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最新のフリーランス白書2022から見えてくるフリーランス業界はコロナ前とコロナ後でどう変わった?

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。

今回も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「最新のフリーランス白書2022から見えてくるフリーランス業界はコロナ前とコロナ後でどう変わった?」についてご紹介していきます。(元記事:https://wizpara.com/2165/

今年も多くのフリーランスのよりどころ、我らがフリーランス協会さんから現在のフリーランスの働く環境の実態をインターネット調査でまとめた「フリーランス白書2022」が発表されましたね。


https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2022/03/FreelanceSurvey2022.pdf

今回の「フリーランス白書2022」では、コロナ前と今とでフリーランスの仕事獲得手段や今の働き方に対する満足度の変化、コロナ禍による事業収益への影響を、これまで5回のフリーランス白書調査を通じて得た結果と比較して、フリーランスとして働く上で感じる現状の課題とポストコロナでのフリーランス活動への突破口を見出すことを目的として調査されています。

思えば、新型コロナが流行してから、社会のルールや通念、仕事環境などが激変し、多くの人がフリーランスとしての活動に支障を感じた事と思います。

今回のコロナの流行を契機にサラリーマンだけでなく、多くのフリーランスも仕事上の問題を抱え、そして今現在も進行中であることが、今回の「フリーランス白書2022」の調査結果に表れています。

今回は最新の「フリーランス白書2022」の調査結果の中から、特筆すべきデータを抜粋し、多くのフリーランスが今おかれている状況を把握しつつ、今後どのように立ち回るべきなのかを考えていきたいと思います。

(本記事では「フリーランス白書2022」からの抜粋を利用させていただいております。より詳しい内容を見たい方はぜひ出典元をご参照ください。)

仕事獲得経路と働き方満足度のコロナ前とコロナ後の変化

仕事獲得の経路

フリーランスとして長く活動する上で、もっとも気になるのが新規案件をどのようにして獲得していくかが、まず挙げられますが、この新規案件獲得手段もコロナの流行で大きな影響が出ているようです。

フリーランス白書2022によると、仕事獲得経路は、「人脈(65.9%)」が最も多くて、つぎに「過去・現在の取引先(58.3%)」「自分自身の広告宣伝活動(26.2%)」で、これは調査開始時(フリーランス白書2018)から5年間変わっていません。

(【過去比較】50%年度別最も収入が得られる仕事獲得経路 出典元:フリーランス白書2022)

そのうち最も収入を獲得している仕事獲得経路についてみると、上位3項目は前年調査と変わらず、「人脈(32.9%)」・「過去・現在の取引先(30.9%)」・「エージェントサービスの利用(14.0%)」になっています。

フリーランス白書2018~2020は調査時期がコロナ禍前になりますが、その3つの調査に比べ、コロナ禍中に調査を実施している白書2021(前回)、2022(今回)では「人脈」の割合が大きく低下し、「エージェントサービスの利用」が上昇、「クラウドソーシング」が微増しています。

これはコロナ禍による行動制限により、フリーランスの仕事獲得経路として重要な「人脈」形成が難しくなったことによるものと考えらえます。

また、コロナ禍でDXや働き方改革が進み、エージェントを通じて業務委託の人材を活用する発注企業が増え市場が拡大し、それによりエージェントサービスの利用登録者が増加していることも考えられます。

ちなみに私個人の体感としても一致しています。新規案件の獲得経路は年々変化し続けていくのは当たり前としてもコロナの蔓延という大きな外部環境の変化で強制的に変化させられたといえそうです。

いち早くエージェントサービスに登録するなど使いこなしているフリーランスはコロナ禍をうまく乗り切れていると言えそうですが、変化に対応できないフリーランスはダイレクトに収入減少に見舞われていると考えられます。

また、案件獲得の経路が変わるという事は、当然案件の内容や条件面への制約などの影響も当然生じてくることが考えられ、トータルでコロナ前よりきつくなったと感じるフリーランスの方が多いのは間違いなさそうです。

今の働き方に対する満足度

フリーランス白書2022では、今の働き方に対する満足度を、「全般」「就業環境(働く時間/場所など)」「仕事上の人間関係」「達成感/充実感」「スキル/知識/経験の向上」「プライベートとの両立」「社会的地位」「収入」「多様性に富んだ人脈形成」の9項目に分けたうえで「非常に満足」「満足」「どちらともいえない」「不満」「非常に不満」の5段階でアンケートを実施してくれています。

(【過去比較】今の働き方に対する満足度 出典元:フリーランス白書2022)

満足度が最も高かったのは「就業環境(働く時間/場所など)」で76.5%でした。
さすがはフリーランスですよね。好きな場所で好きな人と好きな時間に、仕事をすることができるだから、これは当然ですね。

今回調査を実施した白書2022の結果を、コロナ禍前の2019年10月に調査を実施したフリーランス白書2020と比較すると、9項目すべてで今の働き方に対する満足度が低下していることがわかりました。

その背景として、今の働き方に対する不満度に注目すると、「収入」(42.1%)と「多様性に富んだ人脈形成」(21.8%)の2項目が、白書2020の不満度割合(「収入(34.7%) 」「多様性に富んだ人脈形成(12.0%) 」)に比べ、高いことがわかりました。

コロナ禍による行動制限がフリーランスの仕事獲得経路として重要な人脈形成の障壁となり、収入に影響を及ぼし、全体の満足度を押し下げている可能性があります。

これは私だけでなく、全てのフリーランスの方や、フリーランス以外の方でも肌感で感じているのではないでしょうか?

