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セガのゲームを「技術」で支える技術本部。『縁の下の力持ち』職人たちの素顔に迫る

「ゲームを作る仕事」と聞くと、多くの人がゲームディレクターやプログラマーをイメージするのではないでしょうか。しかし、ゲーム作りが複雑化してきている今、彼らを「技術」で支える専門家が必要です。

セガの技術本部は、ゲームスタジオで使用されるゲーム開発エンジンのサポートをはじめ、技術的な課題の解決を担う組織です。直接ゲーム作りに携わるわけではありませんが、今や彼らなしにゲームを作ることはできません。

「技術」で支えるエンジニアとして、どんなやりがいを感じているのでしょうか。今回は技術本部長の片岡氏と開発技術部部長の矢儀氏にインタビューを実施し、仕事内容や求められる素質について聞きました。

ゲーム作りのキャリアからゲーム作りを支援するキャリアへ。

―まずはお二人のキャリアについて聞かせてください。

片岡:
私は新卒でセガに入社し、ゲーム開発部署でプランナーからキャリアをスタートしました。部門長を経験した後に、ゲーム開発をになう本部の本部長をつとめました。

2020年にセガ・インタラクティブ社とセガゲームス社が統合し、今のセガになったタイミングで今の技術本部を立ち上げ、それからは技術本部長として働いています。

―なぜプランナーから、支援側の部署の責任者になったのでしょうか。

片岡:
私が様々な部署を経験して、いろんな部署の人と仕事をしていたからだと思います。2つの会社が統合して今の会社になる際に、様々な部署にいた人たちが集まって今の技術本部が出来上がりました。そのため、キャリアが長くて顔が広い私が部門長に抜擢されたのだと思います。

―矢儀さんのキャリアも聞かせてください。

矢儀:
私は2002年に新卒で入社しました。もともとアーケードゲームを作りたくて入社したため、入社してからほどなく、その業務に携わることができたことは夢のようでした。

メインプログラマーも経験したのち、様々なプロジェクトをサポートするようになり、今の技術本部のような仕事をするようになりました。その時の経験もあって、技術本部ができた際に片岡さんの下で働くことになりました。

現在は技術本部の中にある開発技術部の部長、並行して技術統括室の副室長をしています。

モータースポーツのピットクルーのような存在

―技術本部の役割について教えてください。

片岡:
私たちは直接ゲームコンテンツを作るのではなく、ゲームを作る際に共通で使われるインフラや技術を提供しています。モータースポーツでいえばピットクルーのような存在ですね。ゲームを作る人たちが、集中して開発できるような環境を作るのが私たちの役割です。

具体的に言えば、私たちの領域は「インフラ」と「テクノロジー」に分けられます。インフラは一般の企業で言うIT部門がイメージに近いですが、そこで使われるPCもサーバーも通常業務で使用されるPCとは大きく異なるハイスペックなもののため、高い技術が求められます。

また、テクノロジーは、ゲームエンジンや開発ツールのこと。かつてはゲームを作る人たちがそれらも開発していましたが、今は時代が違います。開発ツールなどを作る人たちとゲームを作る人たちの両輪が揃わなければ、いいゲームは作れません。

―どのような人が向いている部署なのでしょうか。

片岡:
インフラに関して言えば、開発規模が大きい上に高い専門性が求められます。当社ではタイトル数も多く、毎月のように運営イベントがあるため、それらにも対策をしなければなりません。そのような特殊な環境で自分の腕を奮いたい人は向いていると思います。

また、テクノロジーに関して言えば、様々なゲームに携わりたい人。かつてはゲームの開発期間は1~2年が主流でしたが、今は3~5年かかるのも珍しくありません。1本1本のゲームに打ち込みたい人にはいいですが、技術を突き詰めることに興味があって、その技術をより多くのゲームに広めていきたい人、関わりたい人は私たちのように共通の技術を開発する部署の方が楽しめるはずです。

「数千万円のコストカットができた時」達成感を得られる瞬間

―セガで働く面白さを聞かせてください。

矢儀:
携われるゲームの種類が広いことです。セガはコンシューマーゲームはもちろん、アーケードからモバイルまで、多種多様なゲームを開発しています。ここまで幅広くゲームを扱っているゲーム会社は世界を見渡してもそうありませんし、技術本部ではその全てに携われます。

また、最近ではヨーロッパを中心としたセガの海外のゲームスタジオと連携した仕事も増えてきたため、グローバルという意味でも幅広い仕事に挑戦できると思います。

―仕事をしていて、どんな瞬間に達成感を感じますか?

