はじめに
こんにちは!ミスリル株式会社、デザイナーの今村です。
さて、本年3件目のゲームショウレポは韓国・釜山にて開催された「G-STAR2023」をお送りします。
G‐STARとは「韓国最大」と謳われるゲームショウで、今回は11/16(木)~19(日)の4日間、釜山のBEXCOを中心にして開催されました。
ミスリル株式会社としてのG-STAR視察は2度目。
海外ゲームショウ視察は会社の研修ですので、渡航費やホテル代やチケット代は会社が全額負担してくれます。
そのため参加しやすく、多くの社員がgamescomやE3、そしてG-STARなど世界のゲームショウを視察した経験をもっています。
とにかく大きいG-STAR
▼大規模試遊ブース
1タイトルあたり30台、50台と沢山の試遊台が並びます。
これだけの試遊台があっても待ち時間60分~120分と長蛇の列ができていました。
NCソフトは約50台の試遊台が3タイトル+αの出展。韓国企業の規模感を全身で感じさせられます。
第一展示場26,508㎡の壁側4方向にこの規模のブースが立ち並ぶ姿は圧巻です。
▼出展数
G-STARの大きさは、出展ブースが大規模というだけではありません。
今年のG‐STAR2023はG‐STAR史上最大規模で、公式発表によると42カ国・1037社が出展したとされています。他方、世界3大ゲームショウと呼ばれるTGS2023では44カ国・787社の出展です。
つまり今年のG-STARの規模は出展社数から見ればTGS以上……アジア最大と言っても過言ではなく、E3が開催中止となった今、3大ゲームショウと呼ばれる日も遠くはないかもしれない……そう感じさせられてしまうものがあります。
▼ノベルティ
アクリルスタンドや缶バッジはもちろん、ポーチ、シャンプー、お菓子やエナジードリンクのセットの他、クジによってゲーム機やキーボード・マウス等周辺機器など……様々かつ豪華なノベルティが配布されていました。
TGSでも事前登録や試遊によってノベルティを配布するブースは多いですが、その予算感が一回り上だなという印象を抱かされます。
左:NCソフトのスタンプラリーの1面。SNS系と試遊系で別途ノベルティが用意されていた。
右:『Dark and Darker Mobile』で貰った帽子とブランケットを装備するエンジニアの大島さん。
▼韓国のゲーム事情
この背景には、韓国がオンラインゲーム大国であることがあると推察しています。
ゲーム市場の約95%をオンライン、モバイルゲームが占めているとされますが……
2022年には韓国ゲーム市場全体で20兆ウォンを越えており、その95%……つまり19兆ウォン、この記事執筆時の日本円で考えると2.1兆円がオンラインゲーム市場と言えます。
オンラインゲームの市場規模の大きさは出展傾向にも現れていたように思います。
上述の大多数の試遊台が用意されている出展は、おそらく全てオンラインのゲームでした。
他方でオンラインでは無いゲーム……つまりコンソールゲームの殆どは「インディ」として出展されているのです。これには日本のゲーム市場との大きな違いを感じさせられました。
コンソールのAAAタイトルと言われる部類のものは日本から出展しているFF7や鉄拳くらいで、これも屋外に中規模のブースが出るのみ。
▼でもインディもアツい!
