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自分の「好き」が仕事になる。もしもアフィリエイト責任者が語る仕事に一番大切なこと

アフィリエイト業界は1999年に日本で誕生して以降、右肩上がりで市場を拡大してきました。しかし、その成長を支えてきたのは人力によるものが大きい。ITサービスでありながら、その裏では多くの作業が人の力で行われてきたのです。その歴史に終止符を売ったのが、市場ができてから10年後に誕生した「もしもアフィリエイト」です。

人力を効率化するシステム、人力を置き換えるシステム、人力ではできないことを実現するシステム。3つのシステムで市場のポテンシャルを最大限に引き出しました。管理コストを大幅に削減することで広告主の負担を減らし、潜在的な広告主の発掘に成功したのです。

今回は「もしもアフィリエイト」の成長を支えてきた、マーケティング事業本部長の佐藤俊幸に話を聞きました。今でも業界で革新的な取り組みを続ける背景には、どのような狙いがあるのかお届けします。

学生起業した佐藤がもしもで働く理由

学生時代にマーケティング支援会社を共同創業した佐藤。もしもに転職した理由から、もしもでどのような仕事を任されてきたのかを聞きました。

「学生時代に仲間と創業した会社は、資金調達などがうまくいかず、拡大するのに苦労していました。そんな時、当時興味のあったドロップシッピングを事業として行っているもしもに出会ったので、メンバーと一緒にもしもに移ったのです。

もしもに入社してからは、ネットショップ支援のコンサルティングを行いました。全国のショップオーナーさんに向けて、ネットショップの開設から集客まで二人三脚で行う仕事です。ビジネスの仕組み上、ショップで売上が生まれなければ私達にも利益はありません。ショップオーナーさんたちがどうしたら伸びるのかを常に考えていましたね。」

ネットショップのコンサルをしていた佐藤が、マーケティングを担うようになった背景には、クライアントの最も近くで仕事をしてきた佐藤ならではの理由があります。

コンサルティングをしていると、自分たちのサービスの不便な点に気づくものです。もっと使いやすいプロダクトにするため、プロダクトを改善する部署を兼任しました。プロダクトが改善されると、今度はプロダクトを多くの人に使ってもらいたくてマーケティングの勉強もより深めていきました

そのタイミングで、前任のもしもアフィリエイト担当がいなくなったため、正式にもしもアフィリエイトの責任者に。それからは5年で当初の5倍の規模にまで事業を成長させました。」

アナログなアフィリエイト業界にデジタル革命を起こす

佐藤がもしもアフィリエイトの責任者となってからの大きな改革の一つが、サービス運営のシステム化。これまで手作業の多かったアフィリエイト業界に、システムの大幅な強化を導入した背景について語ってくれました。

「もしもアフィリエイトができた時、日本でアフィリエイト市場が誕生してから10年ほど経っており、順調に市場も拡大していました。しかし、ASPの現場を見てみると、とてもアナログな世界だったのです。広告主さんに電話をしてアポをとり、エクセルで作った申込書をプリントしているのを見て、『2010年にもなってそれはないだろう』と正直思いました。

一方で、アフィリエイトに近しいアドテク業界は新しいテクノロジーが次々に生まれ、勢いよく成長していました。アフィリエイト業界もアナログながら成長していたので、必ずしもテクノロジーを使うことが正解ではないにしても、このままではいずれ停滞すると思ったのです。

業界に転換期が訪れた時に、先行していた大手のASPはなかなか方向転換ができません。規模も小さくフットワークの軽い私達だからこそ、業界の変化にも柔軟に対応できます。そこに勝機を見出したのです。」

佐藤がシステム強化を行い約10年、業界にどのような変化があったのでしょうか。

「システム強化によって、広告主さんがWebで簡単に登録ができ、広告のテストも自分で行えるようになりました。私たちの手を介さなくても、広告主さん自身の手でなんでもできるようになったのです。その使いやすさがヒットして、それまで月に3~5社ほどの増加だった新規の広告主さんが、50社以上に増えました。

10年経って起きた変化は広告主さんの動きです。それまでの広告主さんはASPに登録したら、担当者の動きを待つ受け身の姿勢が強かったです。しかし、システムにより何でもできるようになると、広告主さんも自発的に動いていただけるようになりました。おかげで、より広告主さんが望むような広告の露出ができるようになったと思います。

もう一つの変化は小規模な広告主さんが増えたことです。手作業で広告主さんを登録していたころは人件費などがかさみ、初期費用で数十万円はかかっていました。しかし、システムによりコストが抑えられたことで、初期費用を無料にすることができたのです。結果として、それまでは初期費用がハードルで登録できなかった小さな広告主さんも、安心して登録できるようになりました。」

儲けることよりも社会的価値を生むこと。もしもがニッチなジャンルを攻める理由

佐藤は今でも業界に革新を起こし続けています。その一つがニッチな領域の発掘。これまでアフィリエイトで売上が出る業界は、金融や人材などの特定の領域に集中していました。しかし、佐藤はこれまで手をつけてこられなかった「オンラインスクール」などのニッチな領域を開拓しています。その狙いとはいったいなんでしょうか。

「アフィリエイトで売上が上がるジャンルはほとんど決まっていました。後発組の私達が新たにそのジャンルに参入しても、社会的には大きな価値はありません。私達がやらなくても、他のASPがやるだけですから。

だからこそ、これまで他社が手をつけてこなかったジャンルに参入することにしたのです。まだ市場が出来上がっていないジャンルで、一緒に市場を作っていくことは大きな価値のある仕事だと思います。」

