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(後編)【男性育休座談会】男性育休取得率100%を目指す松井証券の職場づくりとは

▼ここから後編

人事担当:10月からの制度改正で、パパ休暇中に臨時で一部就業できるようになったのをご存じですか?

伊藤:人事の方から説明して頂きました。私は仕事を引き継いで休みに入ったので利用しませんでしたが休業中だから一切仕事をしてはいけないと言われるよりは、いざという時に使える制度があることが心理的安全弁になると捉えています。

種田:使わざるを得ない人にとっては助かるので、制度としてはあった方がいいですよね。

内山:会社からのフォローという話に戻りますが、2人目の復帰前に上司と面談する機会があって、「復帰後どのように働きたい?」って聞かれたんです。率直に、ここまでは時短で働くが、ここからは本格的に働きたいと伝えることができました。時短のまま2人目の育休を取得したので、自分も上司も当然そのまま時短で行くんでしょとふわっとしたイメージを持っていたと思いますが、面談の際にお互いにどこまで出来るのか、どこまで期待するのかすり合わせができたので、復帰後の働き方がクリアになってモチベーションも上がりました。


人事担当:そうだったんですね。復帰時はスムーズに仕事に戻れましたか?

内山:私は1人目の育休復帰後から時短勤務ですが、時短だと、休業前と同じペースでやるには絶対的にアウトプットの時間が足りないので無理だと悟り、気持ちを切り替えて、限られた時間の中で出来る範囲でパフォーマンス上げて行こうとがんばっていました。二人目の育休復帰後は余裕が出てきたこともありますが、在宅勤務やスライド勤務など会社全体で柔軟な働き方が出来るようになっているので、主人が出勤する日は在宅勤務にしたりと家族でシフト制にして送り迎えも分担しています。本当に働きやすくなっていますよね。                                        あと、今、社外研修に参加していますが、夜に予定されているプログラムに参加する際に、会社にベビーシッター補助制度を入れて貰えないか相談したところ、すぐに進めて貰えたので経済的にも助かっています。

人事担当:内山さんからの働きかけでベビーシッター補助制度が導入されたんですね。ベビーシッター補助制度とは、仕事のために制度を利用する場合は国から補助が受けられる制度で、当社では2022年11月から利用できるようになりました。種田さん、伊藤さんはご存じですか?

種田:制度があるのは知っていますが、まだ利用したことはないです。

伊藤:私も同じです。国から補助して貰えるんですよね。

人事担当:内山さん社外研修に参加されているということですが、時間に制約がある中でどのようにやりくりされていらっしゃるんですか?コツなどあれば教えてください。

内山:社外の方とグループワークでミーティングする時は業務時間中に対応できるよう調整して貰っています。部内にも事前にスケジュールを共有し調整して貰っていますので、周囲に助けられて参加することができています。子育て中は成長を目指すことはないのかなと思っていたので、チャンスを与えて貰える環境にあるのは有難いですね。

人事担当:伊藤さん、復帰後の働き方を教えてください。

伊藤:私は子供の送り迎えがあるので9:30~18:30勤務にしています。3人の風呂や寝かし付けを妻一人で対応するのは大変なので、仕事で当日できないことは始めからスケジュールに組み込まないし、翌日に回せる仕事は翌日に対応するにようにして、極力残業はセーブしています。昔は自分の余暇時間と残業時間がトレードオフでしたが、今は家族の時間と残業時間がトレードオフになっているので、残業を決断するコストが高くなっていると感じています。自分だけの意思で今日頑張って片付けますって常には言えなくなってきちゃって。最初からタイトなスケジュールを組まないとか、出来ないものは出来ないと正直に言うようにしています。


人事担当:復帰後というより、時間に制約のない働き方が出来ていた頃には顕在化しにくかった課題ですね。自分のタスクマネジメントのやり方が変わったということですかね。

伊藤:変わらざるを得ないというところですね。小学校では学童がありますが、意外とお迎えの時間が早いので、週に何日かは民間のスクール学童も併用します。それが出来ない日に在宅勤務を合わせたり、勤務時間のスライド制度も利用しながらお迎えの時間に間に合うよう調整しています。

人事担当:種田さんはどうですか?

種田:基本的には妻が子供の世話をしていますが、お二人がおっしゃっているように在宅勤務ができるので、中抜け制度を併用したり、仕事のスケジュールを確認しながらどちらがメインに子供の世話をするのか妻と調整しながら仕事をしています。

人事担当:復帰後は周囲のフォローに助けられているというお話もありましたが、種田さんはマネージャーとして復帰後周囲をフォローする立場でしたね。やりやすさや周囲の反応はどうでしたか?

種田:周囲からネガティブな反応はないですが、役割が増えたのでやはり大変です。そこはメリハリをつけながらやっていくしかないと思っていますが、平日は妻が頑張ってくれているので、土日は自分が集中して子供の世話をするようにして、ほぼ自分の時間がない中で(笑)うまく休みながら仕事をしています。偶にお弁当を持って9:00~17:00まで公園に行ったりしています(笑)。先日も先輩パパの取締役の方と話した時に公園は神だという話になりました(笑)。

人事担当:お二人とも絵にかいたような素敵なパパですね。本当にすごい!