全然アツい。釜山の寒さなんてなんのその。
「大規模なオンラインゲームの出展が目立つ」と前述しましたが、インディゲームとされる作品群の出展も数多くあります。
韓国のインディの幅は豊かで、中にはハイクオリティな作品も多い印象を抱かされました。
インディゲームゾーンの入口。このエリア以外にも、複数のインディ作品をパブリッシングする企業の出展や、個人出展、学生出展など……様々なインディゲームの出展を観測できる。
ドットから3D・西洋系~東洋系といったアートスタイルの幅、ユニークなゲーム性……ブースこそオンラインゲームに比較すると小さいものの、さまざまな出展があります。
ハイクオリティなキービジュアルや豪華なノベルティを用意した気合いの入ったブースも見られます。
個人的に最近はドットのゲームが気になるようになっており……
G-STARに出展されるインディ作品のドットの表現も、ファンタジー的な重厚なドットからフラットな塗の『アンリアルライフ』的なドットなど豊かな表現幅を垣間見ることができました。
また、多言語対応されているケースが多いことにも驚かされます。
基本的にはハングルでの出展ですが、日本語や英語でのプレイが可能かと伺うと、コンフィグから対応いただける場合が多くありました。Steamのストアページを閲覧すると日本語での作品説明が見られたり、10ヵ国語対応となっているという作品もありました。
日本語や英語での対応が可能なスタッフが多いことにも幾度となく助けられました。
★そのほか見どころいっぱいG‐STAR★
▼沢山のコスプレイヤー
『ドルフロ2』『リバース1999』等の韓国におけるパブリッシャ:上海企業HaoPlayブースの一角
IRONMACE『Dark and Darker Mobile』ブースの一角
オンラインゲームの出展の殆どに公式コスプレイヤーが登場するほか、一般側のコスプレイヤーも多く参加していました。中でもHoYoverseや『ブルーアーカイブ』は多く、公式の出展が無いにも関わらず存在感を放っていた印象です。
ゲーム原作ではない『HUNTER×HUNTER』や『呪術廻戦』のキャラに扮する人々も散見され、未だ日本の漫画IPが根強い人気を持っているとも感じられました。
▼キッチンカー
入場手続きは時間帯によっては20分ほど並ぶので、ここで買ってから並ぶのがおススメ。
▼個人的なハイライト『エクスアストリス』
『アークナイツ』開発のHypergryphが送る新作で、買い切りで展開される予定の『エクスアストリス』
同時期に日本ではオフラインβテストが催されたり、中国で開催されたWePlay Expo 2023でも出展され、世界的にこのタイミングでテストプレイが公開された様子です。
ちなみにこちらの試遊待機時間は90分ほどで、参加者には『アークナイツ』コスプレイヤーも多く見かけました。Hoyoverse同様に中国IPの人気や期待値の高さが伺えます。
▼【WEMADE FESTIVE NIGHT】
会場BEXCOから二駅、海雲台の砂浜にて。
会場から数キロ離れたリゾート海岸になぜか佇むG-STARモニュメント。
調べると、「WEMADE FESTIVE NIGHT」なるイベントが催されるとのこと。
「WEMADE FESTIVE NIGHT」では約20分間の花火があげられ、G-STAR参加者だけでなく、観光客や地元の方など、多くの人々が海雲台の砂浜に集まっていました。
WeMadeもまた韓国のオンラインゲームを扱う企業で、資本力を感じさせられる一場面でした。
おわりに
実は今回のG-STARを含めると、私は3ヶ月連続で世界のゲームショウを視察したことになります。
G-STARに向けてパスポートを再発行したことを契機に、10月にもタイで開催されたThailand Game Showの視察にも行っていたのです。
・9月のTOKYO GAME SHOW
・10月のThailand Game Show
・11月のG-STAR
Thailand Game ShowはミニマムなTOKYO GAME SHOWといった言い方が近い形容の印象でした。
細かな差異は多々あるものの、HoyoverseやSEGAのブースに行列ができたり、たくさんの市民コスプレイヤーが参加していたり、小規模ながらその盛況ぶりに驚かされました。
そして今回のG-STARはその大規模感に衝撃をうけました。ThilandGameShow後の視察であることが衝撃に拍車をかけた側面もあるでしょう。
TOKYO GAME SHOWより会場面積は小さいものの出展社数では大きく上回り、内容や見せ方の質感も異なることから、韓国のゲームを取り巻く環境が浮かび上がるゲームショウでした。
私は5月に中途入社したばかりなのですが、まさかこの数か月で怒涛のゲームショウ巡りをすることになるとは想像だにしていませんでした。ミスリル株式会社に入社して得られた恩恵の1つだったと感じます。WEBを経由して得る情報と自身の身体で体感して得る情報の差は間違いなくあり、直接的に国ごとのゲーム事情やグローバルなゲーム市場の動向を垣間見ることができたのは刺激的な時間だったなと感じます。
実はミスリル株式会社では、来年より新たな福利厚生として旅費の補助制度が試験導入される予定です。
ゲームショウ以外の催しや制作のリファレンスを求めやすくなると思うと、非常に楽しみな制度です!
ゲームショウ視察研修や家賃補助制度など……社員のクリエイティビティを上げ、よりよい制作につなげようとする環境があります。
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