ニッチなジャンルはそれだけ広告主も少なく、売上が期待できないのも事実です。しかし、佐藤は広告主の数ではないところに勝機を見出している様子です。

「確かにニッチなジャンルは広告主が少ないです。しかし、広告主の数よりも大事なのは広告主1社1社が成長するかどうかです。私達は広告主さんが成長し、成果が出た分手数料が入る仕組みなので、広告主さんの数よりも成長率のほうが重要です。私達が一緒にやることで、彼らがどれだけ事業成長できるかにコミットして仕事をしています。

もちろん、それは簡単なことではありません。しかし、大きな価値のある仕事をしたいため、難しくてもチャレンジしています。」

広告主さんをエンパワーすることに情熱を持って取り組んでいる佐藤。どのような面白みを感じているのでしょうか。

「広告主さんと一緒に世の中が変わっていくのを目の当たりにできることですね。例えばヨガだったら、オンラインクラスが普及するなど時代のトレンドを真っ先に感じられます。今の仕事だからこそ様々な業界の変化を見ることができ、さらには自分たちで未来を一緒に創り出していけます。

特に私達のクライアントは熱意を持っている方が多いです。熱意のある方たちと一緒に産業を変えていくことはやりがいを感じますし、楽しいですね。」

「メンバーの自主性を引き出す」それがマネージャーの仕事

佐藤に理想の組織について尋ねると、「それぞれがやりたいことができる組織」だと答えました。その背景を深堀りしていきます。

「その人自身が楽しいと思えることをしてもらいたいと思っているからです。仕事のことを考えると嫌な気持ちになるような仕事はしないほうがいいと思っていますし、できるだけ楽しいと思える仕事をしてほしいので、やりたいことをしてもらいたいと思っています。」

部下のやりたいことを引き出すのは言うほど簡単ではありません。佐藤が普段から気をつけていることはあるのでしょうか。

発言することが怖くない環境づくりをしています。発言したことにより怒られたり、馬鹿にされていたら誰も本音を話さなくなります。誰もが自分のやりたいことをストレスなく言える環境を作るのが、マネージャーの仕事だと思いますね。

自分の趣味が仕事になれば、誰だって楽しく働けますよね。そういう環境を作り続けていきたいと思っています。」

実際に自分の趣味関心を仕事にしたメンバーもいると続けます。

「彼は自身がコーチングを受けて感動した経験から、コーチングのジャンルに参入しようとしています。自分でもコーチングの資格をとって、これから本格的に参入するところです。熱意さえあれば、資格取得のための応援もしてくれるのも、もしものいいところだと思いますね。」

自分のやりたいことが仕事にできる佐藤の組織は、働き方にも多様性があるといいます。

「現在、マーケティング事業本部には正社員が14人いる他、業務委託やパートナー契約の方たちもいます。世の中的にはここ数年で様々な働き方をする人が増えて、フルリモートで働く方や地方を転々としている方など様々です。働き方や雇用形態はそれぞれのライフスタイルに最適化されていけばいいと思いますし、『正社員は中の人』という考えはもう古いと思います。雇用形態に関わらず、事業に関わる人はみんな社員だと思って働いています。」

雇用形態に縛られない組織の考え方は、「自分がやりたいことを仕事にする」働き方にもマッチしていそうです。

「メンバーそれぞれの熱意で新しいジャンルに参入しているため、どうしても仕事が属人化してしまう恐れがあります。もしそのメンバーが辞めてしまったら、代わりがきかないためそのジャンルは弱くなっていくでしょう。それも一つの結果だと受け入れていますが、多様な働き方を許容していることで、新しい価値の出し方もあると思います。

たとえば会社を辞めるにしても100%辞めるのではなく、50%だけ残ってアドバイザーとして残るなどです。『社員か社員じゃないか』という従来の組織のあり方ではなく、それぞれのメンバーに最適化された働き方を実現できる組織でありたいですね。」

次世代のマーケティングに必要な素質

佐藤にアフィリエイト業界でこれからどのような人材が必要になるかという話を聞くと、まずは業界で起こっている変化について語ってくれました。

「今のアフィリエイト業界は運用の仕組みやシステムにより、どんどん自動化・コモデティ化が進んでいます。その結果、誰がやっても同じような結果になっていくと、その上流にある戦略の重要性が増してきます。戦略を練るのに必要なのは、商品や顧客に対する理解です。ここ数年はデータによる広告運用ができる人間が重宝されてきましたが、これからは現場を知っている人間の方が有利になっていくと思います。

つまり、これまで数値化しにくいものを扱っていた人たちです。例えば商品のブランド戦略を創ってきた方々や顧客と実際に接してきた方々。データで分かることは誰がやっても近い結果になっていくので、商品の理解が深く、生の顧客を知っている人の方が有利になっていくはずです。」

技術が進歩したことにより、データにできない情報の価値が高くなっていると語る佐藤。そういった時代にマーケターに求められる素質はとはなんなのでしょうか。

「データで分かること以外のことも考えなければいけなくなるので、マーケターが考える範囲が広くなっていきます。膨大な情報の中から、どの情報が重要になるのかピックアップできる能力が必要だと思います。全ての情報を拾うことはできないので、クライアントを見ながら足りないところを効果的に補完する力が求められるでしょう。そのために、全体を俯瞰し何が必要なのかを瞬時に見抜くスキルが必要です。」

佐藤はもしもではそのスキルが磨けると続けました。

「作業を効率化するために、クライアントとメディアを別の人間が担当している企業も多くあります。全体を見れば効率化はされるものの、どうしても個人の視野は狭くなりがちです。一方で私達はクライアントとメディアを一貫して見れるので、全体を俯瞰して見る力を養えます。

私達も組織が大きくなれば、分業にせざるを得ない状況になるかもしれませんが、可能な限り抗いたいと思っています。分業しないことで効率は落ちるかもしれませんが、その分マッチングの精度を高めたり、社内のシステムにより補っていきたいですね。」

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