仕事での機会損失だけでなく、プライベートでの活動や地域の催しなども軒並み延期や中止がつづき、個人や社会全体での活動が停滞することにより、当然、お金の周りも悪くなりますし、人が感じる充実感や満足度にもネガティブな影響をうけることになります。

コロナ禍の業務・収入への影響

事業収益にあたえる影響

今年度の事業収益の着地がコロナ禍前の2019年度に比べ減少する見込みと回答された割合は、(36.7%)でした。
フリーランス白書2021(前回)で調査した2019年度比の減収割合が(55.0%)であったことを考えると、コロナ禍によるフリーランスの事業収入への影響は、昨年度と比較すると回復の傾向にあるとみることができます。

(コロナ禍が今年度事業収益に与える影響【今回】 出典元:フリーランス白書2022)


(コロナ禍が今年度事業収益に与える影響【前回】 出典元:フリーランス白書2022)

職種別にみると映像制作や営業・販売・小売など【オフライン中心で業務を行う職種】は、クリエイターやエンジニアなど【オンライン中心で業務を行う職種】に比べて、減少する見込みと回答した割合が16ポイント多いことがわかりました。

(オンライン中心職種とオフライン中心職種での比較 出典元:フリーランス白書2022)

また、収入別にみると、事業収入200万未満の事業者は、2019年度に比べ2021年度の事業収入が減少見込みと答えた割合が5割を超えました。

(収入別の比較 出典元:フリーランス白書2022)

逆に高収入の事業者は減少傾向の割合が少ないといえます。
これは家計の担い手ではなく、サポート的に働いていた主婦などがコロナ禍の外出自粛や子どもの休校対応で、就労を控えた可能性があります。

コロナの流行を経て格差がより広がった社会になったという見方もできます。

事業収入増減の内容と理由

まずコロナ禍が業務に与える影響の内容のアンケート調査結果グラフを見てみましょう。

(コロナ禍が業務に与える影響の内容 出典元:フリーランス白書2022)

多くのフリーランスが、取引先・クライアントが被ったコロナ禍の影響により、仕事に影響が生じており、それらの影響内容の内訳になります。クライアントの業種が飲食業や旅行業・宿泊業であったりするとその影響はさらに顕著になると思われます。

また、フリーランス白書2022では事業収入の増減内容とその理由についての自由回答を、ユーザーローカルテキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )を用いた分析結果も公開されています。
これはビッグデータとAI技術を駆使したデータマイニングサービスで、実に洗練された手法って感じがしますね。

スコアが高い(重要度が高い)単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示するワードクラウドの機能と、文章中に出現する単語の出現パターンが似たものを線で結んだ図にして示す共起キーワードの機能を使用し、今年度の事業収入が【減少見込み】回答者と【増加見込み】回答者について自由回答記述のイラストレーションを行ったところ、【減少見込み】回答者は、『収入』『激減』の単語が、【増加見込み】回答者については『単価』『エージェント』などの単語が中心に表示されました。


今年度の事業収益が減少見込み回答者のワードクラウド 出典元:フリーランス白書2022


今年度の事業収益が増加見込み回答者のワードクラウド 出典元:フリーランス白書2022

単語同士がどのような組み合わせで出現するかを解析する係り受け解析機能を使用し、【減少見込み】回答者、【増加見込み】回答者の自由回答を分析したところ、両者とも名詞ー動詞の係り受け上位5位に『単価』についての記述が上がりました。

【減少見込み】回答者について『単価』に関する記述内容を見ると、単価下落と機会の減少が同時に押し寄せていることがわかります。

一方【増加見込み】回答者の自由回答にはコロナ禍でのDX対応ニーズの増加や仕事獲得経路の変更などについて記載されていました。

これらから、コロナ禍で、多くのフリーランスが単価の下落と機会の減少から収入減少に苦しめられる中、コロナ禍だからこそ生じたニーズにより、一定数のフリーランスには特需・恩恵が舞い込み、ここでも格差が広がるという現象があらわれている事を示しています。

確かにコロナ禍では飲食業・旅行業・イベント業・交通業界など、大きなダメ―ジをおった業界もあれば、リモートワークを浸透・促進させるIT関連企業などは、思わぬ特需が舞い込んでいます。

全体が悪化しているというよりは、業界・職種によってはむしろニーズは増えているのです。
収入減少に見舞われてしまっても、いち早く変化できるフリーランスであれば、生き残っていけると言えるでしょう。

収まらぬコロナ・・・フリーランスがとる今後の生存戦略

今回のコロナ禍で悟ったのは、まっとうに仕事に励んでいたとしても、外部環境の変化で、しごとが立ち行かなくなることが往々にしておきるという事ですね。

コロナは弱毒化とワクチンの浸透と人々の慣れによって、海外では規制がほぼ撤廃されて通常に戻っていますが、日本はなかなか通常モードとはいかないようです。

休業を余儀なくされた居酒屋がテイクアウト専門の飲食店に業態を変えて生き残ったように、Web系フリーランスも外部環境の変化に応じて自分のビジネスも変えていかなければならないということでしょう。

今の順調なビジネスは、ある日唐突に終わりを告げられる可能性があると自覚し、順調な時こそ、つぎのナリワイのための種まきをしておく・・・

結局はこれにつきるということです。

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