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『広域避難場所等の安全性検討業務』のご案内

はじめまして!営業部の久保田です。

今回は、弊社が数多く携わっている防災関連業務の中から、広域避難場所等の安全性検討業務についてご紹介いたします。

▰「広域避難場所」とは?                                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 広域避難場所とは、大規模火災等の災害時に身の安全を守るため、鎮火するまで一時的に避難する場所のことです。主に公園・緑地・住宅団地等のオープンスペース(公開空地)が使用されます。

広域避難場所と避難所は混同されることが多いのですが、避難所は災害により自宅に戻れなくなった人が一定期間避難生活を送れる場所のことで、基本的に学校内や公民館などの屋内が使用されます。

自治体のホームページ等で情報公開されていますので、皆さんも災害に備えて地域の広域避難場所・避難所を確認しておきましょう。(広域避難場所や避難方法の名称は自治体により異なります。)



▰ なぜ広域避難場所の安全性を調査するのか                                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 近年頻発する大地震等の災害は、大規模な火災発生の危険性を孕んでいます。2024年1月の能登半島地震でも、約240棟(約49,000㎡)が焼損・焼失する大規模延焼火災が発生しました。

総務省消防庁 消防研究センター「令和6年能登半島地震において発生した輪島市大規模火災における 消防庁長官の火災原因調査<速報>」より引用https://nrifd.fdma.go.jp/research/saigai_chousa_shien/notohantou_jishin/index.html

特に建物が密集する市街地は延焼しやすく、火災による煙や輻射熱は地域住民の生命を危険に晒すため、これらの影響を考慮した安全な広域避難場所・避難経路を検討しなければなりません。また、広域避難場所の安全性は街の整備状況により変化していくため、定期的な見直しも必要です。

首都圏直下型地震も懸念されていますので、特に人口の多い自治体では重要度の高い業務と言えます。


▰ 安全性検討の流れ                                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

広域避難場所の安全性検討業務は、大きく分けて以下のような流れで行います。

調査対象地区の現況調査・ゾーニング(区分け)

 広域避難場所内の土地利用計画資料を確認し、広域避難場所内での土地利用変更や工事があるかどうかを調査します。条件によって、広域避難場所の候補地から除外するかどうかを検討するためです。

 次に、広域避難場所周辺の建物データから火災クラスター(延焼火災の発生が想定される家屋の集まり)を作成し、これをもとに延焼火災危険度を評価します。火災クラスターが多いと延焼火災のリスクが高まることになります。

 また、木造家屋が多く延焼火災の危険性が高い地域(要避難地区)と、耐火建物等が多く延焼火災の危険性がきわめて低い地域にゾーニングします。

      ▲火災クラスターが少ない            ▲火災クラスターが多い

広域避難場所候補地の選定

 要避難地区において、前述のようなオープンスペースを対象に広域避難場所候補地を選定します。現況調査等により適地ではないと判断されたエリアは候補から外します。

広域避難場所の安全性評価

 火災発生時、広域避難場所には火災の輻射熱の影響を受ける箇所・受けない箇所があり、必ずしも全域が安全という訳ではありません。そこで、建物の構造(耐火造・木造…)や土地利用データをもとに、GISソフトを用いて輻射熱の影響をシミュレーションし、輻射熱から安全な距離を取れる面積がどれくらいあるのかを算出します。

 シミュレーション結果を検証図に表し、安全性の評価を行った上で広域避難場所の収容定員を算出します。


               ▲輻射熱シミュレーションのイメージ図


地区割り当て(避難圏域)設定

 広域避難場所の収容定員をもとに、避難が必要な住民が一斉に避難しても一定の空間を確保できるように避難圏域を設定します。

△△町〇丁目の住民は□□公園へ避難する、といった振り分けを決める作業です。


                  ▲地区割り当てイメージ図

避難情報図等の作成

 広域避難場所の指定にあたり、広域避難場所台帳、防災冊子、避難情報図等のデータを作成します。

 マップや冊子は自治体から各世帯へ配布され、地域の避難計画を周知するために役立っています。


▲「東京都不燃化ポータルサイト【第9回指定】避難場所の一覧」より引用https://www.funenka.metro.tokyo.lg.jp/evacuation/9th-evacuation-site/


▰ まとめ                                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 弊社は防災関連業務の実績を数多く保有していますが、中でも広域避難場所の安全性検討業務は他社ではあまり見ない業務です。GIS技術を活用して地域防災に貢献したい方には非常にやりがいのある業務だと思います。

 インターンシップや会社説明会等も開催していますので、気になった方はぜひご参加ください!

 以上、広域避難場所の安全性検討業務のご紹介でした。



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