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「子どもの自己肯定感を育むには−序章」

こんにちは😃
株式会社Gotoschoolが運営する「子ども運動教室LUMO(ルーモ)」で指導員をしております、村松です。少し、自己紹介を。

私は小さい頃からいろいろなことに興味を持ち、自分の世界に入り込むタイプです。そのため、周囲の行動に遅れがちで、先生に怒られることが多々ありました。

私の好きなものは本です。このデジタル時代にあっても、興味があるものはスマートフォンで調べたりせず、本で学ぶのがこだわりです。

このような自分をベースにLUMOに通う子どもたちに接すると、子どもの思考や精神面の発達に興味がわきます。LUMOでは、2歳児から中学3年生の子どもが運動に参加していますが、いつももっと成長を引き出したいと考えています。

そこで、私が担当するnoteでは、本から得た子どもたちの発達や成長の役に立つ情報を、わかりやすく紹介していきます。

今回手にとったのは『「自己肯定感」を高める子育て』(ダニエル・J・シーゲル、ティナ・ベイン・ブレイソン共著、桐谷知未訳、大和書房)です。精神面の発達がどのようにすすむのかを知るうえで、イラストや著者の体験談をもとに説明されており、たいへん参考になりました。皆さんにぜひ紹介したいと思います。


何故、子どもの自己肯定感を育む必要があるのか?

そもそも自己肯定感とは、子どもが将来さまざまな困難や問題を乗り越える力を蓄える土台となります。

自己肯定感が安定している子どもは、自分で問題解決の方法を考えて、試行錯誤しながら行動することができます。変化の大きいこの時代に、自分らしく自信をもって生きていくためにも、自己肯定感を育むことが重要なのです。

この自己肯定感は、子どもが幸せに生きていくための4つの資質からつくられていると著者はいいます。

子どもの人生に必要な4つの資質

  1. キレない力
    感情とふるまいのバランスをうまくとる能力であり、癇癪を起こして抑えがきかなくなることが減る。
    →感情のバランスとコントロールが身につき、家族や友人との意義深い関係、元気を回復させる睡眠、優秀な成績、一般的な意味での人生の幸せを得るためにも必要。
  2. 立ち直る力
    生きていくうえで避けられない問題や困難にぶつかっても、すばやく回復する能力。
    →難しい状況や不快な感情に対する許容の窓を広げることで、ものごとが思いどおりにいかなくても取り乱すことなく、逆境に向き合うことができる。
  3. 自分の心を見る力
    自分の心のなかを見つめて理解する。そして、学んだことを活かしてよい判断をすることで、自分の人生をしっかり管理する能力。
    社会的および感情的知性のこと、また、心の健康のカギとなる要素。創造性や幸福、意義や意味に満ちた人生を送るために必要になる。
  4. 共感する力
    ほかの人の考え方を理解してから、思いやりを持ってそのときにふさわしい行動を取る能力。

著者は、この4つの能力を高めるために、大人の手助けが必要だといいます。そして、適切な助けを得られれば、子どもの脳はいくらでもよい方向に「変わっていく」ことができるのだそうです。

では、適切な手助けをするために、どんなことに気をつけるべきなのでしょうか。著者はまず、「プラス脳」「マイナス脳」を知る必要があると、解説しています。

プラス脳とマイナス脳の特徴

人の話を聞いている間、子どもは身体と気持ちの両方で反応します。

例えば、きびしい口調などで話されると不愉快で、身構えたくなります。反対に、優しい口調で話されると、穏やかで、軽やかな気分になります。それらの反応を書籍ではそれぞれ、「プラス脳」「マイナス脳」と呼んでいます。

マイナス脳の特徴

マイナス脳とは、人との関わりで過剰な反応をしやすい脳のことです。人の話に耳を傾けてきちんとものごとを判断することや、通じ合うことが難しい状態を指すそうです。

このようなときには、「生存」と「自衛」にばかり集中するため、とっさに脳神経系が「闘争・逃走・硬直・失神反応」を起こし始めます。

闘争は襲いかかるような状態になること、逃走は逃げること、硬直は一時的に動けなくなることです。そして失神では、虚脱状態(四肢が急速に冷たくなり、多量の発汗、チアノーゼ、頻脈、軽度の血圧低下が伴う状態)になり、無力さを感じます。

困難な状況に向き合ったときに、この4つの反応のうちのいずれかが起これば、ものごとに柔軟に対応することが難しくなります。

マイナス脳の世界観は、頑固さ、不安、競争、脅威が脳を支配している状態です。自身の状況と感情に振り回されてしまい、上手く気持ちを切り替えることができないため、解決策を見つけることができません。

その代わり、現状に不平を言い、新しいことや間違えたことを異常に心配してしまいます。特に頑固さが脳を支配していることが多いとされています。

大人の場合は、頑固になることがあっても、自分で冷静さを保とうとすることができます。完全に頑固さを消すことはできなくても、周囲との兼ね合いからよりよい対応をしようとすることができます。

しかし幼い子どもは、大人よりもマイナス脳になることが多いそうです。特に3歳児では、これが常態化したかのようになるといいますが、まさにイヤイヤ期や敏感期などと言われる頃ですね。そんな子どものマイナス脳を元に戻すには、大人がその方法を学んで対処することが必要なのだそうです。

