私たちLIFEHUBはロボティクスをはじめとした最先端テクノロジーを駆使して「機械の身体」を創造するスタートアップです。
2021年1月に創業した私たちは、私たちは、機械と人間の融合によって、全ての人が自由で豊かな生活を
送れる世界を目指しています。このビジョンの第一歩として、「歩く・立ち上がる・段差を乗り越える」
機能を備えた電動車椅子を開発中です。
従来の車椅子は段差を乗り越えられず、車体が大きく周りへの配慮も必要でした。この課題を解決するため、「ユーザーが自分の足で移動しているような感覚で日常生活を送れるモビリティ」を開発しています。
私たちLIFEHUBは、共に働くシステム制御エンジニアを募集しています。本記事では創業者の中野裕士にインタビューを行い、起業の背景やロボティクスを手がける理由、実現したいビジョンなどをご紹介します。
中野裕士
代表取締役CEO
東北大学大学院修了 博士(工学)
日立にて制御デザインエンジニアとして自動運転をはじめとするさまざまな自動車制御システムを新規開発 。次世代モビリティベンチャーにて製品開発プロジェクトの立ち上げから製品化まで一貫して経験。世界最大手CAEベンダーにて、自動車会社の開発コンサルタントとして数々の自動車システムの開発プロジェクトを支援した経験を持つ。
■祖父の影響で起業の夢を描き、工学の道へ
――はじめに、中野さんの経歴や、起業に至る経緯を教えてください。
僕は、小学生の頃から「いつか会社を作りたい」と思っていました。ちょうど祖父が機械をつくる会社を経営していて、その姿に憧れたんです。祖父の影響で機械や車が好きになり、その流れで高専に進学してからは機械工学やアルゴリズム技術を学びました。
その後は大学と大学院に進学し、修士と博士課程を修めています。修士では制御工学やリハビリテーションマシンを研究。博士ではモビリティの自動運転制御技術を研究していました。
――小さな頃から起業の夢を持ち続けていたのですね。博士課程修了後、中野さんは日立系列のメーカーに入社しています。その後のキャリアも教えてもらえますか?
最初に入社したのは、自動車部品をつくるメーカー『日立オートモティブシステムズ』でした。ここではR&D領域で運動制御システムの開発担当になり、サスペンションや自動ステアリングの研究をしていました。
「いつか起業したい」という目標は持ち続けていたので、事業経験を積むため入社4年目にドローンスタートアップの『A.L.I. Technologies』に転職。2年間モビリティの開発を担当しました。その後、構造解析などのソフトウェアを手がける世界最大手のCAEベンダー『アンシス・ジャパン』へ転職して、大手クライアントのコンサルティングを担当しました。
――起業に向けて着々と経験を積んでいったのですね。起業の決め手になった出来事はあったのでしょうか?
起業のきっかけはアンシス・ジャパン在職中に参加したビジネスピッチ「TOKYO STARTUP GATEWEY(TSG)」でした。僕が参加した時は1500名の応募があって、その中から上位20〜30人に入り、ファイナルにも呼んでもらったんです。その縁でメンターと出会え、投資家を紹介してもらい、ベンチャーキャピタルとつながることができました。アイデアを話したところ資金調達ができたので、「起業しよう」と決めたわけです。
■身体拡張プロダクトの第一歩として電動車椅子に着手
――LIFEHUBはプロジェクトの第一号として、電動車椅子を手がけています。なぜロボティクスを主要事業に決めたのでしょうか?
プロダクトのアイデアはALIテクノロジー時代に知り合ったCTOの野宮と決めていきました。野宮はロボティクスの専門で、彼と話す中で「パワードスーツやテレイグジスタンスなど、人体系テックが急成長している」「将来的に、テクノロジーで人間の体を拡張・進化させたい」とアイデアがまとまっていき、身体拡張を手がける会社へと方向性が決まっていきました。
――なぜ、身体拡張の第一歩に車椅子を選んだのでしょうか?
