた会社なんです。シニア社会を見据えて、「アクティブシニアのSNSを作りたい」として立ち上げた会社でした。でも資本構成やいろいろな理由で上手くいっていなくて。
そんな中で父親から、「KOZOCOMを引き継いでほしい」という話がありました。
ちょうどその時、「花の慶次」という漫画を読んでいて ”漢と書いて男” というような世界観にはまってたんですよね。熱くなっていました(笑)。そのタイミングで、父親から、初めての頼まれごとが来た。これはやろう、という事で引き受けることにしました。
3. KOZOCOM再建の試練とMBOの決断
― 引き受けた当時は会社はどのような状況だったのですか?
会社の財務状況が良くなくて、あと5か月で潰れる、キャッシュアウトする、という状況でした。社員も自分一人だけになって。そこで急いで財務的な立て直しをして、事業を一から立て直しました。
何とかして売り上げを作って1年半後には単年度黒字にして、それ以来はずっと黒字で来れています。
― 順調に立て直しが進んだのですね
いやいや、本当に大変でした。引き継いだ時には株主が50人以上もいたんですよ。父親から会社を引き継いだといっても、家族の株の持ち分は2割弱しかなくて。
色々と改革をしていくためにもスピード感をもってやる必要があったので、個人で借り入れをするスキームも作って全株を買い取って、2016年にMBO(マネジメントバイアウト)を実施しました。
あの当時は、「平松さんの子供は生意気だ」と言われながらも、何とか会社を潰さないように必死でした。
― お父さんの会社をそのまま継ぎました、という簡単な話ではなかったのですね
「KOZOCOMはお父さんが持ってる会社なんでしょ、株だってそのまま譲り受けたんでしょ」と思われがちなんですけどね。経歴から「道楽息子」と思われる事もありますし。
でも実際はMBOをする過程で多くの人にご迷惑をおかけしながらも、その中で必死に事業を立て直していく必要があって、かなりきつい状況でした。
資本構成の大切さや、株の重みも実感しました。今から思うとそうした経験は、自分の強みになったようには思います。
― 思った以上にマイナスの状態からのハードシングスを経験されているんですね。今はどのような状況ですか?
事業領域をアプリや業務システムの設計・開発に変更して、順調に業績を伸ばしています。大手企業のプロジェクトも受注していますし、国内のメンバーに加えて、ベトナムで100人を超える開発メンバーも仲間に加わってきています。会社の形が完全に変わってきましたね。
(ベトナムで開催したYearEndParty。日本とベトナムのメンバーが一緒に楽しみました)
そうなると事業を伸ばすのはもちろん大切なんですけど、今は「KOZOCOMの仲間たちにとって素敵な会社とはどんなものか」というのを考えることが多くなってきました。
あとは、そういう経験をしたからこそ、「成功」ってなんなんだろう、という事も考えたりしています。この事は自分の中でまだ結論が出ていないし、混乱しているというか。
― 平松さんにとって、「成功」って何なのでしょうか?
世の中で言われるような成功って、例えば「資金調達をして上場させた」とか、「地方の優良企業を親から継いで、次は自分の子供にバトンタッチする」とか、色々あると思うんです。でもそうした一般的な成功モデルは、「素晴らしいな、羨ましいな」と思う一方で、自分にはしっくりこない部分があるんですよね。
自分は、いったい何を目指しているのかな、と思ってしまう事もあります。
でも、会社のみんなとお客様とも一緒になって、手探りで誰も実現したことのない理想を追い求めていきたいと思っています。
― これまでの「成功」のモデルではないものを目指しているように見えます
そもそも、これまでの資本主義の在り方にも違和感を感じていて。資本主義って、結局は「株を持っているかどうか」、という話じゃないですか。それ以上でもそれ以下でもなくて。
会社を引き継いだ時に株をめぐって苦労したからこそ、そう感じてしまうし、資本主義のそのあり方がなんだか悲しいんですよね。
でも一方で、完全に資本主義がなくなるというのも思っていなくて。その文脈で言うと、自分はリアリズムでもあると思います。リアルに事業の通信簿、「これくらい売り上げてこれくらい利益を出す」という思いは強くあります。
事業利益を追及したいと思う一方で、資本主義から抜け落ちる部分も大事にしたいと思ってるんですよね。
そんな事を考えながら、会社のメンバーをどうしたら幸せにできるだろうか、「いい会社とは何か」というのをずっと考えています。
もしかしたら、それは悟りの世界に行かないと答えられないのかもしれませんね。
(沖縄、秋田などリモートのメンバーも集まって定期的に開催するALL HANDSイベント。社員同士のつながりも大切にしています)
ーとても哲学的な問いになってきますね
その問いを、どう会社の制度やビジネスに落とし込むか、が難しいですよね。
クライアントにとっても良い、社員にとっても良い、会社にとっても良い、「三方良し」の状態を、どうやって給料や福利厚生、会社のルール、といった制度に落とし込んだり、進むべき方向性に反映していくか。。そういうことを調整しながら、三方良しの良い会社をどうやったら作っていけるだろう、というのを考えています。
例えば弊社では、Freedom and Responsibility 「自由と責任」という合言葉を作って、リモートワークの推進なども進めています。社員ひとり一人にとって良い人生を送ってもらうために、どこからでも働くことが出来るようにしています。
実際に秋田や沖縄で働いているメンバーもいます。ただしそれら働く場所の自由は、しっかりと責任ある仕事を行うことが条件、という前提で運用しています。
色々と悩みながら、三方良しの「良い会社」のあり方を模索している状態ですね。
4. 未来へのビジョンと夢
― 今後の事業において、実現したい夢や目標は何ですか?
やっぱり会社のミッションとしては、「社会の課題をビジネスを通して解決する」、というのがあります。
これまで手掛けた事例でも、海のごみ問題、食品ロスを減らすやさいの流通、東京のごみの収集運搬などのプロジェクトがあります。
自分が顧客企業と話している内容は全部、社会課題なんですよね。それをサステナブルに解決するためにビジネスで収支を合わせるモデルを作っていく。
その全体の構造化と、必要なシステムを作るお手伝いをするのが当社の役割だと考えています。
常時5、6件を進めているのですが、それを2倍、3倍、5倍、と増やしていきたい。もっとたくさんやっていきたいですね。
そのためには社会課題を解決する仕組みづくりや企画に入っていけるメンバーをもっと増やさなくてはいけないので、今は積極的に採用活動を行っています。
社会の課題の種を沢山見つけて、そこにフォーカスしたシステムを作っていく事で、世の中を少しでも良い場所にしていけたら、と思っています。
― 採用を強化されるとの事ですが、どのような人に入社してもらいたいですか?
物事を前向きに捉えて、何事にもチャレンジできる方と一緒に働きたいと思っています。
自分で考えて、周りに相談し、周りを巻き込んで仕事を進められるような人が嬉しいですね。
マネージャー職を目指す方なら、マーケットに対して「我々の価値は何か?」といった観点で物事を考えることができる方に来ていただけたら、と思っています。
― どうもありがとうございました!
KOZOCOMではシステム開発の企画、PMが出来る人材を積極的に募集しています。言われたシステムを作る、というスタイルではなく、顧客と一緒に課題を解決するためのシステムを提案型で開発していきます。フルリモートで自由度が高く、上流の経験も積むことが出来る環境です。気になった方はぜひ、お話しましょう!メンバーの様子もストーリに掲載していますので、ぜひご覧ください。