メーカーが無い機械の延命
山梨県内のレーザー機などを使って彫刻、マーキング、切り抜き等をおこなっている企業様から、機械などの修理を「近隣ですぐに対応してくれる」企業にお願いしたい、との思いからご相談を受けました。今回のご相談はサンドブラストのことで内容は2つでした。
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機械の修理では、「メーカーがなくなってしまった」などの理由からメーカーに修理を頼めないケースがあります。
修理する私たちもメーカーへの問い合わせができない中、入社して研修とひと通りの業務を経験したばかりの新人技術者が担当責任者として最後までやり通してくれました。
茂呂製作所では人材育成に力を入れており、研修を終えたスタッフは実務で十分に通用する技術力を身に着けています。研修後は経験を積んでいくことで一人前に成長していくので、ベテランスタッフが見守りながらも、自分自身の判断でクリアしてもらうことが重要だと考えています。
もし万が一失敗した場合でも、社内が一丸となり納期を達成できるようにサポートする体制があります。今回は、実際の修理のケースと、人材育成の2つの観点からご紹介します。
山梨県内のレーザー機などを使って彫刻、マーキング、切り抜き等をおこなっている企業様から、機械などの修理を、近隣ですぐに対応してくれる企業にお願いしたい、との思いからご相談を受けました。今回のご相談はサンドブラスト(圧縮エアの力でノズルから研磨材を高速噴射する表面加工装置)のことで内容は2つでした。
お客様のところに設置してあるサンドブラスト機
機械を購入した先と連絡が取れなくなったので、消耗品であるブラストガンの先端にあるノズルが入手できなくなってしまった。手元の在庫がなくなると困るので、現行品と同等もしくはそれ以上にコストパフォーマンスがいいノズルを作って欲しい。
ノズルは通り穴が摩耗して大きくなってしまっていたものの現品があるため、下記のような対応が可能と判断しました。
ブロアの調子が悪い。もしブロアだけ交換や修理ができるならとても助かる。その費用が高額であるなら新しいサンドブラスト機を購入することも視野に入れるので、検討してみて欲しい。
現地で確認したところ下記のような状態でした。
修理するパターンだけでなく、新しい機械を購入するパターンも含めて提案しました。
見本にお預かりしたノズル
2つのご相談のうち、1つ目のノズルの製作を発注していただきました。実際に行った工程は以下の通りです。
材質が「S45C」であると分かりました。当社の見解ではS45Cの焼き入れがベストと判断しましたが、比較検討のため他の材質も含めて4種類(SS400、S45C、SUS304)の試作を行いました。
形状は簡単なものですが、先端のR部を正確に測定するために三次元測定機を用いて計測、その値を元にCADで作図します。
旋盤で製作の工程を行います。
摩耗を防ぐための焼き入れ・焼き戻し処理を協力企業様にて行います。
取り付けをし、実際に作業をやっていただいたところ、「以前のものよりいいのでは?」とお褒めいただきました。
担当した新人社員には「何かあったても全て会社が責任を持つ」「大丈夫、やってみろ!」と伝えました。勇気をもってスタートしてくれ、慎重派のD君は一つ一つ確認を怠らず対応した結果、お客様が希望した納期期日よりも1週間早く納品できました。
「お客様と共に技術者を育てる!」とてもいい事例になりました。
茂呂製作所スタッフブログ