すでに実現している身体拡張プロダクトにはパワードスーツがありますよね。でも、使い方が難しいし、容積が大きく、日常的には身に着けたくない代物です。
理想を言えば、腕を機械の腕に取り替えるとか、仮想空間も見えるデバイスと眼球を入れ替えるとか、そういったことができればいいんですが、社会通念的にまだ普及には至らないだろうと考えています。
なので、将来実現したい世界観につながる技術かつ、普段使いやすいプロダクトを考えました。これが現在開発している電動車椅子です。車椅子の課題は段差を越えられないことと、車体が大きく、動きが制限されてしまうことです。一方で、車輪があるので移動効率はいいですよね。
そこで、車輪の利便性に「人間の足に代わる機能」を付け加えようと考えました。昇降機能を実現すれば人間の足と同様に段差を乗り越えられますし、車輪が4つ付いているので、移動効率も向上します。
――プロトタイプは人が膝立ちしたような形状になっていて、人間の足で言うと、膝と足首の箇所に車輪が付いていますね。これで移動しつつ段差を乗り越えながら移動できるわけですね。
電動車椅子の足は左右独立して動くので、将来的には階段も乗り越えられるように進化させます。さらに従来の車椅子に比べてコンパクトなので移動制限もかかりにくい。いまは車椅子の代替品として考えていますが、将来的には健常者の方にも使ってもらいたいですね。
■「2025年には階段の昇降を実現したい」、LIFEHUBが思い描くロードマップ
――先ほど「階段も乗り越えられるようにする」とお話されていましたが、いつどのようなフェーズを目指すのか、マイルストーンはありますか?
現状は人が乗れるプロトタイプの開発を進めている段階で、小さなプロトタイプは完成していて、すでに立ち上がれます。今後は人が乗れる大きさのモデルをつくり、実証実験を重ねてユーザビリティや操作性も改良していく予定です。
特に力を入れたいのが危機回避です。どうしても人が乗るものですから、安全な乗り物でなければいけません。判断力が高くない人が乗っている場合でも安全に乗ってもらえるよう、車椅子に備えられたカメラが画像認識して、事前に障害物や危険を回避する技術を開発します。
将来的には、2023年までにエスカレーターに乗れる状態を、階段の昇降は2025年を目安に開発を進めています。そうなるとどこでも行けるじゃないですか。駅のホームでエレベーターを探さなくてもいいし、バスや電車など乗り物の段差も乗り越えられます。
――車椅子ユーザーには理想的な乗り物ですね。ここで気になるのは市場のニーズです。電動車椅子の市場感は国内外でどのように推移しているのでしょうか?
モビリティの面から話せば、電動キックボードや電動スクーターなど、パーソナルモビリティはグローバルで成長率がかなり高くなっています。国内でも電動キックボードのシェアリングが急成長していますよね。でもそれらの乗り物は乗車が難しいじゃないですか。
――高齢の方には特に難しいですね。
そうなんです。だから将来的には、そういった高齢者向けに商業施設などで電動車椅子のシェアも考えています。
――なるほど、ショッピングモールなどに車で来てもらって、施設内はモビリティで移動してもらうと。
その通りです。まだ不確定な市場ですが、シェア展開も考えれば、大きく伸びる余地は十分にあると思います。
――資金面ではどのように経営リソースを確保しているのでしょうか?
資金調達にはファンドが入っていて、累計で数億調達しています。
――経済的にも安定しているので、開発に集中できる環境が確保できていると。
そうですね。今後シリーズA・Bにも到達できる目算を立てているので、心配は少ないと思います。
■まだ世の中にない乗り物を、技術の力で実現する
――ここからはLIFEHUBの魅力を教えてください。働くやりがいや、ここでしかできない経験はありますか?
たくさんありますが、モビリティの観点から言えば、うちはハードやソフトウェアをゼロベースから開発していますし、自動運転や画像認識AIなども取り入れていて、先端技術に関われる面白さがあると思います。
ロボティクスの観点から言えば、開発中の電動車椅子は他社にはないユニークな動きをしますし、人が乗るモビリティなので、安全性も担保しなければいけません。開発を通して他社では経験できないスキルを身につけられます。
いずれにせよプロジェクトが始まったばかりのフェーズなので、開発環境や社内制度などを自分で作っていける裁量の大きさがあります。
――プロダクトも社内制度も創造していけると。ほかに候補者に伝えておきたい魅力はありますか?
僕たちは人間の身体機能をロボティクスで拡張しようとしています。イメージとしては、映画の『エイリアン」で主人公が乗っていたパワーローダー(2本のマニピュレーターを持つ人型フォークリフト。二足歩行や高重量の荷物運搬が可能)みたいな装置が作りたくて。
ロボティクスによる身体拡張ってワクワクしませんか? と伝えたいですね。
技術者にとって魅力的な開発ができることに加えて、うちは「課題の難しさ」と「実現の可能性」のバランスがいいんです。たとえば、電動車椅子は二輪形態でセグウェイと同じバランス制御システムを採用しています。今まで世の中になかった乗り物なので開発は難しそうに思えますが、既存技術も活用しているので開発イメージがつきやすい。新領域に挑戦しながら、いままで培ってきた経験やノウハウを活用してもらえるフィールドだと思っています。
■求めるのは、ハードを理解したエンジニア
――技術者の腕が試される環境ですね。LIFEHUBではどのような人を募集しているのでしょうか?