矢儀:
定量的な成果が見えた時は嬉しいです。私たちはゲームを作る人たちが効率的にゲームを作るためのツールを開発しており、彼らクリエイターがゲーム作りに使える時間を1分1秒でも増やすため仕事をしています。私たちが開発したツールなどによって開発時間を何百時間も短縮し、数千万円の経費を削減できた時は嬉しいですね。

また、定性的なものでは、直接「ありがとう」を言われたり、ご厚意でスタッフロールに名前が載ったときももちろん嬉しいです。

―お二人共ゲームを作る部署から来ていますが、その時とモチベーションの違いなどがあれば聞かせてください。

矢儀:
モチベーションに大きな違いはなく、「面白いゲームを作りたい」という気持ちが最も強いものです。ただ強いて言うなら、見るポイントは変わってきました。ゲームを作っていた時はゲームの内容重視でしたが、今は技術でゲームを支える立場なので、どうしても技術重視で見てしまいます。

そのため、ゲームを完成させることよりも、技術を追求することに面白さを感じる人は、技術本部でもモチベーション高く働けるのではないでしょうか。

―ゲーム開発の場合はリリース時が達成感のピークである場合も多いと思いますが、技術本部ではどんな瞬間に達成感を感じるのでしょうか。

片岡:
人それぞれあるかと思いますが、まず一つは問題を解決できた時ですね。今まで技術的にできなかった表現ができるようになったり、時間の問題で諦めざるを得なかったことができるようになったり。私たちは自発的にも技術を開発していますが、基本的には各スタジオや部署から依頼を受けて技術的な課題を解決しています。無事に課題を解決して、定量的にどれくらいの効果を生み出せたのかを見るとニヤニヤしてしまいますね。

一つの部署が抱えている課題は、実は他の部署も抱えている可能性が高いため、一つの依頼で使った解決策を汎用的に他の部署でも応用できるようにするのも面白いです。

矢儀:
自分たちの技術を発信できた瞬間も達成感がありますね。今はネット上でも様々なカンファレンスが開かれており、会社の壁を超えて自分たちの技術を発表する場があります。中には本を書いて出版する人もいますし、そのような活動を目標にしている人もいます。

「技術を突き詰めたいおせっかい」と一緒に働きたい

―技術本部で求められる人物像を聞かせてください。

矢儀:
おせっかいな人は向いていると思います。私たちは他の部署の問題を見つけて、解決していくのが仕事なので、問題を見つけるために踏み込んで行けること、問題を自分ごととして捉えて解決に向けて動けることが重要です。

さらに欲を言えば、自分たちが気づいたことを言語化し、しっかり相手に伝えるスキルもあるといいですね。レポートを作り込む必要はありませんが、相手がわかりやすいように工夫して伝えられる人は向いていると思います。

技術者ではない職種の方に説明しなければならない場合もあるため、相手に合わせて丁寧に説明できる人は大歓迎です。ただし、現在いるメンバーも全員がそれを完全にできるわけではありません。黙々と仕事をしながら、話す仕事は別の人に任せることもできるので、伝えるのが苦手でも、技術が好きな人はぜひ応募してほしいと思います。

―様々な部署から人が集まっていると思いますが、どのような人が多いですか?

片岡:
特定の技術に深いこだわりを持っている人が多いです。それ故に、一本のゲーム作りの枠に収まりきらなくて、スタジオで「そんな追求しなくていいよ」と言われるような人ほど、ここで活躍できていますね。

また、最近は外国籍の方が入社するケースも増えています。海外ではセガの人気が高く、たまに私物のドリームキャストや、自分で改造したメガドライブを持参するようなギークな人までいます。そのような人にとっては、セガで働くことが幸せらしく、とてもやりがいを持って働いてくれています。

―みなさん日本語が話せるのでしょうか。

片岡:
中には日本語が話せない人もいます。しかし、技術的な一芸を持っている人であれば、やれることはたくさんあります。それぞれの得意な分野を活かしながら協力していけるので、全ての能力が平均な人よりも、なにか一つでも突出したスキルを持った人が向いていると思います。

特に私たちは製品としてのアウトプットの幅が広いため、技術を活かせる幅も広いです。特定のジャンルや特定ハードのゲームしか作っていない会社であれば、求められる技術も限られますが、私たちは様々な技術に対して活躍の場を用意できるはずです。

―他の会社にはない魅力があれば聞かせてください。

矢儀:
こんなにも仕事の幅が広く、裁量のある会社は他にないと思います。たとえば大企業では組織が縦割りで業務領域が固定化されがちだったり、中小企業では裁量がないという話をよく聞きます。

しかし、セガなら自分がチャレンジしたい仕事があれば背中を押してくれます。もちろん、会社の利益に繋がる必要はありますが、会社としてのアウトプットが広いため、チャレンジできる幅も広いです。

―マネジメント側の片岡さんとしては、メンバーのチャレンジについてどう思っていますか。

片岡:
技術が好きな人は、好きなことをしている時ほどパフォーマンスも上がるため、できる限り本人がやりたい仕事をさせたいと思っています。「家に帰りたくない」と言いながら仕事をしている時のパフォーマンスは非常に高いと思っているので、そのような環境を作るのが私の仕事ですね。

―最後に、技術本部に興味を持った人にメッセージをお願いします。

片岡:
現在、ゲームを作っている方の中にも、ゲームが完成した時よりも技術を追求している時のほうが達成感やモチベーションを感じている人もいるのではないでしょうか。ゲームが好きだけど、それと同じくらい技術を突き詰めるのが好きな人は、私たちと一緒に働くことを選択肢の一つに入れてくれると嬉しいです。

特に最近は一本のゲームを作る期間も長期化してきていて、ゲームスタジオにいてはなかなか技術を突き詰められないこともあります。技術へのモチベーションが大きい方は、ぜひ一度話を聞きに来てみてください。

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