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フリーランスが案件を引き受ける際にこれだけは確認しておきたい必須確認事項を列挙する

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。

今日も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「フリーランスが案件を引き受ける際にこれだけは確認しておきたい必須確認事項を列挙する」についてご紹介しておきます。(元記事:https://wizpara.com/2757/)

2024年秋にフリーランス新法が施行されます。

フリーランス新法とはとは、組織に所属せず個人で働くフリーランスの労働環境を保護することを目的とする法律で、この法律が施行される背景としては、
取引先とのトラブルを経験するフリーランスが増えているという現状を鑑みてのことです。

これらの法律がフリーランスの大きな味方になり、トラブルの芽を多少摘んでくれるであろうことは間違いありません。

しかし、それも万能ではなく、あくまでもクライアントとのトラブルを未然に回避するための工夫は自ら実施していかなくてはなりません。

今日はフリーランス人生16年を超えるわたくしざき山が、過去のこじれた案件から、案件を請ける前に絶対クライアントと確認しておくべき事項をまとめていきたいと思います。

これからフリーランスとして長く活躍していきたい若手に、ぜひとも届けたい有益な情報にしたいと思います。

サイト制作編

まずはサイト制作案件からです。

ちなみにサイト制作案件問わず、絶対的に決めておくべき最低限の事項が、

報酬金額・支払い方法と納期になるかと思います。

ただ、これらももう少し厳密に決めておくべき点と、注意点があります。

報酬金額・支払い方法

報酬金額といっても、税金は税込みなのか税抜きなのか、全額後払いなのか、一部前払いなのかも明確に決めておく必要があります。

また、納品してから請求書を送って入金までは、どのくらいのタイムラグがあるのか・・・自分は過去、ひどいときには三か月後といったケースもありました。

Web系フリーランスは、基本的には掛け売りで、納品してから報酬全額を後払いというケースがほとんどだと思います。

それはそれで、納得していれば良いと思いますが、一部だけでも先払いをお願いするのは、べつに間違ったことではないと思います。

とくに新規のクライアントでは、絶対に一部だけでも前払いしてもらうことをおススメしています。

今まで制作物納品後に報酬を回収できなかったケースが何件かありましたが、すべて新規のクライアントでした。

もし一部でも前払いをお願いして断られるときは、そもそも怪しいと思って断ってもいいのではないかと思います。

そして今回の報酬金額・支払い方法だけではなく、案件受注時に奏法で取り決めた内容は、契約書などにまとめておくのが無難です。

自分の考えとしては全ての案件で毎回受託契約書を交わさなくても良いと考えていますが、それでも条件や取り決めはかならず履歴の残る連絡手段で、残しておくことを徹底すべきでしょう。

納期

さて、次に大事なのは納期ですね。

なにか制作物をお願いするとき、また依頼されるとき、いつまでに出来るかというのを明示するのは、まぁ当たり前と言っては当たり前なのですが。

自分がコントロールできない理由で、納期内に制作が間に合わなくなるケースがよくあります。

たとえば病気や事故・災害に見舞われたとき・・・クライアントとの連絡のやりとりがスムーズにいかず、制作の手が止まってしまう場合などなど・・・。

また納期を設定する場合でも、その成果物が納期に間に合わないとどうなるのか、その成果物を何月何日にどういう目的で利用しはじめるかなど、その背景も含めて念入りに確認しておくのが無難です。

たとえば納期の翌日に大きな催事で利用することが決まっていて、成果物がないと大きな損害が生じることが決まっている場合・・・そもそもそんなタイトでシビアな納期の条件で引き受けたら万一間に合わなかったときに大きな責任問題に発展しかねません。

もちろん納期を設定する以上は、絶対、間に合わせるように動くのがプロではあるのですが・・・

不可抗力で間に合わなくなることも想定して動くのが組織ではない個人として活動するフリーランスのリスクヘッジだと思います。

何をもって納品とするか

今まで数々の案件をこなしてきましたが、何をもって納品とするかを明確に決めておかないと納品できずに延々と案件が伸びる羽目になってしまうことがあります。

サイト制作であれば、何のページが必要なのかサイトマップなどで、細部まで全ての作成対象のページを洗い出しておくのは必須です。

もし取り決め後に、新たに必要なページが生じた際は、別途見積りにて対応する旨もあたりまえなことですが、予め念を押しておきましょう。

またデザイン面でもクライアントが無限に修正希望を伝えてくることがあります。

ひどい時は、やっぱり前に戻してほしいと言われて、せっかく何回も修正に応じたのに結局一番最初のデザインに戻すことなどもあります。

これも主観の産物であるデザインに関しては、最大限の要望を効いたうえで、デザイナーにあとは一任してもらうという取り決めであったり、何案か提出するのでその中から選ぶようにする取り決めであったり修正回数の上限を予め決めておくなどの対策がマストになります