伊藤:会社のチームや妻の両親など、周囲の理解やサポートがあってこそですね。

種田:そうですね。ベビーシッター制度もそうですが、いざとなったら助けてくれるのは有難いですよね。

人事担当:最近育児休業制度の変更がありましたが、利用者として、今後育休を検討する方に向けて利用方法などお奨めはありますか?

種田:家庭の事情や仕事の調整があるので期間は色々だと思いますが、男性も取った方がいいと思います。人生に1回しか出来ないかもしれない経験で、あと男女関係なくお子さんがいて働いている社員の大変さがわかります。実感として理解できるようになったのは大きかったし、マネージャーとして仕事をふる時に表面的ではない判断がきるようになったかなと思います。

伊藤:育休は原則、子供が1歳になるまでの期間でしか取得できないので、どこかのタイミングで取得して欲しいですね。私は一人目の時は育休を取っておらず、子供と触れ合う時間が少なかったので父親の自覚が芽生えるまで時間が掛かりました。家事や育児も実際に体験して知っているのと知らないのとでは違うと思います。

内山:新制度では2回に分けて通常の育休が取得できるので、共働き世帯でしたら出産直後と復帰直後のタイミングに分けて利用して欲しいなと思っています。復帰直後は仕事のリズムを作るのがすごく大変なので、仕事の予習をする日として分割して取得すれば、仕事に戻りやすいと思います。

人事担当:皆さんのお話を伺って、男性が育休を取得すると、家庭の中でも会社の中でも共通認識が広がり、同じ目線で話ができるんじゃないかと思いました。

内山:女性に対しては育休取るのが当たり前という空気があると思いますが、男性に対しても当然取得するんでしょという空気がもっと出てくるといいですね。


伊藤:育休取るのは当たり前になって欲しいですが、男性が女性がというよりは、育休中の仕事の穴をカバーしてくれる人の負担を減らすため、事前に上司に報告して数か月前から準備することも大切ですね。仕事も信頼関係も一朝一夕ではできませんから。本当は、常に仕事を抱え込まない、周囲に情報共有する体制にしておくとか、子育て中以外の人へ過度な負担が掛からないようにしておく必要があると思います。

種田:私は生まれる半年前から、育休取りますって上司に報告していました。とるぞって周囲にアピールして・・・(笑)。できる事は早めにやっておきたかったので、調整は半年くらい前から進めました。

人事担当:出産の場合は生まれる時期が大体決まっているので、引継ぎの準備も長くできるのはメリットですよね。最後に育休を取得する前後で働き方に対する考え方は変わりましたか?

伊藤:先程と重複しますが、残業を前提にしない働き方になりました。とにかくできないスケジュールは組まないようにして、できないなら早めに相談するようにしています。「できません」というよりは、「こういう方法だったらできるので協力してください、助けてください」と建設的な提案を含めて相談すれば上司や周囲とのコミュニケーションもスムーズになると思います。

種田:私はスケジュール調整1つとっても、家族やチームを強く意識するようになりました。あと、先程もお話したように、男女問わず子育てしながら働いている方の気持ちが理解できるようになったかなと思います。まだ予定はないですが、もし2人目ができたらまた育休取得すると思います。

人事担当:私は復職時に、保育園に預けてまで働くんだから、預かって貰っている間は仕事に集中しよう、仕事を楽しもうという意識が強くなりました。

種田:それは素敵ですね。

人事担当:私から伺いたいことは以上ですが、他に何かありますか?

内山:パパ会ママ会があるといいですね。身近に経験者がいない場合や関係性が薄いと話聞けなかったりするので。

伊藤:育休経験者と希望者の会でもいいですね。もっとラフに色々なことを聞けた方がいいのかなと思いました。

種田:男性も育休に興味あると思いますよ。相当浸透してきたので、直面するとちょっと考えるんじゃないですかね。

人事担当:私も育休取得前は不安でネットで色々調べたんですけど、社内の経験者に聞いた方がよっぽど効率的だったなと思います。話は変わりますが、冒頭、2018年当時は男性の育休利用者はほとんどいなかったと話しましたが、2020年の男性育休取得率は50%、2022年は80%の見込みです。100%を達成するには何が必要だと思いますか?


伊藤:随分増えましたけど、結局、男性が取得しないときの障壁は前例が少ないことだと思います。周囲も男性が育休を取得することを想定していないので、そのための準備もしていないことに集約されるんじゃないですかね。育休を取得した社員のいる部署に対するケアが何かあるといいですね。

種田:一般的な資料は分かり難いので、男性が育休を取得するために何が必要か分かり易くなっているといいですね。あとは経験者との話し合いが一番いいかもしれません。

内山:単純にリソースが下がるので、育休を取得しない社員へしわ寄せが行ってしまうため、お互い気持ちよく働けるのがいいですよね。

人事担当:本日はありがとうございました。皆様のご意見を参考にさせて頂きます。
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