フリーランスのみなさま、もしくはフリーランスを目指しているみなさま、
先月、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省から「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されたのはご存知でしょうか?
このガイドラインはそもそも何者なのか?誰のためのものか?どういう影響があるのか?フリーランスにとって朗報なのか?
などなど、できるだけかみ砕いて説明していこうと思います。
(Wizparaオリジナル記事:https://wizpara.com/1630/)
このガイドラインってざっくりいうと何?
このガイドラインは仕事を発注する企業とフリーランスの取引において、3つの法令:独占禁止法(独占法)・下請代金支払遅延等防止法(下請法)・労働関係法令が、どのように適用されるか、また、どのようなケースが問題になるのかを、はっきりさせますよーという内容です。
コロナ禍でフリーランス人口が激増した2020年でしたが、このタイミングでガイドラインを定めることで、フリーランスが安心して働ける環境を目指そうと国や政府、関係省庁が一丸となって動いたとことです。
どうでしょう?
フリーランスにとっては、まさに朗報、心強いですよね。
ちなみに今回のガイドラインで対象としている「フリーランス」とは、実店舗を持たず、雇っている人もいない自営業者が対象になります。
要点1:独禁法・下請法・労働関係法令が適用される
フリーランスと仕事を発注する側の企業との取引に対し、独禁法、下請法、労働関係法令が適用されるとうのが改めてガイドラインで公表されました。
独禁法とは独占禁止法の略で、健全で公正な競争状態を維持するために独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的とする法令です。ようは大きい企業などが個人を力を利用して不当に囲い込んだりしてはいけませんよという所でしょうか。
下請法とは、下請代金支払遅延等防止法の略で、親事業者の下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を規制する法律で、仕事を発注する親請け側が強い立場を利用してフリーランスに理不尽で不当な要求をするのを防止する役割があります。
今回のガイドラインで、下請法も適用されると改めて公表されたわけです。
労働関係法令とは、法律 労働者の賃金や労働時間、休暇等の主な労働条件について、最低限の基準を定めた法律です。
どのような契約になっていても、「雇用」のような働き方と認められた時に適用されます。
ようは、契約に先立つ最低限の基準と呼べるもので、契約内容は双方の自由ではあるものの、常識を逸脱したむちゃくちゃな条件は認めませんよといったところでしょうか。
以下のような事例が、これら法律の下では問題となります。
- 報酬の支払い遅延
- 報酬の減額
- 著しく弾く報酬の一方的な決定
- やり直しの要請
- 一方的な発注取り消し
- 役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
- 役務の成果物の受領拒否
- 役務の成果物の返品
- 不要な商品または役務の購入・利用強制
- 不当な経済上の利益の提供要請
- 合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
- その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
今回のガイドラインでは改めて、この労働関係法令が適用されると公表されたことで、弱い立場のフリーランスが保護されているのを確認できましたね。
要点2:「口約束はダメ」「契約書なしは違反」
資本金1000万円超の法人の事業者とフリーランス全般との取引において、仕事内容や条件などを口約束で依頼するなど、契約書を交わさないことは法律違反となります。
これが改めてガイドラインで公表されました。
要点3:仲介業者は「一方的な規約変更はNG」
ここでいう仲介業者とは、クラウドソーシングや人材会社、フリーランスエージェントやフリーランスギルド、シェアリングエコノミープラットフォームなどが当てはまります。
仕事を仲介するサービス事業者(プラットフォーム提供者)は、ビジネス上、圧倒的に有利な立場になります。
この優越的な地位を利用し、フリーランスに対し、不当な利益を与えることが想定されるため、それを防ぐ意味でのガイドラインです。
要点4:雇用っぽい働き方をさせられたら契約書関係なく「雇用」と認められる
契約上は請負契約や準委任契約だとしても、実際の働き方が「雇用」のようであれば「雇用」であると判断され、労働関係法令(労働基準法と労働組合法)が適用されます。
労働基準法とは、労働条件の最低基準が定められたもので、労働組合法とは、「労働者」と「使用者」の関係を定めたものです。
では、「雇用」のようとは、どのような働き方のことでしょうか?
どれだけ指示を受けて仕事をしているか、業務に必要な道具を誰が用意しているか、特定の決まった会社のみで働いているか、発注先の組織内でいないと困るポジションになっているか、契約内容が元々決まっていて固定の内容であるか、働いた分だけ報酬が支払われるか、このあたりが総合的に判断されます。
フリーランスが自らの強い意志で、責任をもって主体的に業務を行っている場合などは、雇用とは判断されにくくなります。
一介のフリーランス的に感じたこと
自分はこれまで多くのブラック企業を渡り歩いてきました、その結果、理不尽な職場を離れ、フリーランスとして独立し、自由でやりがいのある働き方を獲得するべく努力してきました。
その結果、ブラック企業時代とは比べ物にならない、幸福度の高い仕事時間を送ることができています・・・が、
フリーランスになれば、もれなくこのような自由で理不尽とは無縁の仕事ができるかというと、それは間違いです。
むしろ、フリーランスは所属している会社の後ろ盾がないので、ブラック企業で働いていた時、以上の過酷で理不尽な状況に追い込まれるリスクがあります。
世の中には立場の弱い、フリーランスに対し、発注側の立場の強さを利用し、不当で理不尽な要求を押し通そうとする招かれざるクライアントが一定数いるからです。
今回、国の関係各所が公表した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」は、まさに我々、フリーランスにとっては、心強いガイドラインであり、朗報です。
発注側の企業にも、このガイドラインの内容が周知されることを願ってやみません。
フリーランスのかたは、最低でもこのガイドラインの概要は把握しておき、招かれざるクライアントとは距離をとって、幸福度の高い働き方を永く続けていきましょう。