納品後のサイトの更新・運営について

制作案件は基本的には納品して終わりですが、その後のサイトの更新や運営体制についても制作時にあらかじめクライアントに伺っておくのが良いと思います。

運営体制を伺ったうえで、Wordpressなどを導入するべきかスクラッチで制作するべきかを決定したり、制作後のフォローを円滑に行えるように手を回しておきましょう。

中間制作物の扱い

サイト制作時に、サイトで掲載するバナー画像の制作や、イラストの描画、動画の編集などをおこなうために、PhotoshopやIllustrator、Premiereなどで中間制作物が生成されます。

これらのファイルは最終のサイトには利用しませんし、ノウハウの結晶なので、基本的には納品時に渡すことはありません。

ただこれらのファイルがあると、クライアントは簡単にサイトの更新ができるので、渡してほしいと言ってくることもあります。

これらの中間制作物の扱いをどうするかも予め決めておくのが良いでしょう。

基本的にサイト制作案件であれば、納品物はサイトを構成する必要最低限のファイル群で、それに付随するファイルなどは含まれないとしておくのが良いと思います。

月額保守作業編

フリーランスは月額保守サービスをクライアントへ提供することによって、つきづき安定して報酬を得る代わりに、月々発生する更新作業やトラブル対応など、毎回見積もりなどをはさまずにタイムリーに対応していきます。

これはクライアント・フリーランスに大きなメリットをもたらすケースもあれば、月額保守サービスの諸条件を明確に当初取り決めておかなかったがゆえにもめるケースも散見されます。

月々の報酬金額

月々の報酬金額を明確にするのは当然ですが、この金額の妥当性を初期に見極めるのが至難の業です。

たとえば月額保守で任せられる作業の工数が、実際に運用を開始してからでないとわからない場合が多く、報酬金額を設定したはいいものの、とてもじゃないとこの金額ではやってられない・・・。

もしくは逆に、こんな高い保守料を支払っている割に、実際に依頼する作業量は大して多くない・・・などなど。

途中でフレキシブルに金額を見直してくれるなら良いのですが、一度決まった金額で続けてくれの一点張りでは、炎上案件に様変わりです。

保守作業の対象範囲

月額保守サービスを提供するうえで、もっとも明確に双方すり合わせておかなければならないのが、月額保守サービスの対象範囲です。

たとえば「サイト更新作業を行ってください。」というサービスひとつとっても

サイトは1つなのか、無制限なのか

更新はコンテンツの追加や修正のみで、デザインのリニューアルも含まれるのか

サイトで掲載するという理由で、パンフレットのデザインや動画の編集も行う必要があるのか・・・などなどなどです。

あとから、それはさすがに料金内では無理です。

・・とクライアントに伝えても、そんなの知らなかった、やってくれるものだと思っていたなどと言われる可能性もあります。

サイトの更新であれば、
・対象ドメインのサイト内のページに限る
・あくまでもHTMLページの更新に限り、パンフレットのデザインや動画編集、Webシステムの開発などは含まれない

などの条件を、開始前に双方にて確認しておく必要があります。

工数の上限

そして工数の上限も定めておいた方がよいでしょう。

たとえば同一ドメインのサイトに対して更新であれば、無制限という決まりにしておくと、

では月に1,000ページや2,000ページのコンテンツを作成してもらってゴリゴリSEOマーケティングしていこうとクライアントは考えるかもしれません。

工数の上限をページ数にするのか、時間数にするのかはわかりませんが、無制限とうたっておくと人間の手ではさばけないほど依頼が殺到しても文句は言えないことになりますからね。

ライティング編

ライティング案件を請ける際も、双方で認識の差が生じない様に、しつこいくらい諸条件を取り決めておくべきでしょう。

ちなみに自分にライティング案件をお任せいただいているクライアントは、非常に器の大きいクライアントで、実に多くの裁量(仕事の進め方の自由度)を与えていただいているので、月々の作業量や成果物の内容、その他、関連施策などもかなり自由にやらせていただいています。

ただ、これは非常に稀だと考えて間違いないでしょう。

月々の記事数・文字数

正直、ライター目線では、文字数が多ければいい記事とは限りませんし、あまり文字数を限定されるのもいい気はしませんが、クライアントからすればわずか数行で1記事出来ましたぁなどというライターがいるかもしれないので、そういった条件を提示するのもわからないではありません。