求めているのは、ロボティクスの分野で研究開発経験がある方です。うちの製品開発には全てハードが絡んでいます。ハードウェアの仕組みが分からないとソフトウェアは開発できません。機械構造の設計スキルも必要ですし、ダイナミクスもわかっていないといけない。デジタル回路やコーディングの知識も必要です。
ロボット系の開発経験者は、いま挙げた要素がだいたい全部できてしまうんですね。なので、ハードとソフトの両方を手掛けられる人が来てくれると嬉しいです。
――具体的にはどのような業務を行うのでしょうか?
担当業務は、製品仕様の定義や、社内の機械設計・電気通信部門に対する部品レベルの要求仕様の提示、制御アルゴリズムの設計、Python等による制御プログラム実装が中心です。ほかにも、様々な環境や条件を自在に再現できるシミュレーションソフトの開発や、シミュレーションやハードウェアによる制御システムの性能評価なども担当範囲です。
――ハードとソフト両方の技術が求められますね。現在LIFEHUBにはどのようなメンバーがいるのでしょうか?
現在のメンバーは8割がエンジニアです。研究開発部門では、まず僕がトップにいます。CTOの野宮はロボットや人工筋肉、機械学習の研究を進めていた人材です。彼は製品化も得意で、前職では製品を開発してお客さんに提供するまで、一連の流れを担当していました。
他には、メカニック系スタートアップに在籍していたエンジニアや、自動車会社にいたエンジニア、ファクトリーオートメーションのエンジニアがいます。
ビジネスサイドでは、様々な会社の販路拡大を担当してきた人が事業開発部長として在籍しています。
――開発部門にはR&Dと製品化を経験したメンバーが在籍していますね。ビジネス系メンバーもいますから、事業成長も円滑に進みそうです。急成長している組織として、今後目指したいチームの姿はありますか?
やはりエンジニア中心で会社を回したいと思っています。なぜかというとプロダクトを第一に考え、技術に立脚した組織にしたいからです。組織設計もそのビジョンに基づいて採用しています。
――マインド面ではどのような人を求めているのでしょうか?
チャレンジ精神が旺盛で、自分で方針や物事を考えて解決策を考え実行できる、リーダーシップ能力が高い人ですね。ほかには、チームで同じ目標に向けて最短距離で進むことを重要視できる人でしょうか。
LIFEHUBでは行動規範を定めていまして、「遊び心」「向上心」「論理性」「客観性」を重視しています。会社の方針をもとに、自分で考えて行動でき、意見を柔軟に取り込んでフットワーク軽くやっていける人が好きです。
――ここまで候補者に求める条件を聞きましたが、ポテンシャル重視の採用は行ないますか? たとえば、社会人経験がない学生が「入社したいです」と希望した場合はどうでしょう?
大学院でロボティクスの研究をしていた人は歓迎です。できれば修士以上であると嬉しいけれど、学士でもやる気のある方は歓迎します。先日も学士の方が「制御工学の知識を活かしたい」とコンタクトしてくれました。そういった人はプロジェクトを牽引できるエネルギーがありますから、ぜひうちで活躍して欲しいです。
――逆に経験豊富なシニア技術者は難しいでしょうか?
その方のスキルによりけりですが、うちはスタートアップで最先端技術も用いますので、40歳くらいまでかなと考えています。
■ファッション感覚で身体機能を拡張する世界を目指す
――話を変えて、これから実現したいビジョンはありますか?
まずは電動車椅子を実現して、その後は様々な身体拡張デバイスを手がけていきたいですね。将来的には足や腕など、身体に代わる様々なデバイスを開発していく予定です。身体デバイスをファッション感覚で付け替えられる世の中になればと思っていますし、その分野のリーディングカンパニーになりたいですね。
――最後に、候補者へメッセージをお願いします。
LIFEHUBが開発する製品が実現すれば、世の中に新しい光を照らせます。
体が不自由な人はもちろん、日本の産業にも良い影響が生まれるでしょう。モビリティはリリース後、全世界に売り出していく予定です。日本の技術は精密加工や小型化で高い技術を持っていますが、グローバルでは下火になっているので、需要を生んで活気づけられたらと考えています。
貴重な開発に携われるチャンスなので、ぜひ一緒に活動して、インセンティブも得てもらえたらと考えています。