プラス脳の特徴

これに対して、プラス脳はその名の通りマイナス脳とは反対の状態です。まわりの人の話を聞き、自身で判断し、ものごとを受け入れることができる力です。この受け入れる力に加えて、活発な人付き合いをしていくと、自己肯定感を高めることができます。

プラス脳のときには、困難や新しい経験を「学ぶための壁」として向き合うことができます。すると、まわりへの好奇心が増えるため想像力が豊かになり、自分の行動に自信をもてるようになります。

また、頑固さや強情さを和らげ、周囲の人間との関係を築くことができるようになり、逆境にあっても順応性と回復力を発揮できます。

つまりは自分を理解し、自分の決めたことと、まわりの人への接しかたを方向づける心の羅針盤を持てるようになるというのです。落ち着いた感情で世界にまっすぐ向き合い、たとえ思いどおりにいかない状況でも、人生が差し出すすべてを受け入れる準備が整います。まさに理想的な状態ですね。


自己肯定感を育む上で大切なこと

「プラス脳」と「マイナス脳」を踏まえても、自己肯定感を育てるには注意が必要です。

「自己肯定感」を育てる=「甘やかす」ではない

子どもに接するとき、この線引きを間違ってはいけません。私たち指導員にとっても、子どもを褒めたり認めたりする態度として、何が適切かは注意するところです。

自己肯定感を育むことは、子どもに対して「いいよ」と意見を通すことではありません。もちろん、甘やかしたり、言いなりになったり、困難な状況から援助することでもなく、機械的に人の言いなりになる人を育てることでもありません。

自分がこれからどんな人間になっていくのか子ども自身に気付くきっかけをつくり、つながりと意義にあふれた人生を選択できるようにすることが重要なのだと著者はいいます。

そして、たとえプラス脳と自己肯定感を持っているとしても、負の感情が完全になくなるわけではないことにも言及しています。さらに、人生に目的がなければ、可能性が限られてしまうことにも。

しかし、自己肯定感があると、自分自身を理解しつつ、柔軟に学びながら順応していくことができます。目的を意識した生き方ができるので、困難な状況に耐えるだけでなく、自ら考えて解決していく力があります。それならば、自分なりの人生の意義を見出すことができるでしょう。

また、プラス脳が発達すれば、多くの人とつながりのある人生を送り、自分がどんな人間かを知ることができるといいます。人生を豊かにするエッセンスを備えていくことになるのです。

しかし、著者はまた、逆の見方もあるといいます。マイナス脳を成長のチャンスと捉えるのです。

例えば、お友だちとケンカになり癇癪を起こし手を出す場面を見たり聞いたりしたとします。その際、自身で気持ちを整え、向き合うことができれば、その後の展開を変えられます。人生の壁に立ち向かい、経験したことを理解することができれば、時間がかかっても、まわりの人を思いやる能力を伸ばすきっかけになるのです。マイナス脳からプラス脳への切り替え方を身につけることは、確かに物事をプラスに変えていくことにほかなりません。

自己肯定感が発達する部分

本書では、ここまで紹介されてきたメカニズムが脳のどの部分に起因しているかについても詳しく紹介されています。

高度な精神機能を処理する前頭前野
「自己肯定感」「プラス脳」「マイナス脳」を司るのは、脳でもっとも外側の層である大脳皮質です。額の真後ろにあり、後頭部まで延びて、まるでドームの半分が下の偏桃体までをおおうかのような形状です。人はその一帯のおかげで計画を立てることができ、未来を想像したり、パズルや計算など難しい問題を解いたりします。複雑な認識や、日々の意識上の経験の大半も、脳の高度な精神機能が処理をしています。この前頭前野は、時間をかけて発達し、20代半ばになるまでに発達が完了するとされています。

扁桃体
子どもがよく頑固になったりキレたりするのは、扁桃体という部分が動いているためです。扁桃体は、脳のかなり原始的な部分です。鼻柱あたりから首の上端までの脳の低い位置にあります。この部分は、強い感情や本能、消化や呼吸などの基本機能を含む、もっとも基礎的な神経・精神活動のほとんどを司っています。とっさに反応し、考える前に行動することが多いため、本能的で低次元の、反射的な行動を引き起こします。


このような解説を読むと、前頭前野と偏桃体は相反する存在で、そこから繰り出される精神や行動は、まるで別であるように感じてしまいます。しかし著者は、子どもの脳の構造を「2階建ての家」と表現しています。

つまりこのような状態です。脳の1階が扁桃体、2階が前頭前野です。生まれたばかりの子どもは、この1階部分はよく発達していますが、2階部分は建設中。複雑な思考や感情、人付き合いのスキルが未熟です。

そのため、大人は子どもを愛し慈しむと同時に、特に前頭前野の部分を育てて強くすることが重要だと語っています。前頭前野の様々な機能を育て、自己肯定感を高める経験をさせることで、脳の機能を統合し、扁桃体の機能をバランスよく整えるのです。つまり子ども期には、この1階と2階が「調和のとれた家=バランスのいい脳」をつくることが大切だといいます。

まとめ

脳にはマイナス脳とプラス脳がありそれを統合した結果、自己肯定感が育つことがわかりました。そしてそのためには、脳の前頭前野を発達させることが重要であることも理解できました。
次回は、冒頭で紹介した「子どもの人生に必要な4つの資質」それぞれについて、著者の解説を紹介していきます。次回もお楽しみに!

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