ただ文字数をゴールにされると、良いコンテンツを作ろうという意欲よりも、文字数を稼ごうという思考に切り替わってしまうため、クライアント側にはあくまでも良いコンテンツを作るモチベーションをあげるための、取り決めを工夫してもらいたいところではあります。

コンテンツのクォリティ担保

前項で述べたことですが、文字数をゴールにするとなんの価値もない情報を冗長な言葉遣いと、必要ない周辺情報の列記に終始したゴミ記事が量産されることがあります。

そのあたりを回避して、作業スピードを落としてでも有益なコンテンツ記事を書いてくれるライターが報われる報酬体系をぜひとも見出していただきたいものです。

たとえば、記事がSEOにて狙ったキーワードで一位を取れれば、追加で報酬を払うなどですね。

逆に請け手のライターも自分がライティングするコンテンツにはこんな付加価値がありますよという風にアピールする指標やラベルが必要になるでしょう。

また契約条項としてもコンテンツのクォリティを担保するために必要な取り決めをしておくことが求められます。

まぁ、クオリティを客観的に判定するツールというものもなかなかないので難しいんですけどね。

著作権が侵害されていないかのチェック(コピペチェック)

ライターに記事執筆を依頼するときに、気を付けなくてはならないのが著作権が侵害されていないかのチェックですね。

ライターの中にはネット上の記事の中から、コンテンツをコピペして引用を超える登用をしてしまう人も一定数います。

発注側・受注側双方が、コピペチェックやコンテンツの出どころ、データの引用先、挿入イメージの権利取得など、もろもろ手を打たなければなりません。

SEO対策サービス編

SEO対策をはじめとするWebマーケティング施策の依頼が来ることもあります。

そしてWebマーケティング施策は、基本的に施策作業がブラックボックス化しやすく、クライアントとフリーランスで認識のズレが生じることも多いサービスです。

まっとうなサービスを提供してくれているのかジャッジするのが難しい

これは報酬形態の大前提なので、決めるのは当然ではあるのですが、どちらの形態も注意点が必要です。

成果報酬の場合、一見、クライアント目線では一番コスパが良いという印象を抱くかもしれませんが、これは要注意です。

報酬発生の条件を決める際に、発注者側にWebマーケティングのリテラシーが低いのを良いことに、簡単に達成できることをいかにも難易度が高く、Webマーケティング効果が高いという印象操作で、成果報酬を得ようとする事業者が目につきます。

そしていったん成果報酬の基準を超えた後は、対した施策をせずともその基準が維持できるようになっているのです。

月額固定報酬の場合、前述のようなことはおきませんが、月額固定で報酬を払っているのにWebマーケティング効果が出ていない場合に、クライアントから非常に大きな不満がでやすいというデメリットがあります。

どちらにせよ、双方が不満を抱かないように、フェアな条件を結ぶために、クライアント側も最低限のWebマーケティングリテラシーを身に付けてから依頼することが求められます。

また契約内容もサービス内容と効果測定方法、報告レポートの内容、報酬金額の妥当性など、双方、じゅうぶんに納得した形で進めるのがよいでしょう。

レベニューシェア型のサービス編

フリーランスの皆さんはレベニューシェアにて報酬を得ている案件はありますでしょうか?

多数派ではないですが、じぶんもレベニューシェア形態にて報酬を得られる条件での案件をいくつか経験してことがあります。

簡単に概要を言うと、マッチングサイトやECサイトを無償で制作する代わりにそのサイトから生じる売り上げの数%を報酬としてもらうという取り決めです。

しかし、このレベニューシェア案件のすべてが上手くいきませんでした(報酬を得られるまでいきませんでした)

すべては契約内容の詰めの甘さが原因です。

まず期間をある程度、長期間に設定しておかなければ努力が水泡に帰します。

つぎに売り上げがあがったことを報酬を受ける側が正確に把握できることが重要です。

それらの数値に不正が介入できないようにする対策も必要です。

次にそのサービスを簡単に終了して辞めたと言われないように、最低限の成果報酬が支払われない場合は、制作費として裁定いくらかはもらうというような取り決めも必要でしょう。

今回上げた取り決め内容はほんのほんの一部ですが、自分が提供するサービスで絶対に譲れない点は、できれば法律の専門家にも協力してもらい、きちんと受託契約書のひな形にまとめ、あらゆる案件で取り決め(契約)をきちんと交わしておく労力を厭わないようにしましょう。

それが長期で活躍するためのフリーランスのリスクヘッジとなります。


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